【特別企画】

ファミコン&KONAMIファン感涙! 「ミュージック フロム コナミアンティークス 〜ファミリーコンピュータ〜」試聴レポート

DISC1:ファミコン参入初期の超有名タイトルが勢ぞろい

 DISC1は「イー・アル・カンフー」、「ツインビー」、「グラディウス」、「がんばれゴエモン! からくり道中」、「悪魔城ドラキュラ」、「もえろツインビー シナモン博士を救え!」、「謎の壁 ブロックくずし」、「エスパードリーム」の合計8タイトルを収録。KONAMIのファミコン参入初期の代表作を一挙にまとめた「KONAMIのファミコンミュージックを語るには、まずはこれを聴かなきゃ話にならない!」と断言できる1枚だ。

 どのタイトルもメインBGMだけでなく、ゲームスタート、ゲームオーバー、ステージクリアなどの各ジングルが収録されているのも嬉しいところ。特に、ゲームスタート時にジングルを鳴らす演出(※タイトル画面でスタートボタンを押すと、ジングルが流れた後にゲーム画面に切り替わる演出。ジングルがないタイトルは、BGMのイントロ部分を流してからゲーム画面に切り替わる)は、当時のKONAMI作品ではファミコンに限らずよく使用されていたこともあり、過去に遊んだことがある人であれば、そのイントロを聴いた瞬間に当時の情景がすぐに浮かぶことだろう。

 元祖アーケード版から大幅にアレンジされた「イー・アル・カンフー」は、その名のとおりカンフーアクションゲームということもあり、メインBGMはいかにも日本人がイメージする中国を想起させる素朴なメロディが、実に懐かしいかつ楽しい。一方の「がんばれゴエモン! からくり道中」は、笛や鼓の音色を取り入れた和風かつ軽快なBGMが特徴で、作中に登場するステージ数と同様に、BGMの種類の豊富さにも今さらだが改めて驚かされる。

 アーケードの人気シューティングを移植した「ツインビー」、「グラディウス」の両タイトルは、BGMの構成も元祖アーケード版と同じだ。アーケード版を知っている人は、当時の基板に使用されていた、いわゆるバブルシステムとの音色の違いを楽しみたいところ。ちなみにファミコン版の「グラディウス」は、各ステージのBGMのイントロでSE(効果音)を一時的にすべてマスクし、プレイヤーに3チャンネルすべての演奏を聴かせてくれる、実に粋な演出をしていたことでも思い出深い(※「ツインビー」の1面で流れる「メインBGM」と、「パワーアップBGM」にも同様の演出がある)。

 KONAMIのディスクシステム用ソフト第1弾である「悪魔城ドラキュラ」のBGMは、いずれも不気味さと軽快なリズム、メロディが融合した、紛うことなき傑作中の傑作だ。今までに何度もアルバム化されているが、その魅力は今なお色あせない。今となっては、音楽ゲームのBEMANIシリーズで本作の曲を知った人も多いと思われるが、ぜひ本DISCで原曲の素晴らしさをじっくりと楽しんでいただきたい。

 「もえろツインビー」は、前作からよりポップになり、曲のバリエーションが増しているのが注目ポイントだ。「謎の壁」は、当時各メーカーから盛んにリリースされていたブロック崩し系ゲームの中でも、ポップなデザインとBGMを特徴とする異色の存在で、中でもエンディング曲の「ENDING」は秀逸。そしてアクションRPG「エスパードリーム」の曲は、本の中の世界に飛び込んだ主人公が、超能力を駆使して冒険をするという、まさにおとぎ話の世界を見事に表現した、ほのぼのとした曲の数々が実に心地いい。さらわれた村長の娘、アリスを救出したプレイヤーの感動がさらに増すBGM「村長さんのおうち<PART2>」は特におすすめだ。

 ちなみに「イー・アル・カンフー」は、1986年にアルファレコードが発売したアルバム「コナミ・ゲーム・ミュージック・VOL.2」にも収録されていたが、こちらはゲームスタート~ゲームオーバーまで全曲を1トラックにまとめ、攻撃ヒット音などのSEも交ざっていたが、本アルバムは原曲のみ収録されている。

