セガ、WIN「ファンタシースターオンライン2」メディアブリーフィングを開催
最大12人で戦う“マルチパーティーエリア”をはじめ、新システム続々!
プロデューサーの酒井智史氏。10周年を記念した正当後継作品の本格的なお披露目に、意気込みの強さが感じられる |
株式会社セガは、都内にて2011年サービス開始予定、この夏にはαテストを実施予定の「ファンタシースターオンライン2(以下、『PSO2』)」のメディア向け発表会を開催した。このメディアブリーフィングでは「PSO2」の最新画面を交えての最新情報が発表されたほか、初めて試遊プレイも実施された。いよいよ明らかになっていく「PSO2」の姿をお伝えしていこう。
ステージの壇上に登場したのは、本シリーズのプロデューサーとしておなじみ酒井智史氏。酒井氏はスーツを着ての正装で、厳かに登場した。「PSO2」は、「ファンタシースターオンライン」の正統後継作品かつ10周年を記念するタイトル。シリーズの新たなスタートへの意気込みが感じられる。
まずはこれまで断片的に紹介されていた「PSO2」の世界観とストーリーが紹介された。プレーヤーは、全宇宙を旅する船団「オラクル」の惑星調査隊として組織された「アークス」の一員。「アークス」は新たに発見された惑星の調査・探索・交流を任務としている。
オラクルにいる種族は、人間同様の万能性を持つヒューマン、精神力を高めたニューマン、人工生命体のキャストの3種族。プレーヤーが最初に向かうのは惑星「ナベリウス」の森林地帯。そこで凶暴化した原生生物の鎮圧が最初の任務となる。
オラクルは全宇宙を巡る船団であり、冒険の舞台は「ナベリウス」に限らず他の惑星にも及んでいく。惑星が変われば環境が変化し、そこに現れる原生生物も変わっていく。惑星に住む原住民たちとの戦いや出会いもあるかもしれない。
そして、アークスの敵として登場するのが「ダーカー」と呼ばれる宇宙生命体。アークスとダーカーの果てしない戦いが、ここから始まっていく。また、ダーカーだけでなく、各惑星に生息する原生生物やメカニックなども時にはプレーヤーの前に敵として現われるという。
「PSO2」は、8月中旬にαテストを開始し、「東京ゲームショウ 2011」にも出展される。その後はクローズドβテスト、オープンβテストと進行し、ネットカフェでの展開も考えているということが明らかにされた。
■ 「PSO2」の新要素に関してαテスト版をベースに解説
新要素の“マルチパーティーエリア”。最大12人、3つのパーティーがひとつのエリアに集結して一緒に戦える! |
プレーヤーの交流の場であるビジュアルロビーも健在 |
続いてはシステムについて。酒井氏は「PSO2」のシステムを、大きなコンセプトを中心に紹介していった。それは“オンラインRPGに革命を起こす”というものだ。革命は、3つの大きなポイントからなる。1つは、“無限の冒険”、2つ目に“オンラインRPG最高峰のアクション”、3つ目は“究極のキャラクタークリエイト”だ。
“無限の冒険”について酒井氏は、「オンラインRPGはコンテンツ消費との戦い。はじめは新鮮だった戦いもレベルを上げたりレアアイテムを求めたりと、何度も同じところを行き来するうちに、作業のようになってしまう」と語った上で、新しいシステムによる“無限の冒険”を目指しているという。
冒険は、“ビジュアルロビー”から始まっていく。ここで他のプレーヤーと交流し、パーティーを組み、クエストを受ける。ロビーの転送装置に入ると、“キャンプシップ”という、パーティーメンバーだけが入れる中継地点に入る。ここで、パーティーメンバーと冒険の準備を整え、フィールドへとダイブしていく。
フィールドは“ランダムフィールド”だ。プレイするたびに毎回異なる地形が待っている。スタートとゴールなどの一部の場所を除き、道筋がランダムに生成される。また、地形だけでなく、エネミーの配置や、さらに“シームレスフェザー”という天候の変化もランダムに起こる。天候が変わることで地形にも影響が出る。
