レビュー

「Devil Engine: Complete Edition」レビュー

懐かしくも新しい、硬派な横スクロールシューティングゲーム

【Devil Engine Complete Edition】

発売日:11月9日

開発元:Poppy Works/Protoculture Games

発売元:Beep Japan/Poppy Works

ジャンル:アクション/シューティング

プラットフォーム:PS5/PS4/Nintendo Switch

価格:3,980円

 「Devil Engine: Complete Edition」は、「32ビット時代の名作STGから大きな影響を受けている」と標榜する、自機を操作してショットやボムなどを駆使して敵を倒していくクラシックスタイルの横スクロールシューティングゲームだ。

 本作は、Protoculture Gamesが開発し2019年にNintendo Switchなどで配信した「Devil Engine」と、別売りのダウンロードコンテンツだった「イグニッション」モードがセットになっている。ゲームモードは、1周6面の「オリジナル」と、前述した「イグニッション」、さまざなまお題に挑む「チャレンジ」の大きく分けて3種類がある。

 以下、本稿では、80年代から数多のシューティングゲームを遊んできた筆者なりにまとめた、本作のレビューをお伝えしよう。なお、検証にはPS5版を使用し、筆者は前作「Devil Engine」をまったくプレイしていないうえで本作を検証していることをあらかじめお断りしておく。

【「Devil Engine: Complete Edition」ゲーム画面】
※写真はPS5版で撮影(※以下同)

90年前後のシューティングゲームを遊んでいる感覚

 筆者がプレイしていて率直に思ったのは、本作は「32ビット」と言うよりは「16ビット」の時代、1980年代後半~90年頃にリリースされたシューティングゲームを遊んでいる感覚に近いこと。各種ショットの性能といい、敵を連続で倒し続けるとたまる「コンボメーター」を消費することで発射できる強力なバースト(ボム)といい、あらゆる武器を撃った感覚は、まさに90年前後に登場したシューティングのそれだ。いわゆるポリゴンは使用せず、すべてのキャラクターをドット絵で描いたと思われるビジュアルも、同じく90年前後の時代をほうふつとさせる。

 自機はスタート時に、性能がそれぞれ異なる「アンドラステ」、「スカサハ」、「ブーディカ」の3種類の中から1機を選択する(※各機体の細かい説明は後述する)。筆者がまず引っ掛かったのは、機体ごとに攻撃力や移動速度の性能だけなく、ボタン操作やパワーアップシステムも異なること。×ボタンを押すとメインショットを発射(※押しっ放しでオート連射となる)するのは共通しているが、それ以外の〇、△、□の各ボタンは、機体ごとに装備がまったく異なる。そのため筆者は当初、3機を順番に試してから最も気に入った機体でやり込もうと思っていたのだが、各機体の基本性能が違い過ぎるあまり、それぞれの特徴を理解するまでにかなりの時間を強いられた。

自機は全3種類。ゲーム開始時に、いずれか1機を選択する

 実は「オプションモード」には、プレイしながら操作法が学べる「チュートリアル」が用意されているのだが、「アンドラステ」のシステムしか説明してくれない。なので「チュートリアル」から始めてしまうと、「この機体の操作を覚えれば、残りの機体も同じ操作で遊べるんだな」と、かえってプレイヤーが勘違いをする原因になってしまう(筆者も実際に勘違いしてしまった……)。

 「オリジナル」でも「イグニッション」モードでも、機体を選択後に基本操作ガイドの表示、および自由に操作できる機能はあるが時間が短いので、これだけで一連の基本性能を理解するのは正直難しい。なので「チュートリアル」には、3種類すべての機体ごとの説明を用意してほしかった。

 以上の理由から、性能がまったく異なる3種類の機体を、1プレイごとに変えながら基本性能を覚えつつ、同時に各ステージの攻略パターンも作るのはかなり難しいというのが筆者の率直な印象だ。よって、しばらくの間は機体を固定してプレイすることをおすすめする。

「チュートリアル」でプレイできるのは「アンドラステ」のみ。ほかの機体は性能がまったく異なるので、勘違いしないようくれぐれも注意を!

「アンドラステ」、「スカサハ」、「ブーディカ」各機体の性能や特徴を紹介

 ここからは、各機体の性能や特徴などを説明していこう。

 赤色の自機「アンドラステ」はメインショットのほかに、○ボタンを押すと敵に大ダメージを与えるボムを、□ボタンで自機の周囲にある敵弾を消し去るバーストを放ち、△ボタンでいつでも自機の移動速度を3段階に切り替えることができる。特定の敵を倒すと出現する「S」、「L」、「H」の各アイテムを取ることで、メインショットがそれぞれスプレッド、レーザー、ホーミングに変化し、同じアイテムを続けて取ると3段階までパワーアップ。どの武器を使用してもパワーアップさせた状態で撃ちまくるのはとても気持ちがいい。

