ゲームレビュー「MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV」

MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV

VR空間に再現された「FFXV」釣りの名所で魚と戦っていく、独特なアプローチの1本

ジャンル:
  • フィッシングアクション
発売元:
  • スクウェア・エニックス
開発元:
  • スクウェア・エニックス
プラットフォーム:
  • PS4
価格:
3,797円(税別)
発売日:
2017年11月21日

 「FINAL FANTASY XV」の“釣り”を、PlayStation VRでさらに楽しめる「MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV(以下、『MOTD FFXV』)」の配信が11月21日より開始された。

 本作は、“「FFXV」世界での釣りを楽しめるVRコンテンツ”となっているわけだが、その意外な方向性も含めて“一体どんなゲームなの?”と気になっている人もいることだろう。本稿ではレビューしつつ本作のポイントを伝えていこう。

 本作はPlayStation Storeでのダウンロード専売ソフトとなっており、価格は3,797円(税別)。「FFXV」のDLCではないので、「FFXV」本編を持っていなくても単体で遊ぶことのできる独立したタイトルとなっている。

【「モンスター オブ ザ ディープ: ファイナルファンタジーXV」ローンチトレーラー】

「FFXV」の釣りポイントを歩き回れる! ノクトらと出会い、ストイックに釣りを楽しんでいく

 「MOTD FFXV」でのプレーヤーは、各地で散発的に起きている異常気象と、その異常気象が起きている地域で目撃される凶暴化した野獣について、メルダシオ協会から調査を依頼されている“ハンター”だ。

 ハンターである自分のアバターは、顔や髪型、体型などを設定して作成していく。アバター作成に使われているシステムは、「FFXV」の拡張パック「オンライン拡張パック:戦友」のアバター作成と同じもので、かなり細かに、そしてリアルなアバターを作成できる。

VR空間内でアバターを作成するという、ありそうであまりない試み。リアルなモデリングのキャラクターを作成できる

 物語は、プレーヤーキャラクターが豪雨のなか車を走らせているシーンから始まっていく。異常気象を起こす水に潜む“シガイ”(「FFXV」における魔物のような存在)をしとめるべく、船が座礁している岸壁へとやってきたのだが……。

プレーヤーは、水に潜むシガイを退治しようとしているハンター。だが、返り討ちにあってしまう

 シガイに襲われ倒れていたところを、本編でもお馴染みハンマーヘッドのシドニーに助けられた主人公は、あらためて水に潜むシガイを追っていくことに。ここからゲーム本編のスタートとなる。

危ないところをシドニーに助けられた主人公。ターゲットのシガイへと再び挑んでいく物語が始まる

 ログハウスの自宅を拠点に、メルダシオ協会の依頼を受け、水棲シガイが出没するという世界各地の釣り場へ行って釣りをし、報酬でロッドやルアーなどの道具を買いそろえ、さらなる獲物を狙っていくというのが、本作の流れだ。

 コントローラーは、釣りのときにロッドやリールを巻く動きを楽しめるPlayStation Move モーションコントローラーを2本使うスタイルが目玉と言えるが、DUALSHOCK 4でもプレイ自体は可能。自宅の中や釣り場では移動操作もあって、顔の向きで視点を動かしポインティングした場所へとワープ移動する方式で移動する。

画像のように顔を向けたところに青いサークルが出て、そこへとワープ移動する方式で移動できる
メルダシオ協会からは様々なシガイの討伐依頼が。この報酬で釣りの道具を買っていく
本編同様に、「ロッド」、「リール」、「ルアー」、「ライン」といった釣りの道具があるほか、アバターの着る衣服も購入できる

 プレイモードは以下の4つ。

・「ストーリーモード」依頼された魚のシガイを退治していく物語
・「討伐依頼」指定された魚を釣って報酬をもらえる
・「大会」一定時間内に釣った魚の総重量で競うオンラインスコア対応の大会モード
・「フリー」自由に釣りを楽しめる

 ストーリーは各釣り場に棲まうボス的なシガイを倒していく、ステージクリア型な作りをしていて、各釣り場を回りつつ本編の主人公一行であるノクト、プロンプト、グラディオラス、イグニスらとの出会いを楽しんでいったりと、世界観になじむための導入と言える作りになっている。

