【特別企画】

「THE PEGASUS DREAM TOUR」はパラリンピックを題材にした”アバターRPG”に!

元「FFXV」ディレクター田畑氏率いるJP GAMES最新作、遂に配信開始

【THE PEGASUS DREAM TOUR】

6月24日 配信開始

プレイ料金:無料(アイテム課金制)

 JP GAMESは6月23日、「THE PEGASUS DREAM TOUR」のメディアオリエンテーションを開催した。本作は、Android/iOS向けに提供される国際パラリンピック委員会(以下、「IPC」)初のオフィシャルスマートフォン向けゲームで、本日6月24日より正式サービスが開始された。プレイ料金は無料で、ビジネスモデルはアイテム課金性。

 ”アバターRPG”と称された本作は、ゲーム体験を通じて持続的に社会課題解決に貢献していくこと、パラリンピックを新たにブランディングすることを目的として生まれたタイトルで、舞台となるのはオンライン仮想都市“ペガサスシティ”。

 日本を代表するキャラクター・ドラえもんが市長代理を務めるちょっと進んだ未来のこの都市にて、心を持ったプレーヤーのアバター“Mine”が、仲間たちと共にパラアスリートとして高みを目指す、新しい体験が出来るのだという。

JP GAMES代表取締役 CEOの田畑端氏。スクウェア・エニックスを退社後、JP GAMESにて本作を手掛けることになった経緯などを語った
JP GAMESサステナブル事業部Coプロデューサーの門田瑛里氏。サステナブルとは、人間・社会・地球環境の持続可能な発展、という意味を持ち、ゲームを通して社会課題に取り組んでゆく部署として、本作の製作に携わっている
アートディレクターの石崎晴美氏。「THE PEGASUS DREAM TOUR」のアートのコンセプトなどを語った

 「ゲームを遊ぶことが、ソーシャルグッドな活動になる」という本作は、果たしてどのようなタイトルなのか? パラリンピックを題材にした本作の見どころやコンセプトなどを紹介していきたい。

【Welcome to The Pegasus Dream Tour!】

アバターRPGって? 仮想都市での生活とは?

 本作では、まず自身の分身となるアバター“Mine”を作成するところから始まる。Mineは、自分自身をスマートフォンのカメラで撮影した写真から生成することが可能で、自身のプロフィールもMineに反映されるのだそう。

 そしてMineの大きな特徴は、自分自身で操作をするのではなくオートでMineがペガサスシティの中を動き回ること。Mineは心を持ったひとりのキャラクターとして、世界中の様々なプレーヤーとフレンドになったり、Mine同士で交流を深めていき、ペガサスシティで開催されるパラリンピックを目指して、日々トレーニングを行ない、コンディションを整えていくのだという。

 とは言っても、キャラクターがオートで勝手に動き回るのならば、プレーヤーがすることは最初のMine作りのみになってしまうのではないか、というところが気になる点だが、プレーヤーの主な役割はMineへの”指示”となる。

 ペガサスシティには時間が流れており、Mineは毎朝まず占いを行なう。そしてその占いの結果次第でその日のコンディションなどが決まるので、コンディションを上げるために映画を見てリフレッシュしたり、食事をしたり、トレーニングを行なったりと、プレーヤーはMineに大まかな行動の指示を出すことになる。つまりプレーヤーはMineの監督……という立場に近いのだろう。

 自身のMineを日々導き、その成長を見守り、やがてシティ内で開催されるパラリンピックにて金メダルを目指すのが、プレーヤーの役割だ。

 そうなるとMineに如何に愛情を抱けるか、或いは共感を得られるキャラクターにできるか、という点も重要だ。前述の通り、Mineは自身の顔をスマホカメラで撮影したものから作られるのだが、キャラクタークリエイトは目、鼻、口など顔の様々なパーツの特徴をデジタルで数値化し、できるだけその数値に近いパーツで構成されるため、かなり再現度高く作ることができるようだ。また、髪型や髪の色、服などは好きなものから選べるので、自身の顔に似たアバターを持ちつつ、様々なオシャレを楽しむことができる。

アバターが完成すると、ナビから「可愛いね!」、「かっこいいね!」といったような声をかけてもらえるという

 また、本作では義手や義足、車椅子などをギアと呼び、アバターと同じくらい再現にこだわっているとのこと。実際に義足や義手をつけたときの動きがどうなるのかも、Mineを通じてプレーヤーに体験してもらえるように、忠実に再現しているそうだ。

実際にパラリンピックに出場するような選手にデザインを見てもらい、選手の意見を反映したデザインに修正しているという

 ギアはペガサスシティの中で生活するときも装着できるようになっており、ファッション性もあり、個性あふれる少し先の未来のようなデザインにしているとのこと。ギアは着せ替え感覚で付け替えられ、ペガサスシティの暮らしの中では自分の個性のひとつとして前面に出すことができる。そしてギアによって更にコミュニケーションが広がり、より世界中の人とコミュニケーションを深めていくことができるそうだ。

 もちろん、ペガサスシティはバリアフリー設計となっており、車椅子でも全てのエリアを利用することが可能だ。なおペガサスシティのデザインについては、田畑氏からデザイナーの石崎氏に「渋谷のスクランブル交差点のようなイメージ」というオーダーがあり、多種多様な人々が集い、個性溢れる場所にしているのだそう。