こちらは筆者所蔵のファミコン版「イー・アル・カンフー」などが収録された「コナミ・ゲーム・ミュージックVOL.2」(※筆者私物。初版は1986年で、写真は2001年発売の再販版)

DISC2:ディスクシステム用ソフト5タイトルと「月風魔伝」を一挙収録

 「グリーンベレー」、「愛戦士ニコル」、「迷宮寺院ダババ」、「エキサイティングビリヤード」、「月風魔伝」、「アルマナの奇跡」の6タイトルを収録したDISC2は、「月風魔伝」をのぞく5タイトルがディスクシステム用ソフトとして発売されたものである。とりわけ「愛戦士ニコル」、「迷宮寺院ダババ」、「アルマナの奇跡」は、いまだに一度も移植されていないこともあり、ファン待望の収録と言えるだろう(※「愛戦士ニコル」は携帯電話用アプリで、一時期配信されたことがある)。

 「グリーンベレー」は、アーケードからの移植となる横スクロールのミリタリーアクションゲームだが、BGMの構成はまったく異なる。メインBGMのサビ(サイレンのような音)やミス、ゲームオーバー音は同じだが、各ステージのBGMはメロディアスかつ種類が豊富で、アーケード版しか知らない人はビックリすること間違いナシ。なおトラック11の「P1_CLR」と、トラック14の「L_P_CLR」(※2面と5面のクリアミュージック)は、それぞれフランスおよびアメリカ国歌をモチーフにしたもの。ファミコン版オリジナルで、再生時間は実に3分48秒にも及ぶ、コンポーザー入魂の長尺エンディング曲も必聴だ。

 アクションアドベンチャーゲーム「愛戦士ニコル」のBGMは、KONAMI作品では初となるファミコンディスクシステムの拡張音源を使用しているところが注目ポイント。主人公ニコルが、牛魔王にさらわれたガールフレンドのステラの救出を目指す勧善懲悪のストーリーだが、曲調は総じてポップで重苦しさを感じさせない。「迷宮寺院ダババ」は、常にジャンプで移動するお坊さんを主人公とする、インドを舞台にしたパズルの要素を盛り込んだ異色のアクションゲームで、オープニングからエンディングまで、いかにもオリエンチックなメロディが流れる、ほかのKONAMI作品にはない独特の作風が魅力だ。「エキサイティングビリヤード」は、オシャレなプールバーで賞金を賭けてビリヤード対決をする、映画「ハスラー」を彷彿とさせる舞台を見事に表現したBGMの数々を堪能できる。

 和風の妖怪たちと戦うアクションアドベンチャーゲーム「月風魔伝」の曲は、同じ和風の世界観が特徴の「がんばれゴエモン!」とは曲調がまったく異なる。ほの暗いダンジョンでの不気味さを演出した「地下迷宮」や、ラスボス戦の「龍骨鬼の曲」をはじめ、強敵とのバトル中にプレイヤーのテンションを上げまくるBGMがズラリとそろう。また、マップ移動中のBGM「行け!月風魔」は、当時としてはかなり珍しい、1分49秒にも及ぶ長尺(※途中から特定のパートをループする)であることにも注目して聴きたいところだ。

 「アルマナの奇跡」は、冒険活劇映画の世界に飛び込んだ気分にさせてくれるアクションアドベンチャーゲーム。1面の曲「BGM1」をはじめ、マイナー調で時には悲哀さを感じさせるメロディも流れるが、広大なマップを冒険する主人公が敵と戦い、あるいは隠された謎を解こうとする姿と不思議とシンクロしているのが実に面白い。

DISC3:36年の時を経て、あのアクションゲームの初収録が実現!

