【特別企画】
ファミコン版「ゴルフ」が40周年! 画期的な「打力メーター」システムを初めて導入したスポーツゲーム史上に残る稀代の傑作
2024年5月1日 00:00
- 【ゴルフ(ファミコン版)】
- 1984年5月1日 発売
1984年5月1日に任天堂が発売したファミリーコンピュータ用ソフト「ゴルフ」が、本日2024年5月1日で40周年を迎えた。
本作は、文字どおり全18ホールをラウンドするゴルフゲーム。ゲームモードは、1人または2人で遊ぶストロークプレイと、2人プレイ専用のマッチプレイの2種類がある。あまり知られていない感があるが、本作の販売本数は何と246万本(※数字は「CESAゲーム白書」より引用)で、後にSCE(※現:SIE)が1997年に発売して大人気を博したPS用ソフト「みんなのGOLF」の213万本をも上回っているのだ。
以下、極めてシンプルな内容でも実に面白い、傑作ゴルフゲームの素晴らしさを改めて振り返ってみたい。
歴史に残る大発明「チャーシューメン」システムを初めて導入
本作の最大の特徴であり、最も面白いところは「打力メーター」を利用してボールを打つシステムを導入したことに尽きる。
ボールを打つためには、合計3回(※パター使用時は2回)ボタンを押すことが必要で、1回ボタンを押すとプレイヤー(ゴルファー)がバックスイングを始め、もう1回押すとトップの位置が決まり、さらにもう1度ボタンを押すとボールを打つ。某有名漫画の「チャー・シュー・メン!」の要領(?)でポン、ポン、ポンとリズムよくボタンを3回続けて押すアクションは実に気持ちよく、何度も遊んでも飽きることがない。
本作の登場を機に「打力メーター」システムは後継タイトルの「ゴルフJAPANコース」をはじめ、「ゴルフUSコース」、「マリオオープンゴルフ」のほか、任天堂以外のメーカーが発売したゴルフゲームにも導入、または応用されて定番化した。この操作システムを発明したという一点だけでも、本作は歴史に残る作品であると言っても過言ではないだろう。
ボタンを押すタイミングでパワー(ボールの飛距離)とスライス、フックを自由自在に調整できるのも「打力メーター」の素晴らしいところ。トップを決めたタイミングで矢印が左側に寄るほどパワーが増し、打ったときの矢印が初期位置から左に離れるほどスライス、右に離れるとフックが掛かる仕組みだ。
筆者が本作を初めて遊んだのは小学生の頃。ゴルフゲームを遊ぶのも、「打力メーター」を体験するのも生まれて初めてだったこともあり、最初は狙った場所になかなかボールが打てずにOBや池ポチャを連発、時には空振りすることもあった。確か、1打ごとに友人と交代しながら遊んでいたら、ホールアウト時は200オーバー(!)を超えていたと記憶している。
だが一度操作に慣れてしまえば、これほど面白いものはない。クラブごとの飛距離や風の向き、強さも頭に入れつつ、各ホールをいかにして攻略するのか、ますます夢中になってしまうのだ。
今振り返ると、本作は「打力メーター」システムに加え、各ホールのデザインも非常に良くできていたように思う。本稿の執筆のため超久々に遊んだが、OUT(※前半の9ホール)は全体的に易しく、IN(※後半の9ホール)になるとフェアウェイが極端に狭い、あるいはグリーンの芝目が読みにくいホールが登場することで、プレイヤーの挑戦意欲がどんどん高まるよう設計されている印象を改めて受けた。
バーディやイーグルパット時に、それぞれ「BIRDIE TRY」、「EAGLE TRY」と表示され、同時にジングル流れる演出も、極めてシンプルながらもプレイヤーのテンションを大いに高める見事な演出であったように思われる(※ちなみにアルバトロスを決めると、本作では「DOUBLE EAGLE」と表示される)。本作には、ボールにトップスピンやバックスピンを掛け、高低の軌道をコントロールするシステムはまだ存在しなかったが、それでも十分に面白かった。また使用できるクラブは14本、つまり実際の競技と同じ本数に合わせているのも、地味ながらも高評価に値するポイントと言えるだろう。
本作は、Wii Uのバーチャルコンソールとして配信(※現在は販売終了)されて以来、久しく移植がされていない(※2013年に発売されたWii U用「ファミコンリミックス」には、本作をアレンジしたステージがいくつか登場する)。Nintendo Switch Onlineでは、1991年に発売された「マリオオープンゴルフ」が配信されているが、その源流となったであろう本作もNintendo Switch Onlineなどに移植され、また遊べる機会が復活することを願ってやまない。
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