GAME Watch認定ゲーミングPC「GALLERIA XT」レビュー
GALLERIA XT
彗星の如く登場したコスパ重視の新鋭GPU「GTX 1660 Ti」を「Apex Legends」で試す!
- ジャンル:
- ゲーミングPC
- 発売元:
- サードウェーブ
- 開発元:
- サードウェーブ
- プラットフォーム:
- Windows PC
- 価格:
- 129,980円(税別)
- 発売日:
- 2019年2月25日
2019年3月14日 00:00
2月22日、NVIDIAから突如、ミドルレンジクラスに新たなGPU「NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti」が発表された。GeForce GTX 1660シリーズは、GeForce GTX 1060シリーズの後継にあたるGPUで、GeForce RTX 20シリーズと同じTuringアーキテクチャを採用しながら、エントリーモデルであるGeForce RTX 2060よりもさらに価格が安いのが特徴となっている。大きな特徴としてはRTX 20シリーズの最大のウリであるRTコアおよびTensorコアを積んでいないこと。このためリアルタイムレイトレーシングやDLSS(Deep Learning Super Sampling)にも対応しない。その代わり、TuringアーキテクチャGPUとしては突出したコストパフォーマンスを実現したモデルとなる。
今回認定プログラムで紹介するゲーミングPCはこのGeForce GTX 1660 Tiを採用する「GALLERIA XT」だ。CPUに第8世代インテル Core i7-8700を搭載するミドルレンジの中でもエントリーに近い構成であり、よりコストパフォーマンスに重点をおいた製品だ。今回紹介する「GALLERIA XT」は、税別で13万円を切る129,980円、税込みでも14万円ほどと最新世代のゲーミングPCでは非常に手を出しやすい価格に抑えられている。
GAME Watch編集部では独自にゲームが快適に動くことを示す指標として「GAME Watch認定プログラム」を行なっている。このプログラムを利用して彗星のごとく現われ、大きな話題を集めているバトルロイヤルゲーム「Apex Legends」で本機の実力を検証していこう。
今回検証で使用する「Apex Legends」は2月5日にリリースされた基本プレイ無料(アイテム課金)のバトルロイヤルゲームだ。“彗星のごとく現われた”と表現したが、まさにそんな感じだ。EAのタイトルは2018年冬から2019年春にかけて「バトルフィールドV」と「Anthem」の2つだけと思われていた。そんな中「Apex Legends」は「Anthem」発売直前に同社の「タイタンフォール」シリーズのスピンアウトという位置づけで突如発表され、アクセス過多によりサーバーに接続してプレイするのがしばらく難しかったほど注目を集めた話題作だ。
「Apex Legends」の魅力は、これまでのバトルロイヤルゲームを研究し、人気ゲームの要素を全部取り入れたことにある。ゲームモードは「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」から続くバトルロイヤルモードを中心に、「オーバーウォッチ」のような特殊なスキルを持つチャンピオンがいて、「フォートナイト」のような武器のレアリティ度、「タイタンフォール」同様にスピード感あふれるプレイ展開が可能だ。
1人でも楽しめるバトルロイヤルゲームだが、チームプレイ前提のゲームデザインになっており、飛び降りるポイントがジャンプリーダーと呼ばれる1名に任せられていること、ピンでコミュニケーションを図れることなど、非常に連携を取りやすいことが特徴だ。ゲームの内容についてはレビュー記事を参照いただきたい。
コスパ重視のモデルでも抜かりのないパーツ選定が目立つ
