レビュー

「プラグマタ」レビュー

遊べば遊ぶほど深みが増していくゲーム性! シューティングとパズルが融合したバディアクション

【プラグマタ】
4月17日 発売予定
価格: スタンダードエディション 7,990円
デラックスエディション 8,990円

 2020年の発表から6年の歳月を経て、カプコンの完全新規のSFアクションアドベンチャー「プラグマタ」がプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PCで4月17日、Nintendo Switch 2で4月24日についに発売される。

 これまで弊誌では、何度かに渡って試遊版のプレイレポートをお届けしてきたが、バージョンが新しくなるたびに新たな面白さを体験させてもらった。

 そして今回は、本作の製品版を先行でプレイする機会を得た。エンディングまでプレイして見えた「プラグマタ」の神髄ともいえる魅力を、ネタバレなどを含まない内容でお届けしたいと思う。

豊富な武器と多彩なハッキングの組み合わせで自分だけの戦い方を見つける面白さ

 ゲームは、突如連絡が途絶えたルナフィラメント研究を行う月施設に、主人公「ヒュー」を含む調査チームが派遣されるシーンから始まる。

施設に入る前は大したトラブルではないだろうと軽く見ていたメンバーだったが……

 到着した施設の中は人の気配が一切無く、瓦礫などが散乱しており、道中の船内では軽口を叩いていたメンバーにも不穏な空気が走る。瓦礫を退かすために近くの機械からボットを3Dプリントで瞬時に出力するシーンは、本作が持つ未来の世界観を強く感じさせた。

まるで別の場所から転送してきたかのような速度で生成される
本来は人間の役に立つために作られたのだから当たり前なのだが、プレーヤーにはボット=敵という印象が刷り込まれているので、人間の手助けをしているシーンは新鮮である

 調査を進める中、突然起こった月振によって調査班は甚大な被害を受け、ヒューも命の危機に晒されてしまうも、その場に居合わせたアンドロイドの少女「ディアナ」の治療によって一命を取り留める。

月震で床が崩れて転落してしまうヒュー。身体とスーツの損傷を治してもらい、なんとか動けるまでに回復

 月施設では管理AI「IDUS」の暴走により、ボットは人間を襲う驚異の存在へと変わってしまった。ヒューはディアナと協力して月からの脱出を目指すこととなる。

人間を排除しようとするボット。ボットと対抗するにはディアナのハッキング能力が必要不可欠

 ここからはゲームの部分に触れていこう。本作は「シェルター」を拠点とし、トラムに乗り込んで各セクター(ステージ)を攻略していく。従来のステージクリア型のアクションゲームのような、一度ステージを選択したらクリアするまで突き進まなければいけないというものではなく、シェルターとセクターを行き来できる「エスケープハッチ」を解放しながら、広大なセクターをじっくりと攻略していくのがゲームの基本の流れになる。

隔離されているシェルターは、ボットも侵入して来れない安息の地である
ステージ内に点在するエスケープハッチ。必ず解放しておきたい
シェルターに戻ると体力が全回復し、武装なども補給できる
一方通行ではなく、シェルターから解放したエスケープハッチにも一瞬で飛べて快適だ

 本作の最大の売りはなんといってもシューティングとパズルが融合した全く新しい戦闘システムだ。

 ディアナが持つハッキング能力をパズルという要素に落とし込んでおり、ヒューの銃器によるシューティングとハッキングによるパズルを同時に行って戦うという斬新なゲーム性になっている。パズルを解いてハッキングに成功すると敵の装甲がオープン状態となり大きなダメージが通るようになるという恩恵が得られる。

通常時は固い装甲に守られていてまともにダメージを与えられない
ハッキングが成功すれば、内部メカが剥き出しの状態に

 シューティングとパズルという相反するゲーム性に思える2つの要素だが、これが意外にも双方が邪魔をせず1つのゲームとして見事に完成している。

 ハッキングのパズルは、パズルといっても熟考するタイプのものではなく、一筆書きの要領でマスを進めてゴールまで到達すれば成功といったルールで直感的に解くことができるゲーム性になっている。慣れてくるとパズルを解くスピードが上がってき、プレーヤーの上達が肌で感じられる点も楽しさを増幅させる。

