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PUBG、「PUBG eSports Conference」で今後のeスポーツ展開が明らかに

選手報酬、ランキングポイント、大会運営など気になる話を井上室長に聞く

9月21日発表

 韓国Blueholeの子会社PUBG Corporationは9月21日、東京ゲームショウにおいてプレスカンファレンスを開催し、同社が展開する「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」の日本展開について様々な発表を行なった。具体的な発表を行なったPUBG Corp TOKYO OFFICE室長の井上洋一郎氏への取材で得た内容も交えながら詳細をお届けしたい。

PUBG Corp CEO キム・チャンハン氏
DMM GAMES 最高経営責任者 片岸憲一氏

 発表会にはPUBG Corp CEOのキム・チャンハン氏、日本のチャネルパートナーであるDMM GAMESから最高経営責任者 片岸憲一氏が登壇し、ステージ上で固い握手を交わしながら両社のこれまでの取り組みについて語った。

 PUBG Corpとしての今年最大のイベントとなった初の公式世界大会「PGI2018」は各リージョン代表20チームが、ドイツベルリンのメルセデスベンツアリーナに集い、全世界で同時接続1億人の視聴者を集めるほどの人気を集めた。

 一方、DMMは国内唯一の公式リーグPJSを主催し、2~3月にαリーグ、4~6月にβリーグを行ない、徐々に視聴者数を増やし、スポンサーも増やす形で実施された。

 そして、いよいよ9月22日より、満を持して正式な公式リーグPJSが開幕する。αリーグ、βリーグと同様、出場選手達にはファイトマネーが支給され、名実共にプロとして扱う。ドン勝やキルランキングで上位を収めることでインセンティブが支払われる。井上氏によれば、その金額についてはDMMと競技中ながら、PUBG Corpからも支援金を支給する形で、α/βリーグよりも増額する方向性で検討しているということで、プロチーム/選手にとっては従来よりはプロとして活動しやすい体制が整うようだ。

固い握手を交わす両者。両社のパートナーシップは今後も継続される

【「PUBG」のこれまでの取り組み】

PUBG Corp TOKYO OFFICE室長の井上洋一郎氏

 PJSの開催スケジュールは、3~5月、6~8月、9~11月の年3シーズン制。2018年は9~11月の1シーズンのみだが、2019年からは3シーズン制に移行し、その締めくくりとして12月にワールドチャンピオンシップが開催される。

 そしてここからが怒濤の新展開となるが、PJSをTier1の最上位リーグに位置づけつつ、同時にTier2、Tier3ランクの大会も主催、共催、公認、様々な形で実施していく。毎月何らかの大会があるような状況が想定されており、プロやプロを目指す選手達にとってはより多くの大会出場機会が得られるようになるようだ。

 これら公認大会と、オートマッチングの野良ゲームとの最大の違いは「PUBG Ranking Point(仮)」が付与されるか否かだ。リアルスポーツのプロツアーと同様、Tierが付与される大会で上位に入賞すると、ランキングポイントが付与され、そのポイントの累計値が、ワールドチャンピオンシップ出場権の唯一の物差しになる。

 このため、PJSではグレード1ですらないチームでも、Tier2/3の大会に小まめに出場してポイントを稼ぐことで、日本代表としてワールドチャンピオンシップに出場できる可能性が出てくる。逆に言えば、PJSだけに出てグレード1で1位になっただけでは、世界大会への出場は決まらない。そういう風になるようだ。

 また、PJSではこれまでSQUAD戦のみが公式大会とされてきたが、今後はSOLO/DUO大会も開催され、PJS グレード1に出場するようなトップ選手ら参戦するSOLO/DUO大会が数多く開かれるようになるようだ。

【「PUBG」の今後の展開】
年間3シーズン制へ
PJS以外にも多くの大会を実施
PUBG Ranking Point(仮)システムを導入
SOLO/DUOの大会も開催

 Tier2/3大会については、PUBG Corpがすべて新設するわけではなく、既存のアマチュア大会やコミュニティ大会などを公認大会化してサポートする方針。公式パートナーのShoboSuke氏が主催する「DONCUP」なども、ポイントが付与される公認大会になる可能性があるということで、アマチュアチームもポイントを稼ぎ、プロに近づく道が用意されることになるようだ。

 一方、PJSを牽引するトップチームに対しては、PGIで試験的に実施された、チームロゴをあしらったデジタルアイテムを販売することで、その売り上げをチームとPUBG Corpとでシェアするモデルも取り入れる。これによりチームや選手が収入を得られる機会を提供する。

 また、プロの実況解説者への道を開く施策として、PJSを始めとした公式大会のミラーリングを公式に認める。これにより、たとえば、Oooda氏やSHAKA氏に代わって、自分の配信で自身が解説を行ない、それを「PUBG」ファンに観て貰う、ということが可能になる。おもしろければ口コミで広がり、人気配信となれば、各種イベントや公式大会で実況解説者として呼ばれる機会もあるだろうし、夢のある施策と言える。

 まとめると、今後、「PUBG」は、PJSが正式スタートするだけでなく、それ以外の公式大会も同時平行して実施され、大会数が増えると同時に、観戦機会も倍加することになる。また、ミラー配信が公認されたことで、誰でもPJSの実況解説配信が可能となる。競技シーンにおいては、ランキングポイントが導入され、プロ/アマを問わず、誰でも公認大会で上位に入賞することでポイントが稼ぐことができ、ポイントをどのチームより稼ぐことで世界大会への道が開かれる。

【コミュニティやオーガナイザー、チームへの支援施策】
コミュニティ大会を公認化
オーガナイザー支援も強化
トップティアチームにはデジタルアイテムによる収益化を提案
最終的にファンが喜び、観たくなる大会へ

 「PUBG」は、βテストの段階から、プレーヤーやコミュニティを重視する姿勢を明確にしてきたが、今回の発表はeスポーツシーンにおいても、同様に重視する施策を明確化したという印象だ。

 最後に、「PUBG」eスポーツの最終目標となる世界大会についてだが、PGIの経験を踏まえて現在検討されているのは、16チーム化だという。つまり、20から16へ、4つ枠が減ることになる。「PUBG」では、もともとeスポーツをはじめるにあたって仕様上の上限である25チームから20チームに減らした経緯がある。これは単純に安定的な大会運営を目的に行なわれたものだが、現在検討されている20→16は、実況解説の質の向上を目的としたもので、16チームにすることで、全チームに目の届く実況解説が可能になる、という考え方から来ているという。

 PJSでは今のところ20チームから変えるつもりはないというが、国際大会での16チーム化はほぼ確定ということで、PGI 2018で2枠あった日本の枠は1枠に減らされる可能性が高い。2019年も「PUBG」にとって激動の1年となりそうだが、まずは明日9月22日より開幕となるPJSをじっくり楽しみたいところだ。

選手/チーム、ファン/プレーヤー、オーガナイザー/パートナーの3者が幸せになれるように