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IeSF world championship 2019、「鉄拳7」、「ウイイレ」2部門で日本がTOP4進出!

「Dota2」も3勝2敗の快挙! 日本代表選手にここまでの感想を聞いた

12月13日開催

会場:VSG Arena

 「第11回 IeSF world championship 2019」は、国際スポーツ連盟(International Esport Federation、IeSF)が主催となって、12月12から14日にかけて韓国ソウルで開催されるeスポーツ総合大会だ。大会の種目は「Dota2」、「ウイニングイレブン2020」、「鉄拳7」の3種目で、それぞれの種目に20か国を超える国や地域から代表選手が選出され、世界一の称号をかけて熱い戦いが繰り広げられている。

 選出された選手は国を代表して戦うという、他のどんなeスポーツ大会と比べても国際色の強い本大会だが、日本からも各種目にJeSUの支援を受けた代表選手が派遣されている。それぞれ熾烈な代表決定戦を勝ち抜いてきた猛者たちだが、代表として世界の場にどこまで日本の存在感を示せるのか期待がかかる。プレッシャーがかかる環境の下にある彼らの、本大会での勇姿を追った。

【第11回 IeSF world championship 2019】

3勝2敗の快挙! Dota2部門

 Dota2部門の日本代表は、国内最強チームのひとつとして名高いENLIFE TMの5名だ。Suan選手をチームリーダーにもつ彼らは、今年5月に結成されたTeam Mayというチームが前身で、成績の良さからたちまちゲーミングチームENLIFEのスポンサーを獲得し、さらには日本代表にまで選ばれたチームだ。彼らは今大会で、強豪フィンランド代表をはじめ、チェコ、アゼルバイジャン、スイス、イスラエルの代表チームと戦った。

左から、Suan選手・野球犬選手・うたたねかえる選手・Arab選手・Toyomaru選手

 結果はフィンランドとチェコには負けてしまったものの、他3戦は見事勝利。日本はDota2のeスポーツシーンにおいては決して強豪国ではないが、そんな中彼らは3勝2敗で勝ち越すという偉業を成し遂げたのだ。プレイオフ進出は惜しくも逃してしまったが、強豪国揃いのこの国際大会では文句なしの成績だろう。そんなDota2に全力投球な5人のメンバーに、本大会の感想を伺った。

――こうして海外遠征をするのは何度目ですか?

Suan選手: このチームでの海外遠征は初めてですね。ただ国内の大会は何度も出ていて、オフライン大会の経験も2度あるので、今回はその経験が活きました。慣れない環境ですが楽しんでプレイできたと思います。

リーダーのSuan選手

――本大会の出場チームで対戦経験のある相手はいましたか?

Toyomaru選手: 個人で知っている人はいても、チーム単位ではいませんでしたね。日頃は5人でDiscord上に集まって、アジア圏のチームと対戦する形で練習をしています。なのでヨーロッパの選手とかになると、対戦することは殆どないので、配信で見かけたことがある程度です。国内の大会であれば、相手のチームを理解した上でバンやピックの判断ができるのですが、今大会ではそうはいきませんでした。

Toyomaru選手

――本大会の手ごたえはどうでしたか?

野球犬選手: 今までの世界大会で日本人だけのチームは、1勝すらできたことないんです。それくらい日本のレベルはまだまだなので、僕たちは1勝することを目標に来ていました。そんな中3勝することができて、予選は敗退してしまいましたが、とても嬉しいです。練習が実ったということで、この結果は次へのモチベーションにもなりますし、色々なものを得られた大会でした。

 これからの課題も、技術面・チームワーク共にたくさん見つかりました。技術面で言うと、最初のピックで海外とのレベル差を感じました。ピックの時点で不利をこうむってしまう場面が多かったので、もっと詰めていきたいです。今回対戦した中でいうと、フィンランド戦が一番実力の差を感じさせられました。ピック・プレイング共に負けてしまいまって、各プレーヤーの戦術の組み立て方やチーム力で大きな差を感じました。反対にチェコ戦では、負けはしましたがとてもいいプレイができました。こちらはDark SeerとDisruptorのコンボピックをしていたのですが、この2キャラのバキューム+サイレンスのコンボがバシバシ決まって、これは5人全員の連携が取れていたということなので、とても自信になる試合でした。