「GALLERIA XT」のポイントは先に述べたGPUとCPU、そしてコスパを重視しつつもゲームに必要な部材は決して妥協しないパーツ選びが特徴。
【GALLERIA XT】
CPU:インテル Core i7-8700
GPU:NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti 6GB
チップセット:インテル H370
メインメモリ:8GB DDR4 SDRAM(4GB×2)
ストレージ:500GB SSD、1TB HDD
光学ドライブ:なし
電源:500W 静音電源 (80PLUS BRONZE)
OS:Windows 10 Home
価格:129,980円(税別)
備考:検証機はオプションのBlu-rayドライブ(BD-XL対応)搭載モデル。標準マウス・キーボードを使用
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=30&ft=&mc=8604&sn=0
CPUから順に紹介していくと、先に上げたとおり、インテル第8世代Core i7-8700 / 3.2GHz(最大4.6GHz)の6コア/12スレッドを採用。すでに第9世代が登場して久しいが、コストパフォーマンスシリーズにある末尾に“K”がつかない倍率固定モデルはまだ登場しておらず、実質コストパフォーマンスを重視する場合、本製品が最上位モデルになる。ゲームが快適に動作するのに必要な動作クロックは最大4.6GHz、スレッド数も12という十分な数を備えており、ゲームプレイだけでなく、動画編集やゲームプレイの録画といったところにも効いてくるだろう。
GPUはここ半年にわたって話題をほぼ独占してきたNVIDIAの最新世代GPU GeForce RTXシリーズ、ではなく従来の世代であるGeForce GTXシリーズの後継であるGeForce GTX 1660 Tiだ。
先述したとおり、リアルタイムレイトレーシングや解像感を高めるDLSS(Deep Learning Super-Sampling)には非対応ながら、ゲーミングPCにおいてもっとも重要視すべき3Dレンダリング性能と入手しやすい価格の両立が最大の特徴となっている。まさに今回のモデルのようなコストパフォーマンスモデルには打って付けだ。
気になるゲーム性能は前世代のGeForce GTX 1070程度のパフォーマンスを発揮するという(参考記事)。本来このクラスの製品は“製品発売のタイミングで出ているゲームがフルHDで快適に動く”ことがセールスポイントとなるが、まさに製品発売とほぼ同じタイミングで登場した「Apex Legends」ではどの程度性能を発揮してくれるのか、検証が楽しみなところだ。
続いて近年の大作では推奨環境で10GB以上の容量を要求されることが少なくないメモリだ。「GALLERIA XT」ではメモリ容量は4GB×2の8GBを採用。できれば余裕を持って16GB欲しいところだが、過去の検証でも、用途をゲームに限定すれば8GBで快適に動くことを確認している。メモリの増設作業自体は難しくないので容量が気になるユーザはBTO選択時または購入後に足せばいいだろう。
逆に増設や以降に手間がかかるシステム用とゲーム用のドライブを兼ねているSSDは大容量の500GBを備えている。昨今のゲームは20GBを超える大容量のゲームが多く、50GB以上の領域を必要とするゲームも珍しくはない。システムドライブは足りなくなったから変えようといっても移行手続きが面倒だったり、ドライブを追加したとしても既存との使い分けが難しいなど、大容量であるのは非常に魅力的であると言える。
PCケースはCPUとGPUの冷却効率を高めるため、サイドパネルには大きなメッシュ加工が施されている。冷却能力はゲームの安定動作に直結するため、安心の設計であると言える。内部レイアウトもゆとりがあり、将来交換や追加作業を行ないたいときも作業を楽に行えるだろう。
コスパ重視モデルでも最高画質で平均90fpsオーバー!
