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16年ぶりに第2次世界大戦に!「バトルフィールド V」オープンβテストレポート
歩兵あり、ビークルありのカオスなプレイはそのまま、圧倒的な進化を遂げた!
2018年9月11日 12:00
エレクトロニック・アーツは「バトルフィールドV」のβテストを9月4日から9月11日まで実施した。本稿では本ベータテストのインプレッションをお届けする。
「バトルフィールド」シリーズはスウェーデンのデベロッパーDICEが開発、エレクトロニック・アーツがパブリッシングしているFPSシリーズだ。2002年にシリーズ作品初の「バトルフィールド1942」が発売されてから、ベトナム戦争をテーマにした「バトルフィールド ベトナム」、現代戦をテーマにした「バトルフィールド2」、シングルプレイに重きを置いた「バトルフィールド バッド カンパニー」など、警察と犯罪者の戦いをテーマにした「バトルフィールド ハードライン」という多数のタイトルを送り出してきた。
DICEは野心的な試みをするデベロッパーで2002年という今に比べると遥かに貧弱なPCスペック、細い回線ない時代に、「バトルフィールド1942」では広大なマップでの最大64人のオンライン対戦、しかも戦車、航空機、戦艦、潜水艦などの多彩なビークルが登場するという、当時としてはかなり挑戦的な作品だった。
実を言うと筆者も「バトルフィールド1942」にかなりハマったくちで、文字通り寝る間も惜しんでプレイし、“史上最大の作戦”こと「オマハ・ビーチ」や、映画などでも描かれる「硫黄島」などの数々の戦場に身を投じてきた。
そんな「バトルフィールド」シリーズが、やっと、約16年ぶりに第2次世界大戦を舞台にして帰ってきてくれた。同じく戦争をテーマにしたFPSの「Call of Duty」シリーズもなぜか現代戦や未来戦をテーマにした作品ばかり発売され、第2次世界大戦ファンとしてはやきもきした日々を過ごしていたのだ。(「CoD」シリーズもやっと第2時世界大戦を舞台にした「CoD:WWII」を発売したが)。
政治的な問題や表現的な問題など、色々な事情はあるのかもしれないが、やはり筆者は第2次世界大戦をテーマにした作品が好きなのだ。現代戦はビークルが強すぎて歩兵の活躍の場が少ないし、第一次世界大戦はいささかアナログすぎる。そんなわけで第2次世界大戦ファン待望の作品で否応無しに期待は高まるというものだ。
これぞ「バトルフィールド」!あらゆる点で進化した第2時世界大戦に飛び込んだ!
今回のオープンβテストでは「Arctic Fjord」という雪に覆われたノルウェーのマップと、「Rotterdam」という市街地のマップをプレイすることができた。
「Arctic Fjord」ではグランド・オペレーション「ノルウェーの陥落」の第1、第2作戦日をプレイできたのだが、第1作戦日はドイツ軍が守る戦場に、イギリス軍が空挺降下で侵攻し対空砲の破壊を目的に、第2作戦日では拠点を構築したイギリス軍が防衛側のドイツ軍を押し込んでいき後退させるのが目的だ。
また「Arctic Fjord」、「Rotterdam」の両マップともに「コンクエスト」というマップの各地に設置された拠点の支配権を奪い合うオーソドックスなモードがプレイでき、両マップとも最大32人 vs 32人の合計64人のプレイヤーが1つのマップで戦うスケールの大きな戦闘を楽しむことができる。
選択できる兵科は4種類で、兵科は「突撃兵」、「斥候兵」、「衛生兵」、「援護兵」の4種類から選択する。それぞれ持っている武器やガジェットが異なり、それぞれの持った装備や特徴を生かして戦っていく。戦場には歩兵だけでなく戦車や航空機などのビークルなども登場し、歩兵とビークルが混じり合うカオスさは健在。
シリーズを通じて進化を続けてきた最新のゲームエンジンを使用した本作では、美しいグラフィックスはもちろん、攻撃を受けると崩れてしまう建物など、熾烈な戦闘が長引くに連れてビジュアル面でも戦い方の面でも変化するという点もまさに正当進化といった印象だ。
そして新しいポイントとしては「Fortifications」という新システムが登場した。決められた場所、オブジェクトという縛りはあるものの、土嚢や瓦礫を積んで遮蔽物を作ったり、板を使った簡素な足場を作ることができる。うまく使うことで敵の侵攻を遅らせたり、新たな侵攻ルートを作ったりと戦い方に幅が広がった。