待ち受けるイベントも何が起こるかわからない。“インタラプトイベント”という毎回異なるイベントが起こる。「特定のエネミーを何体倒せ」や「扉を開けるための鍵を集める」といったシンプルなものから「敵の罠に囚われた仲間を救出せよ」といった熱い展開もあるという。さらに、複数のイベントが同時に起きることもあるそうだ。
今回新たになった驚きのシステムが“マルチパーティーエリア”。なんと複数のパーティーが合流し、最大12名でのマルチプレイが楽しめる。このエリアはフィールドの途中にあり、最大4人でクエストに挑んでいる途中で、別のパーティーと合流して協力することになる。
ランダムに生成されるフィールド、エネミー配置。そこで毎回異なるイベントの“インタラプトイベント”も発生する | |
新たなエネミーや「洞窟」のフィールドも公開されている |
ふたつめの革命ポイント“オンラインRPG最高峰のアクション”について。シリーズ初となる「ジャンプ」アクションが採用され、ジャンプしてエネミーを攻撃、浮かせたエネミーを追い打ち、といったジャンプを活かした攻撃アクションが可能になっている。また、地形を乗り越えることができるようになり、フィールドもそれに伴って立体的になった。高台に上って射撃系武器でエネミーを狙い撃つなど、高低差を活かした戦い方もできる。
新たな視点「TPS(Third Person Shooter)スタイル」もシリーズ初。キャラクター後方からの視点になり、射撃系武器で目標を正確に狙い撃ったり、空中から落下してくるエネミーの卵を狙い撃ったり、ヘッドショットなど弱点を狙うことで、より効率よくエネミーを倒すことができる。
αテストで使える武器カテゴリも発表された。
・広い攻撃範囲を持つ「ソード」
・エネミーを投げたり振り回して巻き込むこともできる「ワイヤードランス」
・遠距離からTPSスタイルで狙い撃ち、特殊弾が様々な面白さを生む「アサルトライフル」
・テクニックをチャージでき、打撃攻撃も復活した「ロッド」
・剣と銃、両方の長所を併せ持つ「ガンスラッシュ」
これらの武器は、シリーズ作でもおなじみのアクションパレットに設定して切り替える。パレットには“どの武器を使うか”だけでなく、“攻撃をどの順番で使うか”という「オリジナルコンボ」の設定が可能になった。
なお、「PSO2」ではプレーヤーレベルはなく、クラスと呼ばれる職業レベルのみとなり、クラスレベルを上げることでスキルと呼ばれる能力を獲得していき、自分の戦術に合わせてキャラクターを成長させることができる。自分だけの戦略や戦術でエネミーに向かうことで、よりプレーヤー自身のスキルが反映されるバトルが可能になっているという。
さらに、巨大エネミーにつかまれて投げられる。ジャンプアクションで、倒れたドラゴンの背中に乗って弱点を攻撃するなど、かつてないシチュエーションも存在するという。これらオンラインRPGでも最高峰のアクション「ハイブリッドカスタムアクション」と名付けられている。
以前から発表されていたアクションの新要素、「TPS視点」と「ジャンプアクション」。TPS視点の採用により射撃武器のプレイ感は大幅に進化。ジャンプアクションでは戦い方だけでなく移動にも影響し、フィールドに高低差がついた。画像右は、キャストがホバー移動しているところ |
ロッドは、打撃攻撃が復活! テクニックのチャージ攻撃もできる |
巨大な竜の「ヴォル・ドラゴン」。攻撃をラッシュのように浴びせ弱ったときに、ジャンプアクションにより、倒れているボスの上に載って弱点を攻撃するといったことも可能となっている |
“究極”を目指すキャラクタークリエイトはより多彩にわかりやすく。バランスを動かすだけでモーフィングにより変化する |
腕や足も個別にバランス配分を調整できる |
キャストはパーツを組み替え、カラーリングを自由に行なえる |
