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いつでもRPGに取り組んできたレベルファイブと、僕らとゲームの。
「二ノ国IIレヴァナントキングダム」発売直前スペシャルコラム!
2018年3月22日 12:00
ここ数年、“日本のゲームならではの魅力”を持った国内メーカーのタイトルが海外から高く評価されるということが、ひと昔前よりも増えてきました。
世界で主流といえるフォトリアルとは異なるの方向性の表現。
日本のゲームシーンで育まれたRPGというジャンルの本質的な魅力。
そうした良さを持っているタイトルが特に高く評価されているわけですが、
思い返してみるとその流れの最初の兆しは、
プレイステーション3「二ノ国 白き聖灰の女王」が海外から高く評価されたことだったように思えます。
スタジオジブリの映像表現と久石譲氏による暖かな楽曲。
そして、日本のRPG特有の、じっくりと取り組める手触りの良さが融合したことで、
世界の他のゲームにはない、オリジナルな色を持ったRPGが生まれ、
そこが海外からも高く評価されました。
そして、3月23日にはその「ニノ国」の最新作「二ノ国IIレヴァナントキングダム」が発売されます。
というわけで、このコラムは、
「二ノ国IIレヴァナントキングダム」発売直前スペシャルコラム
と題しまして!
GAME Watchの週刊連載コラム「僕らとゲームの」で、いつもゲームについてあーでもないこーでもないと書いている僕こと山村智美が、「二ノ国」シリーズを手がけるレベルファイブのRPGについて、あれこれ書いていきます!
まぁ、箸休めみたいなコラムです(笑)。
「二ノ国II」発売を待っている間に気楽に読んで下さい。
さてさて、
そもそもレベルファイブというと、今では子供を中心に大人気な「妖怪ウォッチ」や「イナズマイレブン」などの看板タイトルをはじめ、「レイトン教授」シリーズもありますし、ジャンルや年齢層を問わず、幅広くタイトル展開している“パブリッシャー(ゲームを制作・販売する会社)”というイメージですよね。
ですが、ある程度年齢の高いゲームファンの人だとそのイメージよりも、主にRPG作品を制作するデベロッパー(制作を請け負う会社)というイメージもあるのではないでしょうか?
特に「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」や、「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の開発を手がけたことはよく知られていますよね。
そもそも、レベルファイブが設立されて最初に世に出た作品は、2000年に発売された「ダーククラウド」というプレイステーション 2用ソフトのRPG。これが海外で高く評価されたのが始まりでした。
……その出発点を考えてみると、海外で高く評価されたのは「二ノ国」が初めてなわけではないわけで、初めてではないどころか、スタートがそうだったわけで。「二ノ国」への高評価はレベルファイブにとって設立間もない頃のデジャヴを感じさせるものだったのかもしれないですね。
話を戻すと、その「ダーククラウド」を皮切りに、レベルファイブは多数のRPG作品を手がけていきます。
まずはデベロッパーとしてのRPGタイトルを挙げると、
「ダーククラウド」
「ダーククロニクル」
「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」
「ローグギャラクシー」
「JEANNE D'ARC」
「白騎士物語」シリーズ
「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」
このあたりになりますね。主に当時のソニー・コンピュータエンタテインメントや、スクウェア・エニックスから発売となるタイトルの開発です。
それからパブリッシャー、つまり自社でタイトルを販売する時代に入ると、
「ダンボール戦機」シリーズ
「二ノ国 漆黒の魔導士/白き聖灰の女王」
「ガールズRPG シンデレライフ」
「ファンタジーライフ」シリーズ
「妖怪ウォッチ」シリーズ
「スナックワールド」
と、だいぶバラエティ豊かになってターゲットにする年齢層などにも変化がありますが、実はいずれのタイトルもジャンル表記にはRPGという言葉があり、システムのベースも間違いなくRPGのそれなんです。
レベルファイブは設立当時から現在に至るまでずっとRPGを作り続けていて、特に日本ならではなRPGというもののノウハウを積み重ねている会社だったりするんですね。
そして、そのノウハウの積み重ねを最大限に発揮し、それが海外にも届いたのが「ニノ国」であり、間もなく発売される「二ノ国II」というわけです。
さてさて。どんなジャンルのゲームであってもそこには、その会社の“色”というものが出ます。“○○っぽさ”や“○○らしさ”、いわゆるカラーですね。
そこで、レベルファイブのRPGというもののカラーを改めて考えると、いくつか共通するものが見えてきます。
まずは“ビジュアルのこだわり”。
「ドラゴンクエスト」シリーズでは当時初めての試みだった、等身大の3Dグラフィックスに挑んだこと、一方で「妖怪ウォッチ」などのキャラクターの魅力を前面に打ち出すもの、アニメとのメディアミックス的な展開も多く、楽しそうな見た目というアプローチの上手いメーカーです。
そして何より「ニノ国」ではスタジオジブリと協力して、あの絵の味を持ったRPGに挑戦したというものもあります。それは「ニノ国II」にも引き継がれているところですね。
これはちょっとイメージにない人もいるかもしれませんが、レベルファイブは“チャレンジをよくやっている会社”というのもあります。
