【特別企画】
「ダンガンロンパ」シリーズ好きにこそ薦めたい「超探偵事件簿 レインコード」
調査や犯人を追い詰める楽しさを残したままアクション要素をプラス。アニメ勢にも届けたい1作
2023年6月28日 00:00
- 【超探偵事件簿 レインコード】
- 6月30日 発売予定
- 価格:6,980円(税込)
スパイク・チュンソフトは、6月30日にNintendo Switch用ダークファンタジー推理アクション「超探偵事件簿 レインコード」を発売する。
スパイク・チュンソフトとトゥーキョーゲームスの「ダンガンロンパ」シリーズを手掛けたチームが再集結して制作される本作は、すべてが3Dで作られた推理ゲームとなっている。
主人公は見習い探偵のユーマ=ココヘッドと相棒の死に神ちゃんだ。カナイ区という街で起こるさまざまな事件に超探偵たちの力を借りながら立ち向かっていくという物語になっている。カナイ区は「アマテラス社」という超巨大企業が支配する地域となっており、都合の悪い事件はアマテラス社が握り潰しているのが現状だ。
本作は章ごとに事件を調査する「調査パート」と事件の真相を解明する「謎迷宮パート」に分かれている。同チームが手掛けた「ダンガンロンパ」は事件が起こる前の「(非)日常パート」、事件が起こった後の調査をする「非日常パート」、事件の真相を究明する「学級裁判パート」の3つの構成だったが、本作では2部構成となっている。また、本作ではメインストーリーで進める事件の「事件簿」以外に、街中の人たちから引き受ける「依頼」と呼ばれるサブクエストも存在する。
「ダンガンロンパ」シリーズが好きな人はもちろん、初めてプレイする人にも楽しめる作品となっているが、今回はちょっとだけ「ダンガンロンパ」シリーズを絡めて「『ダンロン』シリーズが好きなプレーヤーでもしっかり楽しめるのか」についてお伝えしたい。なお、本記事では物語のネタバレに配慮しつつ「レインコード」のゲーム序盤にあたる第1章の内容を中心に紹介していく。
調査パートは「ダンロン」でもおなじみだが、新しい要素でより事件の深層に迫る
まず初めに本作の大まかな流れを紹介する。メインストーリーは章ごとに区切られており、探偵見習いのユーマと死に神ちゃんは超探偵の力を借りつつ調査を進めることになる。章前半の調査パートは聞き込みをしたり現場に赴いたりと、さながら探偵のようなロールプレイが展開。続く後半の謎迷宮パートでは非常に多彩なゲームプレイが展開される。調査パートで訪れた現場をモチーフとした場所で、密室トリックを選択式で再現したり、「推理デスマッチ」と呼ばれるアクションゲームがあったり、黒ひげ危機一発のようなミニゲームがあったりと、様々なゲームを通して真実に近づいていく。
この謎迷宮パートでは事件の犯人を見つけるため「ダンガンロンパ」シリーズの学級裁判と同様に、謎を解き明かして事件の真相に迫っていく。
最初に紹介する調査パートは、聞き込みや事件が起こった現場など様々な場所を訪れていくことになる。ここではマップ内の探索も可能で、NPCからサブクエストを引き受けることも可能だ。
本作では各章ごとにユーマをサポートする超探偵が調査に同行してくれる。作中の第1章では探偵事務所の所長から探すよう言われていた超探偵「ハララ=ナイトメア」がサポートとして調査についてくれる。
聞き込みは街の中でさまざまな人に聞いてみたり、事件に関連がありそうな場所に赴いてそこで関係者に聞き込むこともある。特に関係者に聞き込むときは聞きたいことを複数の選択肢から選び、そこにいる人たちから情報を聞き出していく。
また、街の中では聞き込みによる有力な情報のほかに、街の人からは探偵としての依頼(サブクエスト)を受けることもできる。このカナイ区では一般市民の悩みをアマテラス社は一切取り合わないので、探偵にさまざまな依頼をしてくる。メインストーリーの「事件簿」とはまた違った体験ができるのでさまざまな「依頼」を受けるのも楽しそうだ。
事件現場の調査では「ダンガンロンパ」同様いろいろな場所を調べることができるようになっている。本作では完全3Dとなっているので、部屋であれば四方の壁をぐるりと調べることができ、より操作の幅が広がっておもしろいと感じた
また超探偵の探偵特殊能力を借りることで、同じ事件現場でも見え方が異なるようになっており、第1章では“過去視”の能力を持つハララ=ナイトメアがサポートをしてくれるため、殺人が発生した当時の事件現場を擬似的に見ることができる。
本作でも死体発見時など衝撃的なシーンがいくつも登場するが、3Dということもあり「ダンガンロンパ」シリーズの一枚絵の衝撃よりはある程度マイルドな印象だ。3Dになったことでカメラワークもあり、どちらかというとアニメの「ダンガンロンパ」シリーズに近い印象を受けた。
聞き込みや事件現場での調査を進めて行くと事件解決に必要な「解鍵(カイカギ)」を手に入れることができる。この解鍵を集め終わると事件解決のための謎迷宮パートへと突入していく。
