レビュー
「ファルコニア ウォリアー エディション」レビュー
フライトアクションとオープンワールドの融合! 「ウォーバード」を駆り果てなき海域へ
2021年8月5日 00:00
- 【ファルコニア ウォリアー エディション】
- ジャンル:空中戦アクションRPG
- 開発元:Tomas Sala
- 発売元:3goo
- プラットフォーム:PS5/PS4/Nintendo Switch
- 発売日:8月5日
- 価格:
- 4,950円(税込、パッケージ版・プレミアムパック)
- 3,850円(税込、ダウンロード版)
独立系アーティストのTomas Sala氏が開発を手がけたアクションRPG「ファルコニア」が、新たに「ウォリアー エディション」として8月5日に発売となる。
本作は空中戦の兵士「ファルコニア」となったプレーヤーが、巨大な鳥やドラゴンなどに乗って大海原を飛び回るアクションRPG。オリジナル版は2020年11月にXbox One/Xbox/Series X|S/Steamにて発売され、この「ウォリアー エディション」では追加コンテンツ「The Hunter」、「Edge of the World」及び無料アップデートによる追加ミッションなどを同梱し、新たにPS5/PS4/Nintnendo Switchにて発売となる。さらに今回はパッケージ版「プレミアムパック」も発売。こちらには38ページの日本語版公式ゲームガイドと29曲を収録したオフィシャルサウンドトラックのダウンロードコードが付属している。
オリジナルの発売からは少し時間が経過しているが、この「ウォリアー エディション」で対応プラットフォームが増え、プレーヤーの目に止まる機会も多くなるかと思われる。今回はPS4製品版を実際にプレイできたので、その魅力を紹介していきたい。
飛行生物「ウォーバード」を駆り、果てしない海域を飛び回れ!
猛禽類やドラゴンなどの飛行生物「ウォーバード」に乗って空を飛ぶ「ファルコニア(ファルコン使い)」は、かつて使者や守護者という存在であったが、現在はその起源が失われてしまった。プレーヤーはそんなファルコニアの一兵士となって、広大な海域を飛び回っていくこととなる。
本作の舞台となる「アーシー」は人の住む島国が転々と海域で、複数の勢力が派閥新生を繰り広げている。その世界観には神話やファンタジー的な要素が組み込まれ、海を舞台とした壮大なストーリーが展開。ファルコニアであるプレーヤーは、4つに分割されたメインチャプターを進めることでストーリーを体験できるのである。
アーシーはオープンワールドであり、原則として自由に行き来ができるのだが、本作の主人公は地上を移動することはなく、移動は常に飛行によるものとなる。着陸できる場所も島にあるポートのみで、ゲーム中にプレーヤーが乗っている動物から降りることはない。
ウォーバードに乗った主人公の操作はいわゆるフライトアクションのそれであり、上昇、下降、旋回といったアクションを基本としている。攻撃は搭乗している主人公が装備している武器によって行ない、対象をロックオンすることで命中率が上がるというのも、フライトアクション的なポイントだ。つまり本作は“フライトアクションのゲームシステムを主軸に置いて、オープンワールドの世界を飛び回ってミッションを遂行していくRPG”という、この手のゲームとしては異色のゲームデザインが施されている。
プレーヤーが駆るのは飛行する生物。それらしい特性もゲームに反映されている
プレーヤーが乗るのは航空機ではなく生物であり、操作感覚や性質も生物としての特徴を備えている。飛行速度はウォーバードごとに異なるパラメータに則っていて、急激な加速などはできないが、海上や上空には気流があり、それを使うことで一時的にスピードアップすることが可能だ。また戦闘で体力が減ったときは時間経過によって回復するが、水面で跳ねている魚を捕らえて食べることでも回復できるようになっている。またウォーバードには体力とは別に「エネルギー」のゲージがあり、上昇やロールを行うときなどにこれを消費するわけだが、岸壁や敵などにぶつかってもこのエネルギーが減るだけで、墜落したりダメージを受けたりすることはない。このエネルギーも時間経過で回復するが、気流に乗ることでも回復が可能だ。
