【特別企画】
美しく生まれ変わった街と、緻密になったキャラクター描写! 「マフィア コンプリート・エディション」インプレッション
2020年9月18日 13:53
- 9月25日発売予定
- 価格:4,950円(税込)
「マフィア」が帰ってくる! 2Kが9月25日に発売する「マフィア コンプリート・エディション」は2002年(日本語版は2003年)に発売された「マフィア(Mafia: The City of Lost Heaven)」を1から開発した完全リメイク版である。なお、本作のレーティングはCERO:Zとなる。
本作はリマスターではなく、“リメイク”である。シリーズを開発するHangar 13自身が1から本作を開発している。ゲーム展開や大筋のストーリーはそのままだが、全く新しいゲーム/グラフィックスエンジンで制作されている。グラフィックスが現代のものになっているだけでなく、カットシーンやキャラクターの表現など全てが変わっており、より細やかにキャラクターの心情が語られている。当時の「マフィア」をプレイした人も、新鮮な気持ちでプレイできるだろう。
「マフィア」シリーズは5月に「マフィア トリロジーパック」というのが発売され、この「マフィア コンプリート・エディション」と混同する人も多いだろう。「マフィア トリロジーパック」というのは、価格改訂版の「マフィアIII」、HDリマスター版の「マフィアII」、そして新規に製作された「マフィア コンプリート・エディション」がセットになる。
「マフィア トリロジーパック」を購入すると、今回発売される「マフィア コンプリート・エディション」もそのままプレイできるというわけだ。今回取りあげる「マフィア コンプリート・エディション」はパックの中の1つの単品販売版であり、シリーズ1作目「マフィア」のフルリメイクである。このためこの機会にシリーズ全部欲しい、という人は「マフィア トリロジーパック」がオススメである。
「マフィア」が発売された2002年は、2001年に発売された「Grand Theft Auto III」の大ヒットにより、様々なメーカーからクライムアクションゲームが発売された。「マフィア」もその1つと言えるが、本作の大きな特徴は“歴史”を取り入れたところ。主人公のトミーは1930年代の禁酒法時代のギャングとなり、その時代を駆け抜けていくのだ。
、第1次世界大戦後に制定された「禁酒法」により酒の取引が違法となり、多くの人が闇取引で酒を求めたため、これを牛耳るギャングの力は大きく増した。ギャングは有り余る資金でトンプソンサブマシンガンなど最新の武装で力を誇示し、警察だけでなく同業のギャング達と激しい戦いを繰り広げていく。「マフィア」はこの時代のギャングを描いたオープンワールドクライムアクション・アドベンチャーだ。
「マフィア」はストーリーや雰囲気で多くのファンを掴み、「マフィアII」、「マフィアIII」と続編が作られるのだが、初代「マフィア」はSteamなどでも入手できない状態にあった。今回シリーズの開発元であるHangar 13により1から作り直されての発売となった。今回序盤を見ることができたので、レポートしたい。来たるべき「マフィア コンプリート・エディション」を楽しみにして欲しい。
禁酒法時代を生きたマフィアを描く名作オープンワールドアドベンチャー復活!
「マフィア」はかなり凝ったオープニングが用意されている。ひとりの男がダイナーに入ってくる。男の名前はノーマン、ギャング担当の刑事だ。そして彼を待っていた男はトミー。トミーはギャングの幹部の1人であるが、内部情報を売り渡すのと引き換えに、自分と家族の身の安全を交渉にノーマンを呼んだのである。「何があったんだ?」と聞くノーマンにトミーは長い話を話し始める。始まりは彼がどうやってギャングになったからだ……。
本作ではトミーがいかにギャングになり、足を洗うことを決意するか、その物語をトミーを通じて追体験していく。きらびやかな街「ロストヘブン」で彼がいかに生きたか、その“青春”が描かれる。
トミーはタクシーの運転手だった。彼の人生は2人のギャングが敵に追われ彼の前に転がり込んできたことで変わる。「タクシーだ、助かった。お前早く出せ!」ギャングに銃を突きつけられ、トミーは仕方なく車を発車させる。すると後ろから彼を追ってきた敵がこちらを撃ってきたのだ!
