【特別企画】
「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」インプレッション
加速するストーリー、広大なマップ、気持ちのいいアクションの三拍子
2021年9月17日 16:59
- 【LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶】
- 9月24日 発売予定
- 価格:
- 【通常版・デジタル版】
- 9,119円(税込)
- 【デジタルデラックスエディション】
- 13,519円(税込)価格:
セガは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One用リーガルサスペンスアクションゲーム「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」を9月24日に発売する。
「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」は、俳優の木村拓哉さんが主人公を演じるということで大きな話題になった「JUDGE EYES:死神の遺言」の続編だ。前作では、キャストだけでなく、ゲームシステムやストーリーも高い評価を得ている。
筆者も実際に前作をプレイしたのだが、開発している「龍が如くスタジオ」らしい爽快感あるアクションと、一方で対象的な探偵アクションというユニークさ、さらに主人公を木村さんが演じるという衝撃、そしてそんなゲームシステム・キャラクターでまたあの架空の歓楽街「神室町」で過ごすことができたこと。その全てが非常に面白かった。
前作が面白かったこともあり、かなり期待して本作をプレイしたのだが、最初に受けた印象は「前作のいいところをそのまま引き継ぎながらも、様々な点でパワーアップしている」だった。主人公のアクションは相変わらず爽快だし、続きが気になるストーリーは健在。一方で、行動できるマップは大きく広がったほか、高校が舞台ということを活かしたユニークな遊びも複数追加された。
今回はインプレッションということで、メインストーリー3章終わりまでをPS4版でプレイした感想をお伝えする。3章終わりまではまだまだゲーム序盤であったが、すでに本作のポテンシャルを強く感じられた。
学校という社会で起きる“イジメ”に切り込む社会派ドラマ
まずは本作のストーリーについて語っていきたい。
ストーリーは、江原明弘という現役の警察官が痴漢の罪で起訴され、判決を言い渡される……というところから始まる。江原明弘は、現行犯逮捕ということもあり有罪判決を言い渡されるが、その瞬間、突然に口を開く。「ある若者が腐乱死体として横浜で発見されたはずだ」と。そして、江原はまだ誰も知らないはずのその死体の身元を言い当て、その人物に対し「4年前に息子を自殺に追いやった万死に値する人間だ」と話す。
時を同じくして主人公の八神隆之は、前作でも協力関係にあった横浜九十九課の所長・九十九誠一と調査員・杉浦文也が引き受けた、“イジメ”について調査依頼をサポートするために横浜を訪れる。
調査を行なうのは横浜にある“私立誠稜高校”だ。調査の結果この高校には今も生徒によるイジメがあることがわかった。そして4年前にもイジメがあったと思われることが調査で判明する。実は江原の息子もこの高校に在籍しており、彼が自殺した理由もイジメだと思われる。
これらの情報だけだと江原が報復のために殺人を犯したように見えるのだが、江原が痴漢を働いた時間帯がちょうど、その死体の死亡推定時刻であった。つまり、江原にとっては痴漢の有罪判決こそが殺人のアリバイだった……というストーリーになっている。
今回お伝えしたストーリーはまだ導入部分だけが、これだけでも先が気になる展開であることはお分かりいただけるだろう。おそらく最終的にはサブタイトルの「裁かれざる記憶」というキーワードにも収束していくのだろうと予想できるが……。とにかく結末が気になるストーリーだ。
なお本作では、前作の「JUDGE EYES:死神の遺言」から3年後の世界が描かれている。前作をプレイしていなければ、ストーリーがわからないのでは? と心配される読者の方もいるかもしれない。結論から言うと前作をプレイしなくてもOKだ。話のコアとなる部分は今作からの新しいストーリーなので問題なく楽しめる。
ただ、九十九誠一や杉浦文也というキャラクターは前作から引き続き登場するキャラクターだ。そういう意味では前作をプレイしていた方がより深く楽しめるだろう。
ちなみに、これまでの龍が如くスタジオの作品では、神室町や日本各地の歓楽街が舞台になってきた。ヤクザやギャングといった裏社会で起きる人間関係や、そこから派生する物語がキーになっていたが、本作では大きく舵を切って「学校」という社会、そして「イジメ」というテーマを掘り出してきたのだ。正直なるほど、そう来たかという印象だ。
学校は他の様々な社会に比べると小さいかもしれない、だが学生や教職員にとってはとても大きく影響力がある社会だ。そこで起きるイジメという行為。それはこれまで取り上げられなかったものの、非常に大きな社会的問題だ。イジメという社会問題への切り込み。そこに驚かされた。
爽快なバトルアクションは健在! 多彩になった調査アクションも面白いぞ
ゲームはストーリーの進行に従って調査アクションを取っていくことで進んでいく。調査アクションとは例えば、特定の場所に行ったり、誰かに会ったり、誰かを尾行して情報を集めたりするといった具合だ。
探偵の基本となる調査アクションはかなり多い。探偵らしく尾行や潜入などで調査することもあれば、今作からの新要素として、不安定な足場や壁の凹凸、パイプを握力を使って移動する「アスレチック」や、コインなどを投げて敵の気をひいているすきに通り抜ける「スティール」といったアクションもある。また、敵からの妨害を受けて正当防衛ばりに戦うこともある。
ターゲットを尾行し、決定的な瞬間を写真に収め、時には危険な場所に潜入し、敵対人物を排除する……。前作以上に種類の増えた調査アクションにも注目だ。
そして、前作に引き続きという意味ではバトルアクションの爽快感も外せない。簡単なボタン操作でコンボが決まっていくのは気持ちいいし、なんといっても木村さんが演じる八神を操作できるのが最高に楽しい。
基本的な攻撃は□ボタンと△ボタンを組み合わせる。□を適当に連打していると攻撃が繋がってコンボになるし、△ボタンを入れるとそれが強攻撃のような形でコンボの締めの攻撃になる。序盤のザコ敵やゲームの難易度を下げた場合はこれだけでも敵を倒せる。
街に転がっている看板や自転車を掴んで相手を殴りつけることもでき、そのハチャメチャさは爽快感を通り越して笑ってしまうほどだ。
強い敵になるとL1ボタンでのガードや、✕ボタンでの回避、また○ボタンでの投げなども組み合わせる必要がある。
こう書くと難しい印象を与えてしまうかもしれないが、ゲームの序盤にかなり丁寧なチュートリアルが用意されており、数回戦闘をしていると本作のバトルアクションが手に馴染むだろう。
そして本作にはバトルスタイルというシステムがあり、このスタイルを切り替えることで攻撃方法が変わる。前作から引き継がれているのが「円舞」と「一閃」。円舞は攻撃範囲が広く複数の敵を巻き込んで倒せるスタイル、逆に一閃は一撃の攻撃力が重く1体の敵を的確に倒していくというスタイルだ。
そこに今作から新しいバトルスタイル「流(ながれ)」が追加され、敵の攻撃を受け流したり、怯えている敵を一撃で戦闘不能に持っていくことが可能になった。こういった新しい追加要素が本作をさらに面白くしている。
「神室町」よ、そして「伊勢佐木異人町」よ。私は帰ってきた!
