ネクソン、「マビノギ」4周年記念イベント開催
4月16日に新規アップデート、4月30日には日本独自コンテンツ「NEKOJIMA」を実装

4月4日開催

会場:ラフォーレミュージアム六本木




 株式会社ネクソンは4月4日、東京・ラフォーレミュージアム六本木にてMMORPG「マビノギ」の4周年を記念したオフラインイベントを開催した。会場には抽選により選ばれた300名近くのユーザーが訪れた。

 イベントでは運営側から4月16日に実装される新アップデート「The Goddess of Light」の紹介と共に、4月30日に実装される日本独自の新フィールド「NEKOJIMA(猫島)」が発表された。「マビノギ」はこれまで韓国で実装されているコンテンツをローカライズしていたが、4年目で初の日本オリジナルコンテンツの実装決定ということで、ファンは大きく盛り上がった。

 加えて、クイズとミニゲームによるサーバー対抗戦が行なわれ、ユーザー達は張り切って参加していた。イベントの内容だけでなく、コンテンツの紹介にわかりやすくムービーを使ったり、コンパニオンの衣装がゲーム内に登場するNPCの姿だったりと、ゲームの世界を大事にした、ユーザーに楽しんでもらおうという姿勢の見えるイベントだった。本稿では、イベントの模様とアップデートを紹介していきたい。



■ ゲーム世界を大事にしたオフラインイベント。ゲーム大会はスキーとシーソーで大きく盛り上がる

ネクソン運用部ゲーム運用3チームチームリーダーの八木沢彰彦氏。新要素の紹介を行ない、ユーザーからの質問に答えた
ムービーで登場した羽根を持った女性。彼女が新しい女神なのだろうか
自作の「シリンダー」を披露するファン。作りが細かく、作品への思い入れを感じさせる
クイズ・ゲーム大会の総合優勝はキホールサーバー。ゲーム大会での追い上げがすごかった

 イベントには抽選で選ばれた300人近くのユーザーが訪れた。会場はマリー、タルラーク、ルエリ、モリアン、キホール、トリアナの6つのサーバーごとに席が設けられていてユーザー達は自分のサーバーの席に座っていった。会場前のホールでは待ち合わせをしていたユーザーも多かった。

 ホールにはゲーム内でも設置されている顔出し看板や、ユーザーからのイラストの展示、またポスターに使われたイラストなどが展示されており、イベント前のユーザー達はそれらを写真に撮っていた。受付のコンパニオンはゲームに登場する「ナオ」、「サキュバス」の恰好をしていた。これらは昨年行なわれた3周年記念イベントと同じフォーマットだが、ゲーム内の世界をイベントの細部にまで活かしているところは好感が持てた。

 イベントは新要素の発表やユーザーからの質疑応答、ユーザー参加型のゲーム大会というプログラムで進行した。司会は昨年のイベントに引き続き、声優の磯村知美さんが担当、ゲームのイベントキャラクター「ロナ」の姿で登場した。この衣装は彼女の自作のものだという。磯村さんは司会に加え、プレゼントコーナーでも自作のイラストを賞品にするという多才ぶりを発揮していた。

 4周年記念イベントは最初にこれまでを振り返るムービーが流れた。今までのアップデートに登場したNPCが次々と顔を出していく中、最後に黒い羽根を持つキツイ目つきの女性が大写しにされた。4月16日に実装されるアップデート「The Goddess of Light」のメインストリーム(展開するストーリー)では、“女神ネヴァン”というキャラクタが鍵になるという。彼女がネヴァンなのだろうか。

 ムービーの後登壇したのはネクソン運用部ゲーム運用3チームチームリーダーの八木沢彰彦氏と事業部マーケティング1チーム坂下智久氏。両氏によって今後のアップデート要素が語られた。アップデートの詳細は別項で紹介したい。特に日本オリジナル要素である「NEKOJIMA」の情報に関して、ユーザーの反応は大きかった。特にダンジョンの奥にあるという巨大な招き猫や、報酬として贈られるという猫の着ぐるみと、日本の甲冑のような鎧が出たとき大きく盛り上がった。「NEKOJIMA」導入を記念して追加されるペットの「ヒマラヤン」、「スコティッシュフォールド」も人気があった。

