JOGA、「オンラインゲーム安心安全宣言」を改訂
消費者庁運用基準に即した“有料ガチャ”のガイドラインを制定
一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)は8月1日、加盟事業者と共同で、利用者に安心してオンラインゲームをプレイして貰えることを目的に策定している「オンラインゲーム安心安全宣言」の改訂を行ない、新たに「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運営ガイドライン」を作成し、これを公表した。
偶然性のある有料ガチャから入手したアイテムによる合成はNG |
アイテムコレクションは偶然性のないスタンプラリー方式ならOK |
改訂された「オンラインゲーム安心安全宣言」は、36ページにも及ぶ長いレポートとなっているが、その半数に相当する18ページを「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運営ガイドライン」が占めている。
これは何かというと、6月28日に消費者庁から「『懸賞による景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準4告示第五項(カード合わせ)について」(消費者庁運用基準)が公表されたことを受け、実際のオンラインゲームのビジネスモデルに当てはめた場合、何がセーフで、何がアウトなのか、JOGAとしてのガイドラインを示したものとなる。
ソーシャルゲームの場合、いわゆるコンプガチャは明確に規制の対象とされ、ソーシャルゲーム業界では、コンプガチャに頼らない新たなビジネスモデルの模索が続いているが、オンラインゲームの分野では、これはどう当てはめられうるのかについては明確な記述がない。そこでJOGAでは、消費者庁運用基準で使用されていた文言から、現行のガチャ周りのビジネスモデルが、消費者庁が規制の対象としている「絵合わせ(カード合わせ)」に該当するかどうかを検討し、独自にその線引きを策定している。いわば自主規制として先手を打ったものと言える。
その中で主に検討の対象になっているのは、アイテム合成とコレクション要素。アイテム合成とは、複数の合成アイテムまたは装備を組み合わせることで新しいアイテム、または装備を生み出すシステムで、コレクション要素は、コンシューマーゲームでも良く見られる図鑑やスタンプシステムを指す。これらは確かにシステムとしては「絵合わせ」そのものだ。これがインゲームだけで完結していれば、純粋にゲームデザインの一部であり、何ら問題ないが、アイテムや装備の一部が有料ガチャで提供される場合、どう判断されるのだろうか?
JOGAの見解では、合成対象となるアイテムの入手プロセスに「有料・偶然性」があり、合成時に「2つ以上の組み合わせ」によって、新アイテムを得るという「経済上の利益」を受ける場合、「絵合わせ」に該当する典型的な例として、「これをしない」と規定している。逆に偶然性のない有料アイテムとの組み合わせや、有料アイテムと無料アイテムとの1対1の組み合わせでの合成は「問題ないと考えられる」としている。
コレクション要素については、ビンゴや図鑑を埋める形でのアイテム入手はNG、スタンプカード方式はOKとしている。判断基準は、偶然性が介在するかどうかのようだ。JOGAの検証は18パターンにも及んでおり、アイテム合成やコレクション要素に関して精密に検討が重ねられている。ゲームファンにとっても興味深く読める内容になっているのでぜひ一読してみてはいかがだろうか。
本ガイドラインは、JOGA加盟事業者に対する注意喚起に留まり、メーカーに対する強制力はないが、このような分かりやすい形でガイドラインが示されたのは、オンラインゲームの健全化を図る上での大きな一歩といえそうだ。一方、ソーシャルゲームの分野では、「絵合わせ」の規制をくぐり抜ける形で、依然としてむやみやたらに射幸性を煽り、天井知らずの高ARPUを狙う新世代のガチャが生まれ続けるなど、営利団体としての“業”を感じさせる部分がある。
「オンラインゲーム安心安全」を巡ってゲーム業界全体として最終的にどうしていくべきなのか、このまま座してガチャ全規制の日を迎えるしかないのか。正念場を迎えたガチャビジネスにおける業界団体や各社の取り組みがより一層注目されるところだ。
(2012年 8月 1日)