【特別企画】
キューバのリアルを知って「ファークライ6」を100万倍楽しみたい!
実は治安がいい? キューバにハマった写真家夫婦・上田家に現地の様子を聞いてきた
2021年10月1日 00:00
- 【ファークライ6】
- 10月7日 発売予定
- 価格:9,240円(税込)~
キューバ! そう聞いて、何を思い浮かべるだろうか。カリブ海に浮かぶ常夏の島、葉巻、キューバリバー(キューバリブレ)などのカクテル、チェ・ゲバラによる革命の国などなど、様々なイメージがあると思う。では、実際にその地を訪れたことがある方はどれくらいいるだろうか。
なぜ唐突にキューバの話をはじめたかというと、この10月7日にいよいよプレイステーション 5/4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC「ファークライ6」が発売されるからである。「ファークライ6」は、オープンワールドアクション「ファークライ」シリーズのナンバリング最新作だが、なんと言ってもその舞台「ヤーラ」のモデルとなっているのがキューバ、というわけだ。
ヤーラでは、独裁者のアントン・カスティロ大統領が君臨しており、暴君の打倒を目指すため現代のゲリラ革命戦が描かれていく。実際のキューバでもチェ・ゲバラがゲリラ戦を指揮して革命が成されており、歴史も含めたキューバの様々な要素がゲーム内で体験できると予測される。
そして、最初の質問に返ってくるわけだ。キューバがモデルであるならば、事前にもっとキューバのことを知っておけば、より細かい部分を含めて「ファークライ6」を楽しめるのではないだろうかと。筆者は残念ながらキューバに行ったことがないが、ならば行った人に話を聞けばいい!
そこで今回、キューバ滞在経験者として写真家のコムロミホさんと上田晃司さんにお話を聞くことができた。おふたりは、世界の街スナップを中心に活動している写真家夫妻。キューバ初上陸は2014年、夫妻のハネムーンがきっかけだったという。最初は「一生に一回」のつもりだったが、キューバの魅力にハマって旅行が恒例化。特に旧市街地のオールド・ハバナの虜となり、コロナ禍以前の2019年までは6年連続で現地を訪れていたそうだ。
ちなみに「ファークライ6」では首都「エスペランザ」が登場し、ここがシリーズ初の広大な市街地になるという。「ファークライ6」を深く理解する上でも、キューバのリアルを知る上田夫妻のお話は大いに参考になると思う。さっそく振り返っていきたい。
キューバの魅力は「街と人」
――本日はありがとうございます。まず、おふたりのプロフィールを教えてください。
コムロさん: コムロミホと言います。私は写真家で、いろいろな写真を撮りますが、メインとなっているのは街スナップです。国内や海外を歩きながらスナップを撮り歩いていて、街の人とコミュニケーションを取りながら情景を切り取ることを大切にしています。ほかに、執筆やカメラの講師もやっています。最近ではリアルでのカメラ教室がなかなか開けないので、カメラ撮影についてのYouTubeもはじめました。
上田さん: 上田晃司です。写真家になって15年以上ですね。私のメインも海外スナップで、コロナ禍で最近は行けていないのですが、世界の旅先のドラマチックな瞬間を撮影しています。もともと動画出身なので、現地の動画撮影もしています。
――初キューバは、おふたりのハネムーンとお聞きしました。
上田さん: そうです。「一生に一回」のつもりで2014年に行きました。それが1回目だったのですが、結局コロナ禍前の2019年まで6年連続で行っています。
――それほど強烈な体験だったんですね。キューバのどこに、それほどの魅力を感じたのでしょうか。
コムロさん: 街と人ですね。私たち2人ともそうなのですが、街へ行くとどうしても写真を撮りたくなってしまうんです。旧市街のオールド・ハバナは街そのものも楽しいですし、何より人懐っこい人が多いんですよ。
上田さん: 他の街だと人が冷たいこともあるのですが、キューバの人々はとても距離感が近いんです。街を歩いていると100円ぐらいの通貨をねだられることが多いのですが、「じゃあ代わりに写真を撮らせて」とお願いすると、すぐに応じてくれる。バーで仲良くなって、そのまま何軒か回って、その人の家まで行って写真を撮ったこともあります。
――なんだか危ない目にも会いそうなが気もします。
上田さん: それが、キューバって比較的治安がいいんですよ。夜、カメラを持って街を歩いていてもぜんぜん平気です。隣のジャマイカだったらそうはいかないはずです。
もちろん危険なエリアもあるのですが、むしろ現地の人が「そっちに行ったら危ないよ」と教えてくれたり、長年の旅の経験でなんとなく気づいたりできるので、命の危険を感じるとかそういうことはなかったですね。
――治安がいい! これは意外でした。
コムロさん: とにかく人がフレンドリーなんです。私たちもコミュニケーションしていて楽しいですし、だからこそ他の街では撮れないような写真が撮れます。気をつけるべきことは最低限気をつけつつ、楽しい出会いを続けるうちにすっかりキューバの虜になってしまいました。
途切れない音楽と排気ガスの煙
――なんだかすごくいい街なことが伝わってきました。
上田さん: ところが、最初のハネムーンではアクシデントが起きたんですよ。
――え、そうなんですか?