 質疑応答は事前に寄せられた質問に八木沢氏が答える、という形で進行した。寄せられた質問には不正対策やラグに関する質問が多かったという。八木沢氏は不正行為の監視は運営側でも取り締まっているが、ユーザーの報告など協力が必要であることを説明した。また、韓国で実装されているBOTの疑いがあるキャラクターにプレーヤーがクイズを出し、答えられなければそのキャラクターがペナルティーを受けるという「クイズ爆弾」は、日本ではプレイを阻害しハラスメントになる可能性もあり、実装を見合わせている。不正対策プログラムに関しては導入の予定で検討を進めているとのことだ。

 また、ユーザーから提案があったイベント妨害をするユーザーの問題に関しては、第1段階として「NEKOJIMA」の桜の咲く会場に対策を盛り込むとのこと。こちらは実装してからテストしていくという。デザインコンテストに関しては、昨年のコンテスト入賞作はアップデートが実装された後、5月の下旬からの実装を予定していること、今年も実施する予定であることが発表された。また、タイアップ企画も「できれば年内にもう一度やりたい」とのこと。この他、運営に対する応援メッセージも読み上げられた。

 サーバー対抗のゲーム大会は「○×クイズ大会」と、「ミニゲーム大会」の2つが行なわれた。順位に応じて得点が加算され、優勝したチームには猫の着ぐるみアイテムの耐久力が増す、というものだ。特別なアイテムではなく耐久力が増すというのは大きな特典に思えないが、特殊能力を付与する「エンチャント」を行なう場合耐久力が減ってしまう場合がある。耐久力のあるアイテムはコアプレーヤーにとって、たっぷりエンチャントできる魅力的な材料だという。

 ○×クイズ大会は最初全員が席を立ち、間違った人は座り、残った人数を競う、という形で進行した。最初から「書店のアイラのお父さんはバルターである」、「吟遊詩人のネイルが持っている楽器はリュートである」などなど、ゲームをある程度やりこまないとわからない問題が出題された。特に「ダンバートンのNPCは11人である」という普通にプレイしていてはわからない難問で多くの人が脱落。草の絵だけを映し出して「これはイメンマハの草です」など、運に頼らなくては正解しないような問題も出題された。優勢だったサーバーの人達が1問でみんな座ってしまったり、1人のプレーヤーが何問も踏みとどまったりと、大きな盛り上がりを見せた。

 ミニゲーム大会は「シーソー」と、「スキー」の2つが行なわれた。シーソーは2人のプレーヤーが両端に立ち、着地した瞬間クリックすることで相手を高く跳ね上げることができる。交互にタイミング良く跳ねていけば高さがどんどん上がるというものだ。スキーはキーボードでスキーを操作スペースキーでエッジを効かせるという、テクニカルなゲームである。どちらも期間限定のイベントで実装されたシステムだ。シーソーは選ばれたプレーヤーが挑戦したが、スキーは希望者が自由に挑戦することができた。

 多くの人が競技者の後ろで応援しPCの画面はほとんど見えなくなってしまったが、いつもはゲーム内の風景を中継している「カメラガール」が出張し、中継をしてくれたおかげで会場内のユーザーすべてが大会の進行を把握できた。クイズ、ゲーム大会の総合得点では1位キホール、2位モリアン、3、4位は同点でマリーとトリアナ、そしてタルラーク、ルエリという順位になった。来場者にはそれぞれ猫の着ぐるみの衣装セットが贈られ、順位に合わせて耐久度が高く設定されることとなった。前回のイベントでもゲーム大会は行なわれ、そのときは選ばれたプレーヤーのみが参加できたが、今回のスキーでは誰でも参加可能、というところに工夫を感じた。