その印象を作っている代表格は「白騎士物語」シリーズだったりするのですが、「白騎士物語」はシングルプレイとオンラインマルチプレイの2つを持つRPGで、今でこそそういうタイトルは珍しくなくなりましたが、当時としてはかなりアグレッシブな挑戦に思えるものでした。
3DSの「ファンタジーライフ」シリーズなんかは、開発がブラウニーブラウンとハ・ン・ドなのでまたちょっと違った話にもなりますが、“シングルプレイで遊ぶオンラインRPG的なRPG”というものにかなり早い段階で挑んたタイトルです。しかも携帯ゲーム機で。
もちろん他の作品にも、結構システム面にアグレッシブなものを取り入れていたりと、ゲーム内容やゲーム性的に攻めてるものが多かったりもします。レベルファイブの万人向けなイメージとは裏腹に、ゲームシステムはわりとヘビーユーザー寄りだったりするんですよね。
おそらくそれは、レベルファイブ代表の日野晃博氏を筆頭に、スタッフさんたちにそういう人が集まっているからなのでしょう。にじみ出るのが隠しきれない、それがカラーというものですよね。
「レベルファイブのRPGは、イメージとは裏腹にコアゲーマー寄りなシステム重視」
そんなイメージがあるのですが、それは今回の「ニノ国II」にも言えます。
「ニノ国II」は、ジブリテイストを引き継ぐビジュアルと久石譲氏による楽曲という2つの柱があり、その柔らかな印象が表にあるわけですけど、その中に詰まっているRPGとしての作りには、コアなシステム重視な要素がたくさん見られます。
なかでもそれが出ているのは「バトルシステム」ですね。
RPGといえば戦闘のシステムがとても大事なわけですが、「ニノ国II」はRPG好きに向けているのが感じられる、要素たっぷり系。
今作は自由移動しながらアクション操作で戦うアクションRPGと言えるバトルになっていて、それも少し動ける程度のライトなものではなく、ガードや回避、さらにはジャンプの要素があり、敵の攻撃をよく見つつ攻撃するのがポイントになる、本格的なアクションバトル。
戦い方も、必殺技のスキルを駆使するのは基本として、バトル中に出現するフニャという精霊と連携して強化効果をつけてもらったり、フニャを吸収してフニャの属性を武器につけたりなど、かなりシステマチックな要素が入っています。
プレーヤーがちゃんと考えて戦略的に戦えるかどうかで、流れが大きく変わるタイプのやりがいと爽快感を併せ持つタイプのバトルになっています。
また、「ニノ国II」がそれらバトルをどれぐらいやりこんでいくものなのかは、「バトルイコライザー」というシステムを見ると想像できるようになります。
「バトルイコライザー」は、バトルでの戦い方や得られる報酬といったバランスを、プレーヤーが自分で調節できるというもの。
特定の種族に強くしたり、特定の属性や状態異常に強くさせたり、特定のアクションの性能を高めたり。それら全てを高めるというわけにはいかず、戦う敵や自分の戦い方に合わせていじるものになっています。
特に注目したい調節項目が、「敵を倒した時に得られるものの調節」。経験値を多く得られるようにしたり、ゴールドを多くしたりとありますが、その中には、
「レア素材のドロップを高める」なんていう調節もあるんです。
これ、RPGをそれなり以上に遊んできた人ならゾッとしますよね。
レアドロップ品を手に入れるために戦いまくるようなゲーム性があるんだろうなと思えるものですし、やり込むときにはこのバトルイコライザーを合わせて、がっつりプレイするべきなんだろうなというのも想像できるところです。
何かの目的を持ってバトルを延々としていくときには、こういうドロップ率アップの要素を併用するゲームが多いですが、「ニノ国II」ではそれをメニュー内にプレーヤーがいつでもいじれるものとして持っているんです。
作り手側からの「ひたすら戦いまくるときにはこういうの欲しいよね」っていう意図が見えるようなところ。
バトル周りの基本となる要素も、“プレーヤーが自分なりにスタイルを作る”というシステム重視、やり込み重視なものになっています。
装備の種類の豊富さ、装備する数そのものの多さがそうで、定番と言える武器、防具、アクセサリといった装備項目があるのはもちろんですが、キャラクターごとに2種類の武器を使用可能。近接攻撃と遠距離攻撃といったように攻撃方法を使い分けて戦うというものになっています。しかも近接攻撃の武器は、属性や性能の違う3つを装備できちゃいます。
主人公エバンは剣と杖を扱うキャラクターですが、青年のロウランであれば剣と銃であり、シャーティーは槍と弓。操作するキャラクター次第で戦い方が異なりますし、アクションの手応えも変わってきます。それに加えて、装備品の豊富さ、自分なりのスタイル作り、さらにおそらくはレアなアイテムを求めていくやり込みもありそうだという、がっつり系のRPGになっているんです。
「ニノ国II」っていうゲームの表面的な柔らかさやライトさからは想像ができないところですよね。でもその、ビジュアルの親しみと、がっつり遊べるゲームらしさという組み合わせが、いかにもレベルファイブらしいと思えるところだったりもするんです。
さてさて、いかがだったでしょうか?
レベルファイブというメーカーがひたすらにいろんな方向性のRPGを作ってきたこと、
ビジュアルの取っつきやすさを重視しつつも、実はシステム面ではチャレンジしまくりなアグレッシブさがあること、
そして、「ニノ国II」でもそれは同じで、バトルを中心にコアにやりこむための仕組みがごってりと入っているということ。
レベルファイブというメーカーの培ってきたカラーが存分に、むしろ溢れる感じで出ている「ニノ国II」。
GAME Watchでは、インタビュー、インプレッション、レビューなども掲載されるので、そちらもぜひご覧頂きつつ、
RPG好きな人にはぜひ「ニノ国II」をチェックしてもらいたいと思います。
では、良き「ニノ国II」ライフを!
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