 ただし、これらのアイテムは基本的にローテーションで出現する、つまり同じ種類のアイテムが連続で出現しないため、出てきたアイテムを片っ端から取っていると、いつまで経ってもパワーアップしない。ゲーム開始直後、またはミスした後のリスタート時は、同じアイテムを続けて取るように意識してプレイする必要がある。バーストは「コンボメーター」の数値が高いほど強力になり、使用後は「コンボメーター」がゼロに戻ることも忘れずに覚えておきたい。

 「アンドラステ」は、敵を倒すとたまる緑色のゲージが満タンになるごとに、ボムのストックが1発増える特徴も持つ。あくまで筆者の私見だが、ゲージを満タンにするだけでなく、途中でコンティニューをすることでもボムのストックが大量に増えるので、特にボス戦などの難所では、ボムを連発してゴリ押しで倒せるところが「アンドラステ」の最大の長所であると言えるだろう。ただし、ボムを使用中に自機は無敵状態にはならない点には注意したいところだ。

【アンドラステ】
上から順に、メインショットはアイテムを取ることでスプレッド、レーザー、ホーミングに換装が可能
ボムを発動させると、前方に強力なミサイルが次々と発射される(※レーザー装備時はレーザーが2本追加される)
自機の周囲の敵弾をまとめて消す効果を持つバースト。使用後は「コンボメーター」がゼロに戻ることに注意したい

 黄色の自機「スカサハ」は、○ボタンでサブショットを発射、□ボタンを押すと敵弾を消しつつ敵にダメージを与えられるサージを発動し、△ボタンを押し続けると移動速度が低下するが、前方にショットを集中攻撃することができるのが特徴。メインショットは、最初から「アンドラステ」のスプレッドの最強状態とほぼ同じ性能を持っており、アイテムを取るとS字型のショットを放つオプションも装着される。

 サブショットは、ボタンを押したままにすると自動で敵を最大6機までロックオンし、ボタンから手を離すと発射されるホーミング弾。ザコ、ボスを問わずあらゆる敵に対応できるのがメリットだ。サージは「コンボメーター」がたまった状態でのみ使用可能で、数値が高いほど強力になる。集中攻撃は、対ボス戦などで弾幕の隙間を避けつつ敵を攻撃したいときに使うといいだろう。

 筆者が「オリジナル」モードで、初めてエンディングまで到達したのが「スカサハ」だったこともあり、本作を初めてプレイする人には、この機体をおすすめしたい。特にサブショットの自動ロックオンは、初見で行動パターンを知らない敵でも素早くダメージを与えられるので極めて有効。「コンボメーター」を2ポイント以上ストックしてから放つサージも強力だ。

【スカサハ】
アイテムを取るとオプションが装着され、メインショットと同時にS字型のショットも撃てるようになる。オプションは2個まで同時に装着が可能
サブショットの自動ロックオン攻撃(※黄色の湾曲した弾)は非常に使いやすいのでおすすめ
「コンボメーター」をためてから放つサージも超強力だ
△ボタンを押しながらメインショットを撃つと、前方へ集中攻撃する弾道に変化する

 青色の機体「ブーディカ」は、○ボタンを押すと強力かつ敵弾を消せるレーザーを2本発射するワイド、□ボタンを押すと「コンボメーター」の数値に応じて広範囲に炸裂するエリアが発動し、△を押し続けるとゲージがゼロになるまでの間だけ、あらゆる敵弾を消す強力なバリアを張ることができる。特に「コンボメーター」を3以上にしたときのエリアは強力、かつ炸裂したときはすこぶる快感だ。

 メインショットとワイドは、ともにV字型に放つ、つまり真正面には飛ばない(※メインショットはアイテムを取って強化すると一瞬だけ正面に飛ぶようになる)ので、敵の数が多い場所で接近戦になると苦しくなる印象。また、ワイドを繰り返し使用するとメインショットが退化し、最低レベルまで退化すると一定時間ワイドが使用できなくなるデメリットがある。メインショットが最低レベルに退化後は、一定時間が経過後に初期状態に戻るので、それまでの間はバリアを張って耐えるといい。ただし、バリアは一部の敵弾は防げず、初見で消せるのか、それとも消せないなのかが直感的に見分けがつかない敵弾があるのもネックだ。

 「ブーディカ」を使用する際は、ザコ敵はなるべくメインショットで倒し、敵弾に囲まれて困ったときはワイドを撃って逃げ場を確保しながら進み、対ボス戦では温存した強力なエリアをダメージを与えていくといいだろう。

【ブーディカ】
メインショットはV字型に発射する
ワイドも同じく軌道はV字型。敵弾も消せるので重宝する
エリアを放つと広範囲に爆風が広がる
△ボタンを押すとバリアを発動し、あらゆる敵弾から身を守ることができる

