【特別企画】

「超探偵事件簿 レインコード」ファーストインプレッション

「ダンロン」チームが手掛ける最新作。未解決事件が多発する街ででこぼこコンビが真実に向かって突き進む

【超探偵事件簿 レインコード】

6月30日 発売予定

価格:6,980円(税込)

 スパイク・チュンソフトは、6月30日にNintendo Switch用ダークファンタジー推理アクション「超探偵事件簿 レインコード」を発売する。

 本作はスパイク・チュンソフトとトゥーキョーゲームスが共同開発するタイトルで、ハイスピード推理アクション「ダンガンロンパ」シリーズを手掛けたチームが集結し、新作として手掛ける作品だ。

【『超探偵事件簿 レインコード』イントロダクショントレーラー】

 本作は数年前から雨が降り続ける「カナイ区」という場所が舞台となっている。カナイ区は超巨大企業「アマテラス社」が支配しており、都合の悪いことはアマテラス社が握り潰してしまうため未解決事件が多発している。そんなカナイ区で起こるさまざまな事件に対し、主人公の探偵見習い「ユーマ」となぜかユーマにとり憑いている「死に神ちゃん」がいろいろな先輩探偵たちの力を借りて立ち向かうことになる。

主人公の「ユーマ=ココヘッド」
ユーマと一緒に行動する「死に神ちゃん」

 今回の体験では第1章の「事件簿」を体験することができた。今回歩いたカナイ区のなかのカマサキ地区とギンマ地区、そして調査のプロセスや謎解決のために入る謎迷宮について感触をお伝えしたい。

雨の街をでこぼこコンビが駆け巡る

 今回の舞台カナイ区は常に雨が降り続いていることもあり、外は基本的にグレーを基調とした街並みだ。ネオンやライト、植物などがあるがやはり空が曇っている分どうしても薄暗い世界となっている。今回体験した事件現場なども仄暗く少し不気味な印象を受けた。

 カナイ区自体は霧の街ロンドンをモチーフとしており、そこにネオン管などが光ることでサイバーパンクな世界を彷彿とさせる不思議な世界となっている。特に今回の事件の舞台となるカマサキ地区は、活気はあるが雑多な下町のような印象を受ける。対してもう1つの地域ギンマ地区は高級商業エリアということもあり道端も広く建物も大きい。地域によって同じ区内でも随分と違う印象を受ける街となっている。

カマサキ地区
ギンマ地区

 本作の主人公であるユーマは何らかの理由で記憶を無くしており、なぜか死に神ちゃんにとり憑かれている。今回体験した第1章のユーマは自信もなく、おどおどとした性格の印象を受けた。逆に死に神ちゃんはかなり天真爛漫な女の子という印象で、表情もコロコロと変わるので見ていて楽しい。本作は会話の最中も会話のテキスト脇に表示されるイラストと表情が連動している。画面上の3Dのキャラクターたちの表情やリアクションも変わるのでより会話をしている実感を得やすく、見ていておもしろい。

 またフルボイスで会話が進んでいくので、テロップを見ずに音声と3Dキャラクターたちを見ているとアニメを見ているような感覚も味わうことができる。

会話中は画面左下のイラストも多彩に変化。会話を聞いているだけでも楽しい

 今回体験したパートではユーマと死に神ちゃんの掛け合いが非常におもしろく、事件自体がかなりヘビーな内容でも全体の空気が重くならないと感じた。テンポよく進む会話と自由な死に神ちゃんと振り回されるユーマのリアクションがコメディのようにも感じられ、プレイしていて非常に楽しい。

 本作ではユーマや死に神ちゃん以外の登場人物もとにかくキャラクターが濃いので、会う人会う人が鮮烈な印象を残していくのも楽しい。

しっかり調べて解決のヒントとなる「解鍵」を集める

 ゲーム内には「事件簿」と「依頼」があり事件簿はストーリーを進めていくメインクエストで、依頼はサブクエストといった立ち位置になる。メインのストーリーである事件簿を解決しながら街で起こるさまざまな依頼も解決していく。

 事件簿の調査パートでは各事件現場の調査と街中での聞き込みを行なうことができる。調査パートでは謎を解くための重要な証拠「解鍵(かいかぎ)」を集めることが重要になってくる。

