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【E3 2013】マスターシーフとなってお宝を狙う「THIEF」

プロデューサーのステファン・ロイ氏にインタビュー

6月11日~13日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 E3のスクウェア・エニックスブースでは、「THIEF」がシアター形式で出展されていた。「THIEF」はプレイステーション 4/Xbox One/Windows向けステルスアクションで、北米では2014年に発売を予定している。日本での発売は6月14日の時点で未定だ。

 「THIEF」は1999年よりEIDOSが展開しているアクションゲームシリーズの最新作。初代「THIEF」はステルス要素を本格的に盛りこんだゲーム性で当時のユーザーに衝撃を与えた。今回登場する「THIEF」はこれまで登場した“THIEF”というタイトルを再創作(reinvention)したものだという。

 今回は作品の魅力を伝えるデモプレイに加え、本作のプロデューサーを務めるステファン・ロイ氏に話を聞くことができた。

多彩な武器を使うマスターシーフが主人公。多彩なゲーム要素も注目

シアターで本作のデモプレイが行なわれた
闇にいるときこそギャレットは力を発揮する

 「THIEF」は“マスターシーフ”と呼ばれる熟練の盗賊ギャレットが主人公となる。彼の住む街は、「男爵」の恐怖と抑圧による統治が民衆の反乱を招き、革命の炎で燃え上がっているという。。今回のデモでは、革命の混乱に乗じ、ノースクレスト屋敷に忍び込みんだギャレットが、ノースクレスト家に代々伝わる希少な宝石“The Heart of the Lion”を盗み出すまでを見ることができた。

 「THIEF」は自由度の高いステルスアクションだ。目標に向かうルートは無数にあり、隠れたままで進むことも、戦いを挑むこともできる。ギャレットは戦士ではないので、闇雲に正面から戦っても勝ち続けることは難しい。影に潜み、できるだけ敵に見つからないように進んでいく必要がある。

 本作の基本は1人称視点となる。影に隠れていると、ギャレットの視界の周りが暗くなる。闇の中にいれば敵から発見される可能性は低くなる。歩く場所によって音が異なり、水たまりを踏むと足音が大きくなってしまう。敵はギャレットの発する音を聞くと敏感に反応し、警戒態勢をとりながら仲間を呼び寄せたりする。

 影と影の間は地を這うように高速で移動できるのが面白い。また、様々な“矢”を使うことで色々な状況に対応できる。「ウォーターアロー」は矢の先端に水のタンクがついていて、かがり火などに打ち込むと火を消すことができる。油が広がっている場所では、「ファイアーアロー」で着火できる。また「ロープアロー」で高いとこに移動することもできる。

 ギャレットは「フォーカス」という特殊能力で目の前の風景から、様々な情報を読み取れる。ピッキングの動作をを高速にしたり、矢の照準の精度を高めたりすることも可能だ。また、様々な箇所を探索する際に、ギャレットは指を這わせることで仕掛けのある場所を探し出すことができる。

 デモでは暗闇を進み、衛兵達の目から逃れながらステージを進んでいった。高所から敵に攻撃を加える際には3人称視点になり衛兵を襲うギャレットの姿を見ることができる。フォーカスで隠されたものを探したり、隠しアイテムを見つけ出すこともできた。

 わざと物音を立て、衛兵の注意を反らし、そのすきに背後に回り込む方法なども確認できた “暗殺者”ではなく、あくまでシーフであるところも面白く、仕掛けや罠を回避してお宝に近づく場面は特にワクワクさせられた。

 宝を奪取し、建物から脱出を試みる際に、効果的に3人称視点が挿入されるのには驚かされた。壁に張り付き、足場を探しながら進むアクションで、1人称視点とは全く違うゲーム性となる。1人称視点でありながら、これまでのスニークアクションとは全くリズムが異なる。多彩なゲーム性を盛り込んでいく作品となりそうだ。

 デモはここで終了した。今回は基本的なゲームシステムの紹介が中心だったが、その世界観に引き込まれた。繰り返すが、主人公が捜査官や暗殺者ではなくて、シーフなのがいい。目的のものを盗んでから脱出もきちんと描いているところが良かった。もっと多彩なステージを見てみたいし、実際にプレイしたいと思った。

【Garrett the Master Thief - E3 2013 Trailer】

【スクリーンショット】
多彩な武器を使いこなす。ユニークな武器など世界観も魅力だ

プロデューサーのステファン・ロイ氏がこだわる“自然なゲームプレイ”

本作のプロデューサーを務めるステファン・ロイ氏
会場にはシーフの服と弓も展示されていた

 インタビューで最初にロイ氏に質問したのは本作のコンセプトだ。「Thief」は神業を持つ練達の盗賊“マスターシーフ”としてのファンタジーを楽しめる作品で、深い物語性と、光と闇のメカニックがメインのコンセプトとなる。主人公は影の中にいるときに真の力を発揮する。影に潜み、目的のものを盗み出し、脱出する。マスターシーフとしてのスタイルを表現することがメインのテーマになるという。

 本作の主人公ギャレットは普通のシーフとはひと味異なる。シーフは盗むものの価値にこだわるが、マスターシーフであるギャレットは「いかに盗むか」のチャレンジこそが行動の目的となる。「お前には取れないだろう」と言われればギャレットは燃え上がる。不可能を可能にするための挑戦こそが、ギャレットがシーフを職業とする理由だという。そして「フォーカス」という常人離れした感覚を持っていることが、彼をマスターシーフたらしめている。

 ゲーム部分で気になったのは、3人称視点でのアクション要素だが、これはプレーヤーにギャレットがどこにいるかを的確に説明する必要がある場面において効果的に使われるということだ。

 デモプレイではたくさんの武器を使ったが、ゲーム序盤から全てを使用できるのではなく、徐々に増えていくらしい。またロックピックの速度が向上するなど、キャラクターの能力も上昇していくという。ロイ氏は「しかし、ギャレットにとって最も重要な武器は“指先”なのです」と語った。怪しい仕掛けを探し出したり、見過ごしてしまいそうな違和感を、ギャレットの指先は探し出す。彼の繊細で器用な指が非常に大事な役割を担うとのことだ。

 本作は基本要素に関してはすでに確定しており、現在取り組んでいるのは各要素をどう磨いてくかだ。戦闘要素、アクション要素など様々な部分の完成度を上げている。こだわっている部分は「敵AIとの駆け引き」であり、自分がしたことで敵がどう反応するか、敵の目から隠れたままにするのはどうするか、敵の行動を予測し、目的を達成するにはどうするかの試行錯誤を重視している。

 作りこみの部分では、「ユーザーの爽快感」を大事にしている。例えば倒した敵を物陰に隠すとき、通常のプログラムでは無造作に敵の身体を置いてしまい、物陰から足が出てしまったりする。それが原因で敵に発見されてしまってはスピード感も爽快感も得られないはず。

 倒した敵の身体を物陰に置く、という一連の動作を自然に、かつ正確に行なえるように調整している。これはあくまで1例で、自然なゲームプレイを実現し、ユーザーが世界に没頭できる作りこみを行なっていく、とのことだ。

(勝田哲也)