ポップな色使いも、世界展開するタイトルだからこそのデザインのように見受けられる

 そしてそのペガサスシティの市長代理となるのが、国民的キャラクターであるドラえもん。ドラえもんは”どこでもドア”などのお馴染みのひみつ道具はもちろんのこと、本作のオリジナルのひみつ道具でMineの生活を手助けしてくれる。なお、今後も本作オリジナルのひみつ道具が登場する予定とのことなので、それも楽しみにしたい。

”アバターカメラ”は、Mineの制作時に使うもの。自身の分身をペガサスシティに誕生させるためにドラえもんが力になってくれるというのは、胸が熱くなる。”PEG”は、Mineひとりひとりにつくパーソナルガイド

 さらに本作を盛り上げるのは、アンバサダーに就任した羽生結弦選手。羽生選手は、本作が初のゲーム出演となる。羽生選手のアバターもペガサスシティの中で暮らしているので、毎日ゲームを進めていたらいつかどこかで出会えるはずだ。

自身もゲーム好きという羽生選手は、ビデオレターで本作への期待のコメントを寄せた
羽生選手のアバターとツーショットを撮影することもできる

 他にも実在する選手たちが複数名ゲームに登場し、彼らのアバターとのストーリーを楽しんだりという遊びも用意されているとのこと。

バゼット選手
廣瀬選手
くまモンなども登場する

 もちろん、仮想都市での生活だけが全てではない。パラリンピックを題材にしている本作では、実際にパラリンピックで行なわれるいくつかの競技にMineを出場させ、金メダルを取るという目標がある。

 ゲーム内で、実際に体験することが出来る競技は全部で5つ。本日実装されたのが、陸上とボッチャ。そして8月には車椅子バスケ、車椅子レース、ブラインドサッカーが追加される予定だ。

陸上

 ボッチャは馴染みのない人も多いと思うが、別名”地上のカーリング”とも呼ばれており、パラリンピックの正式種目のひとつ。障害の有無に関係なくプレイが可能で、赤・青のそれぞれ6球ずつのカラーボールを投げたり転がしたり他のボールに当てたりして、ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールにいかに近づけるかを競うもの。

ボッチャ

 基本的にいずれの競技でもプレーヤーはMineに指示を行なうのみ、という点ではペガサスシティでの暮らしと変わらないが、ボッチャはプレーヤーが自身で操作して世界中のプレーヤーと対戦することができるようになっている。ボッチャはプレイしたことがない人でも一度遊べばすぐにわかるルールでありつつ、真面目に戦略を考えると非常に奥が深いスポーツでもあるので、ぜひ本作でボッチャに触れてみてほしい。

「我こそは」というプレーヤーは、ぜひ対戦してトップを目指してほしい

仮想空間での暮らし、共生社会を目指すにあたって

 メディアオリエンテーションには、国際パラリンピック委員会理事である山脇康氏や、ファーストスポンサーであるブリヂストンのオリンピック・パラリンピック推進部の鳥山聡子氏もコメントを寄せた。

 山脇氏は、パラリンピックを知らない人や興味がない人、若い層にどうアプローチしていくかという点で頭を悩ませていたが、そんな折に田畑氏よりパラリンピックのゲーム化という打診があり、田畑氏の社会貢献への意識やゲーム化にあたっての制作意欲を聞いて、これならば誰もが多様性の素晴らしさを感じることができるようになる、と思ったそうだ。また、本作について、ダイバーシティ&インクルージョンの世界を感じることができる教育プログラムともなり得ること、これが未来社会への大きな一歩となることを挙げて、田畑氏とJP GAMESに「熱い御礼を申し上げたい」と語った。

 鳥山氏は、ブリヂストンがパラリンピックのワールドワイドパートナーとして長年選手を支えており、共生社会の実現に向けてパートナーとして活動を進めていることを語った。企業として社会課題の解決へと取り組み、そのひとつとしてパラスポーツへの応援も行なっており、ゲームを通じて共生社会を作っていくという本作のビジョンに、強く共感したのだという。鳥山氏は本作に登場する実在の選手たちもいることを挙げ、「彼らの姿を見て、多様性を考えてもらいたい。そのためにも、このゲームを一緒に盛り上げていきたい」と語った。

ブリヂストンに所属する選手の何名かは、カッコいいイメージイラストも登場した

 そして田畑氏は2018年10月にスクウェア・エニックスを正式に離れてからのこの約3年を振り返り、元々自身のキャリアの後半は、ゲームそのものがソーシャルグッドに繋がるような、社会を変えるきっかけのゲームを作りたい、と考えていたそうだ。

 だが最初から本作の製作が順風満帆だったというわけではなく、むしろパラリンピックのゲーム化ということに対して少なからず消極的な層がいたことによって、なお一層このゲームを世の中に出すという決意を固めたのだという。そして改めて、「ゲームというものは、体験するメディアであり、それで世の中を良くすることができると思っている。パラリンピックのゲーム化に挑戦させてほしい」と、正式にお願いしたのだと語った。

 更に田畑氏は、ペガサスシティはパラリンピックが終わった後も残り、ビジネス的な利用も視野に今後も様々な形で発展させていくという構想を述べた。更に、本作で培った仮想空間の技術そのものを様々な会社に提供していくことを考えており、既にβ版としての提供も行なっているそうだ。先日発表された、2022年に提供予定のANAの仮想旅行アプリにも、本作の技術を応用しているのだという。

 そして最後に、ゲーム事業については近いうちに情報を出すという、田畑氏のファンには嬉しい発表もあった。本作を含め、今後のJP GAMESの動きから目が離せなさそうだ。