【特別企画】

「ロードランナー」ファミコン版が40周年!傑作アクションパズルゲームの魅力を改めて掘り下げてみた

【ロードランナー(ファミコン版)】

1984年4月20日発売

※画像はファミコン版より撮影

 1984年7月20日にハドソンが発売したファミリーコンピュータ用ソフト「ロードランナー」が、本日で40周年を迎えた。

 本作は、主人公のランナーを操作して、敵のロボットの追撃をかわしつつ、ステージ内に散在する金塊をすべて回収して脱出するとクリアとなる、アメリカのブローダーバンドが開発したPC用ゲームを移植したアクションパズルゲーム。全50ステージで、プレイヤーが自由にデザインしたステージが遊べるエディット機能も搭載している。

 ファミコン版「ロードランナー」は「ナッツ&ミルク」とともに、ハドソンの記念すべきファミコン参入第1弾(※)、かつサードパーティー参入第1号にあたり、「CESAゲーム白書」よると110万本を販売する大ヒットとなった。

 以下、筆者の古い記憶の範囲ではあるが、現在までに数多くの「ロードランナー」の冠した作品がある中で、ファミコン版ならでは魅力や特徴を掘り下げてみることにする。

※筆者注:実は本作は、発売日を1984年7月31日と記載したメディアが古くから数多く存在する。本稿の執筆にあたり、筆者がハドソン関係者に取材したところ「マスターアップは『ナッツ&ミルク』と間違いなく同日で、社内では7月20日で発売日が統一されていた」との証言を得たので、本作の発売日は1984年7月20日としたうえで執筆した。

【ロードランナー】

高度なアクション、パズルの両方が楽しめる稀代の傑作

 「ロードランナー」と言えば、レンガを掘って穴に落としたり、ハシゴやバーを伝って動いたりしながら敵のロボットをかわすアクションゲームとしての楽しさと、手順を間違えると手詰まりになる可能性も生じる、パズルの面白さを兼ね備えているのが最大の特長だ。

 筆者はファミコン版よりも先に、アーケード版とPC(MSX)版を先にプレイしていたこともあり、ファミコン版はランナーもロボットのデザインがとてもコミカルで、走ったりハシゴやバーにつかまって動いたりするごとにピコピコと音が鳴るので「何だか可愛いなあ」というのが第一印象だった。

 加えてファミコン版では、全ステージが左右2画面分に広がる(見かけ上は)広大なマップで、ステージ数は全50面ものボリュームがあり、どのステージからでも自由に選んでプレイできるのもこれまた嬉しかった。

ロボットが近付いたら、レンガを掘って穴に落としてピンチ脱出。ロボットの頭上を歩いて通過することも可能だ
コンクリートに穴をあけることはできないので、ロボットが迫って来たら逃げるしか手はない
バーにつかまっている間は穴を掘ることはできないが、任意の場所で下に飛び降りることができる
1面より。ステージ内のすべての金塊を取ると、脱出用のハシゴ(※画面右上のハシゴ)が出現
ハシゴを登って画面外に脱出すれば、晴れてステージクリア。汗をぬぐうランナーが実に微笑ましい

 先のステージに進むと、金塊を取る手順を間違えるとランナーが小部屋に閉じ込められて脱出不可能になったり、自分で堀ったレンガの中に埋まったりして、文字どおり墓穴を掘ってしまう場面が次々と登場する。だが、たとえ初見では絶対に取れなさそうな場所にある金塊でも、その解法が必ず用意されており、簡単過ぎでもなければ難し過ぎでもない、絶妙の難易度調整も本作の素晴らしいところだ。

 アーケード版は、残り時間がゼロになるとミスになってしまうが、ファミコン版はポーズを掛け放題なので、難しい場面ではいったんポーズを掛けて、掘り方をじっくりと考えながらプレイするのもこれまた楽しい。

レンガが2層に重なった小部屋にある金塊を取るためには、最初にレンガを2ブロック分掘ってから下層部に飛び降りることが必要
ブロックを1個だけ堀った状態で落下すると脱出不可能になるが、2個掘っておけば空いたスペースを利用して2層目も掘ることができる
金塊の回収に成功。あとは脱出するだけだ

ロボットの動き方も、エディット機能の楽しさも秀逸

 各ステージに出現するロボットたちの独特の行動パターンも、本作の面白さをさらに高めている。

 ロボットは、基本的にはランナーのいる場所に向かって移動するが、ランナーがハシゴを移動中は、逆にランナーから遠くに向かって動いたり、ランナーがバーから飛び降りるとつられて飛び降りたりする特徴がある。ファミコン版に限った話ではないが、これらのロボットの習性を利用して、ステージによってはロボットを小部屋に誘導して閉じ込めることができるのも「ロードランナー」ならではのだいご味だ。

 またファミコン版では、特定の条件を満たすと隠れキャラのスイカやミカン、リンゴなどのフルーツが出現し、フルーツを取ってから脱出に成功するとボーナス得点が加算される、独自のアイデアも導入されていた。

4面より。ロボットを片っ端から埋めまくると……
ロボットが再出現した際に、ちょうど画面上部にある小部屋の位置に落下するので……
小部屋の中にどんどん閉じ込めることができる
【隠れキャラのフルーツ】
フルーツを取ってクリアするとボーナス得点が獲得できる

 ファミコン版には、プレイヤーが自由にステージをデザインして遊べるエディット機能を搭載されていたのも見逃せないポイントだ。

 本機能で作れるステージは1画面分しかなかったが、プレイヤー自身が「ロードランナー」の開発者になったかのような体験をさせてくれる素晴らしいアイデアだったように思う。1985年に、任天堂は「エキサイトバイク」と「レッキングクルー」のパッケージに「デザイン機能付き」とわざわざ書いたうえで発売したが、これらのタイトルに先んじて発売された本作は「ナッツ&ミルク」と共に、エディット機能の面白さを伝えてくれた先駆者でもあったのだ。

 ちなみに、1985年に「コロコロコミック」誌上で開催された、本作のエディット機能を利用したコンテストには、中間発表の段階で何と19万8533通(※数字は高橋名人の公式ブログに掲載された記事より引用)もの応募があったとのこと。本作のエディット機能が、いかに多くのプレイヤーたちに楽しまれていたのかがわかるエピソードだ。

【エディットモード】
自分で作ったステージで遊ぶことも可能。気分はまさにゲーム作家!

 ファミコン版「ロードランナー」は、2014年からWii Uのバーチャルコンソール版がコナミから配信されていたが、残念ながら現在は配信を終了している。上級者向けの続編「チャンピオンシップロードランナー」ともども、ぜひNintendo Switch、または後継機種での復活を望みたい。