スクエニ、Gamescom 2012にて「FFXIV: 新生エオルゼア」実機デモを実施

新バトルシステム「リミットブレイク」を初披露、「FFVII」のゴールドソーサーなど「FF」シリーズの要素を積極的に取り込むことも明らかに


8月15日公開(現地時間)



 株式会社スクウェア・エニックスは現地時間の8月15日、ドイツケルンで開かれているゲームショウGamescom 2012において、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」の実機を使ったデモンストレーションを初公開した。実機デモの模様を動画で公開できないのが非常に残念だが、その代わり出来るだけ細かく紹介したい。なお、デモで紹介されたスクリーンショットについてはこちらの記事で紹介しているので、合わせて参照いただきたい。

【KOCHブース】
スクウェア・エニックスは、ドイツの流通を担当しているKOCH MEDIAのブースに出展している。KOCHはスクエニ以外にも、セガやコーエーテクモのタイトルも扱っているが、今回のイチオシは「FFXIV: 新生エオルゼア」だった。PC向けのMMORPGが元気なドイツならではと言えそうだ。iPadガール(右下)でメールアドレスを登録するとβテストに優先的に参加する権利が獲得できる。左下のコスプレーヤーはオフィシャルではなく、ユーザーだという



■ 「FFXIV: 新生エオルゼア」はMMO史上最高のグラフィックスと、「FF」シリーズ伝来のコンテンツを搭載

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏
2010年9月の正式サービス開始から「FFXIV」を語り始める吉田氏

 8月15日はビジネスデイということで、正確にはメディア、流通関係者向けへの限定公開ということになるが、一般公開日となる明日以降は、同じ内容で1日3回以上のデモンストレーションが予定されており、ヨーロッパのユーザーに向けて「FFXIV: 新生エオルゼア」が大々的に披露されることになる。

 イベントでは、ドイツでスクウェア・エニックスタイトルの流通を担当するKOCH MEDIAブースのメインステージに、「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏が登壇。ドイツ語で挨拶した後、スクリーンショットを見せながら自ら「FFXIV」について紹介し、今後「新生エオルゼア」として大幅リニューアルを計ることなどを説明した。

 グラフィックスに関しては、「MMORPG史上最高」と断言し、吉田氏としても自信を持って送り出せる内容に仕上がりつつあることを報告。ストーリーに関しても『ファイナルファンタジー』シリーズ最新作としてRPGらしさ、『FF』らしさを追求したものを提供することを約束した。

 そして吉田氏は説明の最後にサプライズを用意。これまでインタビューで実装を明らかにしていた「FFVI」の魔導アーマー、「FFIII」のクリスタルタワーに続いて、「FFVII」のゴールドソーサーをカジノスポットとして実装する方針を明らかにした。少し長くなるが、吉田氏の発言を下記にまとめてみた。


吉田直樹氏「『FFXIV』は“Realm Reborn”という形で完全新生し、大きな飛躍を遂げようとしています。サーバーシステム、クライアントシステム、マップ、ユーザーインターフェイス、すべてを一新して、紛れもない『ファイナルファンタジー』シリーズの最新作として登場しますのでぜひご期待下さい。

 グラフィックスに関しては、最高のゲームプレイとストーリーを提供する上で欠かせないと考えていて、『ファイナルファンタジー』シリーズとして提供する以上、長期間MMORPGとして楽しんで貰うためにMMORPG史上最高のものを用意して待っています。

 ストーリーに関しては、MMORPGである前に、『ファイナルファンタジー』シリーズというRPGなので、『ファイナルファンタジー』らしいストーリーを用意して、ナンバリングタイトルのプライドを賭けて作っていますのでぜひ楽しみにしていてください。

 もちろん、シリーズでお馴染みのモーグリやチョコボも登場しますし、強力で巨大な召喚獣も用意してあります。イフリート、ガルーダ、タイタン、リヴァイアサン、シヴァ、オーディン、ありとあらゆる召喚獣を用意して、皆さんの挑戦を待っています。

 もちろんそれだけではなく、過去の『FF』シリーズの要素を取り込んでいきます。たとえば、『FFVI』の魔導アーマーが登場したり、『FFIII』のクリスタルタワーがダンジョンとして登場したり、将来的には『FFVII』のゴールドソーサーでカジノができるようになるので、ぜひアップデートも楽しみにしてほしいです。

 ほかには、シリーズ初となる本格的なPvP、対人戦も用意しています。もちろん、PvPをやるようなコアプレーヤーだけではなく、カジュアルなプレーヤーのためにパブリックエリアで楽しめるコンテンツもたくさん用意しています。仕事が忙しいカジュアルなプレーヤーでも楽しめますし、自分のライフスタイルに合った楽しみ方が見つかると思うのでぜひ手にとって遊んでみて下さい」

【FFXIV: 新生エオルゼア】
吉田氏はこれまでに公開したスクリーンショットやイメージイラストを使いながら「FFXIV: 新生エオルゼア」がどのようなオンラインゲームになるのかを説明



■ 実機デモを初公開 バトルレジメンに替わる新バトルシステム「リミットブレイク」を初披露

竜騎士装備に着替え中
トレントに技を繰り出す竜騎士
4人パーティーの一行がチョコボでダンジョンにたどり着いたところで再び吉田氏登場
メンバー全員で力を合わせて大技を繰り出す「リミットブレイク」