新感覚で事件の謎を解明していく「謎迷宮」
全ての「解鍵」を手に入れると死に神ちゃんが謎迷宮を出現させる。謎迷宮は謎が具現化した世界。章ごとに違った事件を取り扱うので謎迷宮の中の雰囲気はそれぞれ異なる見た目となっている。
謎迷宮の中では複数のミニゲームが展開され、その1つとしてそれぞれの現場で起きた殺人事件のトリックを解明するものがある。第1章の謎迷宮では4つの事件現場の密室トリックを解明することになるが、それぞれの事件で問われるポイントは異なる。トリック解明は事件現場を再現するだけでなく、死に神ちゃんが出題するミニゲームで明かされることもある。
こちらのミニゲームは黒ひげ危機一髪のような樽に死に神ちゃんが入っているものや、死に神ちゃんが巨大化して障害物を避けながら激走するものなどがある。ミニゲームの種類もいくつかあるので、次はどんなミニゲームが来るのかワクワクドキドキ感も楽しめるのがいい。
第1章では1つの謎迷宮で解決するトリックの数が多くなっており、必然的に3つ4つの連続した事件の謎を一気に解明していくことになる。一見すると「ダンガンロンパ」シリーズの学級裁判よりも長く、覚えることも多くなるが、調査で集めた解鍵は基本的にその場で再確認できるため、つまづいた際には確認しながら謎解きができるのも嬉しい。
また、本作の特徴として謎迷宮の中には事件解決を邪魔しようとする謎怪人が登場する。謎怪人は事件を隠蔽したい人物の意思が具現化したもので、事件の解明を邪魔するためにQTE(クイックタイムイベント)の問題を投げかけてくる。QTEは事件の要点確認のような問題を時間内に選択式で答えることになるため、この際には事件の内容の把握具合を問われてしまう。
さらに、謎怪人は事件の真相に迫ってくると直接対決「推理デスマッチ」を仕掛けてくる。こちらはこれまでの謎迷宮パートとは雰囲気が異なるアクション性が高いゲームだ。謎怪人が飛ばしてくる発言を飛んだりしゃがんだりして避けながら、調査パートで集めた解鍵を武器の「解刀(カイトウ)」にセット。発言の中には矛盾する内容が含まれているため、それらを斬ることで謎怪人を倒していく。
「ダンガンロンパ」シリーズでは学級裁判で「言弾(コトダマ)」を選んで相手の発言にぶつけて論破するノンストップ議論が展開されたが、そこにアクション要素が加わったイメージだ。それにより直接戦っている感覚とアトラクションのような感覚になり、「ダンガンロンパ」シリーズのノンストップ議論とも少し違ったスリルを味わうことができると感じた。
謎迷宮内では基本的にライフゲージが表示されており、事件現場のトリック解明やミニゲーム、推理デスマッチなどでもし間違った解答をしてしまうと少しずつライフが削られる。ただ、優しい設定になっているので複数回間違えてしまってもゲームオーバーにはならないようになっている。
「ダンガンロンパ」では事件の最後に「クライマックス推理」でマンガのように事件の全貌をおさらいできるようになっていたが、本作でも「超推理フィナーレ」としてパズルのようにピースを当てはめながら事件をおさらいできるようになっている。そのため、事件の一部がもしわからなかったとしてもここで一連の流れを理解できる。
謎迷宮では、事件現場のトリックを解明したと思ったら謎怪人による謎解きが展開されるなど、ゲームプレイがころころと目まぐるしく変わっていくので、アトラクションのようで楽しい。謎を1つ解いたと思ったら思いがけない光景が広がっていることもあるので気を抜かずに謎迷宮を楽しんでほしい。
「ダンガンロンパ」シリーズが好きな人でも、興味があったけど未プレイの人でも楽しめる
本作で1章をプレイした感触は「ダンガンロンパ」のような調査の楽しさと謎迷宮という新しい謎解きを楽しめるという印象だ。しっかりとした調査と聞き込みで情報を集めて、新しい謎迷宮に飛び込むのはどの事件でもドキドキするのは間違いないと思う。
また、本作では「ダンガンロンパ」シリーズのように時間を共にした仲間を断罪するのではなく、さまざまな仲間の力を借りて事件の解決を目指す。そのため事件を解決した後の爽快感が得られやすいなと感じた。メインとなるユーマと死に神ちゃんコンビの掛け合いも軽快なので物語の展開もとても楽しみになる。
「ダンガンロンパ」シリーズで感じた現場を調べて謎を解く楽しさと相手を論破する感覚は残したまま、さまざまなアクション要素や新たな謎解き要素も加わって別の感覚も味わえる本作は「ダンガンロンパ」シリーズが好きなプレーヤーにもしっかり楽しめる作品だと感じた。また、難易度が少し低めに設定されているので、アニメで「ダンガンロンパ」シリーズを見ていたというユーザーにも楽しめる作品となっていると感じた。
©Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved.