最新バージョンを先行プレイ!「グランブルーファンタジー ヴァーサス」レビュー

グランブルーファンタジー ヴァーサス

原作ファン納得のド派手な演出と、格ゲーファンが熱くなれる奥深いゲーム性が融合!!

ジャンル:
  • 格闘
発売元:
  • Cygames
開発元:
  • ARC SYSTEM WORKS
プラットフォーム:
  • PS4
価格:
6,980円(税別)~
発売日:
2020年2月6日

 原作ファンと格闘ゲームファンから大きな注目を集めている、完全新規のPS4用対戦アクションRPG「グランブルーファンタジー ヴァーサス(以下、「GBVS」)」が、Cygamesより2020年2月6日に発売予定だ。本作は、人気スマホRPG「グランブルーファンタジー(以下「グラブル」)」を題材とした作品で、「ギルティギア」、「ブレイブルー」などの人気格闘ゲームを生み出してきたアークシステムワークスが開発を手掛けている。

 今年の5月末には本作のクローズドβテストが行なわれ、ガチの格闘ゲームファンから普段格闘ゲームをプレイしていないユーザーまで、幅広い層のプレーヤーで盛り上がりを見せていた。βテストから約半年、鋭意開発中である「GBVS」の最新バージョンを弊誌では特別にプレイさせていただくことができた。本稿では「GBVS」のゲーム性や特徴、βテストでは使用できなかった新キャラクターを中心に、プレイ感など本作の魅力をお伝えしよう。

簡単操作で繰り出せる必殺技&演出は必見

 原作がRPGということもあり、本作を注目しているユーザーの中には格闘ゲームを経験したことのない人も少なくはないだろう。そういった未経験者からするとどうしても格闘ゲームというジャンルは敷居が高いというイメージがあると思う。実際に従来の格闘ゲームは、複雑な必殺技コマンドやコンボルートなどを覚えて初めてスタート位置に立てるといったものも多く、他のジャンルのゲームよりも入口の敷居が高いことは事実である。

 今のはあくまで従来の格闘ゲームの話で、「GBVS」は格闘ゲームの敷居の高さを見事に緩和させている。一番大きな部分は、1ボタンと方向キーの組み合わせのみでさまざまなアビリティ(必殺技)を簡単に発動できるというシステム。これにより、必殺技コマンドを覚えずとも強力なアビリティを使ってガンガン戦うことができるのだ。

 そして、通常攻撃は弱、中、強の3種類あり、1ボタンの連打で攻撃を連続で繰り出すことができる。1ボタンの連続攻撃からアビリティに繋げれば、複雑なコマンドいらずで爽快かつ強力なコンボを決められるのだ。基本となる連打攻撃とアビリティの組み合わせを覚えてしまえば、それだけで問題なく対戦することができる。初心者に優しいシステムとなっている。

簡単操作のコンボだが、強力なので十分主力になる

 本作は全体的に簡単に遊べるゲーム性となっているが、決して底が浅い訳ではなく、格ゲーマーも納得の奥深さがある。先にも触れたアビリティだが、1ボタンで発動する他に、従来の格闘ゲームでお馴染みの技コマンド(テクニカル入力)で発動することもできる。アビリティは原作「グラブル」のシステムを踏襲しており、1度使うとクールタイムが発生し、再使用するまでに少し時間が必要となるのだが、テクニカル入力でアビリティを発動すると、クールタイムの時間が短くなるという利点がある。

 近年の格闘ゲームはハイスピードなコンボゲーが主流だが、「GBVS」読み合いや立ち回りを重視したゲームとなっている。投げやオーバーヘッドアタック(中段攻撃)なども全キャラクター共通で備わっており、いかにして相手の守りを崩していくかという奥深い対戦の駆け引きが楽しめる。操作面で敷居は低くしているが格ゲーとしての面白さは健在だ。

〇ボタンでアビリティを発動すると、通常よりも強化された技が出せる。クールタイムも通常より長いので使いどころが重要となる
駆け引きを熱くする、投げや中段攻撃もしっかりあり。簡単操作ながら本格的な格闘ゲームとなっている

