(2012/12/21 00:00)
12月14日、クラストはゲーミングマウスの新製品3モデル「DHARMA Tactical Mouse ブラック DRTCM37BK」、「DHARMA Tactical Mouse ブラック DRTCM38BK」、「Dharma Tactical Mouse ミッドナイトブルー DRTCM38BL」の発売を開始した。
現時点では唯一の国産PCゲーミングデバイス専門ブランドであるダーマポイント。20011年夏にシグマA・P・Oシステム販売から株式会社クラストへ事業譲渡が行なわれてからおよそ1年半が経過し、満を持してのゲーミングマウス新モデルのデビューとなる。
今回発売された3モデルのうち、「DRTCM37BK」が赤外線センサーを採用したモデル、「DRTCM38」がつく2モデルがレーザーセンサーを採用したモデルとなっている。形状はいずれもほぼ共通。赤外線モデルのみセンサー位置が異なっている。
以前のフラッグシップモデルであった「DRTCM03/15」からの変更点は、形状の完全変更、チルトボタンの廃止、ZIPPY製スイッチの採用など、主要な部分に絞っても共通性はほぼなく、完全新作と見ていい。
開発にあたっては、国内のFPS、RTSシーンで活躍してきたトップレベルのゲーマーを中心に幅広くフィードバックを集め、実戦に即した形状、仕様の策定が行なわれたとされる(関連記事)。ダーマポイントではこのような取り組みをシグマA・P・O時代から続けているが、開発の初期段階から全面的にゲーマーの意見を集約したモデルは初。もちろん、国内のマウス製品に全般においても初の試みだ。
各モデル7,980円とやや値が張るが、国内ゲーマーの好みに合わせて作られたマウスであるだけに特別な感触があるのではないかとの期待が高まる。本稿では実際に使用してみた感覚を交えつつ、本製品のご紹介をしていこう。
形状は「IE 3.0」ライク? 多岐にわたるフィードバックの成果は“即戦力”
まずは、赤外線方式の「DRTCM37」、レーザー方式の「DRTCM38」の双方に共通するスペックからチェックしてみよう。
ユーザーサイドの機能割り当てが可能なボタン数は、メイン2ボタン、ホイール、サイド2ボタン、CPIチェンジボタンで計6ボタン。背面にモード切り替えボタンがあるが、こちらには別の機能を割り当てることはできない。CPIチェンジをそのまま使うことを考えれば、標準的な5ボタンマウスのレイアウトだ。
形状はユーザーフィードバックが強く反映された部分で、往年の名機「Microsoft Intelimouse Explorer 3.0(IE3.0)」を彷彿とさせるなめらかなフォルム。外形寸法は68×124×39mm(幅×奥行き×高さ)と、海外製マウスに比べてやや小ぶりで、本体重量も約110gと比較的軽量だ。
実際に握ってみた印象も「IE3.0」に近いが、右側面の薬指があたる面に沿ってややへこんだカーブが設けられていることで、より引き締まった印象。強く、がっしりとマウスに力を伝えることができる。つまみ持ち、かぶせ持ちの双方に対応でき、それらの瞬間的な移行もスムーズに行なえる。
これに加えて、「DRTCM38BK/BL」の側面は特殊な表面加工でざらつきを加えたハードプラスチック(サンドグリップ)、「DRTCM37」の側面はラバーコーティングとなっており、指先に食いつくようなグリップ感が得られる。全般的に、PCゲーマーが長年捨てられずにいた「IE3.0」の良さを積極的に取り入れつつ、弱点を補ったような設計だ。握ったその瞬間から違和感なく、即座に実戦投入が可能である。
次に気になるのが左右メインボタンのスイッチだ。今回のモデルではダーマポイント製品で始めてZIPPY製スイッチを採用。従来のオムロン製スイッチに比べてクリック感は少々柔く薄めだが、クリックが発生する深さから完全に押し込まれる深さまでの距離が短く、結果的にクリック後の“戻り”が鋭さを増している印象だ。
また、従来のフラグシップモデルだった「DRTCM02/03」ではシャーシ一体成型ボタン構造を採用していたが、今回のモデルではセパレート化し、おおむねどこを押しても一定の圧でクリックできるようになっている。これにより、手の大きさや、持ち方のスタイルによってパフォーマンスが変化してしまう可能性が抑えられている。
サイドボタンは従来シリーズに比べてやや高めの位置に配置された。普通にマウスをホールドする限り、意識して親指を上にスライドさせなければ押せない位置だ。それと同時に明確に盛り上がった形状となっていることで意識すれば確実に押せるという構造でもある。ボタン抵抗はかなり低く、表面を撫でるだけで入力を果たすことができる。
これらに加え、CPI切り替え機能が2段階化されたことが従来シリーズからの大きな変更だ。従来シリーズは4段階のCPI切り替え機能を持ち、ホイール下部の切り替えボタンがCPI-UP、CPI-DOWNの2入力を持っていたが、本モデルでは単純に1ボタンでの2CPIトグルとなり、より素早いアクセスが意識されている。
例えばFPS系ゲームでシチュエーションの違いに応じて素早くCPIを切り替えたい場合は、2モードしかない本製品のほうが確実性が高く有利だ。その反面、多くのゲームを並行してプレイする際などに、おおむね快適なCPIをたくさんの選択肢の中から選んで使用するような場合は従来モデルのほうがよい。
その面では、本モデルは競技性の高いゲームにおいて、あらかじめ最適なCPIを割り出した上でのプレイを前提とした“ガチ度”の高いゲームシーンに最適化されたものだと見ることができる。
従来モデルのように、2,400/1,600/1,200/800CPIと汎用性の高いCPI選択肢を用意しておいて、ゲームに応じて“だいたいこれくらい”を適当にスイッチしてプレイする使い方は本モデルでは想定されていない。人によっては、ここに不便さを感じるかもしれない。