【特別企画】
「Dance Evolution」発売から13周年! 全身を動かすダンスゲームは現在にも引き継がれている
2023年11月20日 00:00
- 【Dance Evolution】
- 2010年11月20日 発売
コナミデジタルエンタテインメントの音楽ゲーム「Dance Evolution」(以下、ダンエボ)が発売されてから、本日11月20日で13年が経過した。
「ダンエボ」はXbox 360で発売された音楽ゲームだ。センサーに自分の身体を認識させて遊べるXbox 360の周辺機器である「Kinect(キネクト)」を使ったタイトルとなっており、画面の前で実際にダンスを踊る音楽ゲームとなっている。
足で踏むことで操作するコントローラーが特徴的な音楽ゲーム「DanceDanceRevolution」の大ヒットを受けてから、身体を使って遊ぶ音楽ゲームはいくつも発売された。例を1つ挙げれば、最近リメイク版が発売されたセガの「サンバDEアミーゴ」もその類だ。「サンバDEアミーゴ」では、マラカス型のコントローラーを握り、リズムに合わせてマラカスを振ったり、画面の指示に従ってポーズを取ったりする。
しかし、「ダンエボ」が衝撃だった要素は、「自分自身がコントローラーでもある」というところだ。「ダンエボ」では、コントローラーなどは持たず、画面に表示されるキャラクターに合わせてダンスを踊ってプレイする。
そして高難易度譜面をクリアするためには、楽曲の最初から最後まで振り付けを踊りきるという、学校の体育祭のダンス演技のようなことが要求されるのだ。インドア派の筆者にとってはこの競技は辛いものであったが、ゲームであれば楽しめたのは不思議である。
今回は「ダンエボ」の13周年を記念して、当時の記憶を思い出し、書き出してみた。
全身で遊ぶ新しい音楽ゲーム! だが、少年時代に本作の原型とは出会っていた!?
筆者とこのゲームの出会いはとあるゲームショップであった。筆者は格闘ゲーム、シューティングゲームを主にプレイするため、アーケードゲーム系に強いXbox 360で遊んでいたのだが、そればかりでは飽きが来た。そこでXbox 360ならではのゲームを遊びたいと思っていた矢先に、知り合いから地元に海外ゲームやXbox 360用タイトルに強いゲームショップを紹介してもらった。
そのショップにはXbox 360用タイトルを取り扱う多くの試遊コーナーがあったが、そこからKONAMIの音楽ゲーム「beatmania」や「DanceDanceRevolution」などで聴いたことのある懐かしの楽曲が流れていたので驚いた。店長にこのゲームの詳細を尋ねると、まさしくKONAMIの音ゲーブランド「Bemani」の作品だという。それが「ダンエボ」だった。
「ダンエボ」は、音楽に合わせて実際にダンスを踊る音楽ゲーム。画面上のダンサーがその曲の振り付けを踊り、そのダンスの最中に時折譜面が、音楽ゲーム用語でいえば「ノーツ」が表示される。そのタイミングで手を振ったり、足でステップを踏んだり、ジャンプしたり腰を振ったりと振り付けと同じ動作をすれば点数が加点。ミスをすると得点は入らず、画面下部にあるゲージが減少してしまう。連続して振り付けを成功させれば得点が多く得られ、左下のゲージも増加する。ゲージが無くなった時点でゲームは強制的に終了となり、ゲームオーバー、楽曲が終わるまでゲージが残っていれば、ステージクリアとなる。
コナミの音ゲーシリーズに共通する譜面難易度も存在しており、ノーツが滅多に振ってこず、センサーでチェックする要素も簡単な「LIGHT」から始まり、中間難易度に当たる「STANDARD」、上級難易度の「EXTREME」。さらには、隠し難易度としてノーツの数が多くなる「MASTER」、ノーツが全て非表示となるため、楽曲の振り付けを暗記していないと攻略がほぼ不可能となる「STEALTH」の5つの難易度が存在する。
またやりこみ要素として、STANDARD以上の譜面にはシークレットリップルと呼ばれる画面上には指示が表示されない上に、通常モードでは取得できない隠しノーツが存在する。これはパラレルユニバースという得点を一定時間増加させる操作を行い、その効果時間中に振り付けを行うことでしか得点を取ることができない。だが楽曲の振り付けを正しく踊ればシークレットリップルを獲得することは容易だ。
全ての楽曲に5箇所隠されているので、それを全て発見するためにも振り付けの暗記は必須となってくるだろう。
「ダンエボ」は完全新作ではあるが、このゲームには既視感があった。そのゲームは「ダンエボ」の発売からさらに12年を遡ることになる。