 Cygamesのスタッフに本作の注目ポイントを伺うと、「格闘ゲームとしての面白さはもちろん、こだわりの演出部分を見てもらいたい」という。

 イチオシされた演出部分に注目してプレイしてみたが、キャラクター同士の掛け合いのパターンがとにかく膨大。従来の格闘ゲームでは、戦闘前のキャラクター登場演出は、特定のキャラクター同士の組み合わせ以外では汎用セリフが使われるのが一般的だが、「GBVS」ではキャラクターの組み合わせごとに全て固有の会話パターンが用意されている。さらに1P側と2P側とでセリフパターンが異なるという力の入れ方には驚きだ。原作では見られないキャラクター同士の絡みも本作では実現しているので、グラブルファンは必見だ。

ここまでキャラクター同士の掛け合いがある格ゲーは見たことがない

 戦闘前の演出だけではなく、最強の必殺技である「解放奥義」も、アークシステムワークスが得意とするド派手なカットイン演出が用意されている。さらに、解放奥義でとどめを刺すと勝利演出も特殊なものに変化するという、演出へのこだわりっぷりを目の当たりにした。

グランの解放奥義は、プロトバハムートを召喚
ファスティバの解放奥義がヒットすると、どこからともなくレフェリーが登場
ゼタは解放奥義でとどめを刺すと、結っていた髪がほどける。細かすぎる演出だ

 βテストの頃からさまざまな変更点も目に付いた。今回試遊した最新バージョンでは、以前とは比べ物にならないくらいステージのグラフィックスが向上していたのだ。

 そして、操作の面でも変化があり、解放奥義のコマンドがβテストの時よりもさらに簡略化されていた。βテストのアンケートでコマンドが難しいという声が結構あったので、反映したのだという。初心者の声をしっかり受け止めて改善する姿勢は、全てのユーザーに楽しんでもらいたいという制作側の本気が伺えた。

βテスト版。これだけ見ると背景のグラフィックスは悪くない
こちらが最新版。同じステージとは思えないほどの映像が良くなっている

新たに追加された6人のキャラクターを紹介

 βテストで使用できたのは「グラン」、「カタリナ」、「シャルロッテ」、「ランスロット」、「フェリ」の5名であったが、今回の最新バージョンでは「パーシヴァル」、「メーテラ」、「ファスティバ」、「ゼタ」、「バザラガ」、「ローアイン」の6名が追加され、製品版同様の全11キャラクターが使用可能となっていた。ここでは、今回初めて触れることができた6キャラクターの特徴や操作感を伝えていこう。

 はじめに紹介するのは、「炎帝」の異名を持つ「パーシヴァル」。新キャラの中では1番オーソドックスな性能。中距離射程の飛び道具「アン・ツュンデン」に、対空無敵技の「プラッツェン」、前進する移動技の「王者の行進」からは派生で様々な突進技を繰り出すこともできる。主人公並みの王道な必殺技が揃っている。

 自己強化技の「トロイメライ」を使いこなすのが、パーシヴァルを使う上での重要なポイントになる。トロイメライを発動すると強化アイコンが溜まり、最大5個まで溜めることができる。アビリティを使用するとアイコンが1個消費するが、ダメージアップやバウンドを誘発させるなどアビリティの性能が格段に強化されるのだ。強化アイコンを常に蓄えておけば、相手を圧倒できるだろう。

 基本的にはスタンダードなキャラクターでとても使いやすく、どんなキャラが相手でも不利なく戦うことができるのも強みだ。トロイメライの自己強化がアクセントとなり、他のキャラクターにはない面白さが味わえる。

パーシヴァル
通常は画面の半分くらいまでしか飛ばないアン・ツュンデンだが、〇ボタンの強化版は端まで届く
空中からの攻めには、プラッツェンで迎撃できる
派生の突進技は、ボタンによって下段や上段など技が変化する
ボタンによってトロイメライで溜まるアイコンの量は変化する。□なら1つ、△なら3つ、〇なら1回で5個アイコンを溜めることができる
トロイメライ後のアビリティはかなり強力なので、常にアイコンを溜めるのを意識したい

「魔導弓」の使い手である「メーテラ」は、遠距離戦に特化したキャラクター。主力となるアビリティは、弓矢を放つ飛び道具「綺羅星」。上段と下段で撃ち分けが可能で、さらに空中でも撃つことができる。上空に矢を放ち、無数の矢が降り注ぐ「隼落とし」も強力。そして、設置技の「エーテリアルシール」の性能もなかなかに面白い。蝶を召喚し、飛んでいる蝶を矢で射貫くと攻撃判定が発生する。設置技をバラ撒いて戦えば、相手の行動の自由を制限することができる。

