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まずはXbox Oneのパーソナルサーバー化から。“どこでもXbox One”を目指すクラウドゲームプラットフォーム「Project xCloud」体験レポート
2019年6月12日 18:38

- 6月10日体験
「Xbox E3 2019 Briefing」における「Project xCloud」に関するアナウンスメントは、「Project xCloud」ウォッチャーにとって衝撃的なものだった。
というのも、Head of Xbox Phil Spencer氏の口から出てきた言葉は、期待された「Project xCloud」の正式名称でも、サービススケジュールでも、サービスの内容でも、ビジネスモデルでもなく、「プロジェクトをProject xCloudとConsole Streamingの2つにわけ、自宅のXbox Oneを、Project xCloudのパーソナルサーバーとして活用するConsole Streamingのテストを10月より開始する」というものだったからだ。時間にしてわずか1分。「えっ? それだけ!?」というのが正直な印象だった。
良く言えば手堅いマイルストーンの1歩だが、悪く言えばProject xCloudそのものの進展はなかった。数日前に発表されたGoogle Stadiaに対抗して、盛り盛りの内容を発表すると期待していた向きにはガッカリする内容だった。ただ、ブリーフィング後に行なわれたショウケースイベントでは、現在、Microsoft社員向けに行なわれているクローズドテストtakehome相当のものを実際に触ることができた。本稿では、E3で判明したProject xCloudの概要と、そのインプレッションを中心にお届けしたい。
まず、Project xCloudは、筆者の予想通り、Xbox Oneそのものを丸ごとクラウド化を目指したプロジェクトだ。PS4のクラウドゲームサービス「PlayStation Now」の発展系、PCにおけるNVIDIA独自のクラウドゲームサービス「GeForce Now」と同等のサービスで、Project xCloudは、Microsoftが持つAzureサーバーのテクノロジー、そしてXbox Oneそのもののパワーを活かして、場所、デバイスを問わず世界中で利用できるというところが大きな特徴となっている。
今回、実機デモでは、Xbox Oneワイヤレスコントローラーが直結されたSAMSUNG GALAXYで、「GEARS 5」、「Forza Horizon 4」、「Halo 5: Guardians」、「Halo Wars 2」、「Hellblade」といったタイトルを遊ぶことができた。挙動はXbox Oneそのもので、スマートフォンをモニターにXbox Oneを普通に遊んでいる感覚だ。見ただけではこれがクラウドだとはわからないだろう。
ただ、実際に手に取って遊んでみると印象は異なってくる。ひととおり試してみたが、気になったのはやはりレイテンシー(遅延)だ。「Halo Wars 2」のようなリアルタイムストラテジーなら十分行けるという感じだが、「GEARS 5」、「Halo 5: Guardians」、「Hellblade」といったFPSタイトルはややラグがキツくなり、「Forza Horizon 4」はハッキリ分かるレベルでドライビングフィールが異なり、曲がれるカーブが曲がれなくなる。正直厳しい。
もっともこれは、過去、あるいは現行のクラウドゲームプラットフォーム共通のプレイフィールで、現段階ではProject xCloudもまたクラウドゲームの課題を克服できていない、というだけの話だ。
筆者は「Xbox E3 2019 Briefing」後に行なわれたショウケースイベント後もちょくちょく足を運んで、一般のゲームファンがプレイする姿を注意深く観察していたが、やはり多くの人は首をかしげていた。よくよく見ると、バッテリーが持たないためか、常にUSB接続の携帯型充電機に接続されたり、レイテンシーをカバーするためにスマートフォンなのに有線接続されているケースもあった。ここまで来ると、そこまでしてわざわざクラウドで遊ばなくてもいいじゃないかと言う気になるが、「Xbox E3 2019 Briefing」での消極的な発表は、こうした現状を踏まえてのものだと思う。つまり、Microsoftが考えるクラウドゲームのビジョンに、現実のテクノロジーが追いついていないわけだ。
Project xCloudについては、今回「Xbox E3 2019 Briefing」でPhil Spencer氏が発表した以上の情報はなく、個別のインタビューやブリーフィングもないため、「Console Streaming」がどういう内容で行なわれるのかもわからない。ただ、1つ確実に言えそうなのは、当初計画されていたAzureベースのxCloudサーバーとスマートデバイスを繋ぐ形でのクラウドサービスはひとまずペンディングにする、あるいは限定的としたままで、まずは自宅のXbox Oneとスマートデバイスによる接続でノウハウを積み重ねてから、Xbox OneやWindows PCをクライアントとしたクラウドサービス、そして満を持してxCloudサーバーとスマートデバイスを繋ぐ、真の意味での“xCloudサービス”という具合に、細かくマイルストーンを設定して、5Gをはじめとしたレイテンシーを最小化できるテクノロジーが普及するまでの時間を稼ぐ戦術に方向転換したのではないかと思う。
いずれにしても、Project xCloudは、XboxあるいはMicrosoftのエンターテインメントビジネスにおける本流を目指すものではなく、“選択肢の1つ”に留まるとみられる。ちなみに今回のデモでは720p/30~60fpsの出力に留まっていた。MicrosoftはProject xCloudのクオリティをどの程度に設定するのか明らかにしておらず、これが正式サービスでのクオリティを意味するものではない。ただ、次世代Xbox「Project Scarlett」が目指す水準が4K/120fpsだということを考えると、かなり控えめのクオリティで、最終的な着地点をどこにするのか、今後も模索が続きそうだ。






























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