【特別企画】

Netflix加入者は無料で遊べるターン制シミュレーション「Into the Breach」をキミは知っているか

地形や設備、敵すらも利用して5ターンを凌ぎ人類を守れ

【Into the Breach】

配信中(Switch/PC版)

7月19日 配信予定(スマートフォン版)

【Into the Breach: Advance Edition】

7月19日 配信予定

 自軍のキャラクターを一手一手慎重に動かしながら勝利に導くターン制シミュレーションは今も根強い人気を誇るゲームジャンルだ。「大戦略」シリーズ(システムソフト)や「フロントミッション」シリーズ(スクウェア・エニックス)、「XCOM」シリーズ(2K)や「ファイアーエムブレム」シリーズ(任天堂)など多くのシリーズ作品が展開されている。

 数々の名作が生み出されているジャンルだが、そんなターン制シミュレーションの魅力を凝縮し、コンパクトに纏めつつ高い完成度を誇るインディーゲーム「Into the Breach」を今回は紹介していく。

 「Into the Breach」はSubset Gamesが手掛けるターン制シミュレーションゲームだ。本作の舞台は人類滅亡の危機に瀕する地球。プレーヤーは3機の戦闘メカを指揮し、VEK(ヴェック)と呼ばれるエイリアンから人類を守ることになる。本作最大の特徴として各マップは5ターンで終わるという点にある。従来のターン制シミュレーションの場合は、敵を全滅させることや、指定の場所の制圧を目的とする事が多いが、本作は“たったの”5ターンを防衛するだけというシンプルなルールになっている。

 そんな本作がNetflix加入者は本日7月19日より無料で遊べるようになるほか、これに合わせて様々な要素を追加するアップデート「Advance Edition」の配信がスタートする。今回はプレイを始めると休日があっという間に溶けてしまう「Into the Breach」について触れていく。

【Into the Breach [Indie World 2019.12.11]】
本作を手掛けるSubset Gamesは2012年に「FTL: Faster Than Light」というシミュレーションゲームをリリースしている。こちらは宇宙船が舞台で船員や武装といったリソース管理が重要となるゲームだ。一時的に時間をストップできるものの、リアルタイムにゲームが進行するため非常に忙しい

「Into the Breach」の特徴をおさらい

 最初に本作の簡単なルールを説明しよう。8×8マスの正方形からなる本作のステージ上には建物が存在する。地球侵略を目論むVEKはこれらの建物や、操作キャラクターにあたるメカを狙い攻撃を仕掛けてくる。プレーヤーはメカに指示を出し、次々に出現するVEKを倒したり移動させたりして建物を守り、5ターンを凌ぎ切ることができればそのステージの勝利となる。

 プレーヤーが操作するのは2足歩行のロボや戦車、戦闘機など決められた3機のメカ。各メカは異なる攻撃方法を持っており、パンチでダメージを与えつつ正面方向に1マスずらすといったものから、遠距離からの砲撃で戦線をアシストするメカ、砲弾の着弾地点に爆風を発生させ、周囲の敵の位置をずらすメカなど異なる攻撃手段を有している。

 「Into the Breach」における各ステージの目標は建物を防衛すること。すなわち、必ずしも敵を倒す必要がないというのが本作のポイントだ。敵はある程度の数までターンごとに増えていくため、撃破できる場合には倒してしまったほうが楽。しかし、プレーヤーが操作できるのは3機のメカのみであり、多勢に無勢の状況となる。敵の動きは事前に把握できるというシステムになっているため、敵の位置をずらして攻撃を空振りさせたり、同士討ちさせたり、身を盾に建物に対する攻撃を受けたりと、人類存亡のため最善の一手を尽くし続けることになる。

主人公たちはタイムトラベルが可能で、地球を救うため未来からやってきた
複数のメカが存在するが最初は「リフトウォーカーズ」というスクワッドのみが使用可能。2足歩行のコンバットメカはメインビジュアルにも描かれているメカだ
画面左上の「電力インフラ」がなくなるとゲームオーバー。建物を守ることで電力は維持される。5ターン守り切ることでVEKは撤退していく
各メカともに異なる攻撃手段を有している。近距離攻撃を得意とするもの、遠距離からサポートするものなど、各スクワッドごとに特徴がある

圧倒的に不利な状況を打破するためのテクニック

 ターンごとに増加する敵の数に対して、こちらのメカは3体で戦わなければならないためリソースが不足しがちになる。4体の敵が存在すれば基本的に建物やメカなど4箇所が狙われることになり、メカ3体では太刀打ちできない。先述した敵の攻撃を敵に当てる同士討ちの他にも、危機的な局面を打破する様々なテクニックが存在する。

 まずはステージの環境について。森や砂漠、雪国など環境の異なるステージが存在し、これらには異なるステージギミックが存在する。森のステージの一部には木々が生えているマスが存在する。ここに対して攻撃をすることで森林火災が発生。そのマスに敵を乗せることで炎による継続ダメージを与えることが可能だ。また、ダムが存在するステージもあり、このダムの壁を攻撃するとダムが決壊。ダムの水が勢いよく流れ出すため、水が苦手なVEKを一掃できる。各マップごとに豊富なバリエーションのステージギミックが用意されているため、これらを有効活用することが勝利のカギとなる。

