2018年2月1日 12:00
人気アクションゲームの「ラチェット&クランク」シリーズの第1弾は、2002年にPS2でリリースされた。最新作である「ラチェット&クランク THE GAME」はシリーズの原点を、グラフィックスはもちろん、ストーリーやシステムなど全てを再構築したリブート作品。そのゲームが、今回1月のPS+のフリープレイで登場した。
つまり、シリーズを初めて触れる人は、最新のハードで、最新のグラフィックス、ゲームシステムという“最高の環境”で「ラチェット&クランク」という作品を楽しむことができる。実は筆者も今作が「ラチェット&クランク」シリーズに触れるのは今回が初めてだ。
筆者の中では「クラッシュバンディクー」のようなコミカルなステージクリア型のアクションゲームだと勝手にイメージしていたのだが、蓋を開けたら想像とは全くの別物だった! 「ラチェット&クランク THE GAME」は、様々な惑星を駆け回り、ワールドごとにあるミッションをクリアしていって物語を進めるというタイプのものだった。
結論を先にいうと、その感触、ゲームの楽しさは、文句無しだ。アクション性の高いゲーム自体の面白さに加え、まるでピクサー映画を観ているような物語に引き込まれるワクワク感がたまらない! コアユーザーとライトユーザー、そのどちらにもオススメできる作品だ。その魅力を語りたい。ぜひ多くの人に遊んで欲しい。
ヒーローに憧れる少年とロボットが巻き起こす、ハチャメチャ大冒険
冒頭のオープニングムービー。1人の男「シヴ」が監獄にぶち込まれるシーンから始まる。シヴの投獄された房の中では、マッサージを受けている男がいた。その男はヒーロー部隊「ガラクチックレンジャー」のメンバー「キャプテン・クォーク」。ヒーローでありながら投獄されている理由は現時点では不明だ。シヴはキャプテン・クォークの大ファンで、過去の英雄譚を聞きたいとせがむ。まんざらでもない調子でキャプテン・クォークが語り出したのはロンバックス族の少年「ラチェット」との物語。ここから本編がスタートする。語りから入るという、映画のような導入の仕方だ。
辺境惑星ベルディンでメカニックをしていたラチェットが、ガラクチックレンジャーの入隊試験を受けるため、会場に向かうところからゲームが始まる。辺境惑星というだけあって、岩と砂だけの何もない砂漠地帯。道中には敵も出現する。敵を前にすると「ラチェットはご自慢のオムレンチで敵をぶったたく!」といったヒントを兼ねたキャプテン・クォークのナレーションが入る。冒険を語っているという設定をうまく活かしている演出だ。
ナレーションのとおりラチェットの基本武器はオムレンチ。敵をぶっ飛ばしたり、ブーメランのように投げたり、さらにはステージ中にあるボルトを締めるなどの様々なアクションができる。ゲーム的にはチュートリアルである入隊試験で基本的なアクションは学び、入隊試験をクリア。これでガラクチックレンジャーの1員になれると意気込むラチェットだったが、過去に違反行為をしていた前科がバレてしまったことと、キャプテン・クォークから「自分とキャラが被っている」という理不尽な理由を言い渡され、入隊を取り消されてしまったのだ。
場面は変わり、機械工場のシーンへ。ヒーローと敵対する「ビッグボス」が支配する工場では、ガラクチックレンジャーを壊滅させるためのマシン「ウォーボット」が大量生産されていた。ごっついウォーボットの中に1体だけちょこんと小さなウォーボットの姿があった。それがもうひとりの主人公「クランク」だ。クランクは不良品として扱われ処分をされることに。危険を察知したクランクは工場からの脱出を図る。
ここからはクランクを操作する脱出パート。背後から迫ってくるウォーボットの猛攻をかわしてゴールのダクトを目指していく。ウォーボットはクランクを目掛けてビームやミサイルを撃ってくるので、これを避けるにはタイミングよくジャンプ。体力が少ないクランクは一撃が致命傷となってしまうので手に汗握る場面だ。何度かリトライをした末、何とか逃げ切ることに成功した。宇宙船に乗って工場から脱出したクランクだったが、追っ手に攻撃されて宇宙船はラチェットの住む惑星ベルディンに墜落してしまう。
