【特別企画】

ファミコン&KONAMIファン感涙! 「ミュージック フロム コナミアンティークス 〜ファミリーコンピュータ〜」試聴レポート

DISC11:驚愕のクオリティに刮目ならぬ刮耳せよ!

 RPGの「ラグランジュポイント」と、縦スクロールシューティングゲームの「クライシスフォース」2タイトルを収録したDISC11は、最初のトラック(※「ラグランジュポイント」のオープニング曲)から多くの人が度肝を抜かれるのではないかと思われる。なぜなら「ラグランジュポイント」の曲は、KONAMIのオリジナル音源「VRC7」を使用して作られているからだ。

 「VRC7」は6チャンネルが追加できるのに加え、何とFM音源をも使用可能となり、「VRC6」をも上回るその性能はファミコンの範疇を超越した、まさに規格外のクオリティである。筆者は「ラグランジュポイント」を未プレイだったこともあり、今回初めて本作の曲を聴いたが「これって本当にファミコン用ソフト!? 別のサントラから録音し直したものでは?」と、ひっくり返るほど驚かされた。

 まるで本物の楽器を演奏しているかのような美しい音色を奏でるBGMの数々は、本作の存在を知らない人も、音源などのハードに興味がない人も、まずは片っ端から聴いていただきたい。これらの曲が、今から32年も前の1991年に、しかもファミコン用に制作された事実が、にわかには信じがたいほどの衝撃を受けること間違いなしだ。

 「クライシスフォース」は、3種類の形態に変形できる自機を操作してショットを撃ちまくる楽しさと、ファミコン用ソフトとは思えないほど美しいキャラクターや背景のデザインが魅力の縦スクロールシューティングゲーム。「ツインビー」や「グラディウス」など、以前のKONAMI製シューティングゲームとは曲調がまったく異なり、ドラムやリズムパーカッションがハイテンポで鳴り響くBGMが次から次へと流れてくる。超ハイテンポでプレイヤーの緊張感を演出する「最終ボスBGM」と、対照的にスローテンポで全面クリアしたプレイヤーにさらなる感動を与えてくれる「エンディング」は、どちらも掛け値なしの名曲だ。

DISC12:前作「きえた黄金キセル」をもしのぐ圧巻のボリューム

 DISC12には、1992年に発売されたRPG「がんばれゴエモン外伝2 天下の財宝」のBGMを、再生時間が数秒程度のジングルも含め、DISC7に収録された前作をしのぐ全86曲が収録されている。

 本作の冒険の拠点が大江戸タウンということもあり、曲の大半は和風テイストだが、前作と同様に旅の目的地が別の国や世界、例えばピラミッドや洋館、さらには月にまで及ぶこともあり、曲のほうも場面によってガラッと変わるのが面白い。34トラックの「シモン登場」は、その名のとおり「悪魔城ドラキュラ」の1面BGM「Vampire Killer」を、72トラックの「びーホイッスル」は「ツインビー」のオープニングBGMをモチーフにするなど、過去作のアレンジ曲が聴けるのもこれまた楽しい。

DISC13:海外版の「CONTRA」をサプライズ収録!

 本アルバムのトリを飾るDISC13には、アクションRPGのシリーズ第2弾「エスパードリーム2 新たなる戦い」と、ボーナストラックにあたる、NES(※海外製のファミコン)版「CONTRA FORCE」が収録されている。

 「エスパードリーム2」は前作に引き続き、主人公が本の中の世界を冒険するストーリーなので、曲調もファンタジック路線を継承しているが、前作とは異なり「VRC6」を使用しているところが最大のポイント。「魍魎戦記MADARA」と同様に、同時発音数の多さを生かした重厚な和音とメロディがたっぷりと楽しめる。くどいようだが、どの曲も「本当にファミコンで鳴っていたの?」と、にわかには信じがたいほどの美しさだ。

 「CONTRA FORCE」は海外でのみ発売された、「魂斗羅」の流れをくむアクションゲーム。本作の曲調は元祖「魂斗羅」とはまったく異なるが、テロリストたちとの戦いを大いに盛り上げるBGMは(当然ながら筆者は未プレイなのだが)、いずれも素晴らしく、日本のユーザーになじみのない海外版を、わざわざ本アルバムに収録したのもナルホドナットクだ。ちなみに、本作の一部の曲は2009年にWiiウェア用ソフトして配信された「魂斗羅ReBirth」にも使用されているので、「魂斗羅ReBirth」をDLした人、またはアルバム「ドラキュラ伝説ReBirth&魂斗羅ReBirth オリジナルサウンドトラック」を持っている人は、NES版の曲と比べながら、もう一度聴いてみてはいかがだろうか。

早期特典DISC:アーケードにもファミコンにも劣らない、ゲームボーイ版の迫力のBGMを堪能せよ

 本アルバムをコナミスタイルで購入するともらえる早期特典DISCには、1991年に発売されたゲームボーイ用シューティングゲーム「パロディウスだ!」の曲が全26トラック収録されている。

 ゲームボーイ版もステージ、および曲の構成は元祖アーケード版とほぼ同じだが、若干だが相違点がある。3面のゲームボーイ版オリジナルとなるクリスタルステージでは、MSX版の「パロディウス ~タコは地球を救う~」の3面と同じ「幻想蛸響曲」のBGMを使用しているので、MSX版との微妙な音色の違いを楽しみつつ聴くといい。また隠しステージのBGM「BONUS DA!」は、ロッシーニ作曲の歌劇「ウィリアム・テル」序曲をモチーフにした曲で、こちらは1994年に発売されたアーケード版「極上パロディウス」で、同じく「『ウィリアム・テル』序曲」をモチーフにした4面のBGM比較しながら聴いて楽しみたいところだ。

 筆者はゲームボーイ版を未プレイなので、今回初めて本作の曲を聴いたがアーケード版、ファミコン版のどちらともまったくそん色のない、そのクオリティの高さには今さらだが唸らされるばかりだ。

 本アルバムを聴いて改めて気付いたのは、実際にプレイしたことのあるゲームであれば、たとえ30年以上前のものであってもゲームの場面、あるいは当時の情景を瞬時に思い出せることである。これほどまでに強く印象に残るのは、KONAMIファミコンサウンドのクオリティの高さを示す何よりの証拠だろう。

 ファミコン世代はもちろん、音楽ゲームやチップチューンからファミコンサウンドに興味を持った若者諸君にもおすすめしたいアルバムだ。

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