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【E3 2013】「Wolfenstein The New Order」新ステージが公開!

ナチスついに月へ到達。ナチスの世界征服ぶりがわかる衝撃のE3トレーラーは必見

6月11日~13日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 Bethesda SoftworksのE3 2013イチオシタイトルは2013年発売予定の「Wolfenstein: The New Order」だった。E3に合わせて公式サイトもリニューアルし、このゲームの世界におけるナチスドイツの世界征服っぷりがよくわかるE3トレーラーも公開した。ブースではデモと試遊を公開し、デモでは、ジブラルタルブリッジと呼ばれる新しいステージを披露したほか、試遊では「BFG」でも公開されていた「London Nautica」を自由にプレイすることができた。

【Wolfenstein: The New Order E3トレーラー】

ヒトラーがワシントンで演説し、市民が頭を抱えるブラックジョークの極みとも言える究極のナチス世界征服トレーラー

ヒトラーがアメリカ議会前で演説し、月面でハーケンクロイツに敬礼する。凄まじいトレーラーだ

 「Wolfenstein: The New Order」は、歴史的にナチスドイツと死闘を繰り広げたスウェーデンのデベロッパーMachineGamesが開発していることもあるのか、ナチスドイツに対する描き方が容赦ない。といっても、戦中に世界中で行なわれた、敵国に対するプロパガンダのように矮小化させる方向ではなく、むしろより強く、よりカッコ良く表現しているところがブラックジョークが効いていておもしろい。それがもっともよく表現されているのが今回公開されたE3トレーラーだ。

 E3トレーラーでは、ナチスドイツがニューヨークに核兵器を撃ち込んで第二次世界大戦に完全勝利し、ナチスドイツ兵士がパリで「勝利のキス」(実際はニューヨークで米軍兵士が行なっている)をし、敗戦国の家庭は来たるべき生活を想像して悲嘆にくれ、アメリカ大統領の就任演説で知られるワシントンDCの議会前広場でヒトラーが演説する。上空には世界初のステルス性能を持った全翼型ジェット戦闘爆撃機として名高いホルテン「Horten Ho229」が編隊飛行を行ない、議事堂前をハーケンクロイツが支配する。映像は実写とCGを巧みに織り交ぜているが、ゲームのためにここまでやるかというブラックジョークトレーラーだ。余計なお世話ながら、ナチスを表現するこそそのものを禁じているドイツおよびその周辺国で、果たして本当に発売できるのか心配である。

 トレーラーはまだ続き、ゲーム内のナチスドイツはその後、数百万人を奴隷化し、ビートルズ的存在を誕生させ、ナチス独力で月面に到達し、レジスタンス活動をロボット兵器の力で次々と粉砕していく。ナチスドイツの世界征服が完璧に遂行される一方で、市民の不満は最高潮に達している。そしてここからが、実機によるインゲームシーンがスタートする。

 インゲームシーンはわずか30秒ほどの内容になっているが、初めて実機シーンを見ることができるのでぜひ見て貰いたい。獰猛でパワフルなロボット兵器、精強で数の多いナチス兵、そして話題沸騰中の年配の女性ナチス将校、そして最後は画面を覆うほどに巨大なロボット兵器の登場と見所盛りだくさんのトレーラーだ。惜しむらくはそれらを粉々に粉砕して爽快感が味わえるシーンがないところだが、それは次回以降にということだろう。ともあれぜひ一度ご覧頂きたい。

【トレーラーより】

ゲーム後半の激しいバトルが確認できた新ステージ「ジブラルタルブリッジ」

これがジブラルタルブリッジ

 E3シアターでのデモンストレーションでは、ベルリンに向かう列車内のステージと、初公開となる新ステージ「ジブラルタルブリッジ(仮)」が公開された。列車のステージはBFGレポートで紹介しているのでここではジブラルタルブリッジを紹介しよう。

 ジブラルタルブリッジは、架空の存在で、実際にはジブラルタルトンネルの名前で、ジブラルタル海峡を横断する鉄道トンネルの計画が存在する。ゲームではそのネタをいただいて、先にナチスが物理的な橋を架けてしまったという設定らしい。

 この新ステージは、だいたいゲーム全体の3/4ぐらいの地点ということで、終盤戦一歩手前ぐらいということになる。例によって前後の背景は不明ながら、主人公のBJがこの鉄道網を列車ごと爆破し、現場は大混乱に陥っている。橋を走る道路の上に、破壊された橋の残骸と、横倒しになった列車の列などが散乱している。周囲は海で、万が一落ちても死ぬことはなく、泳いで上に戻ることができるという。

 BJは列車に乗っていて奇跡的に助かったのか、安全な場所にいて後から乗り込んだのか、この点がよくわからないが、BJは列車が折り重なってできた“列車のビル”のてっぺんから、ナチスのテクノロジーを駆使して鉄条網を切ったり、木片を破壊したりして下に下りていく。橋の道路まで下り、休んでいたナチス兵を銃撃することでバトルがスタート。目視できる敵以外に、ロボットやナチス兵が次々に列車の中から飛び出してくる。

 このシーンはこれまでになく敵の数が多く、敵の攻撃も熾烈で、あまりの多さにデモ中にクラッシュしたほど(笑)。このため2度目のプレイでは若干プレイが慎重になって、あまり先に進まないようにしていたが、その代わりBJが手荷物武器も、現代武器はほとんどなく、ナチスの得体の知れないテクノロジーが盛り込まれた未来兵器となっている。これは「Quake」か「DOOM」かと錯覚してしまうようなSF的なエネルギー弾や、強力なロケット弾を撃ち込める銃器ばかりで、しかもマシンガン程度なら「Wolfenstein」シリーズ伝統の2丁持ちが可能。それでいて、パラメーターは過去の「Wolfenstein」シリーズと変わらず、ライフとアーマーのみというシンプル設定。今時のFPSとあらゆる点で逆行しまくっている点で、これすらもブラックジョークのように思えてしまうユニークなゲーム性だ。

 デモのラストは、橋に中空に位置する施設にたどり着き、崩落した箇所をジャンプで渡ろうとしたところで危うく落ちそうになるも、敵の将校に助けられ、そのまま殴られて捕まると言うシーンで終わった。まさにベルリン侵攻はこれからというところで、続きが気になるシーンだ。

 新ステージのデモから見えてきたゲーム性は、ナチスのテクノロジーを逆利用して圧倒的なパワーを手に入れたBJが、にっくきナチスドイツ軍を1人でたたきのめしていくという気分爽快なものだ。こういうシンプルな爽快感を得るためにゲームを1本作り上げる例はほとんどなくなっているため、「Wolfenstein The New Order」は非常に貴重なタイトルといえる。日本でも年内に発売予定ということで大いに期待したいところだ。

【スクリーンショット】

(中村聖司)