やはり「JUDGE EYES」シリーズ、龍が如くスタジオのゲームといえば街歩きの面白さは外せない。前作では神室町という東京の架空の歓楽街が舞台だったが、今作では神室町に加え、横浜の伊勢佐木異人町も物語の舞台として登場する。
神室町といえば、もはや説明不要と言ってもいいだろう。「龍が如く」シリーズ、そして前作「JUDGE EYES」でも舞台になってきた東京の架空の歓楽街だ。
神室町の魅力は怪しいネオンが輝く歓楽街という点だ。居酒屋からゲームセンター、ピンクのネオン輝く大人向けのセクシーなお店などがギチギチに詰まって並んでいる。その密度の濃さと混沌具合が神室町の魅力だと思う。
「龍が如く」シリーズと前作を含め、筆者は何度もこの神室町という街を訪れ、様々な事件に巻き込まれ、様々な人々の生き様を見てきた。とにかく思い出深い街であらゆるロケーションに思い出が詰まっている。基本的に「龍が如く」シリーズ、「JUDGE EYES」シリーズは時系列が繋がっているので、過去作で焼け落ちたエリアはそのままだし、廃墟になったエリアはそのままになっている。
改めて本作でこの街に戻ってくることができ、主人公である八神としてこの街で過ごせるのはファンとしてはこの上ない喜びだ。
そして、この上ない喜びといえば、もう1つの大きな舞台「伊勢佐木異人町」も外せない。この街は「龍が如く7」で初お披露目になった横浜に存在する架空の街だ。
こちらは素直に驚いたというのが大きい。まさかまた「伊勢佐木異人町」を訪れることができるとは。プレイスポットやお店は閉店しているところが多く、完全に同じ体験ができるわけではないが、お世話になったハローワークもあるし、溜まり場だったバー「サバイバー」の中に入り、マスターに会うこともできる。
「龍が如く7」をプレイしたユーザーには繰り返しになるかもしれないが、伊勢佐木異人町は神室町の約3倍の広さで、「職安街エリア」、「コリアン街エリア」、「飯店小路エリア」、「伊勢佐木ロードエリア」、「風俗街エリア」、「スナック街エリア」、「中華街エリア」、「神内駅エリア」、「浜北公園エリア」という7つのエリアに分かれている。エリアごとにカラーが異なっているのが特徴的だ。
このエリアもひとつひとつ語りだすとキリがないのだが、筆者としては「龍が如く7」でお世話になったハローワークなどが印象深い。もちろん中華街エリアの巨大な門なども印象的だ。浜北公園から見える横浜ランドマークタワー風のビルは横浜の象徴的なビルになっている。
これらの街では飲食店で食事を楽しむこともできれば、プレイスポットでミニゲームを遊ぶこともできる。麻雀や将棋のようなテーブルゲーム、カジノや賭場、そしてドローンレースなども楽しめる。もちろんゲームセンターでUFOキャッチャーやレトロゲームに勤しむこともできる。
また神室町の八神探偵事務所ではセガの往年の名機「マスターシステム」のゲームもプレイできる。最初は「アレックスキッドのミラクルワールド」しかないがどこかでソフトを手に入れることで追加されていくのだという。こういった収集要素的なものも魅力だろう。
街を探索する楽しみがある……といえばもちろん街中で起きる様々な事件「サイドケース」も外せない。サイドケースは探偵事務所に依頼があり、そこから受注して始まるものから、街中を歩いているときに事件に遭遇することもある。また、ゲーム内に登場するSNSツールをハッキングして、事件が起きていそうな場所をマップに表示してくれる「バズリサーチャー」というアプリを使って見つけるサイドケースも存在する。
とにかくこのサイドケースが多い。ゲーム内で確認した限りでは神室町、伊勢佐木異人町を足して40個以上のサイドケースが盛り込まれているようだ。シリアスな物語の本筋とは違い、コミカルな内容のものもあるのでメインストーリーと並行しながら進めていくと良いだろう。
「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」は、とにかく前作を何倍にもパワーアップさせたというのが伝わってくる作品だ。ストーリーも、マップのスケールも、アクションも何もかもが前作より遥かに進化している。とにかく発売日が楽しみでしょうがない。
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