 パズルを解いた瞬間のエフェクトやSEも気持ち良く、弱点を剥き出しになったところを銃撃で大ダメージを食らわせられるというパズルとシューティングの両方の爽快感が合わさったバトルは中毒性が高い。

緑のゴールを目指してマスを進めていく。青のマスをたくさん通るほどハッキングダメージがアップする
ゲームが進むにつれてパズルの難易度も上がってくる

 一方で、いくら楽しいゲーム性でも“ハッキングで弱体化させて銃で撃つ”を終始ずっと繰り返していたら、それは“作業”になってしまうのではないか、という懸念があった。筆者が試遊版をプレイしていたときは、この面白さが最後まで持続できるのだろうかと思っていたのは事実である。

 しかし、そんな考えは杞憂で終わるほど、ゲームの面白さを加速させる要素がふんだんに盛り込まれていた。

 戦闘を有利にする要素として「ハッキングノード」がある。ハッキングノードを所持しているとパズルの盤面に黄色いマスが表示されるようになり、このマスを通過してゴールすると効果が発動する。

 敵を一時的に行動不能にするものやセンサーを狂わせて敵を同士討ちさせるものなど効果は様々で、どういった局面でどのハッキングノードを使うのが効果的かを考えて試しながら戦うのも面白いポイントだ。

ハッキングノードは使うと消費してしまうので、使いどころが重要になる

 ヒューの武器もただ敵にダメージを与える銃だけではなく、敵を一定時間拘束するものや敵の攻撃や侵入を防ぐバリアを展開させる武装、さらには一時的にハッキングのパズルの難易度を下げるものなど様々な種類がある。

 ハッキングノードと武装の組み合わせで戦略性の幅が格段に広がり、戦闘が単調にならないようしっかり練られているのが伺える。

敵を拘束している間に、ハッキングや攻めに転じることができる
デコイを発生させて敵の注意を引き付ける特殊な武装も

 各セクターの最後に待っている大型ボスとの戦いは、ザコ戦とは違った様々なギミックを駆使した攻防が非常に熱い。

 ボスは体力と攻撃力が圧倒的に高く、ただハッキングで装甲を解除して銃弾を浴びせているだけではなかなかに苦しい戦いになってしまう。

 中盤に登場するサソリ型のボスは、機雷をバラまいてくこちらを痺れさせて動きを封じてくる強敵なのだが、その機雷をハッキングで利用することができ、敵が機雷に近づいたときにハッキングで起動させれば逆に痺れさせて大ダメージを与えるチャンスが作れるのだ。

暴走したIDUSが生み出したボット。禍々しいビジュアルだ
厄介な機雷だが、ハッキングで上手く利用すれば戦いが大幅有利になる

 他にも、こちらを狙って飛んでくるミサイルや小型ボットを返したり、敵が繰り出す強力な攻撃を回避する瞬間など、様々な用途やシチュエーションでハッキングを使う場面が用意されており、常に新鮮な気持ちでバトルを楽しむことができる。

敵に狙われて絶体絶命の瞬間、ハッキングが発生してヒューを守るなんて場面も

銃で戦うか、ハッキングで鎮圧させるか、強化や装備でプレイスタイルは無限大!

