「BenQ EX2780Q」レビュー
BenQ EX2780Q
コンソールゲームにこそ活きる! 驚きの音響と映像を実現したWQHDゲーミングモニター
- ジャンル:
- ゲーミングモニター
- 発売元:
- BenQ
- 開発元:
- BenQ
- プラットフォーム:
- Windows PC
- 価格:
- 55,000円前後(税込、想定売価)
- 発売日:
- 2019年11月22日
2019年12月16日 12:00
PCゲーマーにとっては日常的に使っているであろうゲーミングモニターだが、コンソールゲームをメインで遊んでいるユーザーにとってはそれほど馴染み深いアイテムではないだろう。“コンソールゲームはTVで遊ぶもの”という考え方は未だに根強いし、かくいう筆者もバリバリのコンソールゲーマーなので、旧型のフルHDTVでずっとプレイしており、ゲーミングモニターとはあまり縁がなかったりする。
そうした中、まさにコンソールゲーム向きのIPSゲーミングモニターが登場した。BenQより11月22日に発売された「EX2780Q」。このモニターの特徴は、フルHDを上回るWQHD(2,560×1,440ドット)の解像度を備えた27インチのIPSパネル、ハイスピードなゲームでも画面のチラつきがない144Hzリフレッシュレート。そして、BenQ最先端の内蔵2.1チャンネルのスピーカー&サブウーファーによる臨場感のあるサウンドなど。
IPSパネルは、DisplayHDR 400(最大輝度値400ニト)に対応し、sRGB色空間カバー率100%、DCI-P3色空間カバー率95%、色深度は10-bitを実現し、美しい映像が魅力となっている。
本稿では、本製品にもっとも適したPS4とNintendo Switchのタイトルを使って、圧倒的映像とサウンドでゲームプレイの没入感を体感し、その凄さをお伝えしよう。
ゲームの迫力を存分に味わえる27インチの大型モニター
BenQ「EX2780Q」スペック | |
---|---|
画面サイズ | 27型ワイド |
アスペクト比 | 16:9 |
パネル/バックライト | IPS / LED |
解像度 | 2560x1440 |
画素密度 | 109ppi |
視野角(左右/上下) (CR>=10) | 178/178 |
表示色 | 約10億7000万色 |
表示サイズ | 596.7 x 335.7mm |
輝度 | 350cd / m2(HDR再生時は最大400cd / m2) |
応答速度 | 5ms (GtG) |
コントラスト比 | 1000:1 |
DCR(Dynamic Contrast Ratio) | 20,000,000 : 1 |
リフレッシュレート | 144Hz |
入出力端子 | HDMI (v2.0)x2 / Display Port /USB Type-C |
ヘッドフォンジャック | ○ |
リモコン付き | |
HDR10対応 | |
スピーカー | 2Wx2 + 5W |
発売時期 | 2019年11月22日 |
実勢価格(税別) | 55,000円前後 |
早速「EX2780Q」のスペックを見ていこう。大きいけれども大き過ぎない27インチのモニターは、デスクなどにも無理なく置けるサイズ感。過去に31.5インチのモニターを扱ったこともあるが、31.5インチは個人で使うには少々圧迫感があるが、27インチはまさに大きすぎず小さすぎず“丁度良い”。
本製品はオーソドックスな平面モニターで、画面は光沢の無いノングレアタイプの液晶。光の反射を最小限に抑えており、目の疲労を軽減させて長時間のゲームプレイが快適な作りになっている。縁取りも細く液晶部分を最大限まで広げたスリムベゼルなのも特徴だ。
コンソールゲーマーにとって重要な要素であるHDMI端子だが、「EX2780Q」にはHDMI端子が2つ備わっている。欲を言えばいくらでも欲しいところだが、メインマシンであるPS4とNintendo Switchが同時に接続できるのでそこまでの不自由はない。
それから細かいところだが、「EX2780Q」は、ノートPCをはじめデジタルガジェットをたくさん活用している人にはありがたい、USB Type-Cにも対応している。ノートパソコンとUSBケーブル(Type-C)でモニターに繋げば、Type-C対応デバイスをモニターに出力して楽しむことができる。