 メーテラの基本の立ち回りは、いかに相手と距離を取り、自分の有利な距離を維持して戦うかがカギになる。遠距離で攻撃のターンを握ってしまえば、相手を寄せ付けずに一方的に叩くことができる。逆に、相手に押し込まれるてしまうとメーテラは切り返しの手段があまりないのでかなり厳しい状況になってしまうから注意だ。動かしていて面白いキャラクターだが、少々テクニカルなので使いこなすには少し慣れが必要だろう。

メーテラ
飛び道具の綺羅星は弾速が速く、端から端まで届く高性能なアビリティ
矢の雨を降らせる隼落としは、撒いておくと有効だ
蝶を射貫くと発生する攻撃範囲は縦に長いので、空中の相手も落とせる
解放奥義は無敵技の飛び道具。遠距離から強力な技を叩き込むことができる

 オネェ口調のデュエリスト「ファスティバ」も良い味を出していく。格闘ゲームには欠かせない投げ技を得意とするキャラクターである。主力技である「スクリュー・ジュエルバスター」は高火力かつガード不能の強力な投げ技。相手を掴める間合いも広いので使い勝手も良い。他にも空中投げや、対空投げなど種類も豊富で、状況に応じて投げ技を使い分けることができる。投げ技以外にも打撃技の「愛のヘッドバット」や、突進技の「漢女のラリアット」なども取り揃えている。

 ファスティバを使うなら、とにもかくにも投げ技を決めないことには始まらない。相手に近づきさえしてしまえば高火力の投げで一気に畳みかけることができる。接近戦が強い反面、フェリやメーテラのような遠距離キャラとは相性が悪く、近づくまでに苦戦を強いられる。上級者向けのキャラクターだが、力でねじ伏せるパワフルさはロマンがある。

ファスティバ
テクニカル入力では一回転コマンドのスクリュー・ジュエルバスターだが、これも1ボタンで簡単に出せる
リーチは短いが、相手にガードされても有利が取れる。タイミングが難しいが相手の飛び道具を消すこともできる
しゃがんだ相手には当たらないという欠点があるが、ガードされてもガードクラッシュを誘発し、有利を取れるのだ

「アルベスの槍」の契約者である「ゼタ」は中距離タイプのキャラクター。飛び道具の「インフィニット・ワンダーズ」は非常に発生が早いうえに、相手の飛び道具を貫通する性能を持っており、飛び道具の打ち合いでは一方的に勝つことができる。突進技の「アルベスの槍」は一直線に突進するものと、上へ飛ぶ対空技、空から急降下する3タイプがあり、これらを状況に応じて使い分けるだけでかなり強い。敵の攻撃を受け止めるガード技もあり、切り返しの性能も高い。

 パーシヴァル同様にゼタも、どのキャラクターが相手でも持ち前の強さを発揮できる。飛び道具の性能が全キャラ中トップクラスの強さで、遠距離ではインフィニット・ワンダーズを連発しているだけで相手を揺さぶることができる。押し込まれたときも、ガード技の「ラプソディー」で相手の攻撃を受け止め、そこから派生技で攻めに転じることができ、どんな状況でも活路を見いだせるポテンシャルを持っている。シンプルな操作感で強いキャラクターなので初心者におすすめだ。

ゼタ
相手の飛び道具を打ち消すインフィニット・ワンダーズ。発生も早く、端まで伸びるので、遠距離での主力技になる
アルベスの槍は、対空や奇襲に役立つアビリティだ
ラプソディーは、□ボタンなら上段、△ボタンなら下段をガードでき、さらに〇ボタンなら上下段のどちらもガードすることができる。ガード構え中からボタンを押すことで反撃技が繰り出せる

「大鎌グロウノス」の契約者である「バザラガ」は接近戦を得意としたインファイタ―。トップクラスの攻撃力の高さが特徴的。射程が短めな飛び道具「インスティンクション」、奇襲性の高い突進技「バタリアンズ・オブ・フィア」、特殊構えの「クルード・ランページ」などが主力アビリティとなる。クルード・ランページからは上下段のなぎ払い、縦斬りや突き立てなど、さまざまな派生技を繰り出すことができる。

