レビュー
「バイオハザード ヴィレッジ」レビュー
映像力、演出、ゲーム性、その全てが圧倒的に進化したサバイバルホラー
2021年5月6日 00:00
- 【バイオハザード ヴィレッジ】
- ジャンル:サバイバルホラー
- 発売元:カプコン
- 開発元:カプコン
- プラットフォーム:PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC
- 価格:
- 8,789円(税込、通常版)
- 7,990円(税込、DL版)
- 31,669円(税込、コレクターズエディション)
- 発売日:5月8日
「バイオハザード RE:2」、「バイオハザード RE:3」と、近年の「バイオハザード(以下バイオ)」シリーズはリメイク作品が多かったが、満を持して最新作の「バイオハザード ヴィレッジ(以下バイオ ヴィレッジ)」がプレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PCで5月8日にリリースされる。
先日、本作の試遊をさせていいただいてからというもの、筆者は発売日を指折り数えて待っていた。「GW早く終われ! いや、やっぱり終わるな!」というジレンマに駆られていたところに、プレイステーション 5版「バイオ ヴィレッジ」のレビューという願っても無い話をいただいた。
グラフィックスの極限進化、これまでに無い新たなゲームシステムの導入など、あらゆる面で前作を超える「バイオ ヴィレッジ」の魅力を本編のネタバレ無しでお伝えしておこう。
RPG的な要素も加わった、サバイバルホラーの新境地!
「バイオハザード7 レジデント イービル(以下バイオ7)」で起こったベイカー邸での惨劇から数年が過ぎ、主人公の「イーサン・ウィンターズ」とその妻「ミア」、娘の「ローズ」の3人で平穏な日常を送る場面から物語は始まる。幸せな家庭という“らしくない”スタートだが、そんな微笑ましい時間は当然長くは続かず、すぐに“らしい”方向に物語が進んでいく。
突如、イーサン宅が襲撃を受ける。その実行犯は初代「バイオ」の主人公であり、前作でイーサンたちを救い出した「クリス・レッドフィールド」。躊躇なくミアを射殺し、娘のローズを奪っていくという驚きの展開。英雄ともいえるクリスを知っているだけにかなり衝撃的な幕開けだ。
クリスの動機が何なのかわからないまま、連れ去られたローズを取り戻すためイーサンは辺境の村に足を踏み入れる。そこでは謎に包まれた「マザー・ミランダ」と四貴族たちによる狂気と恐怖が待ち受けている。
ここからはゲーム部分について紹介していこう。一人称視点の「バイオハザード」ということで基本は前作と大きな変化はないだろうと思っていたが、プレイしてみるとこれまでの「バイオ」シリーズにはなかった全く新しいゲーム性が取り入れられていた。
これまでの作品では、広大な建物内を駆け回りながら様々なアイテムを入手して進んでいく、というストーリーを追うことが中心の遊びであったが、本作ではストーリーを進める以外に、集落を拠点として村の中を自由に探索することができるのだ。
村のマップは結構な広さがあり、ストーリーを進めるだけならば1度も立ち寄ることのない場所も多く存在する。そういった場所を探索することで弾薬や回復薬をはじめとした一般的なアイテムの入手、村に隠された宝箱を発見すれば中から強力な武器を手に入れることもできるのだ。
はじめの内は探索できる範囲も狭いが、ストーリーを進めていくことでどんどん行ける場所が広がっていく仕組みもプレイにより熱中させる。お宝を求めて未踏の地を探索するワクワク感は過去作には無い楽しさである。
新たなゲーム性は探索だけではなく、本作では今流行の「狩り」の要素も加わった。村のいたる所で野放しにされているブタや鶏、魚などを狩って食材を手に入れ、食事をとることでイーサンの体力最大値や移動速度が永続的に上昇するなどの能力強化を行なうことができるのだ。
ショップでの武器改造で攻撃面の強化も可能。従来のシリーズにあった武器強化に加えキャラクターの育成要素までも導入され、RPG色の強い新生「バイオ」といった作りになっている。ただし強化に必要な資金や食材の調達は容易ではなく、極めるにはかなりのやり込みが必要になる。
今回筆者は難易度「Standard」でプレイしたが、「バイオ」の醍醐味ともいえるクリーチャーとの戦闘は苛烈を極めるものだった。「ゾンビ」、「マジニ」、「モールデッド」と、これまでのシリーズに登場したクリーチャーは雑魚敵であっても一筋縄ではいかない手強さであったが、「バイオ ヴィレッジ」に登場する「ライカン」はそれらを遥かに超える難敵だ。
正体が謎に包まれているライカンはタフさと俊敏な運動性、そして圧倒的な火力を兼ね備えている。普通に戦っていては弾薬と回復薬がいくらあっても足りず、次第にアイテムが枯渇して立ち行かなくなってしまう。
従来の「バイオ」シリーズでは雑魚敵との戦闘は極力避けてアイテム温存のプレイスタイルが基本であったが本作ではそうはいかない。敵を倒すと武器強化や買い物に必要なお金を落とすため、敵をガン無視できないのも難しいところなのだ。
クリーチャーとの戦いで生き抜くには、状況に応じて「地形」、「武器」、「オブジェクト」の有効活用が必要不可欠で、まず自分の命を守るならば安全な立ち回りを心掛けるのが重要。高低差がある地形ならば自分が上を取り、向かって来るところを蜂の巣にするのが安全策だ。
まとめて大量の敵が襲い掛かって来る場面も多く、1体1体相手をしていては囲まれて窮地に追い込まれてしまう。そういった場面ではショットガンや地雷などの広範囲の武器でまとめて蹴散らしていくのが攻略のカギになる。
過去作以上にオブジェクトが数多く用意されているのも本作のポイント。いたる所に設置されている火薬樽を撃てば、大爆発を起こして広範囲に大ダメージを与えられて爽快だ。敵を一網打尽にできるのに加え弾薬の大幅な節約にもなるのでオブジェクトがあったらガンガン使うのが吉。
雑魚戦であっても一瞬たりとも気の抜けない緊張感。どんな難所であってもリトライを重ねればいずれは活路が見出せる絶妙な難易度は、まさに“死に物狂いのサバイバルホラー”という謳い文句に違わぬ至高のゲームバランスである。
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