【特別企画】

ファミコン&KONAMIファン感涙! 「ミュージック フロム コナミアンティークス 〜ファミリーコンピュータ〜」試聴レポート

DISC6:KONAMIのオリジナル拡張音源が生み出した、ファミコンの性能を超越したサウンドは必聴!

 「コズミックウォーズ」、「ツインビー3 ポコポコ大魔王」、「悪魔城伝説」の3タイトルを収録したDISC6は、やはり「悪魔城伝説」がイチ押しになるだろう。その理由は、KONAMIが独自に開発した拡張音源「VRC6」(※矩形波2音+ノコギリ波1音)を導入した最初の作品であるからだ。

 「悪魔城伝説」は、元祖「悪魔城ドラキュラ」と「ドラキュラII」よりもステージ、およびBGMのバリエーションがさらに増え、どれも甲乙つけがたいほどの名曲ぞろい。あえてオススメの1曲を挙げるとすれば、水没都市ステージのBGM「Aquarius」になるだろう。今聴いても、イントロから震えるほど感動する素晴らしい曲だ。元祖「悪魔城ドラキュラ」の1面BGMをアレンジした、その名も「Dejavu-Vampire Killer」も、原曲と聴き比べつつ楽しみたい。パスワード入力画面で流れる「Epitaph」は、終盤で「ワッハッハッハッハ……」と笑い声(※ボス敵のデスと同じ声)を交える面白いアイデアが光る曲だ。既存のファミコン用ソフトとは明らかに異なる、美しい音色を奏でる「VRC6」の凄さを、本アルバムで改めてじっくりと聴いていただきたい。

 「コズミックウォーズ」は、KONAMI初のウォーシミュレーションゲームで、1Pと2Pのターンとで、それぞれ異なるBGMが流れるのが面白い。曲のバリエーションは、同時期に発売されたほかのKONAMI作品に比べると少ないものの、いかにも宇宙を舞台にした作品らしいファンタジックで、軽快なドラムやリズムパーカッションが鳴り響く曲の数々は、なかなかどうして聴きごたえがある。「ツインビー3」は、シリーズ伝統のパワーアップBGMが、各ステージでそれぞれ異なっているのが最大の注目ポイント。自機や主人公キャラがパワーアップ後にBGMが変わるゲームは数あれど、ステージごとにわざわざ異なる曲を用意してプレイヤーを楽しませた例は、おそらく本作をおいてほかにないだろう。

DISC7:バリエーション豊かな「がんばれゴエモン外伝」サウンドが堪能できる一枚

 DISC7では、まず驚かされるのが「がんばれゴエモン外伝 きえた黄金キセル」の曲数だ。その数は、何と全60トラックにも及ぶ。

 本作は、過去のシリーズ作品にも増してコミカルな世界観が特徴のRPGで、時には海外にまで冒険の舞台が広がる。なので、中国(チューゴク)に行くと流れる、いかにも中国風のメロディを奏でる「シューマイ村」や「中国マップ」、はるか南の地に行くと聴くことができる、ハワイアンミュージックをほうふとさせる「バナナン島マップ」など、過去のシリーズ作品とはまったく異なる曲が楽しめる。筆者は本作をプレイしたことがないので、今回初めてBGMを聴いたが、和洋中何でもござれの曲構成はとても新鮮で面白かった。

 「SUPER魂斗羅」は、「魂斗羅」の続編であるアーケード用アクションゲームを移植した作品で、1面のBGM「THUNDER_LANDING」やボス戦のBGM「RUINED BASE」などアーケード版と同じ曲が使用されている。ドラムやベース音が派手に鳴り響く、元祖アーケード版の迫力にはかなわないかもしれないが、ファミコン版もハードコアアクションゲームにふさわしい、プレイヤーのテンションを大いに高める曲に仕上がっていると言えるだろう。

こちらは元祖アーケード版「SUPER魂斗羅」の曲を収録した、1988年に発売された「MUSIC from SUPER魂斗羅 & A-JAX」(※筆者私物)

DISC8:「VRC6」の素晴らしさを、さらに実感できる「魍魎戦記MADARA」

 DISC8には、コミカルなビジュアルが特徴のアクションパズルゲーム「モアイくん」、ゲーム雑誌「マル勝ファミコン」に連載された漫画をゲーム化したRPG「魍魎戦記MADARA」、そしてアーケードからの移植となるアクションパズルゲーム「クォース」の3タイトルが収録されている。

 「モアイくん」は曲数こそ少ないが、ビジュアルと同様にコミカル調の曲ばかりで、聴いていてとても楽しい。特に「Somebody Stole My Gal」をアレンジした偶数面のBGM「BGM3」、「BGM3F」と、長寿テレビ番組「笑点」のテーマ曲をモチーフにした奇数ステージのBGM「BGM4」のノリの良さは秀逸だ。