 ストーリーモードのボリュームは、本作の各要素に慣れながらプレイしていってだいたい6時間ぐらいでエンドロールを迎えられるといったところ。

 ただ、本作のポイントは気ままな釣り体験を楽しめることにあり、ストーリーモードを終えた先で自由に釣りを楽しんでいくのがメインと思える。

車に乗り込むとモード選択に。車を運転することはできないものの、ステアリングを握ったり、ミラーの角度を変えたりなど、細かなところが触れるようになっている
シドニーだけでなく、ノクト、プロンプト、グラディオラス、イグニスたちとの出会いも。ときにはプレーヤーの自宅に誰かが訪問してくることも

 釣りをするエリアは「FFXV」本編でも釣りスポットになっていた場所の数々で、立体感のあるVR空間としてしっかりと再現されているのが見所。本編で釣りをやりこんだ人なら見覚えのある場所ばかりであり、その世界に自分が立ち、歩き回れるのが醍醐味だ。

 エリアのそこらには、ノクトらが乗ってきたチョコボがいたり、モンスターが徘徊していたり。いずれも等身大サイズで動いているので迫力満点。さすがに本作にはRPGのようなバトルはないので襲われたりはしないのだが、巨大なモンスターがそばで蠢いているのは迫力があり過ぎるのか、どこか妙な危機感を覚えたりもする。

 小規模ではあるが「FF」世界の初VR化とも言えるものであり、「FFXV」世界のVRアトラクション的な魅力も楽しめる。

本編に登場した釣りスポットが再現されているだけでなく、ところどころにチョコボやモンスターも。立体感と等身大のスケール感があるVRで見るとモンスターははっきり言って怖い。モンスターが目の前にいたらどう感じるのかが味わえる

 本作の醍醐味はなんといっても「釣り」の手触りにある。胸元にあるソナーで魚のいる位置を探り、そこに向けてキャスティングするのだが、PS Moveならまさに“釣り竿の竿先を振って飛ばす”という感覚が楽しめる。

 キャスティングの操作は、右手に持っているPS MoveのMoveボタンを押してライン(釣り糸)を押さえつつ、竿を振るのと同時にMoveボタンを離して、ルアーを遠くへと飛ばすというものになっていて、振る速さとラインを離すタイミング次第で距離をコントロールできる。まさに本物の釣りの感覚だ。

 ただ、この強弱をうまくコントロールするのは難しく、思っているより飛ばないと思えば、逆にとんでもなく遠くまで飛んでいってしまうこともある。一通りのプレイを終えた筆者も、今もコツが掴めているのか掴めていないのか、あやふやなぐらいで、もう一歩キャスティングのコツをゲーム側からレクチャーして欲しかったように思う。

 なお、より手軽に楽しみたい人はオプションで「カジュアル」モードにすれば簡単にキャスティングできるようになるので、そちらを使ってしまうのもアリだ。

ロッドを振ってのキャスティングを本物さながらの手の動きで行なう

 魚がかかったら、ロッドをクッと持ち上げて釣り針を食い込ませ、そこからリールを巻いていくわけだが、PS Moveでプレイしているなら、右手のPS Moveをくっと引いて釣り竿を立て、そこに左手のPS Moveを直角に当てて巻く動きをして、リールを巻いていくというものになる。その動きはまさに釣りそのものだ。さすがに振動のみで、魚の重さなどのフィードバックはデバイスの仕組み的にもないのが残念ではあるが、それでもVRの存在感とこの動きで釣りの臨場感はだいぶ楽しめるものになっている。

 そこから、魚が抵抗する向きに合わせて釣り竿を傾け、ラインを切られないようにしながら引き寄せきれれば、釣り成功。釣った魚は手元に引き上げた状態でじっくり観察できる。口の中までリアルに作られている魚をいろんな向きから見たり、その大きさを感じたり。そうした“釣りの醍醐味”をより楽しめるのはVRならではだ

ソナーで魚のいるポイントを見て、そこにキャスティングし釣っていく。釣り上げた魚を手で持ち、じっくりと見られるのも本作ならでは

 ストーリーモードでは、ある程度魚を釣ると、そのエリアにいる魚のシガイが出現。いわゆるボス戦的なものになる。釣り竿ではなくボウガンを持ち、素早く動きまわるシガイを撃ってダメージを与え、最後に弱ったところを釣り上げるという戦いになるのだが、こちらは好みが別れる。