総じて難易度は高め。初回プレイ時は「ベリーイージー」を推奨

 「オリジナル」、「イグニッション」、「チャレンジ」の各モードをひととおりプレイしたところ、総じて難易度は高めというのが筆者の率直な印象だ。よって、本作を初めてプレイする人は「オリジナル」モードの2種類の難易度「ベリーイージー」と「ベリーハード」のうち、前者から始めるといい(※ただし、初回プレイ時は「ベリーハード」しか遊べない)。

 「ベリーイージー」と「ベリーハード」の最大の違いは、各ステージの最後に出現するボスキャラ、および途中に出現する中ボスの耐久力だ。「ベリーイージー」では、例えば「アンドラステ」であれば、前述したようにストックしたボムを撃ちまくれば速攻で倒せるので「ベリーハード」とは比較にならないほど楽に攻略できるハズだ。もっとも、ザコ敵の強さはどちらもあまり変わらないので、各機体の操作ともども、たとえ腕にある程度の自信を持つプレイヤーであっても初めのうちは苦戦必至だろう。

 ただ幸いなことに、途中でコンティニューの回数を使い果たしてゲームオーバーになってしまっても、繰り返しプレイすればコンティニューの回数がどんどん増える(※おそらく、累計で規定の得点を超えることが条件と思われる)ので、まずは「ベリーイージー」でエンディング、すなわち1周全6面クリアを目指してプレイしていただきたい。

【まずは「ベリーイージー」からチャレンジ!】
「こっちを選べ!」の挑発(?)に乗らず、慣れるまでの間は「ベリーイージー」を選択してエンディングを目指すといい
「ブーディカ」使用時は、ボスや中ボス戦は強力なワイド、またはエリアをどんどん使ってゴリ押しするといい

 「オリジナル」を高難易度化した「イグニッション」モードは、1面の開始直後から、自機がパワーアップしていない状態から高速で突っ込んでくるザコや、弾を大量にばら撒く強敵が次々と出現する上級者向けのモード。こちらは「オリジナル」モードの「ベリーイージー」をクリアできるようになってからプレイするのが無難だ。さもないと、全6面のうち1面すらクリアできずに、あっという間にやられてしまうことだろう。

【「イグニッション」モード】
開始直後から、高速でザコが突っ込んでくるのでかなり難しい
「オリジナル」の「ベリーハード」よりも難しいので、慣れないうちは1面クリアするだけでもタイヘンだ

 「チャレンジ」は、敵を1機も逃さずに倒し続ける、あるいは敵の攻撃をひたすら避け続けるなど、個々の「お題」の限界に、文字どおりどこまで挑戦できるかを競うモード。最初は1種類しか遊べないが、「オリジナル」モードを繰り返しプレイするなど、条件を満たすと新しい「お題」がどんどんアンロックされていくので、アンロックの通知を確認したら、その都度試してみるといいだろう。ただし、本モードもどれを選んでも難易度の高く、ナメてかかるとあっという間に終わってしまうのでくれぐれもご注意を。

【「チャレンジ」モード】
各モードを繰り返し遊び、条件を満たすごとに「お題」がどんどん増えていく
敵を1機でも逃すと即終了となる、過酷なルールの「チェインクロニクル」
こちらは敵の攻撃をひたすら避け続ける「コア大暴走」。いわゆる弾幕シューティング好きにすすめたい「お題」だ

システムを理解すると一気に楽しくなるのが「Devil Engine」の真骨頂

 機体ごとに異なる性能と、敵キャラクターの攻略法を同時並行で覚える必要があるため、とりわけシューティングゲームに不慣れなプレイヤーにとっては、本作は非常にハードルが高い印象は否めない。初めのうちは操作に慣れることと、コンティニューの回数を増やすことを目的にプレイし、ミスをしても一切気にせず気長に遊ぶといい。慣れてきたら、ボムなどを利用してボスを瞬殺するパターンのほか、例えば1面の最初の中ボスを倒した直後、外壁に当たるとミスになる狭い通路では、どの武器を使えば楽に戦えるのかなど、武器選択による攻略パターンを考えながら遊ぶことで、本作がどんどん楽しくなるハズだ。

 腕に自信がある人は、使用すると「コンボメーター」が減ってしまう「バースト」などを極力使わず、得点稼ぎを意識してプレイすることをおすすめしたい。機体ごとに性能がかなり異なるため、それぞれの稼ぎパターンもまったく変わるので、どの機体が最も稼ぎやすいのかを研究しつつ遊ぶのも一興だ。実は、本作は5万点ごとに自機が1機増えるので、ある程度の得点を稼げるパターンを作ったほうが楽に戦えることも併せて覚えておきたい。

 なお本作を遊ぶ際は、モニター内臓のスピーカーではなく、ヘッドホンか外付けの高出力スピーカーを使用することをおすすめする。「めがてん」こと細江慎治氏をはじめとする、有名コンポーザーたちが作曲したBGMの数々をじっくりと聴きながら楽しみたいところだ。