コムロさん: 屋台のアイスクリームを食べて、思いっきりお腹を壊したんです。2人で最初の一口を食べて、「あ、これはアイスクリームの味じゃない」と(笑)。現地の人もペロペロ食べていたので、大丈夫だと思って油断しました。
上田さん: せっかくのハネムーンの一日を、そのアイスクリームで潰してしまいました……。それと、食事がとにかく合わなかった。どこで食べても味のしない料理ばかりが出てきたんです。
コムロさん: ただ、食事は行くたびにおいしくなっていったよね。
上田さん: そうそう。素朴な料理が多くて、なかなか美味しいキューバ料理に出会えなかったけど、街の人の魅力に気づきはじめて、次の年にリベンジしようとなって。
そしたら、リベンジの年からおいしいレストランを引き当てることが増えて、どんどん食事環境はよくなっていきました。2014年末にはアメリカとの国交回復(いわゆる「キューバの雪解け」)があったので、もしかしたら物資にも影響があったのかもしれません。
――現地でよく食べたものは何でしょうか?
コムロさん: 「コングリ」はよく食べました。赤いんげん豆とお米を使ったご飯料理で、適度な塩味があって美味しいです。スペインやアメリカの料理の影響を受けて、ごちゃまぜになっているようなものが多いような印象です。
――飲み物は何を飲んでいました?
上田さん: 硬水が苦手で、水ではなくビールをよく飲んでいました。それからカクテルはおいしかったですね。キューバは「ハバナクラブ」などのラム酒が有名で、キューバ発祥のカクテルがたくさんあります。代表的なものが「モヒート」ですが、本場で飲むモヒートは爽やかで最高でした。
――街の雰囲気はどんな感じなんでしょうか。
コムロさん: いろいろありますが、印象的なのは音楽ですね。街を歩いていると、お店からも家からも、そこら中から音楽が聞こえてきます。どこかの音楽がフェードアウトするかなと思ったら、もう次の音楽が違うところから聞こえてくる、みたいな感じです。自分自身で演奏している人たちもいますし、街を歩いている間、ほとんど途切れないで音楽が鳴り続けていました。
上田さん: あとは排気ガスの煙ですね。キューバはクラシックカーがあふれるくらい走っているのですが、特にオールド・ハバナでは排気ガスの煙と臭いが街に充満しています。
コムロさん: 街の至るところにゴミ捨て場があるので生ゴミの匂いもありましたね。でも街を歩いていると、その匂いにも慣れてきてしまうのが不思議です。
上田さん: ただ、それが味になってもいるんです。雰囲気のある路地があって、5月に訪れると綺麗な夕日が差し込むのですが、充満した煙と合わさると何とも言えない幻想的な風景になります。その写真を撮るために、また訪れたいなと思うくらいです。
「ファークライ6」では建物の再現度に注目!
――おふたりには「ファークライ6」のトレーラーも見ていいただきました。現地、特に市街地の感じはいかがでした?
