レビュー

「METAL DOGS」レビュー

武器の個性を大きく変えるスキル

 最序盤を越えようかというところで、武器や防具にスキルが付きはじめる。「炎上フィールド展開」などは特殊なS-Eに固定で1つ付与されているが、それを含めて最大5つのスキルが付与される。スキルには幅広いレベルがあり、ステータスを大小様々に強化してくれるシステムだ。

 レアリティは白→緑→水色→紫→黄色の順に上がり、運が良ければかなり早い段階で水色レアリティの武器がドロップする。賞金首がドロップする武器にもスキルがあり、周回を重ねて高いレアリティのアイテムを探すのもひとつの楽しみ方だ。

少しゲームを進め、「ロンメルゴースト」を倒した直後の装備。水色レアリティの装備を多く獲得できた

 またアイテムはゲームの進行で解放される「兵器実験室」を利用して、スキルを付け替えられる。ただ、付け替えに必要なアイテム「構成物質変異剤」は比較的レアなアイテムで、付くスキルもランダム性が高い。プレイ中の体感ではドロップ時のレアリティが高いほど性能のいいスキルが付きやすいように感じたものの、失敗時には運が悪い場合でレアリティが紫から緑に落ちることなどもあり、ひとつのギャンブル的な要素と言えるだろう。

「兵器実験室」でスキルを付け替える。ショップで売っている白レアリティの武器でも多少は使いやすくなる

 初期アーリーアクセス時点で武器の数は60種以上で、ボスは12種収録されている。武器の見た目はある程度共通化されているものの、豊富なスキルで個性が強く出るのは面白い。ミッションが進むにつれてギミックや敵の強さも増していくため、かなり手応えを感じられるのが楽しい。個人的には先述の「ゴーストキャノン」に「射程距離UP」と「リロード時間短縮」が付いてドロップしたのが嬉しかった。これを使って鬼門だった賞金首をなんとか討伐でき、詰みを感じていたハードルを越えられた。

「ロンメルゴースト」討伐時にドロップした「ゴーストキャノン」(画像上)と、最後にプレイした時点のキャノン(画像下)。特にキャノンで火力がどんどん増していき、バタバタと敵が倒れていく

 しかも、装備する武器によって戦闘犬がベレー帽等を装着する。この姿は精鋭部隊の一員のようでかっこいい。装着の条件は正確にはわからなかったが、様々な装備の組み合わせを試してみるのが良さそうだ。

緑色のベレーとバッグを着けた状態(画像上)と赤いバッグを着けた状態(画像下)。表示されるグラフィックスは小さいが、かわいい

シリーズを強く反映した敵たち

 本作は「MMXR」に登場した敵が多数登場する。「巨大アリ」や「メタルイーター」、「うろつきポリタン」、「はちのすキャノン」、「死神戦車」やその上位種などがその例として挙げられる。厄介な状態異常を与えてくる敵も多く、おそろしいスピードで走ってきて火を吹く「ラピッドポリタン」や動きは遅いが攻撃が一瞬で発生する「レーザービートル」も現われる。

「MM」シリーズの敵におけるマスコットのような「からっポリタン」(画像上)と、攻撃が痛い「レーザービートル」(画像下)

 また、一部の敵には赤いオーラを纏った「エリート」が存在していて、サイズが大きかったり、色が違う。体力も通常の数倍多く設定されていて、取り巻きのように通常種を召喚して妨害することもある。この通常種に照準や攻撃を妨害されることが非常に多く、優先して倒さなければいけない、厄介な敵として立ちはだかる。

「エリート」の一種「エリート死神戦車」。高い火力と体力で攻めてくる

 さらに「死神戦車」や「ダイコンデロガ」のような一部の装甲がありそうな敵には、正面以外から受けるダメージを減らす盾のアイコンが出る。戦車の前面が弱いのか、と一瞬疑問に思えたが、弾幕を張られるリスクを冒してスリリングな戦いを演じると思えばなかなか楽しめる。困ったときは「炎上」で防御力に関係なくダメージを与えられるのも救済措置のように感じる。ちなみに冒頭で「通常モンスターになっていて驚いた」と述べた「ダイコンデロガ」は大根をモチーフにしたモンスター。ゴーゴーダンスを踊るようなそのモーションは「かわいい」のひと言に尽きる。

 「MM」シリーズ恒例の強敵であり稼ぎ頭の賞金首(WANTED)は、本作でも数多く登場する。「ボムポポ」が巨大化した「ボムポポキング」やシリーズおなじみの「ロンメルゴースト」、「ムカデロン」に「ゴールドアント」も強力な敵となっており、それぞれ特徴的な攻撃を繰り出す。攻略方法を考えて立ち回り、アクションゲームらしく攻撃を巧みに回避するのは楽しいし、本作の醍醐味といえる。

「ムカデロン」は麻痺を与える噛みつきに毒の尻尾、炎上するナパーム弾を発射する。まるで「ReLOADED」を見ているようだ
個人的に「MM」シリーズでかわいい敵だと思っている「ダイコンデロガ」

 ちなみに賞金首の攻撃は非常に強く、中には予備モーションが小さく回避しにくいものもある。体当たりや噛みつきのような接近攻撃なら回避しやすいが、砲弾による弾幕のほかに「レーザービートル」のレーザーや「ムカデロン」の尻尾は避けにくく、特に尻尾はそれまで順当にレベルアップしてレアリティの高い防具で増やした体力の3分の1を削るほどの大ダメージと、長く持続する「毒」を与えてくる。装備や相手によってはかなり苦戦することもあるが、賞金首には多額の懸賞金が設定されており、何度倒しても同じ額の懸賞金をもらえるので、上手く倒せるようになると非常に美味しい。序盤では「ロンメルゴースト」が30,000Gと高いうえ、強力な大砲の「ゴーストキャノン」をドロップする可能性があり、比較的戦いやすいため重宝した。

