【特別企画】

「ブラック・ジャック」史上最大規模の展覧会「手塚治虫 ブラック・ジャック展」内覧会レポート

六本木ヒルズにて10月6日より開催。531点の原稿展示にコラボアフタヌーンティーも

【手塚治虫 ブラック・ジャック展】

期間:10月6日~11月6日

時間:10時~22時(最終入館21時)/アフタヌーンティー11時~17時(15時L.O.)

会場:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

入館料:一般 平日 2,300円・土日祝 2,500円

学生(高校・大学生) 平日 1,700円・土日祝 1,800円

子ども(4歳~中学生)平日 900円・土日祝 1,000円

シニア(65歳以上)平日 2,000円・土日祝 2,200円

 東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)にて10月6日より、連載50周年記念「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が開催される。期間は11月6日まで。入館料は一般2,300円(平日)ほか。

 本展は、マンガ「ブラック・ジャック」の連載50周年を記念した、「ブラック・ジャック」史上最大規模の展覧会。「いま命を描くとは~『ブラック・ジャック』が問いかけたこと~」をテーマに531点の原画に加え、200以上のエピソードが展示される。本稿では、フォトスポットや特設ショップで販売されるオリジナルグッズ、コラボアフタヌーンティーのメニューなど、10月5日に実施された内覧会の模様をレポートする。

 本年2023年は手塚治虫の医療マンガ「ブラック・ジャック」が登場して50年。顔に傷のある黒ずくめの天才外科医ブラック・ジャックと、彼が想像した“18歳で0歳”の女の子ピノコ。本展は、2人を中心に繰り広げる人間ドラマや医療のリアルを、現代の私たちの目線で再確認と新たな発見ができる、最大規模の展覧会となっている。

エントランス

 まずエントランスには、52階からの東京の眺望を背景に、ブラック・ジャックの名セリフたちが出迎える。

 足を進めると、ブラック・ジャック邸が再現されたフォトスポットが登場。ブラック・ジャックとピノコが過ごした、あのお馴染みの家が再現されている。手術室ではブラック・ジャックとピノコとオペさながらの記念撮影ができ、「ブラック・ジャック」の世界へと気持ちが高ぶる。

絶景を背景に、事前に一般の方から募集した中から特に反響の大きかった名セリフが浮かぶ
ブラック・ジャック邸の手術室フォトスポット

第1室 B・Jとキャストたち

 記念撮影を終えて通路を進むと、まずは第1室「B・Jとキャストたち」。ブラック・ジャック、ピノコ、ドクター・キリコ、如月恵、本間丈太郎などのキャラクターたちが登場エピソードとともに紹介されている。紹介キャラクターたち全員と写真を撮れるフォトスポットも。

 手塚治虫がマンガを描いていたデスクも再現され展示されている。デスク上には新聞やテレビも。

キャラクターごとのエピソードを紹介
キャラクター全員と写真が撮れるフォトスポット
手塚治虫のデスクが再現

 「いこう患者が待ってるぞ」とブラック・ジャックに誘われて中へ進むと...

いざ第2室へ

第2室 B・J誕生秘話

 第2室「B・J誕生秘話」。「ブラック・ジャック」誕生の秘密や背景がわかる資料が多数展示されている。ずらりと並ぶ原画に加え、初代編集担当の岡本三司氏や、長男の手塚眞氏、長女の手塚るみ子氏ら関係者による証言映像が流れる。特に興味深いのが、本名“手塚治”の医師免許証。手塚治虫と医療との関わり、まさに「ブラック・ジャック」の誕生が感じられる。

ずらりと並ぶ原画
本名“手塚治”の医師免許証

第3室 B・J曼荼羅

 続いて第3室「B・J曼荼羅」。史上最多となる140話分のエピソードが原画とともに展示されている。「命 vs 金」や「ギャグコマ」「人でないものの命」「ピノコがいっぱい」など全10テーマ別に展示。テーマ別での展示は、ブラック・ジャックの世界の多様性を感じながらも鑑賞しやすく、すっと入ってくる印象だ。