また基本の兵科は先程挙げた4つだが、当然装備はカスタマイズできる。突撃兵であればダイナマイトを持って出撃してもいいし、「パンツァーファウスト」のような対戦車兵器を持って出撃しても良い。また1つの武器を使い続けることで武器を強化することができるなど、この辺りは昨今のFPSの流れをそのまま導入している印象だ。
個人的な主観として「バトルフィールド」シリーズはキルを取るゲームではないと思っている。「ノルウェーの陥落」の第1作戦日で言えば対空砲の破壊/防衛が、コンクエストモードで言えば拠点を占領することが目的なので、極端に言えば何度死んでも目的を達成できればそれはチームに貢献していると言える。
そこまでは極端としても最前線で戦う突撃兵と一緒に行動し、援護兵で弾薬を供給したり、衛生兵で蘇生させたり、とFPS初心者で撃ち合いが苦手でキルを取れなくても十二分にチームに貢献できるゲームなのだ。
ちなみにTwitterなどを見ていると「マップのバランスが悪い」といった意見を目にしたが、個人的には多少バランスの悪いマップがあってもも良いと考えている。史実の戦争でも圧倒的に不利な戦場があり、それを覆して劇的な勝利を収めた例はいくつもある。10回やって1回も勝てないくらいのバランスになるとどうかと思うが、不利な状況を覆すからこその面白さがあると思うのだ。
そんなわけで16年の時を経てハード・ソフト面で大きく進化して第2次世界大戦に帰ってきた本作は「これを16年間待っていたんだよ!」と言わせる素晴らしい出来だった。
といった具合で個人的には「バトルフィールド」シリーズで第2次世界大戦がプレイできるだけで1,000点満点くらいの作品なのだが、オープンβとはいえ気になる部分もあった。一番大きかったのは分隊システム関連だ。フレンドと分隊を作って参加しようとしたのだが、あるプレーヤーからは分隊に入っているように見えても、他のプレーヤーから見ると分隊に入っていないことになっていたり、同じサーバーに入っても分隊を移動できなかったりとバグらしい挙動があった。
またソロでプレイした時でもなんらかの分隊に所属するのだが、やはり野良では連携が取りづらい。本作では分隊長が「このポイントを守れ」のように指示を出すことができ、その指示通りに行動するとより多くのスコアが入手できるシステムがある。ビジュアル的にはかなりわかりやすく表示されるのだが、なかなか連携がうまくいかないときが多かった。またそもそも指示を出してくれない分隊長もいる。
また分隊長は超強力な支援兵器「V1ロケット」を要請することができ、使い方によっては戦況を覆せるほどの威力もあるのだが、有効に活用しているのを見ることは少なかった。
他にも同じ分隊員であれば兵科が衛生兵でなくても蘇生できるのだが、筆者がダウンして助けを求めているすぐ後ろで匍匐してスナイプに夢中になっている隊員を見たときは「お願い、助けて!」とチャットもしたが気づいてくれなかった。
詳細は発表されていないものの、「Firestorm」という分隊単位のバトルロイヤルモードがあるとのことで、これまでのシリーズ作品以上に分隊での活動が重要になりそうなので、公式サイトなどで分隊での動き方や指示の出し方などのアナウンスを積極的にしてほしいところではある。
もう1つ気になったのは1試合の長さだ。コンクエストモードでは1試合が40分近くになることもザラにあった。確かにMOBAやバトルロイヤル系のゲームでも1試合が長くなることはあるが、MOBAは後半になるにつれてキャラクターが成長していき試合展開が派手になっていったり、バトルロイヤル系のゲームでも活動可能エリアが狭まりアイテムも充実して緊張感が高まってくるなど、同じ40分でもゲームプレイに変化がある。
だが本作のコンクエストモードでは試合前半から試合後半まで、基本的に陣地を取って、守って、取られての繰り返しなので少し冗長に感じてしまう。あまり短くしすぎても面白みがないので難しいところだが、何かしらの調整に期待したいところだ。
発売日が約1ヶ月後ろ倒しになってしまったのが残念だが、これらの点を調整し他のFPSではプレイできない、文字通り最高の“戦場”を体験させて欲しいと思う。
オープンβの時点でも他のFPSでは味わえないプレイができた「バトルフィールド V」だが、ストーリーモードや、他の対戦用モードなどまだ情報が明らかになっていない部分もたくさんある。発売に向けてこれから多くの情報が公開されるだろう。発売が待ちきれない作品だ。