 今回、本作をガッツリプレイしたが“ゲームを進めれば進めるほど面白さが増していく作品”だと改めて感じられた。

 以前伺った開発者インタビューでディレクターの趙 容煕氏は「個人的に作りたかったゲームの印象、テンポスピードは後半が1番近い」と語っていたがまさにその通りで、ゲーム序盤はプレーヤーが取れる選択肢は少ないが、ゲームが進むにつれてゲームの遊び方の自由度が格段に広がっていくのだ。

 ハッキングで敵の装甲をオープンにして銃で倒すといったゲームのシステム上、序盤はどうしてもメインがシューティングでハッキングは補助的な“あくまでサブの要素”といった印象を受けがちだ。

 しかし本作は、セクターの道中で入手できる強化素材やポイントを使ってシェルターでヒューのスーツや武器、ディアナのハッキング能力を強化することができる。筆者はハッキングを重点的に強化していったのだが、強化の段階を重ねるにつれてサブと思っていたハッキングが強力な武器へと変わった。

ヒューとディアナの両方をまんべんなく強化するか、どちらか片方を重点的に強化するかはプレーヤーの好みが出そうだ

 ハッキングを強化することで強くなる能力は3つあり、まずは「ハッキングダメージ」。ハッキングを成功させた際に敵の装甲がオープンになると同時にダメージが与えられるのだが、初期はその威力が本当に微々たるものでダメージは全く期待できないのだが、強化することでかなり大きなダメージを与えられるようになる。さらに装甲が開く「オープン時間倍率」も上昇し、敵を叩ける時間が格段に増える。

強化前はハッキングの威力は90程度だったが、強化後はなんと2倍以上の威力まで跳ね上がった

 最後は「ヒートゲージ蓄積量」がアップする。敵にはヒートゲージというものが存在し、そのゲージがマックスになるとオーバーヒートを起こし、一定時間行動不能状態になるのだ。

 これらの強化に加えて、アタッチメントの強化やカスタムモジュールの装備でハッキング性能や射撃の性能をさらに底上げすることができる。

 アタッチメントもカスタムモジュールもすべてハッキング能力を向上させる方向に全振りして遊んだが、パズルをしているだけで敵の体力をみるみる減らせるのがとにかく楽しい。ハッキングで溜まっていく「ハッキングゲージ」を使用すれば必殺技ともいえる「オーバードライブ」を放つことができ、周囲の敵の装甲をまとめて開き、一時的に動作不能にさせつつ特大ダメージが与える瞬間は爽快の一言。序盤とは全くの別ゲーといえる“ハッキングゲー”を堪能することができた。

様々な能力がアップするカスタムモジュール。自分のプレイに合わせたものを装備させれば戦いがさらに有利になる
左下のハッキングゲージがマックス時に発動できるオーバードライブ。複数の敵を一網打尽にできる

 今回筆者はハッキングに特化した遊び方でプレイしたが、それとは対極に銃器を重点的に強化していけばシューティングメインのスタイルで遊ぶことももちろん可能だ。ゲーム側に型にハマった遊び方を提示されるのではなく、自分のプレイスタイルに合わせて遊べる自由度の高さも本作の魅力である。

やり込み要素も膨大! ディアナとのふれあい要素も

 サクッとクリアするだけならばエンディングまでは10時間程度といったところだが、本作はただストーリーを追ってそれだけで終わりではなく、膨大なやり込み要素が用意されている。

 ステージ内には強化に必要なアイテムやディアナへのプレゼントなどがいたるところに隠されており、それらを探す探索も熱中してしまう。ステージごとのアイテム回収率も表示されているため、やり込み勢なら全ステージ100%を目指したくなるはずだ。

出撃前の画面でアイテム回収率がチェックできる
ステージ中をくまなく探索するのも宝探しの様で面白い

 そして全ステージ100%攻略を目指すなら「レッドゾーン」も避けては通れない。

 各ステージにはレッドゾーンと呼ばれるロックのかかった危険度の高いエリアが存在し、レッドゲートキーというアイテムを使用することでロックを解除して進むことができる。

 レッドゾーンでは強敵が大量に出現する地獄のようなエリアで、全滅させてエリアを制圧させるとアイテムを入手できるのだ。ステージが進めば進むほどレッドゾーンの難易度が上り、全エリアを制圧するにはかなりの実力が試されそうだ。