 調査パートでは章ごとに別の超探偵がユーマをサポートしてくれる。超探偵たちはそれぞれ探偵特殊能力を持っており、今回協力してくれた超探偵の「ハララ=ナイトメア」は過去視をすることができる。

ハララ=ナイトメアの探偵特殊能力は過去視

 ユーマは超探偵たちの能力を共有してもらい、通常であれば知り得ない事件の証拠を探していくことになる。超探偵達の能力を共有してもらうためには超探偵達に了承を得ることと手を繋ぐことが必須条件となる。

 事件現場での調査は通常の調査と超探偵の能力を使った調査の2種類を現場で行なうことができるため、能力を使うと同じ事件現場でも見え方が異なる。

このように同じ事件現場でもハララの過去視を使うと見え方が変わる

 各事件現場では調査できるポイントが多数設定されており、そのポイントに近寄って選択することでその現状を確認することができる。通常の調査と超探偵達の能力を借りる調査では見える状況が変わるため、調査するポイントが異なることもある。通常の調査と探偵特殊能力を借りての調査を駆使して証拠を隅々まで探し切るのが重要となる。

現場には調査するポイントが複数存在

 各事件現場の調査は全ての証拠になりそうなものを見つけないと調査終了することができないようになっているので「解鍵」を取り逃すという心配はない。じっくり調査することができる。

 また聞き込みでは事件現場の近くにいる人、事件に深く関わっていそうな人や、組織を直接訪ねていろいろな話を聞くことができる。聞き込みは状況把握のための聞き込みと、容疑者となりそうな人たちとで聞く項目が変わる。特に容疑者となりそうな人たちには聞き込み項目が選択できるようになっており、気になっていること、聞かなくてはいけないことをしっかり聞き取ることができるようになっているので聞き漏らすことはない。

街の人に聞き込み
怪しい人たちにはさまざまな項目を聞き込むことが可能だ

 現場での調査や聞き込みで事件解決に重要な証拠になるものは「解鍵」として記録され、メニュー画面からも確認することができるようになっている。最初の調査でぼんやりとしか全容が見えなくても、調べ終わった後に改めて「解鍵」を見返していくと少しずつ事件の輪郭が見えてくるのも楽しい。

重要な証拠が「解鍵」として集まっていく

「解鍵」を持って謎を解く「謎迷宮」に挑む

 事件現場を巡り聞き込みなどを済まして「解鍵」を集め終わると、ついに謎を解くためのパートへと移る。謎解きパートの舞台は、死に神ちゃんが干渉できる「謎迷宮」と呼ばれる謎が具現化された場所に移り変わり、この事件の謎を解き明かしていく。

「解鍵」が集まったら「謎迷宮」で謎を解くというのが本作の大まかな流れになっている

 謎迷宮はカナイ区のグレーを基調とした薄暗い世界とは対照的に非常にカラフルな世界となっている。制作陣に伺ったところティム・バートン氏の映画のような世界にしているとのことだ。

謎迷宮の中は目が覚めるほど鮮やかな色彩だ

 謎迷宮の中では調査パートで集めた「解鍵」をもとに様々な謎を解き明かしていく。謎迷宮内での謎解きは一貫して体力制となっており、謎解きで間違った解答をすると画面上のHPが少しずつ削られてしまう。

 今回体験した章の謎迷宮では、4つの事件現場の謎解きがベースとなっており、それぞれ事件現場を模した世界での謎解きと真実を知るためのミニゲームをこなしながら真実へと突き進んでいく。現場を模した世界ではそのトリックを実際に再現してみることで殺人に至るまでの流れを検証していくが、間違った回答をしてしまうと床が崩れ落ちたりして体力が削られる。ただ、ゲームオーバーというわけではないので、間違ってもやり直しができるので落ち着いてプレイすれば確実にクリアできると感じた。

 ミニゲームは黒ひげ危機一髪のようなものもあれば、大きくなった死に神ちゃんに乗ってさまざまな障害を乗り越えるアクションゲームなどバラエティーに富んでいるので、楽しく謎を解くことができると感じた。コロコロと変わる世界に若干戸惑うこともあるが、目新しく刺激にもなるので慣れてくるとアトラクション感があってとても楽しい。