 続いて待望の実機デモへと移った。吉田氏は自ら操作するために、ステージ上のテーブルに移動し、森フィールドを舞台に、Naoki Yoshidaというヒューランキャラクターの視点でスタート。装備無しの状態から竜騎士の装備を一通り装備し、さっそくトレントに攻撃を仕掛けていた。E3の時点では、実機のデモはメディアのみに公開されていたが、バトルは時期尚早ということで非公開だった。今回はバトルの開発がほぼ完成を見たのか、積極的にバトルを仕掛けていたのが印象的だった。

 バトルは、オートアタックを基本に、時折スキルを織り交ぜながら、敵を撃破していく感じで、ソロプレイながらも公開されたスクリーンショットそのままの派手なバトルが繰り広げられた。キャラクターのアニメーションは非常に滑らかで、移動、ジャンプといった別の動きを挟むながらもスムーズに攻撃を繰り出す様は、アクションゲームのような自然さがある。

 とりわけ印象的だったのは、ライティングとシャドウイングがしっかりしたMMORPGとしては極上といっていい非常にリッチなグラフィックスを実現していながら、動作が実に軽快なところだ。グラフィックスのリッチさと、動作の軽快さと相反する要素が、非常に高次元で実現されている。デモではあえて負荷を掛けるために視点をグルグル回したり、ジャンプを繰り返していたが、まったく引っかかりがなく、ラグも感じられず実に軽快に動作していた。

 あまりに軽快なので、デモの直後に、実はこれオフラインで動作させているのではないかとスタッフに聞いてみたところ、ステージの裏に用意した日本の非公開サーバーに繋いだ4台のPCでデモが行なわれていた。つまり、グラフィックスのみならず、レーテンシーの点でも、「FFXIV: 新生エオルゼア」は非常に優れたパフォーマンスを実現していることになる。なお、デモに使用したPCのスペックについては、“現時点で用意できるハイスペックのデスクトップPC”ということだったが、「現行の『FFXIV』の動作環境を満たしていれば快適に動作する」と付け加えることも忘れなかった。

 デモはその後、アウトポストで4人パーティーを編成し、チョコボに乗ってダンジョンに向かうシーンとなった。全員が柵を騎乗したままジャンプで乗り越えていったり、ラグなしで森林を疾走していく様は、ホントに別のゲームのようだ。そして4人が森の奥にあるダンジョンにたどり着き、すわダンジョンでのパーティーバトルが見られるのか? というところで実機デモは終了し、吉田氏が再びマイクを握った。

吉田氏「いまご覧頂いたチョコボで向かった先はダンジョンになっています。この先、ダンジョンでどのようなバトルが行なわれて、新しいバトルシステムにどんな驚きがあるのかというところをVTRにまとめました。我々はこのバトルシステムを『リミットブレイク』と呼んでいます。それでは見ていただきましょう」

 と発言し、ムービーの再生がスタートした。ムービーでは、巨大なレイドボスクラスのドラゴンを相手に、7人でバトルを行なっており、ナイト、モンク、吟遊詩人、竜騎士、白魔道士が、見たことのないエフェクトと効果音と共に特殊攻撃(スペル)を繰り出している。締めくくりには後方の黒魔導士が長い詠唱を終えると、空から巨大な隕石が墜ちてくるメテオを唱えていた。

 この「FFVII」の同名のバトルシステムから着想を得たという「リミットブレイク」システムは、「みんなで力を合わせて大きな一撃」が基本コンセプトということで、具体的な仕様については不明な部分が多いものの、「FFXI」の連携システムとも、現在凍結されている「FFXIV」のバトルレジメンとも異なる新しいバトルシステムであることは伝わってきた。

 吉田氏は、「『FFVII』のリミットブレイクシステムを、パーティー全員の力を合わせて限界を超えてボスに立ち向かっていく。ぜひお楽しみにして下さい」と挨拶し、実機デモを終えた。時間にしてわずか20分ほどの内容だったが、非常に充実していたと言えるのではないだろうか。

 肝心のβテストのスケジュールについては、今秋にαテスト、今冬にβテストを開始するとのみ告知し、具体的な日付の発表は今回も見送られた。ブースでは、「FF」ファンの多いヨーロッパユーザー向けのリップサービスということで、“iPadガール”によるβテストへの先行登録サービスも行なわれていた。フランスで開かれたJapan Expoでも同様のサービスが行なわれたということだが、イベント直後は登録を希望する来場者が多く、反応は上々だった。

 ちなみに、吉田氏に、今回のインパクトのあるデモンストレーションをライブ配信しなかった理由について訪ねたところ、まだクオリティが十分でないと自分的に感じているということと、日本のユーザーに対する配慮もあるという。吉田氏は、「ファイナルファンタジー25周年イベントをぜひお楽しみにしてください」と含みを持たせるコメントを残してくれた。9月1日に実施予定の「FFXIV」スペシャルトークショーにも注目したいところだ。

 さて、今回のプレゼンテーションでは、ついに待望の実機デモが行なわれただけでなく、「FFIII」のクリスタルタワーや「FFVII」のゴールドソーサーなど「FF」シリーズのコンテンツが「FFXIV」が盛り込まれる予定であることや、新バトルシステム「リミットブレイク」など「FFXIV: 新生エオルゼア」の核心に迫る発表が行なわれた。これらについては後日実施予定のメディアインタビューを通じて詳細をお伝えしていくつもりなので続報をお待ちいただきたい。


【実機デモ】

【リミットブレイク】

【縁の下のMocchiさん】
ステージイベント終了後に実機の様子を見に行ったところ。Mocchiこと望月一善氏がステージ後方で実機デモを仕切っていた。今回はマイクは握らず、裏方に徹するという

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(2012年 8月 16日)

[Reported by 中村聖司]