【特別企画】

上下2画面で同時に紡がれる異色のスマホRPG「World II World」プレイレポート

あらゆるタイプのオタクのツボを突く3つの世界とストーリー!

【World II World(ワールド・ツー・ワールド)】

2月22日 配信予定

価格:基本プレイ無料(アイテム課金制)

 アニプレックスは、新規スマートフォン向けRPG「World II World(「ワールド・ツー・ワールド」以下「ワルツ―」)」を2月22日にリリース予定である。本作は物語を上下2画面同時に進める事ができる“ニコイチRPG”という部分が大きな特徴となっており、全く毛色の異なる3つの世界観で計6人もの主人公達による物語を楽しむことができる。ボーイミーツガール・異世界転生・時代物など、あらゆるタイプのオタクの癖に刺さるような物語・シチュエーションが複数用意されており、複雑すぎないシステムとSDキャラクターを使った表現がマッチしてどこか懐かしさも感じるような作品となっている。今回はそんな本作を一足早くプレイする事ができたので、無類のRPG好きである筆者が早速レポートしていきたいと思う。

【「World II World(ワールド・ツー・ワールド)」第1弾プロモーション映像】

前代未聞の2画面同時進行スマホRPG! 独特の世界観が生んだゲームシステムと謎に迫る

 まず最初に多くのプレーヤーが気になっているであろう最も特徴的な要素、2つの画面でそれぞれ同時にストーリーを進める“ニコイチRPG”という部分について取り上げていく。本作ではスマホの画面を上下半分ずつに分け、2つの画面で毛色が全く異なる各世界の主人公達を2人同時に操作する事になるのだが、その独自すぎるシステムの要因となっているのが本作を包む大枠の世界観にある。

 あらゆる概念を2つに分断し文字通り多くの世界を滅ぼしてきた最強の存在「分断王ディヴァン」の魔の手によって今なお多くの世界が滅びの危機を迎える中、プレーヤーは様々な世界を観測しその中で生きる主人公達を導く存在「観測者(プレーヤー)」となって、案内役である“境界ちゃん”こと「ウィーブ」と協力しながら「分断王ディヴァン」に立ち向かう事となるのだ。

 この“分断された”というワードが本作のキモとなっていて、各世界では「分断王ディヴァン」によって2つに分断されたそれぞれの要素を持つ主人公達を導くこととなり、それが本作の2つの画面でそれぞれ同時にストーリーを進めるという独自のシステムに繋がるのである。

境界(アニュラス)ワールドに存在し、プレーヤーと同じ目線で観測者を導く存在のウィーブ
各世界のキャラクターから見たらある意味プレーヤーと同じく上位存在のような感じで、ゲームの途中でアドバイスや助言をくれるなど正にThe案内役としてサポートをしてくれる
本作の大枠となる物語は最初に境界ちゃんが紙芝居で教えてくれる。「分断王ディヴァン」と「観測者+ウィーブ」による上位存在の戦いと、3つの世界それぞれの物語を本作では楽しめるのだ
ここの紙芝居タッチの演出も本作の特徴を捉えていて非常にグッドだ

 そしてプレーヤーが観測する3つの世界がそれぞれ1つの作品として十分に成り立つ位に特徴的で、毛色が異なるという点も本作の魅力だろう。天界に住む機械(マキナ)が地上に住む人間(ラボル)を管理するスチームパンクと近未来世界が融合した「機械(マキナ)×人間(ラボル)ワールド」、俗に言う異世界転生モノをモチーフにチート能力やステータス表示などと言った単語が飛び交う「異世界(ファンタジー)×現代(リアリティ)ワールド」、時代劇チックな「和の侍」と「洋のガンマン」が同時に存在する「西部(ガンマン)×東部(サムライ)ワールド」といった特徴的な3つのワールドを観測者として見守る事となるのだ。

 正直「えっ、この3つが同じ作品に収まるのか……?」と思わずにはいられないが、それぞれの世界の物語をしっかり描きながらも各キャラクターを掘り下げるキャラクタークエストが用意されていたり、2画面同時操作ならではの演出や要素も各所に散らばっていて、簡単な感想となってしまうが非常に“上手い”事RPGとして作られているのだ。さらに各ワールドならではの要素が一部バトルシステムやミニゲーム等にも組み込まれているため、それぞれの世界観に合った楽しみ方が徹底されているのもRPG好きとしては嬉しいポイントとなっている。

スチームパンクSF、異世界転生、時代物と言った歴戦のオタクなら何かしら琴線に触れそうな世界観がズラっと並べられて完全にRPGのお子様プレートのようになっている……!
各世界の観測を始める前には境界ちゃんがそれとなくその世界の概要を紙芝居で教えてくれるため、スッと世界観を掴めるのもありがたい
ここまで異色の物語をそれぞれ展開しながらどの世界でもゲーム的な手抜きは一切感じさせないのが本作の凄い所
キャラクター毎のサブクエストではバックボーンや主人公との繋がりが見えたり、各世界に対応した演出やシステムがしっかり作られているため、1本の作品で3本のRPGを全力で作っている感を凄まじく感じる

 ストーリー面での本作の概要が紹介した所で、次は実際のゲーム性や操作感についてレビューしていこう。ゲーム全体の流れとしてはまず横スクロールの街やダンジョンで各主人公を操作して探索し、メインシナリオやキャラクターイベント等を進めていく事となる。