 最後に行なわれたプレゼント大会では、1人のユーザーが自作の「シリンダー」を披露。前回のアップデートで追加された「錬金術師」が使う武器で、錬金術を象徴するアイテムである。その出来の良さに会場中から驚きの声が上がった。プレゼントでは磯村さんの色紙や、発売前のフィギュアもプレゼントされた。フィギュアは発売後に当選者の元に届くという。

 全体的にユーザーを楽しませよう、というスタッフの想いが伝わるイベントだったと思う。一方でユーザーは椅子に座っている状況が多く、もう少し自由に交流を楽しむ機会もあった方が良いのではないかとも感じた。また、少しでも会場からの質問に答える機会があっても良かったのではないだろうか。ユーザー達は集まった機会をイベント後、ギルドやコミュニティーなどで独自のオフ会を開き、交流していたようだ。

 メーカーが開催するオフラインイベントの中には、実質的に「限定グッズの販売」になってしまい、ユーザーは列に並んでいるだけというものもある。そういったメーカーに比べ、コンテンツとゲーム内システムを使ったユーザー参加イベントを企画し、ユーザーに対してきちんと楽しみを提供している今回のイベントは好感を持った。来年の開催はまだ発表されていないが、ユーザーをきちんともてなす姿勢を今後も継続していって欲しい。


左から、ネクソン事業部マーケティング1チーム坂下智久氏。司会を務めた声優の磯村知美さん。右は受付やアシスタントで活躍したサキュバスの姿のコンパニオン。この他にも、複数のコンパニオンが、ナオとサキュバスの姿でファンを出迎えた
マニアックなクイズと、イベントで使われたゲームを利用してのサーバー対抗戦。ユーザー達は話し合いながら、挑戦していた
会場入り口ホールではイラストなどが展示されていた。イベント前後でユーザー同士が交流することができたが、もう少し機会を作ってあげても、とも感じた


■ 新たな女神が鍵を握るストーリー、馬上試合など新要素盛りだくさん。猫づくしの「NEKOJIMA」ではユーザーイベントへの対応も

「The Goddess of Light」の中心となる王都タラ。王城はまだ未実装だという。さらに次の大型アップデートで実装されるのだろうか
猫ダンジョンの奥にあるという招き猫。会場のからは驚きの混じった笑い声が上がった
アップデート期間中に開催されるイベント。これまでのイベントを踏襲したものだが、報酬は変わってくるという

 今回のイベントで発表されたアップデートは4月16日に実装される「The Goddess of Light」と、4月30日実装予定の「NEKOJIMA」である。「The Goddess of Light」は韓国では2008年の12月に実装されているが、「NEKOJIMA」は日本オリジナルのコンテンツとなっている。

 「The Goddess of Light」ではこの世界の王都タラが実装される。城壁に囲まれた都市で、これまで以上に大きな場所となりそうである。各町にあった銀行の本店や、各地にあった“ライミラク教”の教会の総本山である法王庁がある。展開するメインストリームでは「モリアン」、「マハ」に続く新たな女神「ネヴァン」が登場する。物語の過程である人物の過去が明らかになるということで、前回までのメインストリームを進めたコアプレーヤーには特に気になるところだ。

 タラ独自の要素として「トーナメント」が実装される。このトーナメントではプレーヤーは馬に乗り、槍を持って馬上試合を行なうことになる。馬上試合ではプレーヤーはW、A、S、Dのどれかのキーを選び、相手とぶつかる。何度かぶつかり、相手の体力を0にした方が勝ちとなる。キーにはそれぞれジャンケンのような相性があり、同じキーは次には使えない、2つのキーに勝てるものもある、といったルールもあり相手のキーを読み合う戦いになる。このトーナメントは日曜を除く毎日行なわれており、日曜には各曜日で2回戦以上勝ち進んだプレーヤーが参加できる大会が開催される。開催時間以外でも練習することが可能だ。