4つの島+ボスマップが存在し、それぞれのステージを攻略していくことになる
このステージは海岸が1ターンごとに迫ってくる。メカは水に入っても壊れはしないが攻撃不能に。水が苦手なVEKは即死となる
ダムなど特殊なギミックがあるマップも
ダムを壊すと水が一気に流れ出しステージの構造が大きく変化する

 また、雷や味方の戦闘機による航空支援など1撃で敵を倒すことが可能なギミックもある。これらに関しても事前に対象となるマスが指定されるため、自らのロボが留まらないようにしつつ、敵をそのマスへと移動させることも重要だ。

 5ターンという長さが極めて秀逸で、最初は従来のターン制シミュレーションと比較すると短く感じるかもしれないが、次から次へと出現するVEKたちに対しては5ターンを凌ぐことがギリギリ。ワンミスによって戦線が崩壊し、敵の猛攻を防ぐことができず敗北を喫するということもしばしば。手に汗握る防衛戦が用意されている。

ステージギミックや敵の行動順は確認可能。この場合は2体のVEKが黄色で示される航空支援により撃破されるため、ほぼ何もしなくても1ターンを経過できるということもある

 最初は2足歩行のロボ・戦車・曲射が可能な砲撃メカが揃う「リフトウォーカーズ」のみとなるが、後に複数のスクワッドを開放することが可能。基本的にはスクワッドのメカ3種が固定されているが、各スクワッドから強力なメカをチョイスして夢のスクワッドで攻略することもできる。新たなドラマが生まれること間違いなしだ。

メカデザインはかっこいいものが多いぞ!
同じメカ3機という攻撃に全振りな組み合わせも可能。ハチャメチャな組み合わで挑戦することもできる
ちなみに筆者お気に入りのスクワッドはブルーのカラーが特徴の「ゼニスガード」。ビームを発射し直線状に存在する敵全てにダメージを与える攻撃手段を兼ね備えている

 また、繰り返しのプレイを彩る要素としてステージ開始時に発生するイベントと各マップクリア時の報酬が非常に魅力的だ。ここではメカに搭乗させるパイロットやメカに装備可能な武器やスキルが入手できる。多彩なメカが存在するが相性が良い武器を手に入れることで1機だけで敵を翻弄することもできるようになったりする。

各マップをクリアすることでランダムな報酬が得られる。これは各ステージ右上に表示されているボーナス目標の達成などでより多く獲得できる
ステージ開始時に「タイムポッド」が空から降ってくることがある。そのマスに移動し取得するか、ステージクリアまでVEKに踏まれず守ることでランダムなアイテムが入手できる。攻略に役立つものばかりなので、余裕があれば入手したいところ

 また、ビジュアルと音楽についても言及したい。「Into the Breach」は全編を通してドット絵が採用されているが、メカやVEKのアニメーションが非常に作り込まれている。攻撃による演出や、メカの重さを感じさせる砂埃、虫のような形状のVEKの不気味さがしっかり表現されていると感じる。音楽も静まり返った地球での孤独な戦いを鼓舞してくれるかのような戦闘BGMになっている。一方、各エリアをクリアした際に流れる楽曲は、そこまでの努力をねぎらうかのような明るい楽曲で、次のエリアの防衛も頑張ろうという気持ちにさせてくれる。

ステージ開始時などに民間人の声援が聴こえてくることがある。細かい演出だが応援されるとちょっとうれしい
ちなみにゲームクリア時のエンディングも美しい映像で、是非自身の目で確かめてみてほしい

Netflix加入者向けの無料配信&アップデートも実施!

 さて、そんな本作がサブスクリプションサービス「Netflix」にて無料で配信されることとなった。Netflixではドラマシリーズや映画など様々な映像コンテンツを配信しているが、「Netflixゲーム」としてスマートフォンやタブレットにてプレイ可能なゲームを提供している。サービス加入者であれば追加料金無しで利用できるサービスとなっており、アクション「ポインピー」などのタイトルが配信されているが、このラインナップに「Into the Breach」が追加され、スマートフォンへの初対応となる。

 複雑な操作は要求されないほか、ターン制シミュレーションとなっているため、こまめにセーブして隙間時間に進めることも可能。スマートフォンとの相性が良いタイトルだと感じていたため気軽に挑戦することをおすすめする。なお、編集部で問い合わせたところ各地域の詳細な配信時刻は未定で、24時間以内には世界中でプレイが可能になるという。

 さらに、これに合わせる形で全プラットフォーム向けに無料のアップデート「Into the Breach: Advance Edition」が配信となる。5つのスクワッドと40種類の武器、新たなパイロットは4名が加わるほか、敵やボスも追加となるなど、より遊びごたえのある作品へと進化する。公開されている情報ではステージのマス目を砕いて奈落の底に突き落とすことが可能になっているなど、戦術の幅を広げる新たなメカが追加となるようだ。

 PCだけでなくSwitchでもダウンロード販売が行なわれている作品であるため、VEKの侵略から地球を守る指揮官として、作り込まれた本作を体験してみてほしい。5ターンというキワキワの設計に唸るはずだ。

【Into the Breach: Advance Edition Update Trailer!】