 ダンジョンでは敵とランダムエンカウントやイベントでのボス戦でバトルが発生。バトルシステムは王道のコマンドバトルシステムだ。キャラクターのスキルを選択して敵を攻撃するシンプルなシステムなため難しい操作などは特に無く、キャラクターの育成もバトルを行ない経験値を得てレベルアップ、装備品を装備させてステータスを上昇させるといった直感的にわかる要素のみとなっていて、全体的に親しみ深いコマンドバトルRPGに纏まっている印象だった。

ゲーム全体のシステムは正に王道RPGの教科書のような作りになっているためシンプルでわかりやすい
最大メインメンバー5人とサポーター2人編成のパーティを構築し、スキルや攻守のバランスを考えて戦略を組み立てる……といったコマンドRPGの醍醐味をしっかり楽しめる作りになっている

 本作ならではの要素である“2画面同時進行”の操作感についても取り上げたい。「ワルツ―」では1つの世界で2人の主人公を同時に操作する事ができ、2つの物語を一気に楽しむことができる部分が大きな特徴であり魅力だ。しかし、それを聞いて真っ先に「操作が難しそう」や「同時進行だと忙しくて大変そう」と思ってしまったプレーヤーも少なくないと思われる。実際に筆者もゲームの概要を聞いた時には正直同じような感想を抱いたので気持ちは強くわかるのだ。なのであえて声を大にして言いたいが、本作は2画面同時操作ではあるものの“操作は全く難しくも無ければ忙しくも無い”作品となっている。

 その要因を1つずつ紐解いていくと、基本的に同時に操作することを強制していないという点だ。上下で展開される物語を同時に操作することで効率よく進めることができるが、片方のみに集中して操作することが可能であるため急ぐ必要はない。

 加えて上記で取り上げた通り、全体的な操作感がシンプルかつ親しみ深いコマンドRPGのシステムで纏まっているため上下それぞれの操作は難しくない。上下で別の画面が広がっているため難しそうに見えるが、分けて考えると比較的シンプルな設計になっている。何かしらのゲームを遊んだ事のあるプレーヤーであればチュートリアルを見なくともそれとなく直感で理解できる位にも感じられ、言ってしまえば基本的なゲーム操作にほぼ慣れている状態からスタートできるのだ。その状態で本作独自の2画面同時進行にだけ慣れていけば良いので、思った以上に掴みがしっかりとした作りになっていると筆者は感じている。

 また、どうしても2画面操作が難しい場合は無理して“同時に操作しなくても良い”というのが本作のポイントだ。本作はコマンドバトル制のRPGであるため、ゲーム中に突然アクション性の高い操作を求められる場面も少なく、バトル中ですら放置する事が可能なシステムとなっているため、自分の好きなように1つずつゆっくりシナリオを進める事ができるようになっているのだ。

 極論、上サイドの物語を進めてから次に下サイドの物語を進める……といった遊び方も全然可能なのである。そこまでカッチリ決めなくても例えば物語の内容的に別サイドの主人公の事が気になってしまう事が起こったり、重いイベント等が続いてちょっと味変したいなと感じた時に、サッともう1人の主人公の物語を遊べるといった感じで、同時操作を強要するのではなく自分の好きなタイミングで自由に物語をシフトさせながら楽しめる同時進行の利点のみを追求したような形に本作は仕上がっているのだ。

物語を自分の自由に歩めることに加えて、筆者が地味に感動したのは上下に物語が移行する際の違和感の無さだ
ロードやシステム表記が表示される事無くスッと操作が入れ替わり、加えて各主人公は操作時にそれぞれ独自の世界観にあったBGMが流れるが、それがシームレスに移行するため全く違和感なく操作を変更できる
「美しく清涼感のある近未来×鉄と油を感じるスチームパンク」、「ファンタジー系×ほのぼのBGM」、「和×洋」といった全く異なる音色が不快感なく切り替わる感動も是非味わってほしい

 一方で「じゃあわざわざ2画面で同時に物語を進める必要無くない?」と思う人もいるかもしれないが、本作はプレイの快適度を追求しながらも、そんな事も言わせないような作りになっているのが素晴らしいポイントとなっている。

 本作では“2つの物語が交差する瞬間”の演出がしっかりとゲーム内に組み込まれており、それも上下2画面で分割している本作のゲームシステムを活かしたようなシチュエーションが用意されている等、胸躍る堪らない場面が随所に用意されているのだ。

 さらには操作していないサイドの放置しているキャラクター達がその場で勝手に経験値を稼ぎ始めたり、片方の物語を進めないと進行できない連動箇所が出てきたりなど、無駄になる部分も極力利用できるような形に仕上げながら2つの視点を利用したRPG作品としてしっかり楽しめるような要素を盛り込んでいる。2画面同時操作による複雑さを極力無くしながら、逆に2画面である事を利用した演出やシステムをフルに活用した作品と言える。

2つの視点で物語を一緒に進めていき、それぞれの道が交差した時の興奮こそが複数人の主人公が存在する作品の醍醐味の1つだと筆者は考えている
上下に別れた本作のゲーム画面を利用して「親方!空から女の子が!」という展開をやってのける演出には思わずニヤけてしまう