 さらに原画からは、手塚治虫が「漫画の神様」と呼ばれた理由の一つである、斬新な「コマ割り」表現のすさまじさが感じられる。

140話分のエピソードがテーマ別に展示
Case212「ある女の場合」原画。なんとも芸術的なコマ割り
Case116「ハッスルピノコ」原画。ピノコのかわいらしさがコマ割りで表現されている

第4室 B・J蘇生

 最後の第4室「B・J蘇生」。「ブラック・ジャック」の魅力を、現在と当時の視点から紐解く、見ごたえのある展示が並ぶ。「医療 現代性」「医療倫理」「昭和時代」「手塚治虫のマンガ表現」「カミカイ」など9テーマ別に展示。「医療 アート」テーマで展示されていた緻密に描かれた人体の内部は、確かに現代アートに通ずるものを感じる。また「昭和時代」では、昭和当時の事件や流行などが織り込まれたストーリーを、当時のニュース映像とともに鑑賞できる。第2室前に展示されていた手塚治虫のデスクに、新聞やテレビが置かれていたことが、ここで繋がるだろう。

9テーマ別に現代と当時の視点から紐解く
緻密に描かれた人体の内部はまるで現代アート
昭和当時のニュースとそれらが盛り込まれたストーリーが比較鑑賞できる

特設ショップ 崖の上の一軒家

 出口には、特設ショップ「崖の上の一軒家」。アートブックやオリジナルグッズ、またアパレルブランド「glamb」とコラボしたB・JライダースジャケットやTシャツ、ニットキャップなどが並ぶ。オリジナルグッズには、ピノコのマシュマロやアッチョンプリケスクイーズボールに、ミニドクターバッグも。購入するとオリジナルのショッパーに入れてもらえる。

「glamb」とコラボしたアパレルグッズ
かわいいピノコのオリジナルグッズ
ミニドクターバッグは16,800円(税込)
オリジナルのショッパー

コラボアフタヌーンティー

 展示会会場に隣接するTHE SUN & THE MOON(Restaurant)では、オリジナルコラボメニュー「ピノコのピンクアフタヌーンティー」が登場。6段にもなる高さ約50センチはあろうケーキスタンドには、ピンクを基調とした「ピノコのミルクプリンパフェ」「ピノコのアッチョンブリケ 苺のレアチーズケーキ」「チョコレートマドレーヌ ピンクベリーのグレーズ」「海老のムース 紅芯大根飾り」をはじめ、秋を感じる「紅いものスイートポテト ビーツのワッフルコーン」や「栗とカシスのシュークリーム」など12種類が載っている。ブラックジャックをイメージした「ブラック&ストーミー」、ピノコをイメージした「ピノコラーダ」の2種類のノンアルコールコラボカクテルも選べるフリードリンク付きで、6,500円(税込)。本格的なアフタヌーンティーが楽しめる。

高さ約50cm、6段のアフタヌーンティー

 その展示数はもちろんのこと、「ブラック・ジャック」の幅広さと奥深さを感じ、“史上最大規模”を体感できる本展。医療が進歩した現代に、そしてコロナを経験した今だからこそ、深く心に刺さるものがあるだろう。ブラック・ジャックは多くの医療従事者に影響を与えたといわれるが、震災やコロナを経験し「いのち」を目の当たりにしてきた私たちが今見ることで感じ取るものは大きい。

 また「マンガ」を考える上で、縦スクロールのフルカラーマンガ「WEBTOON(ウェブトゥーン)」の台頭により、「コマ割り」マンガが見直されている今、改めて手塚治虫が生み出したとされる「コマ割り」の技術と芸術性を感じてもらいたい。

 一方で、黒ベースのいかついブラック・ジャックグッズやピンクのキュートなピノコグッズの組み合わせは見ているだけで楽しく、コラボアフタヌーンティーはスイーツ好き・アフタヌーンティー好きも満足するであろう本格的な内容で、買い物やティータイムだけでも楽しめてしまう展覧会だ。

 なにより、エントランス、出口、レストランと、随所で圧倒される52階から望む東京の眺望は、「ブラック・ジャック」の世界に吸い込まれるような感覚を覚えた。この最高のシチュエーションでの「ブラック・ジャック展」をぜひ体感してみてほしい。