ピックに悩む面々

 チームワークの面では、声出しやコミュニケーションの面をより強化していきたいと感じました。僕たちは数か月前から海外からコーチをつけてもらってチームのマネジメントをしてもらっているんですが、指導してもらいながら小さいことから声を出していくというのを目標にしています。情報の伝達だけでなく、雰囲気作りも含め、結果を出しているチームは声の出方が違うなと感じました。普段オンラインで練習する時は自然と声を出さないままプレイしてしまっているので、そこを改善していきたいです。

野球犬選手

 全体的に今回の大会は自分たちの自信やモチベーションにつながる要素が多かったので、これを活かして今後も活動していきたいです。

――ありがとうございます。

盤石な立ち回りでTOP4へ!鉄拳7部門

 鉄拳7部門の日本代表はTeam YAMASA所属のタケ。選手だ。鉄拳ワールドツアーの数々の世界大会で優秀な成績を残すタケ。選手は、強豪ぞろいの本大会においても優勝候補といっていい、世界トップクラスの実力を持つ選手だ。本大会でもその実力をいかんなく発揮し、鉄拳ワールドツアーでも活躍するフィンランド代表・インド代表の選手にも難なく勝利、最終日TOP4への進出を決めた。

タケ。選手(左)インドのTejan選手(右)

 鉄拳ワールドツアー決勝大会で、日本人のチクリン選手が優勝したことで、日本の鉄拳界は今再び注目を集めている。そんな中、日本代表としてプレイするのは、少なからずプレッシャーもあっただろうが、それをもろともせず盤石な立ち回りを見せたタケ。選手。さすが長年プロゲーマーをやっているだけある。そんな実力とメンタルを兼ね備えたタケ。選手に、本大会の感想とTOP4へ臨む意気込みを伺った。

――TOP4までの道のりはいかがでしたか?

タケ。選手: 僕のリーグには、世界でも名の知れているフィンランド代表のJopelix選手やインド代表のTejan選手がいたので、正直抜けられるか不安でした。ただ日頃から戦っている日本のプレーヤーたちに良い試合を見せれたら、という想いがあったので、危なげなく勝つことができました。動きが悪い場面もあったりしましたが、最後にはちゃんと修正できたと思います。

タケ。選手

――TOP4で注目しているプレーヤーは誰ですか?

タケ。選手: 予想通りいけば決勝で当たるのは韓国のKnee選手かなと思っています。Knee選手は予選でつい最近リリースされたリロイという新キャラクターを使っていたらしいです。僕も少しだけ触ったのですが、キャラクターとしてはめちゃめちゃ強いと思っています。いかんせんまだ実戦経験がないキャラクターなので、Knee選手がリロイを使ってくると難しいですね。

韓国代表Knee選手

――チクリン選手がワールドツアー決勝を優勝されましたが、どう感じていますか?

タケ。選手: チクリン選手は僕と同い年で、性格も似ている部分があるんです。なので日頃から親近感を感じていて、もちろん戦えばライバルですが、良い結果を残してほしいと思っていました。なのでチクリン選手の優勝はとても嬉しかったです。

――鉄拳ワールドツアーの一年を振り返ってどうですか?

