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青いパティーの表情がかわいい。「Putty World 35th Anniversary」体験レポート【TGS2026】

90年代の手触りと現代の滑らかな表現が同居。System 3のCEOインタビューも掲載

【Putty World 35th Anniversary】
2027年第2四半期 発売予定

 System 3は、Nintendo Switch 2用アクションゲーム「Putty World 35th Anniversary」を2027年第2四半期に発売する予定だ。

 「Putty」は、System 3が1992年にAmiga向けに発売したタイトル。日本では1993年に、スーパーファミコン用に移植された「Super Putty」が「パティームーン」として発売された。現在のジャンル名で表すなら、横スクロール型の2Dプラットフォームアクションとなる。

 今回の「Putty World 35th Anniversary」は単純な移植やリマスターではなく、「Putty」、「Super Putty」、その続編の「Putty Squad」の3作品をひとつにまとめ、大規模な新規コンテンツを加えて再構築するタイトルだ。

 本作を象徴するキーワードは、“もしNintendo Switch 2が1992年に存在していたら、「Putty World」はどのようなゲームになっていただろうか”というもの。青いスライム状の主人公・パティーが体を伸び縮みさせる独自のアクションや、コミカルな作風を現代の技術で再構築する。

 東京ゲームショウ2026のSystem 3ブースでは、開発初期段階にあたる技術デモが出展された。Nintendo Switch 2のメモリや処理性能を前提に、キャラクターや背景、エフェクト、ステージアートを高密度に作り直し、表情や待機中の変形を含むアニメーションも大幅に増やしている。目指すのは、映像を豪華にするだけでなく、入力へ素早く反応する操作感と安定した60fpsを両立させたゲームプレイだという。

 今回体験できたものは製品版に近い完成版ではなく、グラフィックスをはじめ多くの部分を今後も変更・改善していく技術デモである。本稿では、限られたステージを実際に操作して見えてきたパティーならではの探索やアクション、Nintendo Switch 2で生まれ変わった表現を紹介する。記事後半には、System 3の創業者で代表取締役社長兼CEOであるMark Cale氏へのインタビューも掲載する。

System 3の創業者で代表取締役社長兼CEOの、Mark Cale氏

35年前の「Putty」を現代の技術で再構築

 System 3は、Mark Cale氏が1982年に設立したイギリスのゲーム会社だ。「International Karate」や「The Last Ninja」、「Constructor」などを開発・販売し、現在も独立系のパブリッシャーとして活動を続けている。

 当時の「Putty」は、体の形を変えるキャラクターを操作する独創性やユーモア、表情豊かなアニメーションが評価された。System 3の資料によると、「CU Amiga」1992年10月号と「Amiga Format」1992年11月号はいずれも95%のスコアを付けており、シリーズ累計販売本数は全機種合計で200万本を超えているという。

 「Putty World 35th Anniversary」においては、プレゼン資料によると、75以上の新マップと45種類以上の新たな敵が用意され、安定した60fpsでの動作を基本目標としている。新ステージを進めることでクラシック版の内容がアンロックされる仕組みや、ワールドごとのボス戦、チャレンジモード、ステッカーブックも盛り込まれる予定だ。

 なお、今回プレイできたものはあくまで技術デモであり、ステージ構成やグラフィックスを含む各要素は今後変更される可能性がある。

開発初期の技術デモをプレイできた

伸びた体を足掛かりに進む、パティーならではの探索

 主人公のパティーは、青いスライムのような姿をしたキャラクターだ。ジャンプで足場を渡り、パンチや踏みつけで敵を倒すという基本的なアクションはスタンダードだが、体を自在に変形させられる点が本作の特徴だ。

 とくに印象的だったのが、スティック操作でパティーの体を伸び縮みさせるアクションだ。伸ばした先を足掛かりにして体を移動させられるため、通常のジャンプでは届かない高所へ上ったり、足場の下から上側へ抜けたりできる。最初は独特の操作に少し癖を感じたものの、伸ばしたい方向とスティック操作が一致しているので、仕組みを理解してからは直感的に動かせた。製品版では段差や足場に合わせて自動的に上下へ伸縮するほか、移動とジャンプを分けた専用のジャンプボタンを採用し、操作ミスを減らす設計になるという。

 今回体験したステージでは、内部を探索して特定のアイテムを入手すると扉が開き、そこへ到達するとクリアになる構成だった。右へ進み続ければゴールに着く一本道ではなく、上下左右に広がるステージ内を行き来して扉と必要なものを探す。歩行やダッシュ、ジャンプだけでは入りにくい場所にも収集物が隠されており、パティーの伸縮能力をどう使うかが探索の鍵になっていた。

今回体験したステージは、探索して対象物を探し、扉から脱出するという内容だった

 製品版では、ステージ内のベビーをすべて集めると出口ゲートのロックが解除され、その前に現れるステージボスを倒して先へ進む流れになるという。また、各ステージには4~8人のベビーが捕らえられており、特定の敵を倒して救出したベビーをパティーの体に吸収し、回収地点でボット・ソーサーへ引き渡す要素も用意される。単に出口を見つけるだけでなく、探索と救出がステージ攻略に結びつく仕組みだ。