早速検証に取り掛かっていこう。検証はマルチプレイに参加し計測を行なった。ゲームがどこまで最高画質で快適に動作するかを検証するため、グラフィックスオプションはすべてゲーム内の最高画質の設定とし、垂直同期などはオフにしている。
フレームレートの計測はFrapsを用いて飛び降りたタイミングから15分に渡って記録。1回のベンチマークを15分間として5回に渡って計測、その平均値をゲームのフレームレートとしている。ベンチマークでは平均fpsと最小fpsを掲載し、平均fpsはゲーム全体の快適度を示し、最小fpsは混戦時など負荷がかかるところでどの程度まで落ち込むかを見てほしい。
「Apex Legends」で実装されているMAPは現在1つ。山間部から大型建造物まで様々だ。チームプレイを重視した「Apex Legends」は飛び降りる際、ジャンプマスターの元まとまって降下、着地後はほかのバトルロイヤルゲーム同様に武器やアーマー、回復探しに奔走する流れだ。ジャンプ中はチームごとに振り分けられた色の軌跡が見えるため、ジャンプマスターだけでなく、同行するプレーヤーも周りをよく確認しながら着地後の動きを考えよう。
今回条件としてフルHDの解像度で最高画質設定である最高画質設定がどのぐらいのフレームレートで動作するのかを確認するのに加え、GAME Watchが定めるPCゲームの快適さの基準である「フルHD/120fps」がどのような設定なら実現できるのか検証してみた。
ドライバ、クライアントバージョン情報 | |
---|---|
Windows | Windows 10 Home(1809) |
GPU | 419.35 |
「APEX LEGENDS」 | V3.0.0.J1624a |
まず気になるフレームレートの結果はフルHD / 最高画質環境下において平均93.1 / 最低51.6fpsと登場したばかりのゲームであるにも関わらず思った以上に快適に動作した。
降下のジャンプ中に周りを見渡したり戦闘中のAIMING動作も一通り問題なくプレイできたが、建造物が密集する場所や撃ち合い時には不意にフレームレートが低下することがあった。
最小51.6fpsという結果は“重い”と感じるようなフレームレートではないが、80~90fpsで推移していたのが急に60fps前後に落ちるような感じを複数回受けた。後述するオプション設定のテクスチャ設定まわりが影響している可能性があるので追って解説しよう。
「Apex Legends」は普通のバトルロイヤルゲームとは違い、チャンピオン固有スキルを使うことで遠距離の撃ち合いから急に近距離の撃ち合いに切り替わることがある。このフレームレートでもある程度快適にプレイできるが、とっさの行動が必要になったとしてもすぐに対応できるよう、さらなる快適を求めてGAME Watch認定基準でもある120fps設定を探っていきたい。
参考値として他のプレーヤーが参加しないトレーニングモードのMAPを同条件で計測したところ、平均130.7 / 最低100fpsだった。基本的には射撃、アクション練習場であるため読み込む地形データやオブジェクトが少ないことが大きな要因だろう。
コスパモデルでも平均120fpsを出すための設定とは?
それでは120fpsの設定を探るため、各オプションに注目していこう。
フレームレートを計測しながら気になっていたのが、急なフレームレートの低下。これに関連していそうなのがオプション項目にある「テクスチャストリーミング割り当て」だ。最高画質設定では「極」を選ぶことになり、推奨される「ビデオカードメモリ」が8GB。一方、今回検証に使用しているGeForce GTX 1660 Tiは6GBまでのビデオメモリである。このメモリが溢れたことによるラグの可能性がある。
実際にゲーム中の使用ビデオメモリ量を「HWiNFO」で調べたところ最大5,857MBを使用しており、6GB(実質5,859MB)ギリギリで、通常のシーンでも5,200~5,600MBを推移していた。このため、今回この項目は「低:VRAM:2~3GB」を選択した。ビデオメモリ自体は6GBあるが、あくまでも120fpsを実現するためなので、余裕をもった設定をしてみた。またグラフィックスについては可能な限り維持したいため、「アンチエイリアス」や「テクスチャフィルタリング」はONを選択。一方それ以外の設定はすべて無効または低を中心に設定した。