 DISC3は「魔城伝説II 大魔司教ガリウス」、「ドラキュラII 呪いの封印」、「沙羅曼蛇」、「ファルシオン」、「ドラゴンスクロール 甦りし魔竜」の4タイトルを収録。

 注目ポイントは、やはり初の収録が実現した「魔城伝説II」になるだろう(※2017年に宝島社が発行した書籍「ゲーム音楽大全Revolution」の付録CDに、本作の曲がメドレーで収録された前例はある)。プロローグからエンディングまで、本作の曲がもれなく聴けるのがとにかく嬉しい。元祖「魔城伝説」と同様、軽快なリズムと哀愁漂うメロディ織り成すBGMの数々は、何度聴いても飽きさせない魅力にあふれている。

 「ドラキュラII」のBGM、とりわけメインBGMの「Bloody Tears」は、音楽ゲームのBEMANIシリーズをはじめ、後のKONAMI作品で何度も登場しているので、本作をプレイしたことがなくても曲を知っている人は少なからずいることだろう。原曲を知らない人は、この機会にその素晴らしさ存分に堪能していただきたい。筆者は本作のBGMをプレイ中だけでなく、別のアルバムでも昔から何百回も聴いているが、不気味さと軽快さが融合した名曲の数々は、今でもまったく聴き飽きることがない。

 「沙羅曼蛇」はアーケードから移植されたシューティングゲームだが、ファミコン版はアーケードに存在しない、オリジナルステージとなる5面の神殿ステージのBGM「Thundervolt」が聴きどころ。ちなみに本曲は、後に海外版「沙羅曼蛇」を国内向けにアレンジしたアーケードゲーム「ライフフォース」の2面のBGMにも使用され、本作のBGMは「ミュージック フロム コナミアーケードシューティング」などのアルバムに収録されている。最後の33トラックは「コナミシューティングコレクション」に収録された。ゲーム中に流れない未使用曲「Combat」が聴けるのも要注目だ。

 「ファルシオン」は、3Dシステムに対応させたことで、より立体感のあるフィールド上で戦闘が楽しめるシューティングゲーム。本作の戦いを盛り上げる軽快なBGMの数々は、ただ聴いているだけでも十分に楽しめる。「ドラゴンスクロール」は、広大なマップと難解な謎解きが数多く登場する特徴を持つアクションRPG。本作には、重要人物に出会うとBGMがテンポアップする面白い演出があるが、各ステージのテンポアップ版のBGMもバッチリ収録されているのが嬉しい。

こちらは「魔城伝説II」などのメドレーが収録された「ゲーム音楽大全Revolution」に同梱されたCD(※筆者私物)

DISC4:原曲との微妙な違いを味わいつつ楽しみたい一枚

 DISC4は「コナミワイワイワールド」、「魂斗羅」のROMカセットで発売された2タイトルと「エキサイティングサッカー コナミカップ」、「バイオミラクル ぼくってウパ」、「ファイナルコマンド 赤い要塞」のディスクシステムで発売された3タイトルを収録している。

 「コナミワイワイワールド」は、歴代のKONAMI作品のヒーローが多数出演し、過去作をモチーフにしたステージが登場することで話題を集めたアクションアドベンチャーゲーム。主人公はコナミマンとコナミレディの2人で、選択したキャラによってBGMがそれぞれ変わるのが特徴だ。さらに仲間となるゴエモン、フウマ(月風魔)、シモンなどを使用中も、それぞれ元の作品で使用されたメインBGMのアレンジ曲が聴けるのがとても楽しい。

 1987年に登場したアーケード用アクションゲームを元祖とする「魂斗羅」は、後に家庭用でも数多くのシリーズ作品が登場したことは、KONAMI作品のファンであれば多くの説明は不要だろう。ファミコン版の各ステージのBGMはアーケード版とほぼ同じ構成だが、中には「流血の滝」など、アーケードよりもハイテンポになったことでまったく違った印象を受ける曲もある。とはいえ、どの曲もマシンガンやレーザーなどの武器を敵兵やメカ、巨大な要塞を目掛けて撃ちまくる快感をさらに高めてくれるものばかりで、聴いているだけでも十分に楽しめる。アーケード版には存在しなかったステージ間のデモ中に流れる「凱旋1」、「凱旋2」などの曲が追加されているのも見逃せないポイントだ。

 2000年代からゲームを始めた人は意外に思うかもしれないが、「コナミカップ」の発売当時はKONAMIに限らず、どのメーカーのサッカーゲームでも試合中にBGMを流すのが当たり前の時代だった。そんな時代にあって、本作のように前半、後半、PK戦で、それぞれ異なる曲を用意した例は非常に珍しい。当時のサッカーゲームの定番演出であった、ハーフタイム時にペンギンたちがダンスを披露し、プレイヤーにブレイクタイムを提供する間に流れる「HALF TIME DEMO」も含め、昔ながらのスポーツゲーム音楽の妙味をじっくりと楽しみたい。

