PCゲーミングデバイスレビュー
Razer Orbweaver
まずはカスタマイズ。幅広いジャンルのゲームに活躍の場が広がる
(2013/3/6 12:00)
まずはカスタマイズ。幅広いジャンルのゲームに活躍の場が広がる
左手デバイスをきちんと使いこなすためにはゲーム毎にボタン割り当てを変更する必要があるため、対応ソフトウェアの出来はとても重要だ。
その点、本製品ではRazer製デバイス共通の管理ソフトウェアである「Razer Synapse 2.0」を利用でき、ゲーミングマウスなどと同じようにボタン機能を自由にカスタマイズすることができる。
デフォルトのキーマップでは、縦にフルキーボードの[半角/全角]~[SHIFT]、[4]~[V]までの矩形がすっぽり収まる形でキーボード機能が配置されている。このままでは、例えば[5]、[T]、[G]、[B]の列を使うゲーム(わりと多い)に対応できないので、ちょっとした工夫が必要だ。
例えば、サムボタンに「キーマップの切り替え」機能を割り当てて、ボタンコンビネーションで機能を再現することができる。本製品には8つのキーマップが保存できるので、2つのキーマップを1つのゲームで使うようにすれば、ほぼすべてのゲームに対応可能だ。
ただし、キーマップの切り替えは若干の時間がかかるらしく、瞬時に押すと切り替え前のボタン機能が発動してしまうケースがある。遅延は体感で0.5秒くらいだろうが、充分に誤操作の元となってしまうので、素早くアクセスしなければならない機能は、あらかじめ1つのキーマップ内にまとめておくほうが賢明だろう。このあたりはファームウェアのアップデートで改善が可能なら、早期に対応して欲しいところだ。
さて、実際に遊んでみて相性が良いのは、例えば「DotA」系のゲームである。筆者の場合は最近「League of Legend(LoL)」をプレイしているので、さっそく本製品を試してみた。
「LoL」は、「Diablo」のキャラ操作に約30分で完結するキャラビルドと「Warcraft」みたいなRTS要素を混ぜたゲームだ。実際に使うキーは[Q]、[W]、[E]、[R]のメインスキル、[D]、[F]のサマナースペル、[1]~[6]までのアイテム機能、[B]のリコール機能である。本製品のデフォルト設定でほぼ全部カバーできるわけだ。
「LoL」では[Q]、[W]、[E]、[R]に4本の指を乗せるのが基本ポジションとなるため、本製品に自然に指を乗せるだけでスムーズな操作ができる。アイテム[5]、[6]にはそのままでアクセスできないが、そもそもアクティブスキルの乗るアイテムは1つか2つなのであまり問題にならない。少なくともアイテムスキルを使えるだけでも、前モデルに比べて根本的に実用性が高まっている。
より問題になるのはリコールの[B]キー。デフォルトでは[B]ボタンがなく基地に戻れないので、これだけはサムボタンに割り当てておく。ついでに[D]、[F]のサマナースペルを8方向サムスティックの上下に割り当てて、通常スキルを乱れ打ちしながらでも即座にIgniteなどのトドメ用スキルを出せるようにすると便利だ。
他にも「シムシティ」のようなシミュレーションゲームであれば、サムパッドをスクロールに使い、メインボタン群に各種ホットキーを割り振ることで効率的なプレイが可能になるはずだ。
例えばキーボードでのプレイでは、[WSAD]で画面を動かしながら道路を敷いている最中、直線補正を効かせるために[SHIFT]を同時押しするとホットキーが誤爆して水道ツール[SHIT+W]がアクティブになってしまうという、面倒臭いことが起きる。本製品を使えばそんなもどかしい思いはせずに済みそうだ。
ボタン数が増えたことで大抵のFPSにも対応可能だ。キーボードの[5]~[B]より右側にある列のボタンを使うタイトルについては、サムスティックやキーマップ切り替え機能で補える。よりシンプルな操作のゲームなら、数字キー[1]~[4]がデフォルトでマッピングされているおかげで、何も設定せずに完全なプレイができる。
ゲーム以外でのアプリケーションで使用する場合は、ホットキーのコンビネーションや一連の操作をマクロ登録することで幅広い状況に対応可能だ。ボタンが増えたおかげで前モデルでは組み込みきれなかった機能もカバーできるに違いない。
以上のように本製品「Orbweaver」は、前モデルに比べて格段に実用性と応用範囲が向上したように思える。デフォルト設定でフルに遊べるゲームも珍しくないほどになっているので、これまで左手デバイスの導入に二の足を踏んでいた方でも、ちょっと考えてみる価値があるかもしれない。前モデルの重いサムパッドのように“使えそうで実は使いにくい”ような部分が、本製品でのスイッチ機構刷新で根絶されたことも大きい。
問題は、14,400円という価格に納得できるかどうかだ。こればかりは自身で確かめてみるしかないが、もし本製品を応用する明確なアイディアがあるのなら、その考えはおおむね実現するに違いない。