上記の設定を元に計測を行なったところ、筆者の仮説は見事に当たり、平均131 / 最低99.7fpsを達成した。最高画質設定で感じられたフレームレートの急な落ち込みはなく、スムーズな立ち回りや味方との連携も行なうことができた。ゲーム中のビデオメモリ使用量は最大1,983MBで平均1,850~1,950MBの間で推移しているようだ。画質もプレイに集中している間は気になる点は少なく、没入感はあまり損なわれていない。「Apex Legends」の世界を楽しみつつ、1位を目指すことができるだろう。
「Apex Legends」ならではのオプション設定を探る
上記は最高画質と120fps動作を狙う最適画質でベンチマーク結果とあわせて紹介してきた。前の章で紹介したとおり「Apex Legends」はオプション設定が非常に特殊なゲームだが、これらを使いこなすことでより快適にゲームを楽しむことができる。
ゲームのオプションはテクスチャをはじめアンチエイリアスや影、エフェクトを中心に変更するのが一般的。「Apex Legends」もこれから大きく外れることはないが、PCゲーマーに向けた特殊オプションが用意されている。代表的な機能は「垂直同期」、「解像度適応の目標fps」、「テクスチャストリーミング割り当て」だ。
垂直同期というオプション自体は古くから存在し、ディスプレイのリフレッシュレートにあわせるか、それとも無視して描画するかを選ぶというものだが、「Apex Legends」ではさらに細かく指定できる。基本的にはGsyncやFreesyncといった技術に近いオプションで「トリプルバッファ」、「適応型」が登場。「トリプルバッファ」は遅延があるものの、フレームレートがリフレッシュレートを下振れしてもティアリングを防ぐことができる、「適応型」はリフレッシュレートを上振れするときは上限値を設定し、下振れするときは垂直同期をオフにすることで速度を優先する仕組みだ。
「解像度適応の目標fps」は、我々が行なっている「フルHD/120Hzを目指す設定」をシステム側でサポートしてくれる機能だが、現時点ではやや使い勝手が悪い。肝心の“目標fps”の最高値が100fpsまでしか設定できないのだ。
今回の検証ではフルHD / 120fpsというのを目標に検証してきたので触れなかったが、可能な限り高い画質設定でプレイしたいがゲームの安定性も重視したいというユーザーは活用の余地がある設定だ。「解像度適応の目標fps」を設定しておくことで、多くのシーンでは60fpsでプレイできているが、重くなるシーンで目標fpsを下回る場合、自動的に画質を落とすことによりフレームレートを維持する仕組み。オプションとして適応型スーパーサンプリングというオプションも存在し、こちらは逆にフレームレートが設定値より高い場合、内部解像度を引き上げ画質を向上させる機能だ。
「テクスチャストリーミング割り当て」は先に述べた機能と比べ、特殊な機能ではないが、メモリ使用量が目安で表示されている。設定ごとに推奨されるビデオメモリ量が記載されているので画質設定の際の目安とすることで自身の環境にあった設定を楽に行なえるだろう。
最新人気ゲーム「Apex Legends」でも快適120fps動作。コスパ重視のユーザは要チェック
最新世代のGeForce RTX 20シリーズではなく、コスパ重視で登場したGeForce GTX 1660 Tiだが、結果を見るとGTX 1660 Tiを搭載するGALLERIA XTは最新人気ゲーム「Apex Legends」においてフルHDで平均120fpsでの動作を確認した。最高画質設定でも平均60fps以上で動作し、勝ちにこだわるプレーヤーも、画質優先のプレーヤーもともに満足に楽しむことができるといえる。
「Apex Legends」はチームプレイが前提となっており、シングルプレイモードは用意されていない。このため、チームプレイに向けた調整がいくつもされており連携が非常に重要になる。ここのスキルだけでなく、チームのスキルを高めるためにもしっかり敵を発見でき、対応動作を取ることができる快適なPCというのは非常に役に立つだろう。
以上の内容をもって、GAME Watch編集部による「GALLERIA XT」を「APEX LEGENDS」動作認定としたい。
GAME Watchは「GALLERIA XT」について以下の項目を認定します
・フルHD環境下で最高画質設定で平均90fps以上で動作する
・フルHD環境下で画質設定次第で平均120fps以上で動作する
・最高画質設定が快適に動作するにもかかわらず、税込みでも14万円前後で入手可能