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あの頃の憧れが蘇る! 「アオシマ合体ロボット&合体マシン ボックスアート展」
アトランジャー、ムサシ、レッドホークヤマト……幼き頃心を掴んだ魅惑の世界
2020年3月23日 00:00
合同会社はるばるは、東京・神保町の文房堂ギャラリーにて「アオシマ合体ロボット&合体マシン ボックスアート展」を3月23日から28日まで開催する。入場は無料。今回オープンに先がけて行なわれた内覧会から会場をレポートしたい。
「アオシマ合体ロボット&合体マシン」とは、プラモデルメーカーのアオシマが展開していたプラモデルシリーズだ。1970年代中頃から1980年代前半くらいまで展開しており、「アトランジャー」、「レッドホークヤマト」、「シャイアード」など様々なオリジナルメカ/ロボットを生み出した。
この“合体”とはその名の通り複数の商品を揃えることで1つの大きなメカとなる。ロボットの場合、頭、腕、胴体、足が1つのロボットモチーフの商品となる。頭だけ、腕だけでどうするのか? アオシマの合体ロボット/合体メカの魅力はここにある。飛行機にドカンと頭が乗っていたり、戦車に屈強な腕が生えていたり、実に奔放な想像力で「頭メカ」、「腕メカ」、「足メカ」などを作っていたのだ。低価格帯の「ミニ合体シリーズ」なら1つが100円。子供達はお小遣いでこのロボットを買い、4つ揃えたり、揃えられなかったりしてこのプラモデル商品を遊んだ。
「合体ロボット&合体マシン」の優秀なところは子供も簡単に組み立てられる“スナップフィット”、組み立てるだけで箱絵に近いイメージに組める多色成型のランナー、そして共用のジョイントを使うことで、オリジナル形態の合体や、合体で余ったパーツを他で活用できたところだ。
このシリーズはとても人気を博した。オリジナルのロボットやメカだけでなく、「鋼鉄ジーグ」、「伝説巨神イデオン」といったアニメロボットも4つのメカに分離、さらには「ランボルギーニーカウンタック」、「ポルシェターボ」など“スーパカーブーム”も貪欲に飲み込み展開していった。
しかしその中で「ガンプラブーム」が来る。子供は熱しやすいが冷めやすい。また“リアルロボットブーム”のなか、設定とは異なる商品展開は難しくなってきていた。1つのコンテンツに対するコストも高まる中で、「合体ロボット&合体マシン」シリーズはひっそりと幕を下ろす。
だが時代が進む中、「合体ロボット&合体マシン」が放っていた強力なパワー、勢いは当時の思い出を持つ大人達の心の奥底にはしっかりと刻まれていた。アオシマの合体シリーズには、当時の子供達の心を熱くさせるエネルギーが間違いなくあった。今回開催される「アオシマ合体ロボット&合体マシン ボックスアート展」はあの時代の子供達の心をがっちり掴んだプラモデルのボックスアートの原画を目の前にできるのだ。
今回の出展原画は全69点。アオシマオリジナルロボットの原点とも言える「アトランジャー」や、「レッドホークヤマト」など様々なボックスアートの原画を見ることができる。注目はやはりその伸びやかで強烈なイメージ。「腕戦車」や「足飛行機」など非常に大胆なコンセプトのメカが、力強く、そしてカッコ良く描かれているのだ。そしてそれぞれが合体したときに完成するロボットとメカのカッコ良さ! 「こんなメカが完成するのか、買いたい!」と子供の心を強く魅了するその勢いが原画から伝わってくる。
今回出展された原画には残念ながら版権のあるモチーフは出展されていないが、アオシマが当時展開していたコミックなどの生原稿も見ることができる。こちらも独特の勢いがある。そして原画から感じるのは強い“宇宙への憧れ”である。レトロフューチャー感もあり、70年代の空気を感じることができるのも魅力だ。
また本イベントでは当時のプラモデルを見ることもできる。物販商品も充実しており、特に展示原画を手元でたっぷり見れる図録はオススメだ。価格は2,500円(税込)。他にも原画のコピーや、「MODEROID クルーズチェイサー ブラスティー」 等を手がけるランペイジによるデフォルメフィギュアガチャも面白い。
もう1つ会場ではアオシマ秘蔵の「企画ノート」がある。コミックスの展開を書いたネームや、設定の原画などがあり、作り手の思いが強く伝わってくる資料であり、会場ではこれを見ることができる。
正直、「ガンプラブーム」に押されて姿を消す「アオシマ合体ロボット&合体マシン」は思い入れを持つ世代は少ないかも知れない。しかし駄菓子屋や文具店にプラモデルが置いてあった時代、本シリーズは間違いなく子供達の心を掴んだプラモデルだった。玩具文化に強い影響を与えたシリーズであり、独特の魅力を持っている。「全く知らない」という人もぜひ会場に訪れ、この時代の息吹を感じて欲しい。
(C)アオシマ