【特別企画】

「最強豪鬼」の称号をかけたオンライン大会が勃発! 現役の“全一豪鬼”ときど選手はその面子を保つことができたのか?

7月11日開催

会場:e-sports SQUARE AKIHABARA

 7月11日、「ストリートファイターV:CE」(以下ストV)のオンライン大会、「最強豪鬼決定戦」が開催された。これは大塚食品が販売するBRAIN SPORTS DRINK「e3」の新パッケージ「ときど×豪鬼コラボデザイン」の発売を祝した大会で、大会コンセプトもそれにちなんだものになっている。

 本大会ではその名の通り、出場者は全員豪鬼を使用しなければならい。「ストV」では最強キャラクターの一角に数えられる豪鬼だが、今大会では全員が全く同じ条件で対戦することになる。「最強豪鬼」の称号を求め、我こそはという豪鬼使いたちが全国から集い、総参加人数は58名にも上った。

 大会優勝者には賞金10万円と「e3 ときど×豪鬼コラボデザイン」10ケースが贈呈されると共に、世界一の豪鬼使いと謳われるときど選手への挑戦権を獲得することができる。もし本大会でときど選手が敗れるようなことがあれば、それは格闘ゲーム界を震撼させる一大事になり得る。果たして、「最強豪鬼」の称号は度のプレーヤーの手に渡ったのか!?

【最強豪鬼決定戦】

本戦優勝者は藤村選手!ベテランの貫禄を見せつけた!

 予選を勝ち抜き、大会TOP8まで駒を進めたのは、ダッチ選手、藤村選手、大谷選手、ぴっちゃん2代目選手、めがねまん選手、がすいん選手、稲葉選手、じゃじぃ選手の8名だ。

トーナメント表

 この中でCapcom Pro Tour(CPT)で名を見かけるのはトップ選手は藤村選手、大谷選手くらいだが、ときど選手は8名とも名前を知っていて、全員が“知る人ぞ知る強豪豪鬼使い”とのこと。実際、彼らの試合を見ていてもその技振りは洗練されており、いずれも練度が高い。

会場で試合を見守るアール氏(左)とときど選手(右)

 さて、この豪鬼VS豪鬼という組み合わせについてだが、ときど選手曰く非常に難しいマッチアップだという。まず豪鬼というキャラクター自体、扱うのに相当な練習が求められる硬派なキャラクターだが、豪鬼ミラーとなるとその硬派さに拍車がかかる。

 豪鬼というキャラクターは攻守ともに高水準なキャラクターだが、弱点として体力が非常に低い。そのため豪鬼VS豪鬼という組み合わせは、一瞬の油断が命取りになる、気の抜けないカードだ。起き上がりのEX昇竜拳をガードされようものなら、致命的ダメージを被ること間違いなしだ。

豪鬼VS豪鬼

 8名の中で頭一つ抜けて見えたのが、忍ismGaming所属の藤村選手だ。藤村選手は本来いぶきをメインキャラクターとして据えるプレーヤーだが、今大会のために豪鬼、とりわけ豪鬼VS豪鬼のカードを徹底的に詰めてきたとのこと。元々あるプレーヤースキルの高さも相まって、彼の豪鬼は圧倒的な強さを誇っていた。

 ときど選手を以てして「見習うところがある」と言わしめるほど、藤村選手の豪鬼はサブキャラクターとは思えない完成度だった。いぶきで培ったコンボ能力とリーサルの判断の精度はもちろんのこと、立ち回りの間合い管理や、飛び道具に対する回答など、豪鬼対策にも余念がないように見えた。

大谷選手のEX斬空波動拳に、前跳びで反撃を決める藤村選手

 そして決勝戦、難なく駒を進めてきた藤村選手と相まみえたのは、名だたる豪鬼使いたちが情報交換の場として使っている「豪鬼LINE」の管理人であり、全世界LPランキング89位(7月11日現在)の強豪、がすいん選手だ。

 藤村選手の決勝の相手としては不足は無いように思えたが、いざ試合が始まると、藤村選手の地上戦での圧力が圧倒的で、がすいん選手は防戦一方の戦いが続いた。藤村選手が豪鬼の歩きの速さを活かし、前歩きから小パンチや中パンチでプレッシャーをかけているのに対し、がすいん選手の技はなぜか空を切っている。がすいん選手のプレイからは、トッププロを相手にして緊張も伺えるようだった。

スタンから第1試合を勝ち取った藤村選手

 豪鬼使いとしてのキャリアはさておき、大舞台での経験値は藤村選手の方が圧倒的に高い。そして藤村選手は、その精神的アドバンテージを存分に活かして試合を構築しているようだった。相手の波動拳に対しては積極的に前跳びで対応し、画面端に追い込まれればすぐさま百鬼襲で脱出する。がすいん選手は試合のペースをつかめないまま、気づけば試合は2-0藤村の状態になっていた。

めくり跳びが刺さって第2試合も藤村選手に軍配が上がる

 後がないがすいん選手に対し、ときど選手は「迷いを捨てて頑張ってほしい」と激励した。しかしその励ましも空しく、続く第3戦も藤村選手が圧倒的な力を見せつけ、がすいん選手は1ラウンドも取れないまま敗北。強豪豪鬼使いがそろい踏みした本大会で、いぶき使いの藤村選手が優勝するという、予想外の展開になった。

決勝まで上り詰めたものの、がすいん選手はなすすべもなく敗北してしまった。

 優勝インタビューで藤村選手は「豪鬼を長年使うプレーヤーであればあるほど、豪鬼というキャラクターに圧を感じてしまう。自分はそういったプレッシャーを感じずにプレイできたので優勝できたと思います。」と語った。

ときどの相手は藤村! ときどが執念を見せる!