こうしたゲームデザインゆえ、プレーヤーに課せられるミッションは海上の調査やパトロール、船の護衛、荷物の運搬といったものがあり、これらは拠点や友好勢力の島などで受けられるようになっている。ミッションをクリアすれば資金が手に入り、より強い装備や有効なアイテムを入手でき、レベルも上昇。ミッション遂行中に発見した新たに行ける島を開拓し、そこで新たにサイドミッションを受けたり、買い物ができたりするといった仕組みは、オープンワールドRPGとしてのゲームシステムを踏襲している。
ミッションではもちろん戦闘も発生。敵となるのは同じファルコニアや海賊船、飛行艇など様々で、特に敵ファルコニアとは激しいドッグファイトが繰り広げられる。ウォーバードには武器と弾薬コンテナが装備されていて、攻撃はそれらに依存される。武器の多くはファルコニア本人が装備していて、敵をロックすることで回転砲座のように対象に向けて発射される。戦闘機のホーミングミサイルというわけにはいかないが、ロックすることで射撃の精度は大幅に上がるだろう。ただし威力のある大型武器によってはウォーバードに固定するものもあり、その場合はロックによる射撃精度が低下する。そうした武器は動きが鈍く耐久力の高い敵に有効で、ミッションによって武器を持ち替える戦略もあるだろう。またミッション内容によっては僚機が一緒に戦ってくれたり、見たこともない敵ウォーバードが相手になったりと、シチュエーションは多彩だ。なおミッション進行中の戦闘でやられてしまうと、ミッションが最初からやり直しとなってしまうので注意が必要だ。
主人公とウォーバードは、チャプター選択時に変更が可能だ。そもそも本作は各チャプターで主人公の立場が異なり、そのルックスと性別をいつでも変更できるというわけである。もちろんゲーム進行で獲得した経験や資金、アイテムなどは主人公を変更しても引き継がれる仕組みなのでそこはご安心を。一方ウォーバードはパラメータの異なるいくつかの種類を選ぶことができ、さらにチャプターの進行度合いによって新たな種類が追加されていく。最初に選べる猛禽類のほか、ドラゴンのような姿の種類もいて、ゲームを進めるのが楽しみになるのはもちろん、パラメータによって立ち回りがかなり変わってくるので、ミッション内容によって乗り換えてみるのもありだろう。
広すぎるほどの大海原のオープンワールド。のんびり楽しむ余裕を持ちたい
オープンワールド+フライトアクションという非常に野心的なゲームシステムを備えたこの「ファルコニア」。独自の世界観とグラフィックスも個人的に好みで、大海原を自由に飛び回るのはかなり気持ちがいいが、一般的なオープンワールドのゲームとは異なり、舞台となるアーシーはそのほとんどが海なので、見た目が単調なのはちょっとマイナスなポイントだと感じられた。さらにウォーバードの弾薬は”雷から得る”という独自の設定があることで、海上には雷雲が立ちこめていることも多く、せっかく空を飛んでいるのに眺めがあまりよくないのだ。一応ミッション中の遠距離の直線移動をショートカットする機能なども付いているが、それでも移動が退屈という部分は今一つカバーできていない印象であった。
もちろんこれはゲームプレイに自体支障を来すようなネガティブなものではなく、作り込むには大変な手間のかかるオープンワールドを演出によって上手く表現した仕様だということを理解して挑めば印象も変わるだろう。ミッション自体はたくさん用意されていて、特にメインミッションは変化に富んだシーンが展開するものも多いので、そちらを十分に楽しむといいだろう。
今回発売される「ウォリアー エディション」は、低価格ながら全部入りというお得感のある1本だ。新感覚のオープンワールドアクションをこの機会に味わってみてほしい。
The Falconeer © 2021 Tomas Sala. Published by Wired Productions Ltd and developed by Tomas Sala. The Falconeer and The Falconeer logo are trademarks of Tomas Sala. All rights reserved. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.