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ビデオカードの雄ZOTAC、日本法人“ゾタック日本”の設立を正式発表

ゲームからeスポーツ、ロケーションVR、IoTまで、社会の様々な領域にリーチ

9月12日発表

 香港ZOTACは9月12日、同社の日本法人となるゾタック日本(ゾタックニッポン)の設立発表会を都内で開催した。

 ZOTACは、PCゲーマーや自作PCユーザーにはお馴染みのPCブランド。香港のPCパーツ製造会社PCPartnerを親会社に持ち、2017年からはゲーミングブランドZOTAC GAMINGを立ち上げ、ビデオカードやゲーミングPC、ロケーションVRで活用されているバックパックPCなどをグローバルで販売するなど、ゲームファンにもお馴染みの存在だ。

【ゾタック日本】
【ZOTACの取り組み】
NVIDIAの公式ビデオカードパートナーとして成長を遂げたZOTAC。現在は、ビデオカードのほか、PCやSSD、VRなども手がけている

 今回日本法人ができたことで、これまで日本では正規代理店を通じて部分的に扱われてきたゲーミングギアが日本法人としての取り扱いに変わるため、より手に取りやすい存在になるということと、ZOTACグループとして力を入れているデジタルサイネージ向けのソリューションやデザイナー・クリエイター向けPC、IoT/AI向け小型PCなど、ノンゲーム系のハードウェアにおいても順次日本で取り扱いを行なっていく。

 すでに日本で取り扱っている主力商品であるビデオカードについては、特に何か変化があるわけではないが、今後ゾタック日本として、直接eスポーツイベントの開催や協力を強化していく見込みで、ゲームファンの間では、確実に存在感が増していきそうだ。GAME Watchでもレポートしたように、ZOTACは、オンラインeスポーツプラットフォームZOTAC CUPや、そのオフライン版であるZOTAC CUP MASTERSを通じて、eスポーツを積極的に支援しており、その波が今後日本にも押し寄せて来ることが予想される。

【ゾタック日本のミッション】
ゲーミングから“社会”まで。ゾタック日本がターゲットとする領域は驚くほど広い

 発表会には、ZOTAC PresidentのTony Wong氏をはじめ、Global Marketing DirectorのChinny Chuang氏、そしてAPAC Sales Directorで、ゾタック日本の代表取締役社長を兼務するJames Liu氏ら幹部が顔を揃え、日本はグローバルの中で重要なマーケットであり、主力のゲーミングのみならず、AIやビッグデータ、クラウドコンピューティングといったBtoB向けのビジネスも今後拡大していく意思を表明した。

【ZOTACスタッフ】
発表会には香港からZOTACの幹部が詰めかけた
【登壇者】
ZOTAC PresidentのTony Wong氏
ZOTAC Global Marketing DirectorのChinny Chuang氏

 今回の発表会で特に新製品の発表は行なわれなかったが、ゲーム関連で目玉商品と言えそうなアイテムが2つ出展されていた。

 1つは9月20日にグローバルで同時発売となるNVIDIA GeForceの新製品GeForce RTXシリーズの実機が展示されていたことだ。GeForce RTX 2080搭載の「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 AMP」と「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 TWIN FAN OC」の2モデルが出展。モックではなく実機で、PCに刺せば使えるものだという。9月20日は、日本でも深夜販売が行なわれる予定で、ZOTACのビデオカードもツクモをはじめとしたパートナー店舗で、並べば購入できる当日販売が行なわれる予定だ。

【ZOTAC GAMING GeForce RTX 20シリーズ】
ZOTAC GAMINGのGeForce RTX 20シリーズカードは、複数のファンが熱を自動検知して動的に回転数を変えるアクティブファンコントロールによって省電力化が図られつつ、さらに基板部にメタルジャケットレイヤーを採用したり、ヒートシンクを改良したことで冷却性能が向上しているという

 そしてもう1つは、ゲーミングPCだ。ZOTACは、2017年よりZOTAC GAMINGブランドで、コンパクトサイズのゲーミングPCを複数取り扱っている。スリム、ミニ、ボックスなど、用途に応じて様々なタイプが存在するが、コンパクトな筐体に高性能を詰め込んでいる点では共通している。

 今回参考出展されていたのは、フルタワーケースをそのままコンパクトにしたような、可愛いらしいゲーミングPC「MEK Mini Gaming PC」で、参考出展モデルではハーフサイズのGeForce GTX 1080を搭載していたが、現在GeForce RTX 20シリーズで開発を進めていることを明らかにした。発売時期は年内ということで、今後も引き続きコンパクトゲーミングに注力していく方針だ。

【MEK Mini Gaming PC】
ハーフサイズのGPUを採用し、コンパクトサイズを実現した「MEK Mini Gaming PC」。現在GeForce RTX 20シリーズ搭載モデルの開発を進めており、世界最速の発売を目指しているという

 発表会ではその後、識者による特別セッションが2つ行なわれた。コンシューマー向けでわかりやすい上記ゲーミングギアに対して、ゾタック日本を設立したZOTACとしての日本での新たなビジネス領域となるVRやIoTについて、ZOTACのハードウェアがどのような形で貢献しうるのか紹介された。ZOTACの日本での積極的な活動に期待したいところだ。

【そのほかの取り扱い商品】
バックパックPC
ミニPC「ZBOX」を使ったストリーマー環境の例
こちらは家庭向けのソリューション
【施設型VRを変革させるバックパックPC】
元奇術師で、現在はロケーションVRの第一人者として知られるハシラス安藤晃弘氏は「施設型VRを変革させるバックパックPC」と題したセッションを行なった。VR領域でもっともポテンシャルを発揮できる場として広がりを見せつつあるロケーションVRだが、あらゆるコストが高すぎて普及には至っていないという。そこで安藤氏は、バックパックPCを装着させてフリーローム空間に放り込み、仮想空間内ですべて完結させる新タイプのフリーローム型マルチプレイ「オルタランド」を提案すると共に、過渡期のVRデバイスとして、バックパックPCが現在最良のソリューションであることを強調した