 攻撃はパンチや踏みつけが中心で、複雑な操作を次々と覚えるタイプではない。また、ライフ制のため、敵に一度触れただけですぐに失敗するわけでもなかった。今回の範囲では、パティーの能力を試しながらステージを回れる、間口の広い難易度という印象だ。ただし、技術デモは限られた数のステージのみであり、製品版全体の難易度については今後の情報を待ちたい。

50種類以上の表情が、青いスライムに生命感を与える

 伸縮能力と並んで目を引いたのが、パティーの細かな表情とアニメーションだ。通常の2Dアクションでは、主人公の表情が大きく変わるのはダメージ時や待機モーションなどに限られることも多い。しかし、本作のパティーは移動や攻撃、伸縮といったさまざまな動きに合わせ、顔つきや体の形をめまぐるしく変えていく。

 パティーには、目や口の形を組み合わせた50種類以上の表情が用意され、ストレスを感じたり、驚いた時、衝撃を受けた時、成功した時……、そういった瞬間の状態が顔に現れる。また、オリジナルボイスも新たに開発中だという。

 数字の多さだけでなく、転がるように移動し、押し潰されたり細長く伸びたりする姿がひと続きの滑らかな動きとして表現されているため、キャラクターが画面の中で生きているように見える。主人公をスライム状のキャラクターにしたことが、外見だけでなく操作や探索、アニメーションのすべてに結びついている。

パティーはアクションに合わせて表情と体の形を次々に変える

 こうした表現を実現するため、パティーを含むゲーム内の全キャラクターは3ds Maxで新たにモデリングされ、レンダリングとアニメーション制作もやり直されている。背景も高解像度化するだけでなく、改めてモデリングとテクスチャ制作を行っており、既存の敵も新規モデルとアート、アニメーションでゼロから作り直しているという。

 敵も恐ろしさを前面に出したものではなく、アニメーション作品のようなコミカルなデザインで統一されている。背景も細部まで描き込まれており、画面全体からは明るく温かみのある雰囲気が伝わってきた。写実性や格好よさを競う方向ではなく、幅広い年齢層が親しみやすい“ポップなかわいらしさ”を目指しているように見える。

ゲーム内の全キャラクターは3ds Maxで新たにモデリングされているという

レトロな遊びを、Switch 2の表現力で生き生きと見せる

 本作では、対応プラットフォームをNintendo Switch 2のみとしており、Nintendo Switchはあえてカットしている。その大きな理由がグラフィックスで、Cale氏によればNintendo Switchではグラフィックスや大量のアニメーションの品質を妥協せざるを得ないからだという。

 Nintendo Switch 2にターゲットを絞ることで、メモリや処理性能、データストリーミング性能をフルに活かすことができる。画面内の情報量を維持しながら、安定したフレームレートと素早いレスポンスを両立させる狙いだ。

Nintendo Switch版の過去作とNintendo Switch 2(本作)の比較。表現力には大きな差があるという

 さらに会場の外部モニターでは開発側が意図した色味を十分に再現できておらず、7.9インチのフルHD液晶を備えるNintendo Switch 2の携帯モードにおいて、本来目指している鮮やかさや細部をより確認しやすいとも話していた。原作のプレイ映像と見比べると、背景の密度やアニメーションの滑らかさが大きく進化していることはわかる。

 ベースとなるゲームシステムは、ジャンプと攻撃、探索を軸にした2Dプラットフォームアクションだ。最新作らしい複雑なシステムや目新しさを次々と提示する方向ではなく、シリーズ本来の遊びを残しながら、当時の技術では十分に描けなかった動きや表情を現代のハードで膨らませている。原作を知らない筆者にも、スーパーファミコン時代のアクションゲームを思わせる温かみのある懐かしさが感じられた。

 一方で、伸びた体を使って通常なら入れない場所へ進む探索や、絶えず表情を変えるパティーの存在感は、いま見てもユニークだ。原作を遊んだ人には記憶の中のパティーが滑らかに動き出すような驚きを、初めて触れる人も、キャラクターを動かすこと自体の面白さを感じられそうだ。

System 3の創業者で代表取締役社長兼CEOの、Mark Cale氏インタビュー

 ここからは、Mark Cale氏にさらに話を聞いた内容をお届けする。

――本作では「もしNintendo Switch 2が1992年に存在していたら」というテーマを掲げています。Nintendo Switch 2になったことで、どのような表現が可能になったのでしょうか。

Cale氏:Nintendo SwitchとNintendo Switch 2を比べると、そこには非常に大きな差があります。ハードウェアの進化によって、私たちが以前から思い描いていたアートを、ようやく表現できるようになりました。

 キャラクターだけでなく、背景やアニメーションを含めたすべてをNintendo Switch 2の性能に合わせて再設計しています。会場のモニターでは画面全体の色が薄く見えていましたが、Nintendo Switch 2本体の画面では、より鮮明で彩度の高い、本来意図した色彩を確認できます。

