【特別企画】

アーケードゲーム「ゴールデンアックス」が35周年! 剣や魔法を駆使して敵と戦う、傑作ベルトスクロールアクション

【ゴールデンアックス】

1989年5月 稼働開始

 セガが1989年5月に発売したアーケードゲーム「ゴールデンアックス」が、2024年5月で稼働35周年を迎えた。

 本作は、3人の主人公(剣士アックス、女戦士ティリス、ドワーフのギリウス)のいずれかを操作して、剣やキック、マジック(魔法)などを駆使して敵を倒し、全5ステージ(※キャンプのシーンを含めると9ステージ)クリアを目指す、いわゆるベルトスクロール方式のアクションゲーム。2人同時プレイも可能で、操作は8方向レバーとアタック(攻撃)、ジャンプ、マジックの3ボタンを使用する。

 以下、数あるベルトスクロールアクションゲームの中でも、屈指の名作と言っても過言ではない、本作の改めて振り返ってみよう。

※写真は「アストロシティミニ」で撮影(以下同)

多彩な攻撃のバリエーションと、ファンタジックな世界観が見事に融合

 本作の素晴らしさは、攻撃のバリエーションの豊富さと、敵を倒したときの爽快感の高さがまず挙げられるだろう。しかもアックスたちは、レバーとボタン入力の組み合わせによって突く、切る、蹴る、投げ飛ばすなど、さまざまな技を繰り出せるのが実に楽しい。

 ダッシュ(※レバーを左右どちらかに2回続けて入力)とジャンプを組み合わせることで、より強力な攻撃を放つことも可能だ。ダッシュ中にアタックボタンを押すと体当たり(※ティリスは飛び蹴り)を、ジャンプ中にアタックボタンを押すとジャンプ切りを放つ。ジャンプと攻撃ボタンを同時に押すと、背後の敵を攻撃できる回転切りを放つ(※ただし、使用時は体力が少し減少する)。ダッシュ中にジャンプしてから空中で攻撃ボタンを押すと、最も威力の高いハイジャンプ切りが繰り出せる。

 西洋の童話やアニメを彷彿とさせる、ファンタジックな世界観を演出するビジュアルの美しさも本作の大きな特徴だ。筆者が本作を初めて見たのは、稼働を始めた直後のタイミングで出掛けたセガ系のゲーセンだったと記憶しているが、キャラクターもマップも背景も、そのカッコよさにまず驚かされた。プレイ中は、まるで自分がおとぎ話のヒーローになったかのような、とても楽しい気分にさせてくれたことを今でもよく覚えている。

ただ適当にボタンを連打しているだけでも、多彩な技を繰り出せるのが楽しい
強力な体当たり、ジャンプ切り、ハイジャンプ切りの各種攻撃
ギリウスが回転切りを放ったところ。背後にいる敵を攻撃をかわしつつ反撃することが可能だ

 魔法による攻撃システムの存在も、ファンタジックな世界観が特徴である本作の楽しさをさらに引き立てている。魔法は壺(ポーション)をストックした状態であればいつでも発動が可能で、画面内にいるすべての敵にダメージを与えることができる。

 各ステージで特定の位置、またはステージクリア後のキャンプのシーンで出現するシーフを攻撃するとドロップする、壺(ポーション)を集めることで魔法のレベル(威力)がアップする。特に、ティリスの最高レベルの魔法は、物理攻撃とは比較にならないほどの大ダメージを敵に与えるので、こちらも実に快感だ。

魔法を放ったときの派手な演出も実に快感だ
ポーションは、シーフを攻撃して奪い取ることができるが、すばしっこいので攻撃を当てるのが意外と難しい。ちなみに緑のシーフは、攻撃すると肉(体力回復アイテム)をドロップする

モンスターによる攻撃と得点システムも実に独創的

 ビジュアルの美しさとともに、筆者が本作を最初に遊んだときに感激したのが、乗り物として利用できるモンスターの存在だ。モンスターは、その背中に乗った敵キャラに攻撃を加え、敵を叩き落すと乗れるようになる。モンスターは、長い尻尾を振り回して攻撃するチキンレッグと、口から炎を吐くブルー、レッドドラゴンの3種類が登場する。

 本作よりも先に登場した「フロントライン」や「怒(IKARI)」などのアクションゲームは、たまに出現する戦車に主人公の兵士が乗り込むと強力な大砲が撃てる楽しさがあった。本作のモンスターも、これらのタイトルに登場する戦車と同じ役割を果たしているが、機械ではなく生き物の背中に乗って攻撃ができる新鮮な体験ができたことも、筆者は今なお強烈に印象に残っている。特にブルードラゴンに乗った状態で、シーフに炎を浴びせて壺をドロップさせたときの快感は格別だった(不謹慎かもしれないが……)。

モンスターに乗り込み、敵をなぎ倒せるのも本作ならではの面白さ
ちょこまか動くシーフに、炎を浴びせるとすこぶる快感!

 攻撃の多彩さが本作の特徴と書いたが「敵もさるもの」で、敵のザコキャラも主人公たちと同様に切る、突く、投げるなどの連続攻撃をしばしば繰り出す特徴もある。加えて、主人公たちの背後や挟み撃ちを狙おうとする動き方も実にいやらしく、だからと言って敵から遠い位置に逃げると、ダッシュ攻撃をしばしば仕掛けてくるので、ザコだからとナメて掛かると痛い目に遭ってしまうのも本作ならではの面白さだ。

 プレイ中に得点が表示されず、ゲームオーバーまたは全面クリア後に表示される偏差値でプレイヤーの実力を判定するシステムも実にユニークだ。偏差値を導入したタイトルは、ベルトスクロールアクションに限らず、今も昔も非常に珍しい。筆者は偏差値をあまり気にせずクリア重視でプレイしていたが、敵を倒した、あるいは攻撃をヒットさせた数以外の方法で、どうすれば評価、すなわち偏差値がアップするのかを研究しながらプレイする楽しさも、本作独特のものであると言えるだろう。

巨大な敵もダッシュ攻撃をしばしば繰り出し、挟み撃ちや背後攻撃を狙う敵の動きも実にいやらしい
得点ではなく、偏差値でプレイヤーの最終成績を表示するのも独創的だ

 人気を博した本作は、現在までに何度も家庭用に移植されており、最近では2020年にセガトイズが発売した復刻ゲーム機「アストロシティミニ」に収録されている。また、2019年にセガが発売した「メガドライブミニ」には、メガドライブ版の本作が収録されており、今でも手軽に遊ぶことができる。メガドライブミニ版には、アーケード版には存在しなかった対戦プレイモードも用意されているので、こちらもぜひプレイしていただきたい。

 つい先日、本シリーズの最新作の開発が明らかになり、さらにはアメリカのCBSスタジオがプロデュースするアニメが制作されるとの驚きのニュースが流れた。このタイミングで、改めて本作をプレイするのも一興だろう。