 本戦を優勝し、ときど選手への挑戦権を獲得した藤村選手。藤村選手の仕上がりは先述の通りだが、対するときど選手はというと、こちらも今日のために相当仕上げてきたようだ。ときど選手は「普通に大会に出場したかった」と、その自信のほどを語っていた。

 実は本大会のインターバル中、ときど選手はゲスト出演したAXIZ所属のShuto選手と、エキシビションマッチを一戦交えていた。Shuto選手といえば「Asia Premier 2019」TOP8の大舞台にて、ときど選手を下した実力は若手プレーヤーである。

Shuto選手(左)VSときど選手(右)

 Shuto選手もこの日のために豪鬼を練習してきたとのことだったが、エキシビションマッチはときど選手が2-0の快勝。大型大会が無いこの期間にも、その実力は一切衰えていないような、そんな立ち回りだった。

2-0で勝利するときど豪鬼

 敗北したShuto選手は「いくつか対策を用意していたが、対策でどうにかなるレベルではない、地力で差を見せつけられました。」と悔しさを語っていた。Shuto選手曰く「大会に臨むとき、若手プレーヤーは大体95くらいの練度まで仕上げることはできるが、ときど選手は常に練度を100まで仕上げてくる。この差は非常に大きく、そういった取り組みができるときど選手はプロの理想のようなプレーヤーです。」とのことだ。

Shuto選手

 さて、ときど選手VS藤村選手の対戦カードだが、これはときど選手にとっては絶対に負けられない戦いだ。ときど選手といえば、「ストリートファイターIV」の時代から豪鬼を使い続け、その熟練の技で世界一の豪鬼使いにまで上り詰めたプレーヤーだ。もし、今大会のために豪鬼を使い始めたようなプレーヤーに豪鬼ミラーで負けることがあっては、いくら相手が強豪藤村選手であろうとも、面子丸つぶれだ。

 試合が始まると、先ほどまで嬉々として実況を務めていたときど選手が、途端に真剣な表情を見せる。その表情は、CPT大会の決勝戦に臨むそれと同じ、気迫に満ちた顔だ。試合が始まると、一進一退の攻防が続いた。ときど選手の豪鬼は流石の強さだが、藤村選手の豪鬼も伊達ではない。地上戦ではときど選手がやや優勢に見える場面もあり、立ち中キックを立ち中キックで差し返す精度などは、ときど選手が勝っていた。

試合に臨むときど選手

 そんな中でも印象的だったのが、要所でときど選手が起き上がりにEX昇竜拳を撃っていたことだ。試合後のインタビューでは「撃たざるを得なかった」と語っていたが、ハイリスクなこの技を躊躇せず撃っていく姿勢からは、勝ちへの執念が伺えた。

ときど選手のEX昇竜拳

 しかし藤村選手も負けてはいない。波動拳を昇竜拳で抜けるなどの大胆なプレイをみせつつ、持ち前のコンボの上手さでときど選手の体力を奪っていく。第2戦が終わった時点で試合のカウントは1-1、両者リーチをかけた状態で第3戦を迎えた。

第2試合を勝ち取る藤村選手

 続く第3戦、両者ともに波動拳で積極的な姿勢を見せながら、竜巻旋風脚や羅漢豪掌がちらつく、まさに一触即発の展開となった。第1ラウンドはときど選手が、第2ラウンドは藤村選手が勝利し、試合は最終ラウンドまでもつれこむ。両者がにらみ合う緊迫した状況から、決め手となったのはときど選手の画面端でのしゃがみ中キックだった。ときど選手はこれをヒット確認しクリティカルアーツまでつなぎ、藤村選手の体力を一気に奪い、見事試合に勝利して見せた。

決め手となったクリティカルアーツ

 試合後インタビューするとときど選手は「藤村選手は本当に手強かったです。サブキャラクターがここまでの練度とは、恐ろしいプレーヤーですね。全国の豪鬼使いたちには、藤村選手が今大会を優勝したのを良しとせず、次こそは正真正銘の豪鬼使いに優勝してほしいです。」と語った。

ときど選手

 また、大会のない期間も「ストV」をプレイしていたか、という質問に対しては「自分は自粛期間中も、ひたすらストVをやっていました。自分は既に大会どうこうではなく、昨日の自分より強くなることを意識できるようになったので、モチベーションには困りません。今は業界にとって大変な時期ですが、一度色々なことを考え直す機会をもらったと思って、ポジティブにとらえていきたいと思っています。」と語ってくれた。

ときど選手

 自分が世界一の豪鬼使いであるということを、改めて証明してみせたときど選手。まだまだ衰えを知らない彼の活躍には、今後も要注目だ。