革命ポイントの3つ目“究極のキャラクタークリエイト”については、シリーズ作でも自由度が高く細かくカスタマイズできるキャラクタークリエイトが魅力だったが、今作ではさらに自由で多彩に、かつ手軽にイメージ通りのキャラクターが作れるようになっている。
まず、各パーツの調整は「簡単編集」と「詳細編集」の2タイプで調整が可能。「簡単編集」でおおまかにパーツの調整して、「詳細編集」でさらにこだわった編集を行なえるという流れになっている。
目、鼻、口、髪、体型、肌の質感などは当然として、まゆやまつげ、各パーツの調整も驚くほど細かくできる。調整のポイントになるのは“モーフィング”だ。例えば顔立ちならモーフィングのパレットの上下左右に熱血系、子供顔、癒やし系、クール系と設定し、マウスで上下左右内をポイントすれば、バランスが自動でブレンドされて顔立ちが変化していく。直感的な操作でイメージを具現化できるというわけだ。このパレットの方法で、腕や足も長さや太さや形状のバランスを調整でき、カラー設定でもカラーピッカーから自由に色を選べる。
もちろん、種族や性別でも項目が異なってくる。ニューマンではその特徴である長い耳を好きな長さや角度にモーフィングさせて調整できる。そして、女性キャラなら胸の大きさや角度までも、モーフィングで自由自在に調節できる。
人工生命体であるキャストのクリエイトは、パーツの組み合わせが可能だ。頭、胴、腰、腕、足の部位をそれぞれ別々のパーツを組み合わせられる。また、カラー設定も全身のラインやメインの色などを、カラーピッカーで自由に色を選べる。
このほかにも、各パーツやバランスをある程度セットアップしたものが用意されているので、ベースを選んでから各部を調節するのもやり方の1つだろう。
なお、このαテストのバージョンでは、まだどの種族でも基本のパターンやキャストのパーツは少なめだが、正式サービスに向けて、たくさんのパーツを用意するという。
種族とクラスについては、種族は前述のとおりヒューマン、ニューマン、キャストの3種族。クラスは、近接戦に長けたハンター、中距離で戦うレンジャー、遠距離で戦う魔法使いのフォースの3種となる。
クラスはハンター、レンジャー、ニューマンの3種類 |
非常に多彩なクリエイト項目があるが、中身はパレットツールで配分を調整するだけとわかりやすい。肌の質感なども変えられ、どんな外見のキャラクターでも作れるのでは? と思えるほど |
【ヒューマー&ソード】 | 【ヒューマー&ソード】 |
【ハニュエール&ワイヤードランス】 | 【ハニュエール&ワイヤードランス】 |
【ハニュエール&ワイヤードランス】 | 【フォマール&ロッド】 |
【フォマール&ロッド】 | 【レイキャスト&アサルトライフル】 |
【レイキャスト&アサルトライフル】 | 【レイマー&アサルトライフル】 |
■ α版を試遊プレイ!
クリエイトの項目は非常に多いが、どれもパレットで直感的に操作できる |
メディアブリーフィングに続いては、試遊プレイだ。ひとり15分ほどの時間で、12台のPCを使い、4人パーティーを3つ作ってのプレイとなった。操作はキーボード&マウスと、ゲームパッドが用意されていた。
まずはキャラクタークリエイトから。ここではマウスを使い、ツールを使う感覚で操作できた。触ってみて感じたのは、項目が非常に多彩ながら、どれもわかりやすくて直感的にいじれるということ。ダイアグラム状になっている調節のパレットを引っ張れば、リアルタイムにモーフィングが行なわれ、キャラクターの姿が変わっていく。もうちょっと二の腕だけ太めにとか、足は太ももだけ太くとか、個別に細かく調節ができた。
まだパーツが少ない部分もあり、パーツ同士の組み合わせがストレートに影響するキャストだけは、パーツが各部位2個ずつということで少し寂しめだったが、これは正式版でのお楽しみ。シリーズ作ではゲーム中のエステサロンでクリエイトをし直すこともできたが、今作ではどうなるのだろうか?