 赤ちゃんのウパを主人公とする「ぼくってウパ」は、そのコミカルな世界観を見事に表現した、サンバを取り入れたメインBGM「A Rattle Samba」を筆頭に、対ボス戦のBGMも明るくノリノリの曲ばかり。メロディもベースもリズムパーカッションも、ほかのKONAMI作品とはちょっと違った独特の音色で大いに楽しませてくれる。

 「赤い要塞」は、1986年に発売されたアーケードゲーム「特殊部隊ジャッカル」をアレンジした、ジープを操作して敵兵や兵器を破壊するアクションゲーム。「ジャッカルのテーマ」、「地獄のレクイエム」などのBGMは「特殊部隊ジャッカル」と同じだが、音源こそ違えど、そのカッコよさは本家にもけっして引けを取らない。なお、最後の64トラックに収録された「START」(スタートBGM)は、NES(海外製のファミコン)版「Jackal」に使用されたもので、「特殊部隊ジャッカル」の「スタートBGM」と同じ曲である。

「特殊部隊ジャッカル」が収録された、1987年に発売されたアルバム「コナミック・ゲーム・フリークス」。本アルバムに収録された「謎の壁」と「もえろツインビー」の両アレンジ曲も掛け値なしの名曲である(※筆者私物。初版は1987年で、写真は2005年に発売された復刻版)

DISC5:あの幻のアイドルゲームの曲も収録! 傑作シリーズの第2弾は、前作と聴き比べながら楽しもう

 DISC5には、当時の人気女性アイドルT(※諸事情により名前はクローズ。ゴメンナサイ……)が登場する「アイドルの妖精伝説」をはじめ「マッドシティ」、「グラディウスII」、「がんばれゴエモン2」の全4タイトルの曲が収録されている。

 「アイドルの妖精伝説」は、1988年にディスクシステム用ソフトとして発売された、プレイヤーが異世界に飛ばされた主人公の少年となり、元の世界に戻るべくTとともに冒険をするコマンド選択式のアドベンチャーゲーム。登場人物も背景もコミカルに描かれ、悪役として魔女が出現する世界が舞台ということもあり、いかにもおとぎ話のテレビ番組やDVDから流れてきそうな、ファンタジックでバラエティに富んだ全31曲を聴くことができる。

 「マッドシティ」はベトナム戦争の退役軍人、ビルが主人公で「ストリートファイト」、「カーアクション」、「ガンシューティング」の3種類のステージが登場するユニークなアクションゲームだ。本作の「スタートデモ」の曲は、ビルの彼女が誘拐されるシーンに使用されている曲で、パトカーのサイレンを想起させるメロディが流れるユニークなアイデアを取り入れている。各ステージのBGMは、本作と似たタイプの「魂斗羅」や「赤い要塞」とは違って、殺伐としたイメージを不思議と受けないのも面白い。ちなみに、最後のトラック42に収録された「BGM4」は、プレイ中に聴くことができない未使用曲である。

 「グラディウスII」はアーケードの超人気シューティングゲームの移植だが、前述の「沙羅曼蛇」と同様にファミコン版オリジナルステージおよびBGMがいくつも収録されているのが注目ポイント。あくまで筆者の私見になるが、特におすすめしたいのが3面後半のクリスタル地帯のBGM「Dead End」。アーケード版3面のクリスタルステージの曲とはまったく異なるので、ぜひ聴き比べていただきたい。

 「ほっかむり」がトレードマークのキャラクター、エビス丸がシリーズ初登場したことでも有名な「がんばれゴエモン2」のBGMは、全般的に和風テイストを保ちつつも、前作とは打って変わってドラム音を随所に使用しているのが面白いところ。特に、クライマックスの場面となる「からくり城(城内)」のハイテンポなBGMは、まるでロックを聴いているかのようだ。前作の「町」のBGM(1面などの曲)をさらにグレードアップさせた「江戸城」のBGMも必聴である。

こちらはアーケード版の元祖「グラディウスII」が収録された、1988年に発売されたアルバム「スペース・オデッセイ グラディウスII」。(※筆者私物)

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