レッドゾーンは非常に難しく、筆者はまだ二ヶ所程度しかクリアできていない

 「トレーニングシミュレーション」というバーチャル空間で訓練を行うモードもあり、既定の時間内にゴールを目指すものや敵を全滅させるものなど、訓練ごとに定められた目標を達成していくといった内容になっている。

 一見するとただのチュートリアルモードの様な響きだが実はかなり大事な要素となっており、トレーニングを好成績でクリアするとキャラクターの強化素材などがもらえる。単なるオマケモードではなく、クリアの報酬がゲーム本編でしっかり役立つ形になっているのでプレイにより熱が入る作りになっている。

トレーニングメニューは、ステージ内に落ちているトレーニングデータを入手することで増えていく
好成績を叩き出すほどたくさん報酬がもらえるので、何度もトライしたくなる

 やり込み要素とは少し違うが、ディアナとのふれあいも本作には欠かせない魅力である。

 ディアナとはシェルター内でいろいろな交流ができ、コミュニケーションやステージで入手したプレゼントを贈ることができる。

 プレゼントで贈れるものは地球儀やブラウン管テレビといった地球では馴染みがあるものだが、地球に行ったことのないディアナにとっては全てが新鮮で、受け取ったアイテムで遊んだり、そのアイテムについて話したりと様々なリアクションをとってくれる。本物の子供の様に無邪気に遊ぶ姿は見ているだけで癒される。

ディアナが楽しそうに遊んでいる姿が見られるだけでプレゼントする価値がある

 会話やプレゼントを重ねてディアナとの距離が近くなると、ディアナが描いた絵をヒューにプレゼントしてくれるのだ。子供らしい味のあるタッチで描かれており、その絵を受け取ったときのヒューとディアナのやりとりはまるで人間の子供と親である。

 他にも、シェルター内ではディアナとかくれんぼで遊べたりと、存分にディアナとの交流が楽しむことができる。

ディアナから絵をお返しにもらえる。ほっこりできるやりとりは必見だ

 本編のストーリーでももちろんヒューとディアナの関係や成長が描かれている。ディアナと出会ったばかりのときは「子供の面倒は苦手だ」とぶっきらぼうなヒューだったが、力を合わせて死線を越えるうちにただの協力関係というものとは別の“親子の絆”の様なものが見られる。ホログラムで映し出された海に関心を示すディアナに、地球に戻ったら本物の海を見せてやると約束するシーンはグッとくるものがある。

 ディアナも初めは危険なことをしてヒューに叱責されるも、「壊れても直せばいい」と人間とはズレた感覚を持っていたが、ヒューと共に行動するうちに少しずつ人の心を知っていく――。2人の成長の物語は、実際にプレイして見てもらいたい。

 今回本作プレイして、これまで他では味わったことのない全く新しいゲーム体験を楽しむことができた。戦闘にパズルが付いてくるという設計は一見すると煩わしいようにも思えるかもしれないが、実際はパズルの要素が無かったらここまで目を引く作品にはならなかったと思う。挑戦の塊ともいえる作品だが、映像はもちろんのこと、ゲーム性もストーリーも非常に高水準な仕上がりになっている。

 ボリュームの関係上、ストーリーの流れがやや駆け足気味に進んでいくところだけが少々残念だったが、とはいえそのストーリーの中に心揺さぶられる展開や予想を裏切る展開などがいくつも用意されている。

 ゲーム自体の遊び応えのボリュームとしてはクリア後にもオマケモードや、強化した能力を引き継いで初めからプレイできる「NEW GAME+」などもあるのでかなり長く遊べるはずだ。世界観やゲーム性、登場キャラクターなど、どれか1つでも刺さるものがあるのならプレイする価値は大いにある1作だ。

ニューヨークの街や森林地帯といった様々なロケーションが待っていたり、ディアナとは別のもう1体のプラグマタの少女が登場したりと、本編は見所ばかり。ぜひ実際にプレイしてもらいたい