賞金首を倒すと専用の画面に移る。シリーズタイトルの演出を思わせてかっこいい

緊張感と疾走感を感じさせるBGM

 本作では「MM」シリーズのBGMをアレンジしたり、荒野で大量の敵と戦う緊張感や戦闘犬の疾走感を意識した戦闘BGMが多く収録されている。一方で拠点のBGMは初代や「MM2R」の街を思わせるゆったりと安心感のあるBGMが複数あり、戦場と拠点の緩急がついて非常に楽しい。

 ステージには階層があり、階層に入った際にBGMが変更されるのだが、初代をはじめとした戦闘BGM「Battle」のアレンジBGMは、階層に入りたての序盤が平穏なのに対してボスとの戦闘時に「Battle」でおなじみのビートも登場する。最初の賞金首との戦いでこのBGMが流れたとき「やっときたか!」と喜び、討伐時に専用のジングルが流れて感激した。「MM」シリーズのお約束でもあるBGMは愛着もなじみも深く、本作でのアレンジも非常にカッコいいので何度でも聴きたくなるのだ。

【「METAL DOGS」BGM - GAME Watch】
「お尋ね者との戦い」が流れる「ボムポポキング」との戦い。ちょっと長いが見てほしい。中間の悲壮感を感じさせるフレーズもカッコいい

UIには一部課題。”お気に入り機能”も是非欲しい!

 現時点のメニューの操作感は基本的なところは抑えられているものの、快適さという意味で一部課題が残る。まず戦闘時には、「装備」や「道具」を開いてキャンセルするとメニューそのものを閉じて戦闘に戻り、装備を変えて道具を使いたい場合でもわざわざメニューを開き直す必要があるのがひと手間だ。

この画面でキャンセルするとメニューが閉じる

 さらにミッション中で獲得したアイテムをしまう「道具袋」が最大42個で固定されており、増やす手段もなく、さらに武器、防具とアイテムもまとめて収納するので、「回復カプセル」などのHP回復アイテムと状態異常を回復するアイテムと「構成物質変異剤」で最大10枠占領する。「戦場から持ち帰れる戦利品には限度があるというる」点はわかるし、実際にはHP回復2種、状態異常回復をドロップに頼りつつ、「構成物質変異剤」を「倉庫」にしまっておくことで「道具袋」の容量を節約したりもできるのだが、装備や回復アイテムを「道具袋」からのカウントから除外するなど、ここは改善を期待したいところだ。

アイテムもまとめて128種まで収納の「倉庫」。容量を増やす手段が欲しい

 そのほか細かい所ではあるが、アイテム欄の仕様の都合により装備の一覧・比較が少々やりづらかったり、ゲームを再起動すると設定しておいたソート順がリセットされてしまったり、アイテム周りでは移動などにもかなり細かくダイアログが出るのが少々煩わしかったり、アイテムの個数選択が1つずつしかできなかったり……と、プレーヤーの好みにもよるかもしれないが、快適さの面で気になる部分もある。

 また、ゲーム中では「思い出の装備」や「これこそ最強だと思う装備」を大事に取っておきたいこともあるのだが、現状ではロックして売却や廃棄を防ぐ機能がない。実際に筆者は紫レアリティでダメージ抜群、リロードも早い強力なS-Eを見つけたのに、ボタンを押し間違えて売却して泣きそうになったこともある。本作はアイテムハントの要素を多分に含むため、いわゆる”お気に入り”機能のようなものはぜひ実装してほしいところだ。

下までメニューを移動させていくと(画像上)、次のページが1番上から始まる(画像下)。武器の比較時には少々見づらい
「入手昇順」の道具リスト(画像上)と「種別順」のリスト(画像下)。同じカテゴリの武器が並んでいるため、比較が容易だ
このダイアログが様々な場面で出る
「倉庫」に預ける際の個数選択画面。方向キー左右でのみ選択できる

とにかく戦闘が楽しい! 細かな部分はアーリーアクセスでの改善に期待

 本作「METAL DOGS」はシリーズのマスコットである「ポチ」たち戦闘犬をメインに据えたアクションで、ミッション中は勢いにまかせて武器を撃ちまくり「MM」シリーズの敵を薙ぎ倒す快感を得られるゲームとしては非常に楽しめた。特に独特な戦法の多い賞金首との戦いは一撃死の危険もつきまとう点でスリルがあり、どう立ち回ればうまく倒せるかを考えるのが楽しい。終盤にさしかかると1ミッションあたりの階層数が多くゲームが長くなるが、その分たくさん戦えると思うとなかなかよい。

 また、戦闘システムは王道のハクスラゲームをよく研究していると感じた。それに武器の口径が上がるほど純粋に強くなっていくというショップの品揃えは、とにかく口径が大きくて強力な大砲を積んでぶっ放せばいい、という「MM」シリーズの醍醐味を感じさせる。

 本作は「MM」シリーズの世界観をしっかりと踏襲しつつ、ミッションの爽快感を得られるタイトルだ。UIやシステム周りには一部課題も残るものの、2~4か月と発表しているアーリーアクセス期間でさらなる改良を加え、よりより遊びやすく、より戦闘に没頭できる仕上がりとなることを期待したい。