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Ubisoft、「アサシン クリード ユニティ」開発者インタビュー
やりたいことを実現するため4年かけてゼロから作り直した
(2014/9/24 12:00)
日本でも11月20日にプレイステーション4とXbox One、Windows用の発売が決定しているユービーアイソフトの「アサシン クリード ユニティ」。東京ゲームショウ 2014ではプレイアブルの出展はなかったが、Xbox Oneブースや日本での販売を行なうスクウェア・エニックスのブースでトレーラーが流されていた。
今回はユービーアイソフトモントリオールスタジオの「アサシン クリード ユニティ」リードデザイナーのプリシュ・パンジャマン氏から直接話を聞く機会を得た。プレイデモの説明も合わせて30分間と短い取材時間ではあったが、「ユニティ」について色々な情報をぶつけてみたので、プレイデモレポートともども読んでいただければより楽しめるはずだ。
主人公アルノ・ドリアンはクールなベルサイユのアサシン
「アサシン クリード ユニティ」は、フランス革命前夜の時代を舞台にした「アサシン クリード」シリーズの最新作。主人公アルノ・ドリアンは親を殺された復讐のためにアサシンとなる。今までの主人公に比べるとクールな性格だが、身体的なごつさはなく、パンジャマン氏が「チャーミング」と表現する幼さを残している。アルノには特別な能力があり、ストーリーの中で重要人物を暗殺する時、相手の行動を幻影のように見ることができる。このカットシーンはストーリーのカギを握る重要な要素でもある。
今作の最大の特徴は、シングルプレイの主人公を使って4人の協力プレイが楽しめることだ。シングルプレイとマルチプレイはシームレスに同じ空間の中に存在している。シングルプレイでストーリーを進めている途中に、マルチプレイに参加したり、マルチプレイで入手したアイテムを持ったままシングルプレイを続けることができる。
キャラクターには強化とカスタマイズの要素が2つある。5カ所ある装備のパーツを変えることで見た目を変えたりステータスを付加することができる。また、スキルポイントをためて新しいスキルをアンロックしていくという従来までの方法も残っている。
ソーシャルステルスやパルクールでの移動などは「ユニティ」から一新され、より使いやすく、スタイリッシュになっている。前作までは「イーグルダイブ」でなければ降りられなかったような高い建物から素早く降りるための新しいアクション「コントロール・ディセント」は、途中の突起につかまりながら何回かに分けて飛び降りるというものだ。そのほかに、障害物の下をくぐったりといった新アクションも追加されている。
次世代機のパワーを感じる広大なマップは、これまでのシリーズで最大サイズ。途中にローディングはなくすべてシームレスにつながっている。さらに大きな施設にはすべて内部構造があり、3割程度の民家にも入ることができる。さらにカタコンベのような地下施設も豊富にあるようだ。街にいる群衆もさらにパワーアップされており、今作ではなんと5,000体もの群衆を表示している。
今回のプレイデモはXbox One用のものをPCで見せてもらったが、役者の細かい表情まで再現したモーションの細かさや、作りこまれた背景の美しさに圧倒された。
次世代機が開発のやりたかったことを実現してくれた
―― 最新作が「アサシン クリード 5」ではなく、「ユニティ」というタイトルになった理由を教えてください。
パンジャマン氏: 番号にするよりも、ゲームのテーマに合わせたタイトルにするのがいいと思ったからです。今回はプラットフォームも一新していますし、「ユニティ」から「アサシン クリード」を始める方もいるかもしれません。それに「アサシン クリード VI ブラック フラッグ」とはゲームの操作もかなり変わっています。それならもう番号を付けるのをやめようということになりました。今後はテーマに合わせたタイトルを付けていく予定です。
―― 「ブラック フラッグ」をプレイしていない人でも問題なく始められるということですか?