故障したクランクを発見したラチェットは、自分のガレージへ連れて行き修理を急ぐ。元通りに治ったクランクからビッグボスの企む計画を聞くと、ラチェットはクランクと共にビッグボスの野望を阻止するために立ち上がった。ここからが2人の銀河を駆ける大冒険の始まりだ。
本作は可愛らしいキャラクターやコミカルなキャラクターが数多く登場し、ムービーシーンはまるで海外のCGアニメ映画を観ているようなのだが、そんな見た目に反して実はアクションは骨太だったりする。正直をいうと、ひたすらボタン連打で敵を倒していくような簡単なゲームなのだろうと少し舐めていた。しかし、プレイしてみるとこれが謝罪をしたくなるほどしっかりと歯応えのある作りだった。
多くの敵は銃を持っていて射撃で攻撃をしてくるのだが、筆者は先ほど述べたように最初は簡単だろうと思いラチェットを突っ込ませてレンチで攻撃をしようとしていたのだが、接近するまでにバンバン撃たれ一瞬にして蜂の巣にされてしまったのである。本作は力押しだけで進むのはかなり厳しい。
そこで活躍するのが「武器ガラメカ」である。武器ガラメカとはいわゆるサブウエポンで、弾数制限はあるが攻略には欠かせない武器だ。敵が大群の場合は闇雲に突っ込むのではなく、うまく地形を利用して物陰に隠れながら、武器ガラメカの銃や手榴弾を駆使して撃破していくのだ。このようなシューティング的な要素もあり、奥深い戦いが楽しめる。
武器ガラメカは種類も様々で、炎を吹き出す「ファイヤーバーナー」や敵をまとめてぶっ飛ばす「プレデターロケット」などの強力なものから、ミラーボールを投げその範囲内にいる敵を踊らせて隙だらけにさせてしまう「グルーヴトロン」などの変わり種もある。
敵を倒したりステージ中のオブジェクトを破壊して手に入るアイテムを使えば、ショップで武器ガラメカの購入や強化をすることができる。威力や連射性能などをガンガン強化すればする程、冒険が楽になっていくのである。販売している武器ガラメカも初めは少ないが、物語を進めることでどんどんラインナップが増えていく。次はどんな武器が登場するのかを楽しみにしながらゲームを進めている。
そんな数ある武器ガラメカの中で筆者のお気に入りは「ミスターズーコン」だ。ミスターズーコンはラチェットの周りを飛び回り、敵を発見すると自動で戦ってくれる頼もしいロボットだ。敵からの標的も分散されるので、ミスターズーコンを先行させて囮になっている間に接近してオムレンチで敵を叩くなんて戦い方もできる。
ミスターズーコンを気に入った理由は使い勝手が良いからというだけではなく、キャラクター性にも惹かれた。クランクよりもさらに小柄なロボットなのだが、こいつの性格がかなり好戦的。「ミスターズーコンから恐怖の宅配だ」や「ミスターズーコン、オマエの顔ボコボコにするだけ」など、見た目に合わない低音ボイスで攻撃的なことを言うのが面白く、筆者のツボにハマった。
ヒーローたちを襲う強敵たち。さらに巨大ボスまでも現わる!!
ゲームに慣れてきたくらいのところで、ヒーローたちの拠点である「ヒーローの殿堂」に大量のウォーボットの軍団が送り込まれ、街が襲われているとの情報をキャッチした。街中は大パニック。ラチェットたちは宇宙船に乗り込み、敵のバトルシップと対峙する。ここが非常に派手で筆者の印象に強く残っている。
この戦いでは都市のど真ん中で空中戦が繰り広げられる。宇宙船を操縦するフライトシューティングパートだ。いきなり全くの別ゲーの操作感に初めは戸惑い、ウォーボットの軍団に突っ込んで撃墜されたりもしたが、慣れてくるとこれが中々に面白い。ブーストで加速するスピード感や、機関銃でターゲットを撃墜した瞬間はスカッと爽快だ。
ウォーボットを積んだ輸送船をあらかた撃墜させると、戦艦ともいえる巨大なバトルシップが現われる。輸送船とは装甲が固く、機関銃では全くダメージが通らない厄介な敵だ。この鉄壁の守りを破る手段……それは敵のウォーボットをバトルシップにぶつけなければならない。
ラチェットの宇宙船に積んである兵器「マグブースター」を使えば、UFOが牛を吸い上げていくキャトルミューティレーションのように、地上にいるウォーボットを捕まえることができる。これは面白そうと敵の頭上でマグブースターを起動させた……のだが全然吸い込む気配がない。どうやら射程が短く、高度を下げてウォーボットに結構近づかなければならないようだ。