タケ。選手: 今年は新たにパキスタンからプレーヤーたちが世界大会に参戦するようになって、彼らがとても強かったんです。最初のうちは日本のプレーヤーたちも危機感は感じていなかったのですが、決勝大会の前には僕たちも本気を出さなきゃということで、プロが一堂に会してオフラインで練習をしていました。その結果日本のプレーヤーたちは軒並みいい成績を残したので、こうして集まると良い結果もついてくるんだな、と実感した年でした。

 個人としては、一年通して波のある結果が続きました。EVOでは日本人最高順位を記録できましたが、決勝大会の予選ではプール落ちしてしまったり、不安定でした。なので来年はゲームのバランス調整にも柔軟に対応できるようになり、結果をもっと安定させて、出る大会全てでTOP8に入れるようになることを目標にしています。

タケ。選手

――ありがとうございます。頑張って下さい。

TOP4進出の快挙!ウイニングイレブン部門

 ウイニングイレブン部門の代表はよしもとゲーミング所属のうでぃ選手だ。幼稚園の時にサッカーを始めたという筋金入りのサッカープレーヤーなうでぃ選手は、その手腕をウイニングイレブンで開花させ、国内でもトップクラスの実力を誇るプレーヤーだ。うでぃ選手は海外大会は初めてとのことながら、初戦では優勝候補のイラン代表を倒し、勢いのままにミャンマー代表やイタリア代表にも勝利、TOP4進出を決めた。

うでぃ選手

 初の海外大会で環境的にも慣れない部分は大いにあったはずだが、そんな中TOP4進出を決めたというのは、うでぃ選手持ち前の集中力と頭の回転があってこそだろう。そんな才能に満ち溢れるうでぃ選手に、海外大会の感想とTOP4への意気込みを伺った。

――本大会の感想はどうですか?

うでぃ選手: 鉄拳につづく形でTOP4に入れて本当に良かったです。最後のイタリア戦は、前半一本もシュートがなかったりと、かなりじりじりとした展開で、気を抜いたら負けてしまうところでした。無暗にカウンターに行かず、落ち着いてプレイできたのが勝利につながったと思っています。

イタリア戦に勝利した瞬間のうでぃ選手

――実際のサッカーとウイニングイレブンはどのような共通点がありますか?

うでぃ選手: ウイニングイレブンは1人で11人を動かす、いわば神様目線のサッカーなので、実際のサッカーとは大分違います。共通点としては、守るべき時・攻める時の判断や切り替えなど、戦術の面が同じなので、そういう意味では実際のサッカーで培った経験が大いに活かされていますね。ウイニングイレブン独自の技術としては、AIをうまく使ったり、全体をいかに見据えるかが重要なので、それはゲームならではといえますね。

集中するうでぃ選手

――うでぃ選手の強みは何でしょう?

うでぃ選手・自分のこれまでの大会成績を見ても、逆転勝ちをしている場面が多いんです。恐らく自分は逆境に強いんだと思います。本大会通しても緊張は全然してないので、逆境に強いことでこういった海外の場でも実力が発揮できていると思います。

苛立ちを露わにするうでぃ選手

――ミャンマー戦にはかなり感情移入されていたようですが?

うでぃ選手: そうですね、自分はサッカーをやっていたときから熱くなりやすいタイプでした。さきほどのミャンマー戦は、大会なので勝つためには仕方ないことなんですが、相手にラフプレーを多くしかけられ、それに対し少し興奮してしまいました。やはりゲームの前に僕らはサッカープレーヤーなので、僕はスポーツマンシップにのっとったプレイをしたいですね。

勝利を決めガッツポーズ

――今後はどういう活動をされていきますか?

うでぃ選手: 自分は今年就職するのですが、本業の傍らプロゲーマーとして、大会への出場や配信、動画投稿などの活動を続けられればと思っています。配信や動画にはすでに一定数ファンがついてくれて、今回もみんなに沢山応援されていて、一人じゃないんだなと思わせてくれました。今は大会に出るために動画を休んでいるため、待ってくれているファンのためにも絶対に優勝したいと思っています。

うでぃ選手

――ありがとうございます。

 鉄拳7とウイニングイレブンの2部門でTOP4進出を決めた日本代表選手たち。ここまでくれば世界一の称号はあと一歩、彼らのTOP4での活躍は要注目だ。