……何とか追っ手をまき、トミーは2人をリトルイタリーの「サリエリのバー」に降ろす。そう、2人のギャング・サムとポーリーは、この一体を仕切るマフィア、ドン・サリエリの部下だったのだ。2人を助けたことでトミーはサリエリから“礼”を受け取る。そしてトミーはマフィアの一員への道を歩んでいくこととなる。
「マフィア」はロストヘブンという街を舞台としたオープンワールドクライムアクション・アドベンチャーだ。本作の舞台は禁酒法の時代、1930年代のアメリカの都市であり、建物、道路、人々の服装、車もクラッシックな雰囲気に溢れている。他のオープンワールド同様、“車で眺める街の景色”がゲームの中心となる。
当時のヒット曲のBGMと共に、この古風な街を進む感触は「マフィア」最大の魅力だろう。車も当時のものは車高が高く、性能が低いものが多かった。ちょっと運転しにくい感じも忠実に再現されており、そのドライブの感触は独特だ。プレーヤーはトミーとなって様々な車に乗り込み、いくつものミッションに挑戦していくこととなる。
「マフィア」の大きな魅力は世界観と共に、ストーリーにある。プレーヤーはトミーがいかにギャングとなっていくかを追体験するのだが、その結果として彼は自分の安全と引き換えに足を洗うことを決意するまでになる。冒頭のシーンは物語のラストなのか、中盤なのか、その謎がプレーヤーを引っ張っていく。物語は禁酒法時代のギャング達のエピソードを巧みに取り込んでおり、歴史を見ているような気持ちになるところも楽しい。
そして「マフィア コンプリート・エディション」としての美しいグラフィックスと、改良されたUIやゲームプレイに注目である。最新のグラフィックスで描かれるロストヘブンは美しい。当時のほこりっぽい雰囲気、建物や乗り物人々の服装など、進化したグラフィックスは当時のアメリカを実際に見たような気持ちになる。「時代の描写」という本作最大の魅力は、リメイクによりさらに増している。
そしてカットシーンやセリフ回しだ。「マフィア コンプリート・エディション」は1から作り直しているだけに、カットシーンやセリフ回しなど新しい要素も積極的に足され、より厚みを増し、丁寧にキャラクター達を描いている。
「これリメイクじゃなく、リマスターじゃないの?」というのが実は最初の印象だ。筆者が印象に残っているシーンや、展開、雰囲気まで前作そのままで、全く違和感がなかったからだ。しかし改めて前作のグラフィックスと見比べたり、プレイした記憶をたどると全く違う。まず街の描写だ。看板、建物、走っている車や通行人の数、街全体の景色も今作はとても美しい。昨今のTwitterでは「昔の街並みを収めた映像」といったものが出回るが、その風景の中を走っているかのよう。タイムマシンに乗って当時の景色をのぞき見ているような気分が味わえる。
そしてキャラクター描写である。キャラクターの表情や目線、仕草など演出が細かく、キャラクターの心情が良く伝わる。「マフィア」は複雑な物語だ。トミーは徐々にマフィアの血なまぐさい世界に染まっていく。ドン・サリエリのカリスマと恐怖、明るいポーリーの中に潜む狂気、そういった複雑なキャラクターの内面がきちんと伝わる。リメイクにより、「マフィア」は一層魅力的なゲームになったと実感した。
筆者は2003年に発売された日本語版「マフィア」の大ファンだ。今回本作の冒頭シーンをプレイし、変わらぬ良さと、リメイクによる美しく、丁寧になったゲーム進行に非常に好感を持った。現代のプレイしやすいUIと美しいグラフィックスで「マフィア」がプレイできるのは本当にうれしい。そして多くの人にプレイしてもらいたい。
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