【特別企画】
アーケードゲーム「ヘッドオン」が稼働45周年! 敵の車がしつこく迫る、スリル満点の古典的名作アクションをプレイバック
2024年4月27日 00:00
- 【ヘッドオン】
- 1979年4月 稼働開始
セガが1979年4月に発売したアーケードゲーム「ヘッドオン」が、2024年4月で45周年を迎えた。
本作は、4方向レバーと加速ボタンでマイカーを操作して、敵の赤い車(レッドカー)をかわしながら画面内に文字どおり点在する点(ドット)をすべて消すとステージクリアとなる、固定画面方式のアクションゲーム。1980年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)が発売した、かの有名な「パックマン」よりも先に登場した、いわゆる「ドットイート」とも呼ばれるゲームの元祖とされる作品だ。
家庭用に移植される機会が久しくないこともあり、読者の皆さんの中でも本作の存在を知る人は、今となってはかなり少ないと思われる。だが、ドットイートのアイデアを導入した一点だけでも、本作は間違いなく歴史に残るタイトルだ。以下、もう半世紀近くも前に登場した作品ゆえ、筆者が本作に初めて出会ったのはいつ、どこだったのか記憶が定かではないが、黎明期の名作を知り得る範囲でご紹介しよう。
常に正面衝突のピンチにさらされる、独特のスリル感が魅力
本作は、各ステージに全部で5つのレーンがあり、マイカーは常に反時計回りに、レッドカーは時計回りに動く特徴を持つ。マイカーは前進はできるがバックができないので、もしレッドカーと同じレーンに入ってしまうと、そのまま逃げられずに正面衝突してしまう。なので、レッドカーが次はどのレーンに進入するのか、常に先を読みながら衝突を回避し、画面内に残ったドットを消していくスリリングな体験ができるのが、本作の最も面白いところである。
筆者が初めてプレイしたのは小学生の頃だったが、まるでこちらの動きを察知しているかのように、レッドカーがマイカーのレーンに向かって動くことにびっくりした。本作を攻略するうえでは加速ボタンを利用して、レッドカーがマイカーと同じレーンに移る前に走り抜けるなどのテクニックが必須となるが、まだ幼かった筆者は加速時のスピードについていけず、しつこく迫るレッドカーと、スピーカーから流れてくる爆音(走行音)の恐怖とも相まって、あっという間にゲームオーバーなったと記憶している。
最初は1台だったレッドカーが、2面クリアするごとに出現台数が増え、最高3台まで増える。マイカーは、一度に2レーン分(※加速中は1レーン分)しか移動できず、加えてドットを消すほどレッドカーの移動スピードが速くなるので、2台に増える3面以降は、見た目ではわからないがすごく難しい。しかも、途中でミスをした場合は、それまでに消したドットがリスタート時にすべて復活してしまうのも、幼い頃の筆者にとってはメチャクチャつらかった。
レッドカーがドットを通過すると、たまにドットが赤く変色することがある。赤いドットは、しばらくすると元に戻ってしまうが、変色中に消すと得点が通常の2倍になるメリットがある。5,000点でエクステンド(※マイカーのストックが1台増える)になるとはいえ、実戦的にはレッドカーの追撃を避けつつ得点を稼ぐのはけっして簡単ではない。
恥ずかしながら、筆者は本稿を執筆するまで、ドットが赤くなるシステムの存在をすっかり忘れていた。プレイ中は1台のレッドカーを動きを追うだけで精一杯で、まったくもって余裕がなかった何よりの証拠であろう。
本作は、当時は「マイコン」と称していた、80年代に登場したPC向けに度々移植されていたが、家庭用ゲーム向けに移植されたケースはとても少ない感がある。
本稿の撮影に使用した、1997年に発売されたセガサターン用ソフト「セガエイジス メモリアルセレクションVOL.1」のほか、2005年に発売されたPS2用ソフト「セガエイジス2500シリーズVol.23 セガメモリアルセレクション」にも本作が収録されているが、筆者の知る限りでは後者のソフト以降、現在まで本作は移植されていない。歴史に残る名作ゆえ、またどこかのタイミングで本作が移植され、脚光を浴びる機会ができることを願ってやまない。
ちなみに、2020年にセガトイズが発売した復刻ゲーム機「アストロシティミニ」には、本作とほぼ同じルールで、ゲームセンターで筐体の動作チェックのために使用されたゲーム「ドットリクン」が収録されている。「ヘッドオン」は知っていても、こちらは知らなかったという人は、本機でその違いを楽しむのも一興だろう。
(C)SEGA