2019年7月26日 17:00
フジゲームスより7月30日に配信開始となる「アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実」は、数多くの有名クリエーターが参画している群像劇RPGだ。原作・メインキャラクターデザインを「幻想水滸伝」シリーズなどで有名な河野純子さん、メインテーマを「悪魔城ドラキュラ」シリーズの山根ミチルさん、バトルBGMは「世界樹の迷宮」シリーズの古代祐三さん、そしてシナリオ協力には「テイルズ オブ」シリーズの実弥島巧さんと、これまでゲームをプレイしたことがある人であれば、必ずどこかで名前を聞いているはずの名だたるクリエーターたちが制作に携わっている。
そんなビッグタイトルを今回、一足早くプレイすることができたので、その手触りをお伝えしよう。
世界を終わらせる主人公たちは、果たして善か悪か……
ゲームは、間違った終わりを迎えてしまった後の世界から始まる。プレーヤーに課せられた目的は、世界に正しい終わりを迎えさせること。それゆえ、主人公は世界を正しく終わらせるべく招かれた破壊者として、その使命を果たしていくことになるのだ。
存在している世界は全部で7つあり、最初にプレイすることとなるシナリオの黄昏篇では、貴族たちによる政治の腐敗が進むと同時に、帝国による人間狩りが激しさを増していた。そこに召喚された主人公のクロウは、周りに翻弄されながらも世界を正しく終わらせようと行動していく。なお、各世界ごとに主人公は異なるため、都合7人の主人公が登場する。
ジャンルに群像劇RPGとあるように、本作では数多くの人物が複雑に絡み合いながら、物語を形成していく。しかし、序盤にプレイできるのは黄昏篇だけなので、いきなりキャラクターが多すぎて混乱する、という事は無いはずだ。
メイン画面からはストーリーのほか、腕試しができるバトル、キャラクターたちが集う方舟、集めた仲間を成長させられる仲間強化、そして味方を増やせる召喚といった項目を選べる。スマートフォン向けアプリの中でも特に世界観がしっかりと作られている本作は、ストーリーモードを中心としてゲームが展開していく。基本的には、ストーリーモードを進めながらキャラクターを育成していき、バトルで特別なアイテムをゲットしつつ味方を強化、召喚で仲間を増やしていくという流れだ。
ストーリーモードは黄昏篇なら全5章で構成されており、各章は10話前後が用意されている。各話ともほぼ、ストーリーが会話形式で語られた後に戦闘シーンへ突入し、勝利を収めることで物語が先へと進む。奥深い世界観と相まって、ストーリーモードのボリュームは相当なもの。スマートフォン向けのRPGの場合、ストーリーモードがすぐに終わってしまうタイトルも少なくないが、「アルカ・ラスト」はタップリと楽しませてくれるのだ。
肝心の戦闘は基本オートで進行し、攻撃したりダメージを受けると各キャラクターごとにスキルゲージが溜まっていく。ゲージがいっぱいになったときに顔アイコンをタップすると、各キャラ固有のスキルが発動される。さらに、繋がりの強いキャラ同士が同一パーティとして編成されていると、強力な絆スキルが使える。絆スキルはキャラクターの組み合わせによって変化するため、それを探すのも楽しみの1つとなるだろう。
この絆スキルの解説を読んで、RPG好きなら「幻想水滸伝」シリーズの“協力攻撃”を思い出した人もいるかもしれない。筆者も当時「幻想水滸伝」シリーズをプレイしていたので、ちょっとした懐かしさを感じた。絆スキルも強力な攻撃が多いので、パーティ編成時の組み合わせで誰を選ぶか悩むことだろう。なお、本作では「料理」を消費することで、絆スキルをレベルアップさせることが可能となっている。
なお、バトルスピードは×1、×2、×3から選択できるだけでなく、オートバトルをオンにすればスキルも溜まり次第使用してくれる。いわゆるソーシャルゲームでは、バトルの周回を重ねてアイテムを得るというのはお約束なので、この部分の出来不出来はプレイ感覚に大きく響く。「アルカ・ラスト」の場合、×3に設定すれば早すぎるくらいの速度でバトルが行なわれ、さらにはオートでもストレスを感じない行動を採るため、周回を重ねても非常に快適なのが嬉しい。視点も画面をタップしたまま指を動かすことで、自由に変更が可能だ。