「ParaParaParadise(パラパラパラダイス)」。2000年頃アーケードゲームで稼働開始した同じくKONAMIから発売された音楽ゲームである。当時ブームとなっていたダンス、パラパラにスポットを当てたダンスゲームで、筐体には八角形のステージの前にセンサーがあり、モニターに表示されるオブジェに合わせて手を動かしてセンサーを反応させてパラパラを踊るという内容だった。
後にプレイステーション 2で家庭用が発売され、そちらでも専用のセンサーを設置することでアーケード版と同じ操作を再現していた。
「パラパラパラダイス」と「ダンエボ」には類似点が多かった。全身を動かすこと、収録楽曲に「NIGHT OF FIRE」、「YESTERDAY」といったパラパラの名曲、またコナミオリジナル楽曲のダンスミュージックが採用されているところだ。
ただ、違いもあり、「ダンエボ」では手の動きだけでなく、パラパラの足のステップも判定としてチェックされるのだ。「パラパラパラダイス」は極端な話、高難易度譜面でも手でセンサーだけ反応させていればよかったが、「ダンエボ」では全身の動きが必要となり、最終的に高難易度譜面を踊るためには完璧に振り付けをマスターしなければならない。
「ダンエボ」と「パラパラパラダイス」に共通で収録されている楽曲は、基本的に振り付けは「パラパラパラダイス」の時点でのものを踏襲している。なので、かつて手を適当にノーツに合わせて振ってクリアできていた楽曲を、文字通り「1から体で覚える」こととなった。楽曲や振り付け自体は古いはずなのに、覚えることは新しい。そんな奇妙な感覚を楽しんでいた。
アーケード版稼働。他者に見せる、魅せるを突き詰める面白さ
そして2012年3月には、アーケード版にあたる「Dance Evolution ARCADE」(以下、ダンエボAC)が稼働した。
「ダンエボAC」は家庭用「ダンエボ」の楽曲が収録されていた上、「女々しくて」、「ルカルカナイトフィーバー」など、当時の流行J-POP、ボーカロイド楽曲なども追加されていた。コナミオリジナル楽曲も多く、「Din Don Dan」や、ネット動画サイトでも大流行した「Daisuke」もオンラインアップデートで精力的に追加されていったのが印象に残っている。
これにより、家庭でなくゲームセンターでプレイすることで、他者に見せるプレイができることがより強まった。アーケード版では特定の条件をクリアすることで解禁されたり、オンラインアップデートで解禁される楽曲が多かったが、公式から振り付け動画が公開されることは基本なかった。が、ユーザーが早期にプレイ動画を投稿することで振り付けの学習は可能であった。コミュニティーのお陰で「家庭用で振り付けを覚えてゲームセンターで披露」、「新しい楽曲を動画サイトで学習してゲームセンターへ」、「そこで出会った他のプレイヤーと一緒に踊る」といった流れが自然とできていった。さながらゲームセンターがダンスフロアと化したのだった。
発売から13年経過したが、その流れは継承されている
かくして、2023年現在では既に「ダンエボ」、「ダンエボAC」ともに追加楽曲などはなく、その役目は終わったとも言える。だが、その血統は消滅していないと筆者は考える。
その理由がアーケードでの全身を動かすKONAMIのアーケードゲームはまだ続いていることだ。例えば「DANCERUSH STARDOM」、「Dance aROUND」(以下、ダンアラ)というゲームの存在だ。
前者はステップを踏むことに特化したゲームで、「ダンエボ」のようにモーションセンサーで全身は感知しない。だが、筐体に備え付けのカメラによって、自分のダンスを録画、スマートフォンを通じて動画サイトに投稿することができる。足の動きだけでスコアを競うゲームであるため、「ダンエボ」とは違い自由な振り付けを作り上げることができる。
一方、「ダンアラ」は「ダンエボ」の系譜に近く、筐体に備え付けられた2台のカメラによってプレイヤーの動きを感知して振り付け通りに踊るゲームだ。「ダンエボ」と違い、画面上に振り付けの動きが表示されるため、事前に予習をしなくてもある程度踊れるようにはなっている。
そしてなにより、「ダンエボ」にも収録された楽曲がこれらにも採用されており、特に「ダンアラ」での振り付けは「ダンエボ」のものが引き継がれている。「ダンエボ」の血筋は今も継承されているのだ。
もしこの記事を見てかつて楽しんだ楽曲を再び遊びたいと思うのであれば、ぜひゲームセンターに足を運んでほしい。
(C)2023 Konami Amusement