 「半神化」という特殊スキルの追加もアナウンスされた。このスキルはキャラクターが一定時間変身できるパラディンやダークナイト、野獣化といった特殊スキルと併用可能な新たなスキルで、メインストリーム終了後に使用できるようになる。キャラクタのレベルアップ時に貯まるポイントを使うことでスキルをアップさせることができる。スキルを使うとキャラクターが白く輝き、回復力や移動速度が上昇するなど戦闘力がアップする。さらに周囲をまとめて攻撃するか、1点に強力な攻撃を加えるかの2つの特殊攻撃が可能になる。今回のイベントでは「The Goddess of Light」の要素の紹介はここまでだったが、この他にも競売システムなど様々な追加要素がありそうだ。今後の情報に期待したい。

 「NEKOJIMA」は八木沢氏が“皆さんがびっくりする情報”として紹介した、「マビノギ」初の日本オリジナルアップデートである。「猫」と「日本風」をテーマにしたユニークなフィールドで、プレーヤーはあるクエストを通じて宝の地図を入手し、その地図の場所へ行くために船出するものの嵐に巻き込まれ漂着する、という形で訪れることができる。

 「NEKOJIMA」はエリンの伝説に語られていた、非常に平和な村で住人は少ないが、たくさんの猫が住んでいる。この島に住む人々は豊漁のシンボルとして猫を大切にしてきた。島には桜の咲き誇る宴会場などもあって非常にのどかな場所になっている。最初は村人も猫人間にしようというアイデアもあったが、普通の人間にしたという。島の中心には山があり、大きな鳥居の奥に伝説の猫を奉る祠があるという。ちなみに、この島ではネズミ型ペットを呼び出すと猫に攻撃されてしまうため注意が必要だ。

 平和な「NEKOJIMA」だが、最近はある悩みがある。隣のネズミが修験する島とつながり、ネズミが悪さをしているという。プレーヤーは村人を助けるために奮闘していくことになるという。ダンジョンも用意されている。「猫ダンジョン」と呼ばれるもので、小さな部屋で構成されている。ここはこれまでのようにミニマップが使えないため、自分たちの感覚でゴールを探し当てなくてはいけない特別なものになっている。奥には巨大な招き猫が待っているとのことだ。

 桜の宴会場では演奏会ができる様なフィールドになっており、ユーザーから要望が寄せられているイベントを妨害する悪質なプレーヤーへの対策を施しているとのことだ。「マビノギ」は演奏会などプレーヤーイベントが盛んなゲームだが、昨今イベントを妨害するプレーヤーが問題となっており、運営側に要望が寄せられている。どのように対応していくかは注目したいところだ。

 この他にも屋台が出ているお祭り会場があり、ダーツやハンマーゲームができるアトラクションも用意されているという。イベントではさらにクエストを通じて得られるアイテムとして招き猫の恰好をした着ぐるみや、日本風の鎧なども紹介された。アイテムは染色も可能で、自分なりのカスタマイズができるという。「NEKOJIMA」は開発スタッフがかなり力を込めたコンテンツということで期待したいところだ。

 韓国を追いかける実装の他、日本オリジナルの要素が発表されたことで、会場の反応も大きかった。「The Goddess of Light」では他にどんな要素があるのか、「NEKOJIMA」のシステムの詳細はどんなものか、今後「マビノギ」はどうなっていくのか、など気になる部分は、後日実施される開発・運営インタビューで質問していきたいと思う。これからの「マビノギ」はどうなっていくのか、どうしていきたいのかを聞いてみたいところだ。


「The Goddess of Light」の各要素。トーナメントは頭脳戦のからむミニゲームといった仕様で、幅広いユーザーが参加しそうである
「NEKOJIMA」。あらゆる要素が猫をモチーフにしており、デザイナーの気合いが伝わってくる。どんな島になるか、どんなイベントが進行するか楽しみだ
「NEKOJIMA」でのクエストやコレクションでもらえるというアイテム。どちらも人気を集めそうだ。右は新ペット。“なまけものの性格”ということで、ゲーム内での表現に期待したい

【スクリーンショット】
発表のスライドで使われていたスクリーンショット。この他にも新要素があるとのことで今後の情報に注目したい
桜や神社、屋台など日本風のエッセンスを取り入れた「NEKOJIMA」。早く探索してみたい場所だ

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(2009年 4月 6日)

[Reported by 勝田哲也]