ニュース

ディアナは“ボブカット”も検討されていた! 「プラグマタ」髪の毛と表情表現の秘訣【CEDEC2026】

【CEDEC2026】
開催期間:7月22日〜24日
開催場所:パシフィコ横浜ノース/オンライン

 2日目を迎えているゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2026」。本稿では、カプコンの入江健二氏と小原芹菜氏による「『プラグマタ』における髪・表情表現の開発事例」の一部をお届けしていく。

 本セッションでは、4月に発売されたSFアクションアドベンチャーゲーム「プラグマタ」よりヒロイン・ディアナの表情表現やヘア制作の裏側を公開。キャラクターの性格や感情を届けるフェイシャルアニメーション、キャラクターの魅力をブーストさせるストランドヘアなど、ディアナの可愛らしさの秘訣が語られた。

「ディアナらしくて可愛い」がテーマ。フェイシャルアニメーション編

 まずはリードフェイシャルアニメーターの小原芹菜氏がディアナの表情表現について解説。「プラグマタ」において、表情は重要な要素の一つであり、プレーヤーがゲームの世界に没入しやすく、キャラクターや世界観への愛情が高まるような「生き生きとした実在感のある魅力的なキャラクター」を目指した。

 その中でディアナを「常に可愛いキャラクター」にしてしまうと、表情や印象が単調になってしまい、感情移入しにくくなってしまう。そこで「ディアナ(子ども)らしくて可愛い」を追い求め、困り眉や唇を噛む仕草などを多用せずに、その時にディアナが何を感じているのかを意識しながら、フェイシャルアニメーションを制作していった。

 「プラグマタ」ではボイスのアフレコ時、俳優の頭に専用のカメラを付けることで声と表情を同時に収録している。その演技を「Faceware」と呼ばれるソフトウェアで分析・アニメーションデータ化しているのだが、このままでは口元の小さな動きのノイズなども反映されてしまう。

 ここがフェイシャルアニメーターの腕の見せ所であり、動きのノイズやメリハリ、舌のアニメーションなどを手作業で編集していく。ディアナの場合は、子どもらしくハキハキと一生懸命話しているような印象に見せるため、口元と表情のバランス、自然な目線や表情になるように調整しており、セッションではビフォーアフターの動画も公開された。

 そして3DCGソフトウェア「Maya」とゲームエンジン「RE ENGINE」で最終調整をしていくのだが、実制作ではディアナが老け込んで見えてしまったり、死んだ目になってしまうこともあった。このようなトライアンドエラーを重ねながら、狙った見た目になるよう調整していったという。

 小原氏はフェイシャルアニメーションについて、単なる表情の再現ではなく、キャラクターの性格や表情をプレーヤーに届けるための重要な要素であると語り、「今後もさらなる表現力の向上を目指し、技術とアートの両面から挑戦を続けていく」と締め括った。

ボブカットのディアナも検討!? ストランドヘア編

 続いてはリードキャラクターアーティストの入江健二氏が、ディアナのヘアについて解説。「プラグマタ」では髪の毛を1本単位でレンダリングする「ストランドヘア」が用いられている。従来の「ヘアカード(ジョイント数:22カ所)」との比較もあり、今回の「ストランドヘア(ポイント数:43万カ所)」によって、ディアナの特徴であるロングヘアをリアルに表現することに成功した。

 ストランドヘアは品質が向上する一方で、制作時はアセット制作コスト、シミュレーションコスト、処理コストの3点が課題となった。アート段階においては、難易度が高いことを各アーティストがわかっていたため、ディアナをボブカットに変更することも真剣に話し合われていたという。

 だが、ディアナのキャラクター性を表現するためには、ロングヘアが重要な要素であると判断し、研究開発チームと相談を重ねながら、制作を進めることになった。

 今回のセッションでは「XGen」を使用したモデリングデモ映像も公開。最終的にディアナのヘアは2万本以下に収められており、少し太めに見せたり、スタイリングを調整することで、人間のヘア(約10万本)に近い表現を実現している。フェイシャルアニメーションやヘアを含め、チーム全員の努力によってディアナは「より魅力的なキャラクター」になったのだ。

 入江氏は、ストランドヘアについて「キャラクターの魅力をブーストさせる沼注意の新技術」と表現し、これまでとはワンランク上のヘアを表現できる一方で、様々な課題が発生してしまうため、導入する時は「最初にプロジェクト全体でやる価値があるかどうか、見極めることを強くおすすめする」とした。

詳しい制作工程やデモ映像も見られる! オンラインパスでタイムシフト視聴が可能

 ここまで、CEDEC2026「『プラグマタ』における髪・表情表現の開発事例」の模様をお届けしてきた。本セッションでは、フェイシャルアニメーションやストランドヘアなど、ディアナらしさを生み出す秘訣がわかる内容となっていた。

 本稿で紹介した以外にも、セッションではフェイシャルアニメーションの詳しい工程、ストランドヘアのモデリングデモ映像など、CEDECならではの制作の裏側が紹介されている。オンラインパスを購入すると、8月4日10時までタイムシフト視聴が可能なため、気になる方はぜひご覧いただきたい。