今回の謎迷宮には4つの謎解きが存在し、調査パートで訪れた事件現場ごとに謎を解いていく
事件現場を再現することもある
ミニゲームは黒ひげ危機一髪のようなものや巨人での障害物レースなどさまざまある

 ただ「謎迷宮」内ではアマテラス社が干渉することはないが、その代わり謎を解かせないように「謎怪人」が邪魔を仕掛けてくる。謎怪人は章ごとの事件を隠蔽し事件解明を阻みたいキャラクターが具現化したものだ。ユーマたちを事件現場から引き離してQTEの問題を投げかけるなどの邪魔をするが、間違ってしまうと演出的にかなり痛い目を見ることになる。

 「謎怪人」は謎解きでさまざまな邪魔をしてくるだけでなく、謎迷宮を進んでいくと「推理デスマッチ」として直接対決することになる。ここも謎迷宮における謎解きの一環になっており、アクション要素が強いゲーム内容になっている。謎怪人は事件を解決させまいと、さまざまな理論を文字としてぶつけてくるので、その発言を飛んだりしゃがんだりして避けながら、矛盾に反論できる証拠を武器となる「解刀(かいとう)」にセットして、矛盾を切ることで「謎怪人」を倒すことができる。

 「推理デスマッチ」は謎怪人が飛ばしてくる文字を避けつつ、攻撃する必要がありかなり忙しくもあり新鮮だ。ただ、たくさんの発言の中から矛盾点を見つけ、適切なキーワードの「解鍵」を選択する必要があるなど、事件の全容をしっかりと把握しておく必要があると感じた。

事件解明を邪魔してくる「謎怪人」
謎怪人は事件現場から引き離して邪魔をしてくる
最終的には謎怪人と推理デスマッチでバトル!
矛盾点に対抗できる「解鍵」を「解刀」にセットして矛盾点を叩き切る

 謎解きで詰まった際は、メニュー画面から「解鍵」を確認することも可能。改めて確認すると見逃していたヒントが見つかり、現場検証の見方が変わることもあるので、困った時は改めて確認するのをおすすめしたい。

 今回の体験ではユーマがなぜ記憶を無くしていて、どうして死に神ちゃんにとり憑かれているのかなどはわからなかったが、物語を読み進めてその理由を知りたくなった。

 また本作で起こる事件もそれぞれの章ごとにテーマが決まっているとのことで、幽体離脱や念写といった能力を持つ超探偵がそれぞれの事件の相棒として一緒に調査するのも楽しみだ。マンネリ化せず、新しい感覚で調査できるというのが常にワクワク感を感じさせてくれるのが嬉しい。

 今回の体験では時間が足りずサブクエストにあたる依頼までは体験することができなかった。こちらはメインストーリーの事件簿とはまた違ったテイストになっているそうだ。

 また、第1章のメインストーリーを進める「事件簿」の調査と謎迷宮はクリアまでに一部ボイススキップをして約4時間以上かかった。本作は複数の章で構成されているため、ここにサブクエストの「依頼」が加わるとプレイのボリュームはかなりものとなる。

街の人たちから受ける「依頼」もたくさんある

 優しい点としては事件をじっくり調べて解決まで自力で到達できるよう、間違った選択をした際に謎迷宮で受けるダメージも低く設定されている。制作陣によれば本作は難易度選択はなく一律で設定されており、「ダンガンロンパ」シリーズのイージーよりも簡単に設定されているとのことだ。かなり失敗をしてもやり直せるため心が折れることなく進めて行くことができるのは嬉しい。

 今回の体験では第1章をしっかり遊ぶことができた。情報収集も事件解決の謎解きもボリューム満点なので、ここからいくつもの事件を体験していくと思うととても楽しみになる。カナイ区で発生する事件は凄惨なものもあるが、死に神ちゃんをはじめとしたキャラクターたちのおかげで空気が重くなり過ぎずに物語が進むのがうれしい。危機感とコメディがうまく融合していると感じた。謎解きもそこまで難しいものではなく「謎解きに興味があるけど難しいかな」と思っている人にも気軽に手に取ってほしい作品だと感じた。興味がわいた方はぜひプレイしてみてほしい。

作中では謎迷宮で役立つスキルを習得できるスキルツリーもある