さらに、スマートフォンやタブレット、Nintendo Switchなど、さまざまな機器で接続を試してみたが、モニターから電源が供給されて充電することもできた。USB Type-Cのガジェットすべてが対応している訳ではないが、個人的にはこれはかなり便利である。
モニターを支える台座だが、細身ではあるものの鉄の材質を使っておりズッシリと重く安定感がある。台座の高さ調節はできないが角度を変えることは可能。ティルト角度は-5度から15度まで動かせるので目線の高さに合わせて調整することができる。
電源ボタンや環境設定を行なうボタンはモニターの背面に配置されている。設定の項目は、画像モードの変更や音量の調節、さらにはブルーライトの軽減など様々。これまでこういった設定変更を行なうには、モニター裏に手を回して手探りでボタン操作をしなければいけなかったが、本製品にはリモコンが付属されており、設定する際の操作が楽々で実に快適だ。「EX2780Q」では、手探り操作で決定ボタンと戻るボタンを押し間違えるというイライラとは無縁である。
モニター中央下にはセンサーが付いている。周囲の明るさや色温度を感知して、環境に合わせて最適な明るさに画面を自動調整してくれる機能「B.I+(ブライトネスインテリジェンスプラス)」だ。このBenQのゲーミングモニターお馴染みの機能でどれだけの変化があるのか、後述のゲームプレイで試していきたいと思う。
そして「EX2780Q」の目玉ともいえる2.1 チャンネルスピーカーは画面下、サブウーファーはモニター背面上部に搭載されている。ゲームサウンド好きの筆者としては、はたしてどこまで臨場感のあるサウンドになるのか気になる部分である。
2019年話題のタイトルで「EX2780Q」の映像力とサウンドパワーを検証
ここからは「EX2780Q」の売りである映像とサウンドを、実際にゲームをプレイして確かめたいと思う。検証に使用するソフトは、2019年のゲーム業界で話題となった3タイトル。
PS4「ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~」で映像美を検証
映像力を見ていくゲームタイトルはPS4の「ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~」。錬金術をテーマにしたアトリエシリーズの最新作。緑の自然や青い空、色鮮やかな映像美が特徴の作品である。
本作は、映像面では主人公「ライザ」の“ムチムチの太もも”も話題になった。そんな「ライザのアトリエ」の映像力をゲーミングモニターと、筆者が普段使っているTVとでどこまで見え方が変化するのか確かめていく。
筆者の使っているTVは26インチで、「EX2780Q」とほぼ変わらないサイズ感。液晶は黒などの暗部の表現に強いVAパネル。発色に関してはIPSパネルに劣るので、「EX2780Q」のほうがあからさまに綺麗だ。
まずは普段使いのTVでプレイし、画面写真をカメラで直撮りしてみる。撮れた写真は全体的に薄暗く、発色の悪さとノイズも気になった。肉眼ではさほど感じなかったが、改めて写真で見てみるとハッキリ違いがわかる。
その違いはタイトル画面からその違いは一目瞭然。TVでは薄暗かった空や草木が、まるで別物のような鮮やかさ。影の表現も強化され、深みもアップしている。そして極めつけはノイズが無いクッキリとした映像。この映像力こそ、「ライザのアトリエ」の世界を堪能するにふさわしい環境だ。
周囲の明るさに合わせて、画面の明るさを自動調節してくれるB.I+機能も試していこう。明るい状態から部屋の照明を落として画面を注視してみるが、正直に言うと見ている限りでは変化が全く分からなかった。しかし、明るい状態と暗い状態とで撮った写真を見比べてみると明確に違いがあった。照明を落として暗くした状態では、目の負担を軽減させるために画面の光度が抑えられていた。なぜこんなにも大きな変化に気づかなかったというと、光度の調整は瞬時にパッと切り替わるのではなく、ゲーム中でも違和感を感じさせずジワジワゆっくり調整されていくのだ。ゲームプレイ時の没入感を損なわせないための配慮が素晴らしい。
「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S」で迫力のサウンドをチェック!