コムロさん: 「あ、そっくり!」と思うような場所もあって、雰囲気をよく再現しているなと感じました。舗装されていない道路の感じや、ゴミ用のコンテナが無造作にひっくり返っているところなどはまさにそのままの風景です。
上田さん: 街に差し込んでいる光の加減がとてもいいですね。鮮やかな西日に照らされた市街地の遠景などは、現地のものとそっくりだと思います。
コムロさん: 街並みもいいですね。旧市街地は高い建物もありますが、そこから2~3キロ歩いていくと、2階建てがずっと続いているような住宅地があります。そのあたりの風景に近いものがありました。こうした建物はスペインの植民地時代に建てられていて、1600年~1700年代の雰囲気がありますね。
上田さん: そうだね、すごく似ている。窓枠の感じなどは、もうそのままです。
コムロさん: ここら辺の建物って、扉の大きさが建物によってバラバラなんですよ。最初は不思議だったんですが、現地のお土産屋の店主が、建物ができた当時は扉の大きさによって住んでいる人の階級が違っていたと教えてくれました。そうした再現もしっかりされていそうですよね。もしゲームをプレイするなら、扉の大きさはぜひ注目したいところです。
上田さん: 街は結構入り組んでいて、扉の向こうにまた違う街が広がっているような、広い中庭のような場所もあります。扉の中に広がりがある不思議な感覚になる光景で、そういったものがあるのかも確かめてみたいですね。
――ゲームだと街の中に軍人もいるようですが、実際にはどうなんでしょうか。
上田さん: 警察官はいますが、軍人はなかなか見かけないですね。そこはゲームならではといったところです。
――実際の治安は悪くないようですからね(笑)。ゲームならではと言えば、ゲリラ戦がこの現代の街並みで行なわれることです。トレーラーを見る限り、各エリアに点在する反政府勢力と少しずつ協力していく、といったストーリーが描かれるようです。
コムロさん: あ、それは実際のキューバ革命時のゲリラ戦と似ているかもしれません。チェ・ゲバラによるゲリラ軍も、現地の人々と力を合わせながらだんだんと勢力を拡大していったようです。
――なるほど、革命の手順はなぞらえていそうですね。もうひとつ、ゲームならではと言えるのが、ヤーラ独裁者のアントン・カスティロ大統領です。強烈な悪役はシリーズの特徴ですが、彼の切り札のひとつが“がん治療薬(ヴィヴィロ)”です。実際のキューバでもありえるのでしょうか。
上田さん: 難しいですね(笑)。ただ、がん治療薬までは聞いたことがありませんが、キューバが高い医療技術を持っていることはよく聞きます。新型コロナウイルスのワクチンを自国で開発して、先日は世界に先駆けて2歳以上へのワクチン接種を開始したことでニュースになっていました。国民は医療を無料で受けられますし、そうした背景が反映されていそうですね。
――高い医療技術があるという事実を踏まえた上での“がん治療薬”なわけですね。一方で、街の雰囲気はやはり違っていて、街には大統領の肖像画が多く掲げられています。キューバというと英雄のチェ・ゲバラがアイコンになっているイメージがあるので、そういう意味では対照的なのかなと思いました。
上田さん: 実際にはそこまで頻繁にチェ・ゲバラの肖像に出くわすわけではないですが、レストランや街の一角などで見かけることはあります。街の人々にとっても、象徴的な意味合いがあるのだと思います。
――最後に、まだ事前情報の段階ではありますが、「ファークライ6」をおふたりはどう感じていますか?
コムロさん: 想像以上にキューバの雰囲気が出ていて驚きました。特に、自由に動いていいというところが面白そうだなと。キューバ好きとしては、街を探索するのが楽しそうです。
上田さん: 歴史を学ぶとゲームが面白くなるっていいですね。チェ・ゲバラのことは知っていても、では実際に何をやった人なの? というのを調べてみるとさらに面白いと思います。ゲームをきっかけとして、キューバのことを知ってもらえたら私としても嬉しいです。あと、コロナ禍で2年もキューバに行けていないので、話をしていてますます行きたくなりました(笑)。
――「ファークライ6」のヤーラを通じてキューバを旅するというのも良さそうですね。本日はありがとうございました!
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