コメディアンBJ Foxの脱サラゲームブログ
連載第19弾
「ディアブロ III エターナルコレクション」の地獄はまだ生やさしいよね。本当の地獄ってのはBrexitのことを言うんだよ
2019年4月22日 08:25
日本に住んでいるイギリス人としては、4カ月前ほど、ちょうど12月くらいは最高だった。毎日のように周りの日本人に褒めてもらっていたよ。「『ボヘミアン・ラプソディ』はいいよね」、「さすがイギリス、音楽王国イギリス」と毎日のように言われた。
僕自身は、あの映画に対してイギリスのリスポンスが少し冷めていたタイミングだったから嬉しかったよね。“イギリスの遺産”と呼んでも大げさではないクイーンとフレディーのレガシーを映画化するために時系列を弄ったり、本当の大変さをフィクション化するなんて! と言っている人もいた。でも、映画を観にいくと、やっぱり引っ張られてしまうよ。このイギリス人も引っ張られたよ。
「そうだね、おっしゃる通り、僕の母国イギリスはやっぱり立派な国だ」
今は違う。今は、「イギリスは大丈夫ですか?」、「どうしたの、イギリス? 愚かな決断だったんじゃないの?」と言われる。それはもう毎日のように。「ボヘミアン・ラプソディ」はあっという間にBrexit(イギリスEU離脱問題)に入れ替わられた。フレディ・マーキュリーはテレサ・メイに!
「そうだね、おっしゃる通り、僕の母国イギリスは愚かな国だ」
ところで、4月14日の読売テレビの「そこまで委員会NP」という番組へパネルゲスト兼イギリス代表として出させていただいた。Brexitを徹底解説スペシャル版だった。タイトル「ヨーロピアン・ラプソディ/欧州狂詩曲」。またラプソディーか。確かに、狂った状況だ。
大阪の収録への新幹線の中で、いつものNintendo Switchを手にしていた。イギリスの実態を忘れようと言わんばかりに、徐々にプレイしてきた「ディアブロ III エターナルコレクション」のNintendo Switch版を少しやった。
さすが、今時のゲームだ。壊滅的なイベントに脅かされている! またBrexitが思い浮かばされた! 面白いことにプレイ中に、イギリス首脳のメイ首相のキャラは、死の前兆の魔女マグダか、世界を救おうとしている味方のレアのどっちに当てはまると思っていた。そう、イギリスはそこまで極端的に分けられている。
ところで僕の「ディアブロ III」の初プレイは、イギリスのEU離脱のごとく、何度も延期となってきた。「ディアブロII」は大学時代の代表作の一つで、世界のゲーマーたちと同様にはまったけれど、「III」は本当に些細な理由で発売時期を無視した。
発売当時の2012年5月、僕はシンガポールに在住していて、アジア地域全体でロックスター・ゲームスのマーケティングや営業を担当していた。2012月5月といえば、また離脱と同じくそして非常にロックスター風にでもあることに、何回も発売延期となってきた「マックス・ペイン3」もやっと発売が発表された。ところが長年の歳月をかけてプロモーションを企画してきた「マックス・ペイン3」の発売寸前に、急に「ディアブロ III」の発売が発表されて、すべてのプランがふき飛ばされた!
交渉してきた香港の月刊ゲーム誌の独占表紙は、取り除かれた。
僕「約束したでしょう??」
相手「ごめん。でも『ディアブロ』だから仕方ない」
予約しておいたシンガポールのゲームモール街の表のビルボード広告も取り除かれた。
「約束したけど、モールの全体のディアブロの前夜祭イベントをやることとなったので、他社のビルボードがNGになった」
Blizzard大好きの韓国の発注本数も、言うまでもなく劇的減少。
でも「僕らはロックスターだよ?」というアピールには、「ロックスターはもちろんロックスターだけど、アジアではディアブロは王様だ」という答えが帰ってきた。信じられない勢いだった。あっという間に「マックス・ペイン」が消えた。そして僕のボーナスも!
だから、PC版は無視した。PS4版もノータッチ。当たり前だろう! 今やっとエンジョイできる気分となって、そして、十分Switch版をエンジョイしている!PCからのコンソールへの移植の当時にホメホメのレビューを読んで、でもさらに、携帯式コンソールへの移植が素晴らしい。意外とPCのクリック式ゲームプレイはSwitchにも通用するんだね。
それにしてもこのゲームは本当にストレスがない。「ディアブロ」の頭を少し使わなくても良い部分も電車でのプレイにも向いている、と常に思っている。今までのSwitchゲームの中には、これがベストとは言えないが、確かに移動中のベストかも!
少しだけのプレイだけで、ストーリーが徐々に前へ進み、何らかのグッズをパワーアップしてくる。あれは、「ディアブロ」の最高な所でしょう。いつも成長している感覚。この連載でもうすでに紹介したSwitch移植版の「DARK SOULS」の達成感や楽しみは、確かにごくステージを何回もプレイしてやっとクリアだ、という瞬間にあるだろう。
「ディアブロ」は、スムーズに進んでいき、毎回アイテムがゲットできるシステムにある。だから、僕の場合では、一気に最後までプレイゲームよりも、楽しくいつでも戻れるゲームとなっている。そう言えば、大学の「ディアブロII」も似たような存在だった! ただ、ステージの最後のボスだけは、ちゃんと集中して倒そうという覚悟が必要だね。
グラフィックもそれなりに綺麗だ! 7年間前のPCゲームは、Switchの画面に見栄え良く写るし、多くの敵に囲われてもスローダウンなどもない。最初に電車の中だし、サウンドレスでプレイしたが、1回ヘッドフォンをつけてサウンドをチェックしてみようと思ったら、これがハマった! 日本語版を買ったが、英語言語パックが無料配信され、テキストがすべて英語に切り替えたが、素晴らしい日本語の音声も満喫している。僕が選んだキャラのモンクが日本語で無茶を言うことを楽しく聞いている。
マルチプレイやオンラインプレイはまだエンジョイしていないが、それは移動中の電車(新幹線)の中で遊ぶという僕のプレイスタイルの問題だ。「エターナルコレクション」は、本版の発売以来のパックや配信コンテンツをすべて入っているらしく、長く遊べそうだ。
冒頭で取り上げたTV出演の件だけど、2時間ちょっとで大阪に行って、収録中にパネリストに相当やられた。「イギリスはこう!」、「なんでなの?」、「大英帝国だったイギリスだろう」。ああ、イヤだイヤだ。
だから、帰りの新幹線に乗って、またSwitchをつけて、ストレスのない「ディアブロ」に戻ったんだ。この地獄はなんて幸せなんだろうってね。
「イギリスの未来はどうするんだよ?」
「どうかしら。心配だね。でも先日『ボヘミアン・ラプソディ』のDVDが発売されたから、少しくらい昔の思い出で寛げるだろう」
「いいアイデアだね。観よう観よう」