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茨城eスポーツ国体「GT SPORT」茨城代表が決定!
最速タイムの17歳に「ワールドツアー」出場者、トップレベルの実力者が集う
2019年4月1日 11:56
第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラムとして実施予定のeスポーツ大会「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」。その1部門となっているプレイステーション 4「グランツーリスモSPORT」の予選会「茨城県 特別先行予選大会」が3月31日に実施された。
「茨城県 特別先行予選大会」は、茨城県在住者を対象とした特別予選会。通常は4月1日より実施となるオンライン予選を勝ち抜き、さらにオフラインでの都道府県代表決定戦を勝ち抜くことで本大会への出場が決定するが、「茨城県 特別先行予選大会」はこの日を勝ち抜けばいきなり本大会への出場権を獲得できる。つまり、開催県ならではの特別出場枠を決めるための予選会といったところだ。
大会は6歳から18歳未満を対象とした「少年の部」と、18歳以上が対象の「一般の部」の2部門がある。この日の予選会では下は6歳から、上は60歳代と幅広い年齢層が会場に集った。そのため会場には家族連れの姿も多く、特に10歳前後の少年がプレイしているときは、家族がモニターと操縦席の後ろに集まって囲むようにして応援する様子も見られた。代表決定戦に向けて緊張感は徐々に高まっていったが、大方はとても和やかな雰囲気で進んでいったように感じられた。
サッカー部でリアルカーレーサーが少年の部で優勝!
大会は、まず鈴鹿サーキットでのタイムトライアルで上位者を決め、少年の部、一般の部の各上位20名ずつがレース予選に進んでいった。レース予選では富士スピードウェイが使用され、10名のレースを2回実施。それぞれの上位5名を合わせた合計10名によって決勝レースが実施された。この決勝レースの上位2名が本大会への出場権を獲得できる。
周回数は5周、使用車種はGr.3クラス、使用タイヤはレーシングハード、BoP有効、セッティング禁止、スタート方式はローリングスタート、スリップストリームはリアル、ブースト無効というルールで行なわれた。
少年の部を勝ち抜いたのは、17歳の箕輪卓也選手と11歳の小林陽樹選手。特に箕輪選手は、一般部門を含めたタイムトライアル予選で最速の成績(1分59秒833)を収めた実力を誇る。
高校でサッカー部に所属する傍ら、整備士の父の影響で「グランツーリスモSPORT」を始めたという箕輪選手は、休日にはリアルのカーレースも嗜む。「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」が開催されると知ってから、この日の予選に照準を合わせて毎日2時間の練習を続けていったそうだ。
この日の決勝レースで箕輪選手が選んだ車種はポルシェの911 RSR(991) '17。選んだ理由は「触った感触がリアルの車と挙動が似ていて扱いやすかったから」というもので、実際のレースでもポールポジションから安定したコース取りで1位をキープ。練習とリアルカーの経験が思い切り発揮され、その勢いのまま本大会への出場を決めた。
その箕輪選手に危なげなく付いていったのが小林選手だ。中学生以上の出場者が中心となり、レース中はコースを外れてペナルティを受ける選手もちらほら見受けられる中で、上位2名のレース展開は終始安定していた。
少年の部とはいえタイム的にも展開的にもトップレベルの走りぶりは、実況を務めたレースアナウンサー中島秀之氏も「普段実況している世界選手権と何ら変わりない」という言い回しで讃えたほど。なお小林選手の夢は、中島氏のようなレースアナウンサーになることだそう。本大会でもぜひ活躍を期待したい。
ワールドツアー経験者が巧みなレース展開で魅せた一般の部
一般の部で本大会出場を決めたのは、22歳の綱島優太選手と20歳の植木俊輔選手。綱島選手はこの春から新社会人になる22歳、植木選手は専門学校に通いながら「グランツーリスモSPORT」を練習してきた20歳だ。
中でも注目は1位で本大会出場を決めた綱島選手。綱島選手は、FIA公認の世界大会「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」において、この3月に開催された「ワールドツアー パリ」に出場したばかりの折り紙付きのトップドライバーだ。
綱島選手は自動車メーカーと契約する「マニュファクチャラーシリーズ」において、BMWチームのメンバーとして出場。3人いるメンバーの1人として、チームを4位に導いた。
普段から「速い人たちと走っている」という綱島選手は、今回の最終レースではシボレーのコルベット C7 Gr.3を選択。多くの選手がアウディのR8 LMS '15を選ぶ中で珍しい選択だったが、「速さだけで選ぶならアウディだが、抜かれないこと、レースに強い車を意識しながら、なおかつストレートが速い車がいいと考えた」とレース展開を見越した上での選択だったという。
実際、レースは綱島選手が先導する形で展開。R8 LMS '15を選択した植木選手がポールポジション、綱島選手は2番手からのスタートだったが、スタート直後の最初のコーナーで植木選手のブレーキングが遅れると、その隙を突いて綱島選手が首位になる。
トップドライバーだけに綱島選手の1人旅になるかと思われたが、植木選手はシボレーの後ろにぴったりとくっついて離れない。離れないことで、最高速度で分があるアウディにはホームストレートで逆転のチャンスが生まれてくる。
植木選手にそのチャンスがやってきたのは2周目の終わり。綱島選手との差コンマ3秒で最終コーナーを回ると、スリップストリームと性能差でぐんぐん距離を詰める。スピードに乗ったアウディが頭を前に出し、ついに抜いたかと思った直後、内側に付けたシボレーが巧みに幅を寄せて思うようにコーナーリングをさせない。綱島選手はコーナーを先に回って、再逆転を果たした。
植木選手のアウディは逆転のチャンスを常に伺っていたが、「抜かれないこと」を目標とした綱島選手のブロッキングがそれを上回っていた。
綱島選手を始めとした4名の選手は、本大会への出場者第1号となる。4月1日からはオンライン予選がスタートし、全国の猛者が続々と集うことが予測される。この先どんなレースが展開されるのか、今から楽しみだ。