α版のビジュアルロビーは迷子になるほど広くはなく、階段をはさんだ2段の丸いスペースのような作り。ショップが転送装置の周りに並んでいてアクセスしやすい。反対側にはスクリーンが並んでいて、そこにはプロモーション映像が上映されていた。
クエストはシリーズ作同様のパーティーがリストで表示される作り。パーティーに参加して(クエストを受けて)転送装置に入ると、クエストスタート前の中間ポイントである“キャンプシップ”に4人が揃った。ここはプライベートな空間になっている。
特徴的な吹き出しのチャットは今作でも健在。カットインやモーションを発言に組み合わせることもできる |
アクションパレットに武器をセットするのはシリーズ作同様だが、今作では技の順番も組めるようになった |
クラスレベルが上がれば、スキルを習得できる。スキルの獲得はツリー方式 |
キーボードのCを押すと、チャットモードになる。シリーズでおなじみの吹き出しの表示も健在だ。カットインやモーションを組み合わせることもできる。
いよいよフィールドに降りたってクエストスタート! まずは操作についてだが、パッドのAボタンを押すとジャンプ、Bボタンが決定、Xボタンが通常攻撃、YボタンがPA/テクニック。左アナログスティックで移動、右スティックで視点操作。方向キーでアクションパレットの操作で、上下で武器、左右で消費アイテムの切り替えとなる。Lボタンでロックオン、LTでパレット消費アイテムの実行。Rボタンで補助アクション(ガードや武器のギミック切り替え)、RTでステップ移動だ。
Bボタンを押してのジャンプは、もうこれだけで「PSO」のシリーズとは思えないほどの新鮮さがある。軽快で、そこそこ高く飛べる。ジャンプ中の攻撃も可能だ。エネミーに向かって飛び込み、斬りつけるといった動きもできる。
右スティックを押し込むと、斜め上から見下ろしていた視点がスイッと下がり、キャラクター後方からの視点になる。TPS視点だ。水平に近い視点により、フィールドの広がりがより感じられる。TPS視点での移動も変わらずでき、視点の切り替えもスムーズ。このプレイ感はそのままTPSのゲームそのものだ。上空もすいすい狙えるので、これまでのシリーズでの射撃武器のプレイ感とは全く異なる魅力だ。
TPS視点ということで銃で撃つときだけに使う視点なのかと思いきや、ソードなど近距離の武器でもこの視点で戦える。TPS視点でプレイするのは新しい感覚だ。エネミーが目の前に迫ってくる、迫力のある視点。自分の後ろが見えないのがこの視点の弱点ではあるが、銃を使わないプレーヤーでもこの視点でのプレイを気に入る人がたくさん現われそうだ。
武器を切り替え、「ガンスラッシュ」を使ってみる。この武器は剣と銃の両方の特徴があり、Rボタンを押せばガシャンと切り替わって剣から銃へ、銃から剣に変わる。剣で斬りつけ、少し離れた敵には銃で攻撃できる。従来の視点で敵をロックオンしつつ剣で戦い、銃のときにはTPSスタイルにし、右スティックで照準を動かしての正確な射撃ができる。
続いて、武器を「ワイヤードランス」に切り替える。この武器はムチのような形状で、振るとワイヤー伸び、範囲の広い攻撃ができる。攻撃モーションも速く、爽快感の高い武器だ。また、エネミーに巻き付けて振り回したりと、ワイヤーならではのアクションも可能。
アクションパレットにセットされていた最後の武器は「ソード」。これはシリーズ作ではおなじみの大剣だが、振るモーションはスピーディーで、こちらも爽快感とサクサク感が楽しめる調整と感じた。この感覚は、今作全体に感じた印象でもある。リズムが速めで気持ちいい。
いろんな武器を試したり、ジャンプしてフィールドの上に飛び乗ってそこからTPS視点で射撃したりと、「PSO2」ならではなアクションを楽しみつつ先へ進むと、エネミーに襲われている船を守るという“インタラプトイベント”が発生した。このイベントもシームレスに、暗転などもなくすぐにイベントが始まる。これは多少慣れないと最初は対応できないかもしれないが、ゲームのリズムを壊さずにシームレスに始まるところは好印象だ。まさに突発的でランダムなイベントになっている。
エリアが切り替わると、プレーヤーの数が一気に増えた。“マルチパーティーエリア”だ。試遊している12人、3つのパーティーがひとつのエリアに集結する。別のパーティーがすでに先へ進んで戦っているようで、急いでそこへ駆けつけると、巨大なエネミーの姿があった。そのエネミーに、駆けつけた自分たちを含め総勢12人のプレーヤーが押し寄せていく。初プレイということもあって、12人もいるとさすがに細かなところはわからないが、この、たくさんの仲間と一緒に戦う共闘感は、これまでのシリーズになかった魅力だろう。とてつもない強敵にこの人数で挑み、苦戦しつつも勝利したとき、その喜びと面白さは相当なものとなるのではないだろうか。
というわけで、試遊はここで終了。まだこれからαテストが始まるという段階ではあるが、新しいシステムの魅力が存分に味わえた。プレイにあたって、PCに高いスペックは要求しないということだが、処理は軽く、スピーディーでサクサクと動いていた。これからもテストの内容などを踏まえて調整や変化があるとは思われるが、どのような形に仕上がっていくのか、期待したいところだ。
なお、αテストのすでに募集は締め切られており、8月中旬からテストがスタートするが、順調にテストが進行すれば、追加募集などもあるかもしれない。いずれにせよ、今後とも「PSO2」からは目が離せそうもない。
(C) SEGA
(2011年 7月 26日)