映像力の凄さを体感した次は、自慢の2.1chスピーカーによるサウンドを味わっていきたいと思う。検証にはNintendo Switchの「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S(以下ドラクエXI S)」を使用。何故このタイトルをチョイスしたかというと、Switch版では従来のシンセサイザー音源の他に、迫力のオーケストラ音源が収録されているのだ。重厚な音響を楽しむのにこれほど最適なタイトルはない。
PS4版しかプレイしたことがなかった身としては、何の環境も整っていない普通のTVでプレイしてもオーケストラ音源のカッコ良さに感動した。しかしそんな感動も「EX2780Q」の迫力のサウンドの前では一瞬で吹き飛んでしまった。
2.1 チャンネルスピーカーから流れる金管楽器のクリアな高音、サブウーファーによる打楽器の重低音の力強さは鳥肌もの。奥行きと広がりのあるサウンドがゲームの世界に一気に引き込んでくる。特にワールドマップや戦闘のBGMは、壮大な冒険のワクワク感を音で感じさせてくれる。
衝撃だったのはオーケストラサウンドだけではない。攻撃のSE音の重さや、水辺を歩いた際の音までも鮮明に聴こえ、リアルな臨場感を味わうことができる。映像と違って音の感動は直接的にお伝えできないのがもどかしいが、「ドラクエXI S」を持っているユーザーには是非一度この環境でプレイしてもらいたい。ゲームサウンドの常識が変わるハズだ。
「DEATH STRANDING」でHDR表現をチェック
最後は、PS4 Proを使っての高画質HDR映像を見ていきたいと思う。ここで使用するHDR対応ソフトは、世界が注目した2019年最大のAAAタイトルの「DEATH STRANDING(デスストランディング)」。ゲームデザインのみならず、映像力も世界最高レベルと言っても過言ではない。普通のTVでプレイしても文句無しの「DEATH STRANDING」を、高画質映像を表示させるHDR機能オンと、HDRオフとではどれだけ違いが出るのかを確認したいと思う。
「DEATH STRANDING」の荒廃した世界を映し出したオープニングムービー。HDRがオフの状態でも文句無しの美麗映像なのだが、HDRをオンにすると、まさに“映像力の限界突破”ともいえるグラフィックスの向上が見て取れた。HDRをオンの方が色見や影の濃さが格段に強調されている。
ムービーよりもゲーム本編の映像の方が違いが顕著に出ていた。HDRオフでは霧がかかったような空も、オンの方では青い空が広がっている。遠くに見える山脈の地形までもハッキリクッキリ細かく表示されている。川辺でのシーンでも全体的に色の明暗の強弱が出ており、川の澄み具合や、岩の陰影などがとてもリアルに描写されている。HDR機能1つでここまでの差が出ることに驚かされた。
映像が格段に向上するHDR機能が備わっているゲーミングモニターでも、物によってはさほど大きな効果が得られないものもあったりする。そんな中、BenQはHDRにかなり注力しており、既存のHDR効果をさらに強化する「HDRi」という驚きの機能がこの「EX2780Q」には備わっている。
HDRiは「シネマHDRi」、「ゲームHDRi」の2つのモードが用意されている。用途に合わせてモードを切り替えることで、明るさや色の彩度と色合いを最適化し、最高の環境で映像が楽しめるのだそうだ。通常のHDRとHDRi、それぞれ映像がどのように変化するのか、こちらも「DEATH STRANDING」で見ていこう。
通常のHDRももちろん映像は綺麗なのだが、3つの中で見比べると一番色見が弱かった。シネマHDRiとゲームHDRiは色見がビシッと締まり、かなりクリアな映像になっている。シネマHDRiとゲームHDRiとでは見え方にそこまで大きな差は無いが、筆者の感覚的にはゲームHDRiがもっとも「DEATH STRANDING」の持つ映像力を引き出しているように思えた。ほんの少し前まで感動していた、HDRの映像が霞んで見えてしまうほどHDRiの効果は絶大。最高の没入感を味わうことができた。
HDR対応タイトルでもゲームによっては変化が乏しいものあるが、「DEATH STRANDING」はゲーム自体が良質なHDRタイトルになっていて、かなりの映像力の違いを実感することができた。筆者は本作をすでに自分のSDRモニターでクリア済みだが、どうせ遊ぶならこの最高の環境でプレイしたかった。
コンソールゲーマーこそ満足できる多機能ゲーミングモニター
今回、3つのタイトルを使用して「EX2780Q」の映像力とサウンドパワーを堪能したが、やはりコンソールゲームに特化したゲーミングモニターだけあって、普段プレイしてる環境よりもゲームへの没入感と興奮が段違いであった。
検証したタイトルは反応速度が要求されるようなゲームは無かったが、応答速度も5msと早く、格闘ゲームやFPSなどのジャンルでもストレスなく遊ぶことができるだろう。
本モニターの価格は約55,000円と、値段だけを見ると決して安いとは言い難いが、この1台があれば映像とサウンドのどちらも高品質で楽しめるので満足感は高い。今のゲームライフをワンランク上に引き上げる、コンソールゲーマーにおススメのゲーミングモニターだ。
提供:ベンキュージャパン株式会社