さらなるシステムとして、スキップチケットというアイテムも用意されている。チケットとバトルで消費する行動力(AP)を使うことで、戦闘すら行なわずに戦利品をゲットすることができてしまう。本作ではキャラクターのパワーアップに各種装備品などが必要となるため、クリアした話を何度もプレイし直す必要がでてくる。その手間を軽減してくれるスキップチケットは、非常に便利といえるだろう。使用枚数も自由に選べるため、例えば5周して確実にアイテムをゲットする、などという場合は5枚消費すれば良く、結果5周分のアイテムが一気に手に入る。ただし、仲間は経験値が得られないため、ここは注意する必要があるだろう。
複数の要素が入り混じり成長していくキャラクターたち
プレイを進めていくと、世界を正しく終わらせるためには仲間の力が必要不可欠なことが分かってくる。スタート時点の5人では、明らかに戦力不足。そこで、いわゆるガチャである召喚を使い、キャラクターを増やしていくことになる。こうして仲間になったキャラたちは、拠点である方舟で待機している。方舟はストーリーが進むと、それまでは無かった施設がオープンしたり部屋が豪華になるなど、より充実した拠点となっていくのだ。
とはいえ、ただ味方が増加しただけでは意味が無い。主人公を含めた仲間たちを育成しなければならないのだが、「アルカ・ラスト」には複数の強化方法が用意されている。1つは戦闘で経験値を稼ぐというオーソドックスなもの。経験値は戦闘で得られる他に、アイテムの“経験の書”を消費することでも得られる。ただし、各キャラクター以外に拠点である方舟にもレベルが用意されており、仲間のレベルは方舟のレベル以上には上がらないようになっている。方舟は戦闘での経験値でしか成長しないため、仲間のレベルアップに経験の書を使いまくっても、すぐに頭打ちになってしまう点には注意したい。
2つ目はランクアップ。主人公含め仲間たちは5つのアイテムを装備することができるが、これをすべて埋めるとランクアップが可能になる。その状態でランクアップのボタンをタップすると、装備を消費してランクが上昇する仕組みだ。ランクアップと共にステータスもパワーアップするため、実質的にはレベルアップしたのと同じような効果が得られる。さらに、ランクを上げることで今までは使えなかったスキルが使用可能になるだけでなく、方舟での会話では仲間のストーリーが読めるように! 壮大な世界観と奥深い物語が用意されているので、プレイを進めていく上で仲間との会話は欠かせないものとなるだろう。
3つ目は各キャラクターごとのスキル強化。すべてのスキルにはレベルがあり、コロ(お金)を消費して、そのスキルを持っているキャラクターと同じレベルまで上げることができる。スキルレベルがアップすれば、これまでは苦戦していた相手にも勝つことができるようになるかもしれないので、忘れずに強化しておきたい。
そして4つ目が武器のレベルアップだ。「アルカ・ラスト」では強力な武器に買い換えるのではなく、仲間たちが持つ固有武器の武器レベルをアップさせることでステータスを強化する。武器レベルは、その武器に必要な武器強化素材を集めることでアップさせられる。素材が不足している時に“入手方法”をタップすれば、それが手に入る可能性のあるバトルを案内してくれるので、非常に便利。この親切さに誘われて、気づけば何時間も遊んでしまうということが多々あったので、皆さんも気をつけて欲しい(笑)。
こうして仲間を成長させ、ストーリーを進めていくわけだが、本作の魅力としてもう1つ挙げたいのが楽曲の美しさだ。タイトル発表時から、名だたるサウンドクリエーターの方々が参加していると聞いていたので楽しみだったが、その期待を裏切ることのないクオリティに仕上がっていたと感じた。特に、何度も聞くことになるオープニングや戦闘シーンのBGMなどは、秀逸の一言。その素敵な楽曲をじっくり聞くことができる施設・ラプラスの間が方舟に設置されているので、サントラCDが発売されるまではそこに入り浸ることになるだろう。
今回はリリース前のバージョンを数日間プレイしたのだが、一度始めると〆切を忘れて夢中になってしまい、止め時がなかなか見つからなくて困ることが何度もあった。特に、とにかく先が気になる壮大なストーリーと、この手のタイトルで1番煩わしく感じることが多い戦闘の周回が簡単にできることが大きいと思われる。
実は執筆中にアプリのバージョンアップでデータが使えなくなり、かなり育てたキャラを諦める事態にも見舞われていたのだが、それでもプレイする気力が失われなかったのは、それだけ本作に魅力があるからだろう。本作の配信開始は7月30日と、リリースは目前に迫っている。興味を持った人は、ぜひプレイしてみてほしい。
※画面は開発中のものです。
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