 「魍魎戦記MADARA」は、オープニングテーマの「プロローグ」から、エンディングの「ENDING THEME」に至るまで「悪魔城伝説」と同様に「VRC6」ならではの重厚、かつドラマチックな曲がズラリと揃い「このゲームだけでCDを作って売ってくれ!」と思うほどに素晴らしい(※1990年の段階で、すでにアルバム化されているが)。あくまで筆者の私見だが、本作はバトル中のBGM「Fighting human's way」や八大将軍のテーマ「戦慄のシンフォニー」、ダンジョンのBGM「炎の回廊」あたりは特にオススメだ。ボス戦のイントロやレベルアップ時のファンファーレなど、各種ジングルおよびSEを1トラック単位で収録しているのも実に嬉しい。

 アーケードからの移植となるアクションパズルゲームの「クォース」は、どの曲もアーケード版独特の曲調を忠実に再現しており、中でも0~4面のBGM「The Theme From Quarth」は原曲にそっくりだ。逆に、エンディングBGMはアーケード版とはまったく異なるので、アーケード版しか知らない人はぜひ聴き比べていただきたい。

DISC9:初のアルバム化が実現した2タイトルに要注目

 DISC9に収録された「悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん」、「パロディウスだ!」、「夢ペンギン物語」の3タイトルのうち、「パロディウスだ!」と「夢ペンギン物語」は初のアルバム化となる。

 元祖「悪魔城ドラキュラ」とは真逆のコミカル路線に徹した「ぼくドラキュラくん」のBGMは、発売当時からプレイヤー間の評価は非常に高かった。だが、本作はファミコン末期の1990年、つまり後継機のスーパーファミコンが登場した後に発売されたこともあり、熱心なKONAMIファン以外にはあまり知られていないかもしれない。そんな名曲ぞろいの本作の曲が、本アルバムに収録されたのはまさに朗報。本作をプレイしたことがない人も、本アルバムでその素晴らしさをじっくりと味わっていただきたい。

 「パロディウスだ!」は、1990年に発売された同名のアーケード用横スクロールシューティングゲームを移植したもので、サウンド面では有名なクラシックや「グラディウス」シリーズの曲をモチーフにした、ノリノリのBGMが多数聴けるのが最大の特徴。アーケード版とは音源が異なるハズなのに、原曲とほとんど変わらない再現度の高さも驚異的だ。ブックレットには、各曲のモチーフとなったクラシック曲のタイトルも明記されているので、元ネタの曲と聴き比べながら楽しむのもまた一興だろう。唯一、本作(ソフト)のマニュアルに載っていたエンディング曲「パロディウス音頭だョーん」の歌詞がブックレットに未掲載だったのが惜しまれる。ちなみに3面の遊園地ステージのBGM「速いぜジェットコースター」は、アーケード版には存在しないファミコン版のオリジナル曲だ。

 1991年に発売されたアクションゲーム「夢ペンギン物語」も、一度も移植されたことがない(※PC用のサブスク配信サービス「i-revo」で配信されたことはある)ので、「ぼくドラキュラくん」と同様に待望のアルバム化と言えるだろう。本作は、ペンギンのペン太を主人公とするコミカルなアクションゲームということもあり、「ぼくってウパ」と同様に、ボス戦のBGM「スーパートントン船きゃぷてんぷー」も含め、ポップで明るい曲がズラリとそろっている。

DISC10:歴代KONAMI作品のアレンジ曲がタップリと楽しめる

 DISC10の収録タイトルは「ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城」のみ。本作は、前作の「コナミワイワイワールド」と同様に、歴代のKONAMI作品をモチーフにしたキャラクターやステージが多数登場するアクションゲームで、ステージによっては主人公のリックルが機体に乗って敵と戦うシューティングゲームも遊べる。

 本DISCの素晴らしさは、前作のボリュームをさらに上回る、バリエーション豊かなアレンジ曲が楽しめることに尽きる。本作には「ツインビー」、「がんばれゴエモン」をはじめ「魂斗羅」や「クォース」、さらには懐かしの名作アクションゲーム「フロッガー」のアレンジ曲までもが収録され、まるで歴代KONAMI作品のライブを鑑賞しているかのような気分にさせてくれる。

 実は筆者、本作は未プレイなのだが、曲の豊富さに加えて、過去のKONAMI作品と比較しながら聴くことで十二分に楽しむことができた。「ドラキュラII」の「Bloody Tears」をポップにアレンジした「悪魔城の誘い2」や、「グラディウス」の曲を和風にアレンジした「和風要塞竹やぶ1」、「同2」、「同3」は、本作でしか聴けない面白い曲で特におすすめだ。

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