 バザラガを使った感想だが、かなり上級者向けのキャラクター性能だと感じた。動きがとても重く、遠距離キャラのメーテラや、動きの速いランスロットなどを相手するのはかなり厳しい。一部の技にアーマー効果を付与させる特殊技「ソウルフォージ」が、バザラガを使う上でかなり重要になってくる。アーマー効果を付けてのバタリアンズ・オブ・フィアで強引に近づき、攻撃のターンを握れば、高い火力で一気に仕留めることができる。尖った性能ではあるが、使いこなせば強いキャラクターであることは間違いない。

バザラガ
飛び道具のインスティンクションは、コンボの締めとして使うのも良い
特殊構えのクルード・ランページ。隙は大きいが、ここから強力な派生技が出せる
特殊技のソウルフォージ。アーマーを付けてバタリアンズ・オブ・フィアを繰り出せば、相手の攻撃を受けつつタックルをヒットさせられる
クルード・ランページにもアーマー効果が付き、攻撃を受け止めてから強力な反撃をお見舞いできる

 最後に紹介するのは、ダチ公二人を引き連れて戦う「ローアイン」。ゲーム中もっともトリッキーなタイプで、操作していて面白みがすごいキャラクターだ。アビリティの「エルっち&トモちゃん」は、仲間を呼び出して、相手に特攻していく飛び道具。ボタンによって上段下段が使い分けられて奇襲性が高い。突進技の「ポコパン」も優秀でコンボの締めとして重宝する。無敵技は無いが、当て身技の「Aventure」が切り返しの術として使える。設置技の「戦争兵器」も強力で、呼び出したキャタピラさんがビームやミサイルで攻撃してくれる。

 奥義の「超一騎当千」もかなり特殊で、発動すると一定時間KBSN状態となり、この状態限定で繰り出せる技も多い。そして、解放奥義「サイズ感的に勝ち目ねーから!」はユグドラシルを召喚して、一定時間ユグドラシルを操作して戦うことができる。広範囲の技が多く圧倒的な強さを誇る。

 ローアインの立ち回りは、なんといっても小賢しい戦い方が光る。設置技の戦争兵器は置いておくだけで相手にプレッシャーを掛けられる。ビームやミサイルがヒットしたら、そこから追撃を決めることもできるので、コンボで一気にダメージを奪えるのがとても強い。特殊技の「シーメーマシマシ」は、食べ物を取り出し、ランダムでHPや奥義ゲージを回復させることができる。デメリットもなく、使用制限もないので隙あらばガンガン使っていきたい。正統派とは言い難いクセの強いキャラクターだが、プレーヤーにハマればかなり強いキャラになりそうだ。

ローアイン
□ボタンでは下段、△ボタンは上段、〇ボタンの強化版ではふたりで上下段同時に攻める
連打攻撃のラストは突進技のポコパンで締めるのが基本
特殊技のシーメーマシマシ中は無防備なので、距離をとるか、相手のダウン中に使うのが安全
相手が攻め込んできたら、Aventureで反撃を狙うのがベスト
戦争兵器は常にセットしておいて、ヒットしたらコンボに持ち込める
超一騎当千中は一切ガードができないので、体力に余裕があるときに使っていくのが良い
解放奥義は、ローアインに変わってユグドラシルが戦ってくれるので、体力がピンチのときの切り札として役立つ

 βテストで使用できたキャラクターに比べると、今回使用できたキャラクターはより個性が強く、操作していて面白いキャラクターが多かった。今回はCPU戦を遊ばせてもらったが、生身の人間が対戦相手となったら一体どんな立ち回りをしてくるのか、とても楽しみである。早く全国のプレーヤーと対戦したくて仕方がない。

対人戦は、CPU戦以上に盛り上がることだろう

 デフォルトで使用できるのは全11キャラクターだが、先日、さらなる追加キャラクターが発表された。ボスとして登場し、発売後のアップデートでアンロック可能となる「黒衣の男」、DLCキャラクターに「ナルメア」、「ソリッズ」、「ジータ」、また早くも発表されたキャラクターパス2では「ベリアル」が参戦決定している。性能や操作感が早くも気になるところ。発売まで約1カ月半、今後の続報にも期待が高まる。