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「WESG」日本予選「Vainglory」部門、「GGNEWtype2nd」が永遠のライバル「ViVianne」を下しグランドファイナル進出を決める

2月10日 開催

 Android/iOS用MOBA「Vainglory」において、中国アリスポーツが主催する「WESG(World Electronic Sports Games) 2018-2019」への出場チームを選定する日本予選決勝大会がヨシモト∞ホールにて2月10日に開催された。

 「Vainglory」はかつてほとんどのMOBAタイトルが5人対5人のルールを採用するなか、モバイルに特化した3人対3人のルールを採用する珍しいタイトルだった。そうしてローンチ以来3v3ルールのMOBAとして独自の成長を遂げていたが、2017年12月にはより広いマップ、より多い人数でのゲームプレイに耐えうるゲームエンジンの開発とモバイル端末の進歩をきっかけとして「5V5モード」の実装を発表

 さらに2017年の世界大会「「Vainglory World Championship 2017」」では今後の公式ルールとして「5V5モード」をメインに据えていくということを明かし、3v3ルールでの公式大会は最後になることが告げられた。

「5V5モード」を紹介したSuper Evil MegacorpのCEO、Kristian Segerstrale氏(写真は「Vainglory World Championship 2017」の時のもの)

 「ゲームの参加人数が増える」、「マップが倍ほど広くなる」というのはゲームをより面白く、より深いゲーム性を付与したことは間違いない。しかし、特にチーム人数の増加はプロシーンにおいて多大な影響を及ぼす。ロールやメタ(ゲーム内戦略)はガラリと変わり、それぞれに適した選手を獲得するのは容易なことではないだろう。その影響もあってか2017年に日本代表として世界大会に出場した「DetonatioN Gaming」は解散し、さらに2018年中には例年のような大々的な世界大会は開催されなかったのである。

 そんな流れのなか行なわれた、中国の一大eスポーツ大会「WESG」に連なる日本予選。「Counter-Strike:Global Offensive」や「ウイニングイレブン 2019」と並んで開催された「Vainglory」部門のオフライン決勝には、オンライン予選を勝ち抜いた「ViVianne」と「GGNEWtype2nd」が出場し、「WESG」本戦出場と賞金20,000USドル(約220万円)をかけて争った。

ViVianne
GGNEWtype2nd

 「ViVianne」は3V3時代に発足した古豪のチームで、後に「DetonatioN Gaming」にメンバー全員で移籍。解散を経て再びチーム名を「ViVianne」に戻し、オフライン決勝に臨んだ。一方の「GGNEWtype2nd」は国内で元「DetonatioN Gaming」に繰り返し煮え湯を飲まされて来たものの、2018年の「Vaingloryプレミアリーグ東アジア」では4位の戦績を残している。

 正直に告白すると2017年以来少々「Vainglory」の競技シーンから離れていた筆者がまず驚いたのは、「GGNEWtype2nd」にかつて「DetonatioN Gaming」でキャプテンを務めていたViViQIZ選手が移籍していたことだ。ViViQIZ選手は病気の療養のため一時「Vainglory」から離れており、復帰後に新たなチームへの移籍を決めたとのこと。かつて肩を並べた選手が強烈なライバル関係にあったチームに移籍し、戦うというのは非常にドラマティックであるし、今大会は久しぶりの日本でのオフラインイベントということも手伝ってか、ヨシモト∞ホールには多くのファン、そして「Vainglory」プレーヤーが詰めかけ、立ち見がでるほどの大盛況となった。

会場は超満員。熱気が満ちていた
この日解説を務めたSTR1125氏と、実況のyamanobeds氏

日本代表の座をかけて、1歩も譲らぬ白熱の試合が展開!

 試合の結果は先にお伝えしたとおり、「GGNEWtype2nd」が「ViVianne」を下し、グランドファイナルへの切符を勝ち取った。試合はBO3(2本先取)で行なわれたが、1戦目は「GGNEWtype2nd」が序盤から有利を築き、まず1勝を獲得。特に集団戦の仕掛けや寄りの速さ、判断の速さが光り、チームとして仕上がっていることを感じさせた。

1試合目のピック
終盤のブラッククロー前での勝利が試合を決めた

 続く2試合目では「ViVianne」が冴える。キル数こそ途中までは拮抗していたが、「ViVianne」は「ブラッククロー」を始めとしたオブジェクティブ(タレットやドラゴンなどの目標物)を的確に抑えていき、最後はブラッククローの圧力を背景に「GGNEWtype2nd」に襲いかかり、キャリー陣を文字通り"消滅"させて勝利をものにする。

2試合目のピック。ヒーロー構成はちょうど1試合目と真逆のような形に。ViViQIZ選手の得意ヒーロー「ランス」が大会で久しぶりに見られた
最後はブラッククローとともに「GGNEWtype2nd」に襲い掛かり、勝利をもぎ取る「ViVianne」

 そして迎えた3試合目。互いの意地がぶつかりあう最終試合は、各チームともに慎重に、慎重に試合を進めているのが傍目から見てもよくわかった。ただ、疲労からか緊張からか、ファインプレイのあとのオーバーステイ(リコールして態勢を整えるべきところを、その場に残って倒されてしまうこと)なども目立ち、試合はオブジェクティブやキルを取って取られて、先の全くわからない展開となった。

 試合を決めたのは終盤、ゴーストウイング前の攻防だ。先にゴーストウイングに手を出した「GGNEWtype2nd」を止めようと迫る「ViVianne」だったが、小競り合いでアーダン(ViViMercy選手)のULT「ガントレット」が不発に終わると、「GGNEWtype2nd」は再度「ゴーストウイング」に手をかける。

 再びそれを阻止しようと近づいてきた「ViVianne」に対し、ジュール(ViViQIZ選手)のULT「ビッグレッドボタン」が突き刺さり、ここで「GGNEWtype2nd」は2キルを獲得。リスポーンまでの時間を利用してブラックウイングを無傷で獲得し、そのまま勝利を手にした。この結果により、「GGNEWtype2nd」は2-1で勝利。日本代表の座と賞金を手にした。

3試合目のピック。「アーダン」や「ライラ」、「セレス」などがこの日のメタだった
ゴーストウイング前の攻防で勝利する「GGNEWtype2nd」
ブラッククローを無傷で取得し、圧殺。この勝利で日本代表の座を手にした
試合後、互いの健闘を称え合う両チーム
勝者の涙と敗者の涙。その意味は残酷にも大きく異なる

 試合後、「GGNEWtype2nd」のViViQIZ選手は「試合の流れ自体はチームで考えて共有することができたが、"行くか行かないか"のミスも多かった」と試合を振り返り、「本戦までは3週間少々しかありませんが、短い期間で直せるところはしっかり直して、万全の状態で試合に望みたいと思います」とその意気込みを語ってくれた。

 長年のライバルを打ち破り、世界大会へと駒を進めた「GGNEWtype2nd」。彼らが世界を相手にどのような戦いを見せてくれるのか、楽しみだ。