 ボスの動きに反応してボウガンをひたすら撃ちまくるという、ガンシューティングものであり、VRアトラクション風と言えばそれらしいものになっている。ただ、どうしても単調さがあって、そのわりにシガイの耐久力が高くてわりと長期戦になるので中だるみを感じたのが正直なところだ。

 ただし、このシガイ戦はあくまでストーリーモードだけの特殊なバトルでそう何度もやるものではない。本作全体からすると、ある意味ミニゲーム的な位置づけとも言える。

ストーリーモードで登場するボス的な存在の魚のシガイ。ボウガンを撃って弱らせ釣り上げるという独特なバトルになっている

 釣り自体のバランスの方を見ていくと、こちらは「FFXV」本編の釣り同様に、ちゃんと魚の特徴などを考えて取り組まないと釣れないというシビアなものになっている。

 本編と同じく本作にも「ロッド」、「リール」、「ルアー」、「ライン」といった釣り道具があり、特にルアーを魚に合わせて選ばないと、魚は見向きもしてくれない。また、魚の方も100種類以上いるということで、釣り場にいる魚がどんな種類なのか、その魚にあった道具はどれかを自分で考えて釣っていく。

 そういう要素のあるバランスに対して、そのあたりのガイド的な役割をするキャラクターなどがおらず、まさに自分で試行錯誤するのみというストイックなものになっているのは気になるところだ。「FFXV」本編の釣りも知らず、「FF」シリーズの釣りゲームという優しそうなイメージから手を伸ばすと、本作途中からの投げ出され感に驚いてしまうかもしれない。

 逆に、そのあたりを乗り越えて、討伐依頼を達成してギルを稼ぎ、道具を買って、それを使ってより大きな釣果を目指していくという、自発的に釣りを楽しんでいくサイクルにまでたどり着けると楽しくなってくる。本作にはロケーション、釣り道具やコスチューム、魚の種類などなど、一通りがたっぷりと揃っていて、「これはだいぶ遊びこめるなぁ」とも思えるものになるはずだ。

こちらはオンラインランキングにも対応している「大会」モード。釣りを楽しむサイクルがつかめてくると、本作はかなり長く楽しめるものになるだろう

 プレイして気になったところをあげると、まずひとつは、キャスティング後にロッドの動きでルアーを揺らして魚を誘ったりといった、ロッドアクション的な要素がないのが残念だった。せっかくの釣り体験であり、竿を持つ手の動きをつけられるのだから、キャスティング後のアクションにもうひとつ面白みが欲しかったところだ。

 もうひとつは、一部ではあるがテクスチャの乱れがあったり、曲選択のインターフェイスに使いづらさを感じたりと、どこか急ごしらえな印象を受けたところ。初めてのVRコンテンツということもあって苦戦したのを感じさせる。そうしたところにはアップデート等での何かしらのフォローを期待したい。

「FFXV」本編のドライブ中のように、収録されている曲を再生しながら釣りをすることもできる。収録されているのは「FFXV」のDLCエピソードや「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」、「BROTHERHOOD FINAL FANTASY XV」の楽曲に加え、さらに「NieR Gestalt&RepliCant」からイニシエノウタ/運命や、「NieR:Automata」のWeight of the worldなど。この機能自体は非常に嬉しいのだが、いかんせん曲選択が大変だったりする

非常に独特なスタンスのゲームながら、“釣りの体験”は独特で、他にない楽しさ

 “「FFXV」世界での釣りを楽しめるVRゲーム”という、非常に独特のスタンスを持つ本作だが、実際のところは、「FFXV」の釣りという要素を取り出し、VRでより体験的に楽しめるものにしたという、ある意味ストレートなものになっている。

 PS VRというデバイスによって、「FFXV」世界の釣り場のロケーションが空間として再現され、そこにノクトたち、そしてチョコボやモンスターも等身大に登場する。そんなロケーションを楽しみつつ、まさに釣りの動きそのままに自分の手を動かして、魚と戦っていく。そんな独特なゲームに仕上がっている。

 リアルという方向とはまた異なり、あくまで「FFXV」の釣りという表現になるが、“釣り”の面白さをVRで体験できる数少ない1本。釣りというジャンルにフォーカスしていること、それが「FFXV」のスピンオフであることなどの意味では、だいぶ変わり種のタイトルと言えるのだが、他にない釣りの楽しさを味わえる個性的なゲームになっている。PS VRを持っているか購入予定で、「FFXV」または「釣り」がお好きなら、手を伸ばしてみてもらいたい。