パンジャマン氏: もちろんです。「ユニティ」にはこれまでのシリーズの主人公たちの名前もちらりと登場します。そういう部分は既存のファンにとっての楽しみですが、「ユニティ」から始めるプレーヤーでもストーリーがわからないということはなく、問題なく楽しむことができます。「ユニティ」のストーリーは新しいユーザーに向けて作られていますから。
―― 「ユニティ」の開発は2010年後半の「アサシン クリード ブラザーフッド」の後くらいに始まったと聞いていますが、ずいぶん開発に時間がかかっていますね。
パンジャマン氏: 「ブラザーフッド」がリリースされた後、「ブラザーフッド」のマルチプレイ版を作りましょうという話があったのです。ただ当時のエンジンはシングルプレーヤーのゲームを作るためのものだったので、ネットワークやオンライン要素で色々と作れない部分があったのです。だからエンジンを強化したり調整する必要があり、これに結局4年かかりました。ベースはあったのですが、ほぼゼロから作り直しになってしまったのです。だから当時は「リベレーション」と「アサシン クリードIII」が同時に開発されていました。
―― ずっと平行して開発が続けられていたのですか?
パンジャマン氏: そうです。同時に続けながら、「アサシン クリードIII」や「ブラック フラッグ」でユーザーが好む部分はどこなのかアンケートで調べたりしながら、ゲーム内容を決めていきました。
―― 今回いろいろな部分が一新されていますが、1番大きく変わったのはどこですか?
パンジャマン氏: やはりマルチプレイの部分ですね。今回は初めて4人で協力プレイができるのは大きいと思います。それに合わせてバトルシステムやステルスシステムも変えています。特に戦闘は難しくなっています。以前のシリーズでは1人で10人以上の敵を倒すことができたのですが、「ユニティ」ではできなくなっています。
―― これはなぜですか?
パンジャマン氏: 敵が3人、4人の場合は殺せる可能性はあるかもしれませんが、たぶん逃げた方がいいと思います。なぜそうしたかというと、1人で皆殺しにできるなら、友達と一緒にプレイする必要がないからです。だから1人で進めることはできますが、敵に囲まれてしまうと以前よりも殺されやすくなっています。
―― ストーリーが進んでいくと、シングルキャンペーンのミッションでも協力プレイが必要になるということですか?
パンジャマン氏: シングルプレイとマルチプレイは同じワールドの中に存在しているのですが、シングルプレイはアルノの物語で、1人で進めるものになります。メインミッションでは協力プレイはできません。
―― 協力プレイはどうやって受けるのですか?
パンジャマン氏:ワールドにミッションの依頼人がいるのですが、マルチプレイ用とシングルプレイ用は別の依頼人です。マルチプレイの場合は依頼を見て、これは面白そうだなと思ったらすぐにほかの人のミッションに参加することができます。
―― プレイ中のコミュニケーション手段はあるのですか?
パンジャマン氏: もちろんあります。特にボイスチャットは重要ですね。タクティクスやストラテジーを考えつつプレイする必要があるので。君はあっちに回り込んでとか、ボムを使って全員で「3、2、1、ゴー!」で飛び込むとか。よくあるシチュエーションです。
―― 基本的にはマルチプレイはボイスチャットで遊ぶようなものになるのですか?
パンジャマン氏: そうですね。
―― マルチプレイのサーバーはどういう区分けになるのですか?
パンジャマン氏: プラットフォームごとになります。
―― 日本では「ベルサイユのばら」という漫画が人気でフランス革命はとてもメジャーな時代なので、ベルサイユ宮殿が出るのかどうか気になるのですが。
パンジャマン氏: 出ます。イントロダクションはベルサイユです。アルノがベルサイユに住んでいた時代もありますし、ゲームが進むとベルサイユに戻るシーンもあります。宮殿だけではなく、周りの街も出ます。
―― それは楽しみです。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
パンジャマン氏: 次世代機のパワーを使って、協力プレイだったり、ローディングのないシームレスな街といった今まで開発がやりたかったことがちゃんとやれるようになりました。すべての移動要素、ナビゲーションやパルクールも強化しましたので絵になると思います。パリの街は日本では人気が高いと思います。楽しみにしてください。
―― ありがとうございました。
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