近づきすぎると銃弾の雨をお見舞いされるので、マグブースターの有効範囲かつ敵からの攻撃をあまり受けない絶妙な距離感を模索しながらなんとかウォーボットの集団を吸い込むことに成功した。ここから攻撃開始だ。バトルシップを目掛けて、ミサイルのごとく大量のウォーボットを一斉射! 直撃させると敵のHPをゴッソリと減らし、その後難なく撃破することができた。
ウォーボットの襲撃から街の平和を取り戻したラチェットたちは、街の人たちからヒーローと讃えられ、その功績から1度は諦めたガラクチックレンジャーへの入隊を正式に認められることとなる。誰もが新たなヒーローの誕生を歓迎する中、かつてラチェットを不採用にしたキャプテン・クォークだけがあからさまに不満の色を見せていた……。
物語は続く。ガラクチックレンジャーのメンバーとなって有頂天のラチェットに、キャプテン・クォークから直々の超極秘任務を言い渡される。任務内容はビッグボスの開発ラボの破壊。しかもこの任務のことは味方だろうと誰にも言ってはいけないという怪しさ満載の任務だった。しかしラチェットは、憧れのキャプテン・クォークからの任務を微塵も疑いはしなかった。
キャプテン・クォークから言われた通り開発ラボを探索すると、施設では怪物を生み出す実験が行なわれていた。施設の最新部では「スナグルビースト」と呼ばれる、ゴリラとトカゲが合体したような巨大な化け物と出会ってしまう。さすがにこれは聞いていないと、ラチェットはすぐさまキャプテン・クォークと無線でコンタクトを取ると、「そんな計画だったなんてび~っくり!」と驚きの白々さですっとぼける。無責任にも「まぁ、平気平気」と言い残して通信を切られてしまう。
ボス戦のステージはマグマが溢れ出していて触れるとダメージを受けてしまう。行動範囲が制限された戦いづらい場所だ。そしてボスの動きはその巨体からは想像がつかないほどの速さで襲いかかってくる。初めは攻撃をかわすだけで精一杯の防戦一方だったが、だんだんとボスの動きがわかってきた。ボスは攻撃後に隙だらけになるので、この期を逃さず銃を連射してダメージを与えていく。
調子良くボスの体力を4割ほど減らしたところでザコ敵が大量に出現。ザコ敵とボスからの挟撃を受け、一気に流れが悪くなる。ステージに落ちているHP回復アイテムで体制を立て直すと、筆者お気に入りのミスターズーコンを呼びザコ敵の処理を任せた。ミスターズーコンの活躍でザコ敵はみるみる減っていき、残るはボスだけとなった。こうなれば後はこっちのもの。威力を強化してきた手榴弾「フュージョンボム」を炸裂させ、見事ボスを撃破! この後、ラチェットたちはビッグボスの野望を知ることとなる。ラチェットたちの冒険はまだまだ続くので、続きはぜひプレイしてもらいたい。
本作はストーリーを追うだけじゃなく、ホバーボードレースやステージに隠されているアイテム「ゴールデンボルト」集めなどのやり込み的な遊び要素もある。レースに優勝すれば様々な報酬がもらえる。ゴールデンボルトは集めた本数によっておまけ画像が解放されたり、ラチェットの衣装なども手に入るので集め甲斐がある。ほかにもホロカードやRYNOカードなど収集要素が数多くあるので惑星の隅々まで探索したくなってしまう。
今回は久々に、プレイ前の期待値の遥か上を行く作品に出会えた。こういった普段触れないジャンルのゲームも無料で気軽にプレイできるのは本当にありがたい。PS+のフリープレイ様様である。ここまで読んできて興味を持ってくれた読者はもちろん、筆者のように「ラチェット&クランク」に触れてこなかった読者も騙されたと思って1度でいいからプレイしてもらいたい。2月6日までの配信期間中にPS+に加入してダウンロードすればいつでも無料で遊べるので、すぐに遊ばなくともダウンロードしておくことを全力でオススメする。
無印版の「ラチェット&クランク」1作目をプレイしていないのでそれと比較はできないのだが、比べなくてもわかる要素としてPS4ならではの圧倒的な映像美を誇る本作。この映像力を見てしまうと、続編もこの高グラフィックで遊びたい思ってしまう。筆者の願望としては続編の2や3もPS4でのリブート化を強く希望する。