――オリジナル作品から残した部分と、現代向けに変更した部分をそれぞれ教えてください。

Cale氏:オリジナルに登場した敵はすべて収録し、さらに新しい敵も追加しています。ただし、当時のビジュアルをそのまま使っているわけではありません。キャラクターはすべて作り直し、サウンドも強化・更新しています。新しい楽曲も10曲用意しました。Nintendo Switch 2の能力を生かせるよう、あらゆる要素を再設計しています。

 一方で、ステージ内のパティーやアップグレードを集めるといった基本ルールはオリジナルと同じです。ただし、操作システムを更新し、オリジナルよりも簡単かつ滑らかに遊べるようにしました。元のゲーム性を残しつつ、現代のコントローラーで扱いやすくすることを重要視しました。

――System 3にはほかにもクラシック作品があります。その中で、35周年記念作品として「Putty」を選んだ理由は何でしょうか。

Cale氏:「Putty」が1990年代に発売された作品であり、「もし当時に現在のハードウェアが存在したら」という今回のコンセプトと直接比較できるからです。現在はゲームだけでなく、レコードなども含めてレトロなものが注目されています。その流れの中で35周年という機会を生かし、究極の「Putty」を作れると考えました。

 また、本作は任天堂作品へのオマージュでもあります。私たちが考える「任天堂のファーストパーティータイトルなら、このように見えるのではないか」という水準を目指しています。

――オリジナル作品を遊んだ人に向けて、感じてほしい魅力を教えてください。

Cale氏:オリジナル版を知る人には、ゲームの規模が大きく広がり、操作感や手触りが改善されたことを感じてもらえると思います。Amigaの時代は、ジョイスティックと限られたボタンで操作していました。現在はコントローラーのボタン数が増え、プロセッサーやメモリの性能も向上しています。それを生かして新たな動きや選択肢を追加し、より速く、滑らかで、手になじむ操作を実現しました。

 パティーの動きもすべて再設計しています。たとえば、上方に足場がある場所で体を伸ばすと、その足場を認識して自動的に上へ移動します。オリジナル版では体を伸ばしたあとに改めてジャンプする必要があり、プレーヤーがもどかしさを感じることもありました。今回は一連の動作が自然につながるため、より流れるようにプレイできます。

 表情や音声による反応も大きな違いです。パティーの表情、発する言葉、ほかのキャラクターとのやり取りによって、プレーヤーの行動に対する反応がわかりやすくなり、達成感も高まります。ステージ内の敵やアイテムの配置、挙動についても見直しており、オリジナルよりバランスの取れた、手応えのあるステージにしていきます。もちろん、ビジュアルも大幅に進化しています。

――それでは、今作で初めてシリーズに触れるプレーヤーはいかがでしょうか。

Cale氏:ジャンプと移動を軸にした昔ながらのプラットフォームアクションを、初めて体験する機会になると思います。現在は、このような作りのゲームが以前ほど多くありません。昔ながらのスタイルだからこそ、遊んだことがない人には新鮮に感じてもらえるはずです。

 ユーモアも本作の重要な要素ですが、特定の年齢層だけに向けたものではありません。大人が遊んでも、6歳の子供が遊んでも違和感なく楽しめるようにしています。初めて触れる人を含め、あらゆる年齢の人が楽しめるファミリーゲームとして設計しています。

――発売後の展開について、現在検討しているものはありますか。

Cale氏:本作への反響次第では、追加要素としてオンラインチャレンジを導入したいと考えています。同じステージでほかのプレーヤーとスコアを競ったり、対戦したりできるものです。さらに、System 3が手掛けてきた空手ゲームの要素を拡張コンテンツとして取り入れ、パティーがファイターへ変身して戦えるようにする構想もあります。「Putty」の世界を、さらに大きな世界へ広げていきたいと思っています。

 また、将来的にはファミリー向けコンテンツを求めるXboxやNetflix、Amazonなど、ほかのプラットフォームへ展開する可能性も検討しています。ただし、本作は何よりも、この種のゲームの礎を築いた任天堂へのオマージュとして制作している作品です。

――最後に、日本のゲームファンへメッセージをお願いします。

Cale氏:まず、世界のビデオゲーム文化に非常に大きな貢献をしてきた日本の皆さんへ感謝を伝えたいです。ファミリーコンピュータやスーパーファミコン、そしてセガのゲーム機がなければ、現在の家庭用ゲームの世界は生まれていなかったでしょう。日本のゲームとプレーヤーの情熱が、その土台を作りました。

 「スペースインベーダー」や「パックマン」、「マリオブラザーズ」をはじめ、技術と遊びの両面で革命を起こした日本の作品が世界へ広がり、商業的な成功を収めたことで、ゲーム会社はこの世界をさらに発展させられました。ゲーム産業を築いてくれた日本の皆さんに感謝しています。

 そして、ゲームを保存していくことも非常に重要です。私たちが過去の作品を現行環境で再び遊べるようにしているのも、そのためです。任天堂がカートリッジという物理メディアを支え続けているような取り組みがなければ、優れたゲームの多くが将来失われてしまうかもしれません。ゲームは歴史の一部であり、それを守る任天堂の仕事にも感謝しています。

――本日はありがとうございました!